7月14日(木)

★花芭蕉掌にはつつめぬほどの花  正子
大きくて奇怪な形の花です。両手を伸ばし触れようとしたのでしょうか。むろん手に包めないだけでなく、高すぎて届きもしないのです。自然に対する作者の好奇心、驚きの表情が伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
舟虫の巌走れば光る海/小西 宏
舟虫は、まるで一族であるかのように群れて行動する。巌をちりぢりに走る様は、夏の磯らしい。光る海には日差しの強さがある。(高橋正子)

◇生活する花たち「野萓草・藪萓草・藪萓草」(横浜・四季の森公園)

7月13日(水)

★射干を活ける鋏が濡れてあり  正子
花色鮮やかな射干の傍らに、濡れて置かれる花鋏。暑さの中にあって、ひとときの涼気に接する思いがいたします。野趣あふれる季節の花を活けられ、心豊かな時間が流れます。(藤田洋子)

○今日の俳句
山の雨上り茅の輪の列に入る/藤田洋子
山の雨が、一句の雰囲気を作り出し、夏越し祭の茅の輪の緑が生き生きしている。茅の輪をくぐる順番の列に入って、無事に夏を越せることを祈る。(高橋正子)

◇生活する花たち「槿」(横浜日吉本町)

7月12日(火)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
昼顔は再生力の強い一種の雑草ですが、花の風情はたおやかです。一日花でその日のうちに咲いて萎んでしまうところは、はかない花でもあります。(多田有花)

○今日の俳句
緑陰に昼の草刈機が休む/多田有花
朝涼しいうちに使われた草刈機は、昼の暑い時間は、緑陰で休む。草刈機も人のようだ。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・花石榴・紫つゆ草」(横浜日吉本町)

7月11日(月)

★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち  正子
蕗のすじを剥くと灰汁に染まりますが、そこを一歩踏み込んで指先が捉えた感覚を「きしみがち」と詠まれたところが観察の鋭さでしょうか。季節の食材を楽しまれ、その生活の中から生まれた句は素敵ですね。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
ひたすらに編む独り居の涼しさよ/後藤あゆみ
平明な句に、生活の中の「涼しさ」が快く詠まれている。独り居の静かでたのしい時間を「ひたすら」好きな編み物で過ごす時間は至福の時。その心が「涼しさよ」となった。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・しもつけ草・青ぶどう」(横浜日吉本町)

7月10日(日)

 鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ  正子
往時を偲びながら行く街道の道すがら、夏に生長した竹は、一際目を引く青さです。水が打たれ、なお生き生きと輝く竹林に、より一層の清々しい涼気を感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○アクセスランキング入り
2011.07.09(土) 650 PV 231 IP 8622 位 / 1606001ブログ
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IPが、200以上あるのは、大変嬉しいです。文学系で200以上になるのは、むずかしいと聞いた。ご覧いただき、ありがとうございます。

◇生活する花たち「百日紅・蓮①・蓮②」(横浜日吉本町金蔵寺)

7月9日(土)

 愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と  正子
四国の軽井沢と呼ばれる愛媛県久万高原町は、標高800mの自然溢れる住みよい町。久万中学校は、暑い蒸れ返るような都会とは違い、涼しく澄んだ空気の中で、伸び伸びと学び遊んで成長してゆきます。窓辺には蒼嶺が聳え生徒達を見守るかのようです。(津本けい)

○今日の俳句
星涼し日暮れて青き山並みに/津本けい
日暮れて青い山並みに出た星を涼しく感じる感性がよい。 (高橋正子)

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・半夏生・梔子」(横浜日吉本町)

7月8日(金)

★子が去りしことも静かや夏の歯朶  正子

○今日の俳句
若きらと歩く街かど氷菓食ぶ/黒谷光子
若い人たちと街を歩くのは少々疲れることもあるけれど、アイスクリームなど街角で食べる楽しさに気持ちが若返る。老若あい和して愉し。(高橋正子)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

○全国俳誌協会
6月25日の定期総会で、新設のIT事業部長に選出された。早速、IT事業部のブログを立ち上げ、6人のスタッフを花冠同人にお願いした。
▼全国俳誌協会IT事業部ブログ:
http://blog.goo.ne.jp/zhk2011

IT事業部の当座の仕事は、協会のホームページ作製となる。その骨格が出来上がった。全国規模の俳句協会は、いくつかあるが、それとは違った特徴を持たせた。俳誌相互の交流、会員相互の交流といったことで、俳誌の電子書籍作製、会員交流のツイッターなどである。
▼全国俳誌協会ウェブサイト:
http://internet-haiku.info/zenkokuhaishi/

○水無月(みなづき・旧暦6月・京都の和菓子)
昨日の七月七日は、新暦の七夕。朝から風がよく吹く。特に信之先生の部屋は簾越しに入る涼風でまるで避暑地。朝九時過ぎから、日吉本町二丁目あたりを写真を撮りながら信之先生と散策。朝顔を咲かせている家はないかと思うが、小学校の校庭にたった一つ咲いていた。金蔵寺の半夏生を見に行く。半夏生は、終わりかけている。花盛りのときは、なにやら恐ろしい。蓮の花はまだ。金蔵寺を出て駒林神社に行こうとして、途中、槿の垣根に出会う。「道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉」を思い出だす。江戸時代なら、ここを馬が通りかかるのだろう。その道の突き当たりは、神社の崖下で、藪カンゾウが緑の中にひときわ目立っている。神社の境内に入るが。森閑として梔子の花だけが咲いている。お賽銭をあげる。水筒の冷茶を飲んで石段に座ってしばし休憩。石段から境内の端のお稲荷さんを眺めるが、狐もコンと応えそうにもない。

神社を出て二丁目の奥の方へ。のうぜんかずらが咲いている家があり、草原のどくだみを踏んで近寄って写真を撮る。どくだみの匂いが芬々と立つ。ところが、早速草に負けたらしく、腕がかゆい。空は曇っていて、風は良く吹く。何か作ろうとして竹を割っている老人がいるので、「今日はよく風が吹きますね。」と声をかけると、「そうだね、割合良く吹くね。」と。巻尺で道路幅を測っている初老の夫婦がいて、ちらっと見て会釈してくれる。若いお母さんが、自転車で自分の家に帰ってきたのか、「こんにちは。」という。今朝あった人は、みんな始めて出会う人だが、七夕という日のせいか、風がすずしいせいか、これまでと人の心が違っていると感じる。

荒れた畑に「はるしゃ菊」が群れ咲いて、それにヒメジョオンの白い花が混じり、なかなかいい景色だ。「はるしゃ菊」は「蛇の目草」とも言うが、コスモスのような黄色い花の中に、蛇の目傘のようなチョコレート色の模様が入っている。はるしゃ菊の荒れ畑を曲がると、お寺ののうぜんかずらが、花をたわわに咲かせている。花の下には、オシロイバナがたくさん蕾を付け、夕方が来るのを待っている。

今日は、これで打ち切り。家に向かう。十一時半ごろ家に着くが、やはり暑かった。信之先生用にそうめんを茹で、私は蕗の佃煮を作っていたのを出して、ご飯を食べる。食後は、冷茶とお菓子の「水無月」。「水無月」は、京都の老舗では六月三十日にしか売らないそうだが、今日の「水無月」は、コープに注文していたもの。白い外郎に小豆が載っている。三角形に包丁を入れて食べるが、三角形であるゆえに涼しさが湧く。

「水無月」は、ちょうど一年の半分に当たる六月三十日の「夏越祓(なごしのはらえ」に食されるお菓子。三角形に切られた白い外郎は、暑気を払う氷室の氷を表し、小豆には、魔よけの意味と、氷室の藁をイメージしたものということだ。。見た目といい、食感といい、涼しいお菓子だ。今年は、節電のため、家ではまだ一度もクーラーを使っていないが、なんの不便も感じない。「水無月」を食べて、少し昔の日本にもどったような気持ちになった。夜、外に出ると、田を吹き渡るような涼しい風が吹いている。七夕の空は、あいかわらず曇り。

◇生活する花たち「朝顔・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月7日(木)

★学生食堂ひとりの顔に夏日あり  正子
学生食堂にも夏が近づいてきた。海や山で日焼けしたらしい顔も見える。レポートの提出で忙しい人もいるだろうが、キャンパスには今や若者の季節がやってきました。(河野啓一)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

◇生活する花たち「凌宵かづら・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月6日(水)

★明け易き時をラジオのミサ合唱  正子
朝早くラジオからミサの合唱が流れてくると、敬虔な気持ちになり、清々しい一日が始まります。(井上治代)

○今日の俳句
青空を透かして網戸まっさらに/井上治代
網戸から青空が透けて、その網戸もまっさら。風もよく通り、目に涼しい。さわやかで、清潔感のある句。(高橋正子)

◇生活する花たち「ヤブカンゾウ・ノカンゾウ・マリーゴールド」(横浜・四季の森公園)

7月5日(火)

★青田みな青嶺へ靡き吹かれける  正子
苗が育って青田となり、青田波が生まれるころは山々の緑も最盛期を迎えています。青田が青嶺に吹かれている、日本の最も日本らしい風景かもしれません。(多田有花)

○今日の俳句
とりどりの浴衣の少女踏切に/多田有花
踏み切りの開くのを待っている浴衣を着た少女たち。これから、連れ立って、祭りに出かけるのであろう。涼しそうで、少女らしいかわいさがあって、大人には、幼い頃を思い出させてくれる光景である。(高橋正子)

○アクセスランキング
2011.07.04(月) 691 PV 218 IP 5887 位 / 1604103ブログ

◇生活する花たち「ゴンズイの実・ムラサキシキブの花・蛍袋」(横浜・四季の森公園)