
隅田川
★都鳥春の空より羽音させ 正子
都鳥が羽音をさせながら春の青空を飛んで行くのをご覧になったのでしょう。隅田川であること、都鳥であることで物語のように情景が広がります。(黒谷光子)
○今日の俳句
大寺の甍光りて緑立つ/黒谷光子
陽光が降り注ぐ大寺の甍を背景に、すくすくと伸びた松の緑の新芽。軸のようにすっくとぬきんでた姿に、旺盛な生命力を感じる。行く春の景色。(高橋正子)
○葱の花
★葱坊主子を憂ふればきりもなし/安住 敦
★葱の花ゆふべの鞄かかへ持ち/加畑吉男
★葱の花遠く並んでもその姿/高橋正子

葱の花はねぎぼうずと呼ばれ、形の面白さや、種となった野菜の終わりの情趣があって俳句にもよく詠まれている。子どもがいたずらにその頭を切り飛ばすこともある。種が充実するまで、豌豆や蚕豆、じゃが芋、玉ねぎが旺盛に育つ畑にあって、擬宝珠のような古い姿がじゃまくさい感じもした。熟れると切っての軒など風通しのよいところで乾燥させるが、その近くを通れば、種がぽろっとこぼれて、首すじに入ったりした。形は面白いが、ちょっと、すっきりしない気分の花である。(正子)
ネギ(葱、学名 Allium fistulosum’は、原産地を中国西部・中央アジアとする植物で日本では食用などに栽培される。クロンキスト体系ではユリ科、APG植物分類体系ではネギ科ネギ属に分類される。古名は「き」という。別名の「ひともじぐさ」は「き」の一文字で表されるからとも、枝分れした形が「人」の字に似ているからとも言う。ネギの花は坊主頭や擬宝珠を連想させるため「葱坊主」(ねぎぼうず)や「擬宝珠」(ぎぼし)と呼ばれる。「擬宝珠」は別科別属の植物「ギボウシ(ギボシ)」も表す。萌葱色は葱の若芽のような黄色を帯びた緑色のことである。日本では古くから味噌汁、冷奴、蕎麦、うどんなどの薬味として用いられる他、鍋料理に欠かせない食材のひとつ。硫化アリルを成分とする特有の辛味と匂いを持つ。料理の脇役として扱われる事が一般的だが、青ネギはねぎ焼きなど、白ネギはスープなどで主食材としても扱われる。ネギの茎は下にある根から上1cmまでで、そこから上全部は葉になる。よって食材に用いられる白い部分も青い部分も全て葉の部分である。西日本では陽に当てて作った若く細い青ネギ(葉葱)が好まれ、東日本では成長とともに土を盛上げ陽に当てないようにして作った、風味が強く太い白ネギ(長葱・根深葱)が好まれる。このため、単に「ネギ」と言う場合、西日本では青ネギを指し、白ネギは「白ネギ」「ネブカ」などと呼んで区別される。同様に東日本では「ネギ」=「白ネギ」であるため、青ネギについては「ワケギ」「アサツキ」「万能ネギ」「九条ネギ」などの固有名で呼ばれることが多いが、売り手も買い手も品種間の区別がほとんどついておらず、特に「ワケギ」「アサツキ」に関しては、その大半が誤用である。(ウィキペディアより)
◇生活する花たち「八重山吹・石楠花・梨の花」(横浜市緑区北八朔)

★春月の光りにも触る午前二時 正子
書きものをされたり、読書をされたり、あっという間に時間が過ぎていきました。窓から差し込む春月の光りが手許に届いていることに気が付きました。ふと時計に目をやると午前二時をさしていました。集中した時間を過ごされ、春月の光りにも触れることができ、幸せな喜びを感じられたように推察致しました。(藤田裕子)
○今日の俳句
日は昇り横たう春山まぶしかり/藤田裕子
「日は昇り」の「は」で、この句は詩となった。昇ったばかりの朝日を受け、まぶしく輝く春の山の、のびやかで堂々とした風景。(高橋正子)
○今日の秀句/フェイスブック句会
フェイスブック句会に毎日7・8名の投句があり、その中から<今日の秀句3句>を選ぶ。その中の1句にコメントを書く。発表は、投句の翌日になる。フェイスブックにシェアされると、ときには8名ほどの<友達>が、<いいね!>ボタンを押してくれる。読んでいただくことは、大変嬉しい反響である。
★桜蘂降り初む午後の風強し/多田有花
もう、桜蘂が降る季節になった。朝は静かだった風も午後には強く吹き、桜蘂を降らせた。「春が行く」感慨。(高橋正子)
★さくさくと土掘る音と囀りと/古田敬二
★春暑し六甲ライナー海の上/桑本栄太郎
○通草の花(あけびのはな)
★バスを待ちくたびれてをり花あけび/飴山 実
★藤村の地へ山一つ花あけび/稲垣陶石
通草(あけび)は、アケビ科の蔓性落葉低木の一種(学名 Akebia quinata)、あるいはアケビ属(Akebia)に属する植物の総称である。茎はつるになって他物に巻き付き、古くなると木質化する。葉は五つの楕円形の小葉が掌状につく複葉で、互生する。花は4~5月に咲き、木は雌雄同株であるが雌雄異花で淡紫色。花被は3枚で雄花の中央部には6本の雄しべがミカンの房状に、雌花の中央部にはバナナの果実のような6–9本の雌しべが放射状につく。雌花の柱頭(先端部)には、甘みを持った粘着性の液体が付いており、花粉がここに付着することで受粉が成立する。雌雄異花で蜜も出さないので受粉生態にはよくわかっていない点が多いが、雌花が雄花に擬態して雄花の花粉を目当てに飛来する小型のハナバチ類を騙して受粉を成功させているのではないか、とする仮説がある。ハエ類が甘みを持った粘着質を舐めに来る際に受粉していると考えられる。受粉に成功した個々の雌しべは成長して果実となり、10cm前後まで成長する。9~10月に熟して淡紫色に色づく。成熟した果実の果皮は心皮の合着線で裂開し、甘い胎座とそこに埋もれた多数の黒い種子を裸出する。この胎座の部分は様々な鳥類や哺乳類に食べられて種子散布に寄与する。
種子を包む胎座が甘みを持つので、昔から山遊びする子供の絶好のおやつとして親しまれてきた。果皮はほろ苦く、内部にひき肉を詰めて油で揚げたり刻んで味噌炒めにするなど、こちらは山菜料理として親しまれている。主に山形県では、農家で栽培されスーパーで購入することができる。また、東北地方などでは新芽(山形や新潟などでは「木の芽」と呼ぶ)をやはり山菜として利用している。その他、成熟した蔓はかごを編むなどして工芸品の素材として利用される。また、秋田県では種を油の原料としている。江戸時代から明治時代にかけては高級品として珍重され、明治以降生産が途絶えていたが近年復活した。
子どものころは、年上も年下も一緒に遊んだ。秋になるとあけびを採ってきたといって自慢げに見せてくれた。山のどのあたりにあるのだろうと、いつも不思議に思っていた。遠足などで山を越えるときに、あけびがある、などという声も聞いた。しかし、あけびの花は見たことがない。子どもだから、花があるなどと思ってもいなかった。さつま芋のような実が割れ、黒い種をミルクのような白いものが包んでいた。その姿だけ覚えていた。聞けば、受粉形態もおもしろい。
砥部焼の産地である砥部に住居を構えたおりに、家裏の川崖に木にあけびの花が咲き、実をつけた。山に入らねば見つからないのに、家の裏に出ればあけびが採れた。もちろん食べた。楕円状の葉もなかなかよいし、淡紫の花も、そして実も、果てはあけび籠となって、蔓まで身近になった。横浜では、近所の家に鑑賞用に植えられているので、見て楽しませてもらっている。蕾は、濃い紫の風船状で、それが割れて花が咲く。
★花あけば曇れる空のいや高く/高橋正子
★花あけび日差しそろそろ強くなり/高橋正子
◇生活する花たち「あけびの花・白山吹・をだまきの花蕾」(横浜日吉本町)

★独活放つガラスボールが水の玉 正子
○今日の俳句
楓の芽今開かんとして紅し/井上治代
楓の芽のかわいらしさと紅い色の美しさを端的に、みずみずしく詠んだ。「紅し」の言い切りが快い。(高橋正子)
○花冠6月号校了
午後、花冠6月号を校了とし、印刷にまわる。
花冠6月号の電子書籍を作成する。
http://kakan.info/km/k1206/
○俳誌花冠バックナンバー
http://kakan.info/km/
○電子書籍/e俳句ブック
http://kakan.info/01/
○蚕豆の花
★そら豆の花の黒き目数知れず/中村草田男
★蚕豆の花の吹降り母来て降り/石田波郷
★蚕豆の花に目を寄せ見ていたり/高橋正子
地中海、西南アジアが原産地と推測される。イスラエルの新石器時代の遺跡からも出土している。インゲンマメが普及する以前はソラマメは古代エジプトやギリシア、ローマにおいて主食とされていた。紀元前三千年以降中国に伝播、日本へは8世紀ごろ渡来したといわれている。古くから世界各地で栽培され、食用にされている。現在は南米、北米、ウガンダ、スーダンなどで栽培されている他、中華人民共和国河北省張家口で最高級品が栽培されている。高さ50cmほど。秋に播種する。花期は3−4月で直径3cmほどで薄い紫の花弁に黒色の斑紋のある白い花を咲かせる。収穫は5月頃から。長さ10−30cmほどのサヤには3−4個の種が含まれている。
蚕豆の花は、草田男の句にあるように、「黒き目」と見える斑がある。花は白というが、黒い斑のせいで薄紫に見える。蚕豆の花は、実を結ぶから取って遊ぶわけにはいかないが、葉で遊んだ。葉を折ると、半透明の薄い膜がはがれる。はがれるときれいな緑色が現れる。この緑色を出現させる遊び。遊びというほどのものではないが。
◇生活する花たち「げんげ・勿忘草・ミツバツツジ」(横浜日吉本町)

★学び舎にチャイムの鳴りてチューリップ 正子
校舎より授業終わりのチャイムが鳴り、そろそろ子供たちが出てくるころだ、校庭には子供たちが手入れをし、咲かせたチューリップが並んでいる。(祝恵子)
○今日の俳句
影の来て蝶の来ていることを知る/祝恵子
蝶は、やわらかに、気配もなく飛んで来る。ふと見やるところに蝶の影があり、蝶のいることに気づかされる。物があって、影が生まれるのだが、その逆のような世界の不思議。(高橋正子)
○横浜郊外
昨日の午後、信之先生と2人で吟行兼写真撮影。横浜緑区北八朔町の果樹園の梨の花を目的とした。自宅がある港北区から都筑区川和町までを地下鉄に乗った。電車を降りたときは、田園のいい香りがした。菜の花の匂いに、なにか花の匂いが混じっている。歩くところ、歩くところ、花が噴きだしたように一斉に咲いているためであろう。
川和町を鶴見川に沿って東側の土手を川上に向かって歩いた。鶴見川の土手は、すぎな、いたどりが群生し、菜の花が方々に咲いている。すいばは、穂を伸ばしかけ、桜は葉桜となりながらもまだ花が咲いている。豌豆の花、蚕豆の花、苺の花、ほうれん草の花、葱坊主、桃の花、林檎の花、木蓮、いちはつ、山吹、石楠花、シャクヤクの花蕾、土手の斜面にはすかんぽやいたどり等も。
のどかな田園地帯で、八十を越えたかのような老人が農作業にいそしんでいた。
1時間半ばかり歩いたところの天神橋は、都筑区川和町と横浜緑区北八朔町と青葉区下谷本町との3町の境となる。天神橋を通って鶴見川の西側へ渡る。そこが緑区北八朔町の梨の果樹園で花盛りであった。梨は、初秋には「はまなし」として売られる。梨の花は、白い。採果しやすいように枝は横に這うように伸ばせた樹形となっているが、枝には意外にも大きな花がびっしりとついている。随分摘果しなければならないだろうと思った。
梨の花を撮り、天神橋を渡って都筑区川和町へ戻る。少し歩くと青葉区市ヶ尾町になる。市ヶ尾駅からあざみ野駅までを田園都市線で、そこから横浜市営地下鉄に乗り、日吉本町駅で下車、帰宅は、午後3時過ぎ。帰るや川土手で取ってきたいたどり二本を水道水で洗って、藻塩をつけて少々食べる。ぽきっと折れて瑞々しかったが、残念ながら、二本とも埃臭い味。山の沢などのいたどりは、こんな味ではない。鑑賞用にコップに挿した。
○梨の花
★両岸の梨花にラインの渡し船/高濱虚子
★能登けふは海の濁りの梨の花/細見綾子
★梨棚の白とも言えぬ花咲けり/高橋正子
梨の花弁は通常白色、5枚の離弁が基本であるが、色や花弁数には変異がある。また、おしべは約20本、花柱は5本である。梨は本来虫媒花であるが、自家不和合性(同じ品種間では結実しない性質)が強く、栽培される場合には経済的な理由から他品種の花粉によって人工受粉が行われる。めしべの柱頭に付着した花粉は発芽し、花粉管を伸長して胚珠に到達、重複受精を行う。果実の育成は植物ホルモンの影響を受ける為、人工的にこれを添加する事も行われる。また、結実数が多すぎる(着果過多)場合には、商品となる果実の大きさを維持する為に摘果が行われる。
◇生活する花たち「豌豆の花・蚕豆の花・梨の花」(横浜市緑区北八朔)

★濃きお茶に春の灯しを入れて飲む 正子
春の灯の明るさを感じながらお茶をいただく、しっとりと柔らかな夜のひとときです。濃きお茶なればこそ、より艶やかな春の灯の美しさを感じさせてくれます。(藤田洋子)
○今日の俳句
春光につつまれし身のときめきよ/藤田洋子
この句を読むと、もの静かで明るい若い母親の姿が浮かぶ。うす紫の丸いヨークのセーターが、春光の中で、肩までの黒髪に映えていた。(高橋正子)
○花蘇芳(はなすおう)
★街中の水に空ある花すおう/和知喜八
★花すおういつも縁側より見えて/高橋正子
中国原産で、野生のものは、落葉小喬木だが、栽培種は灌木状をなしている。葉は丸形で基脚は心臓形。先端がやや尖って光沢がある。四月中旬葉に先立ち枝上の諸所に、五弁花、紅紫色の小蝶形花がびっしり咲く。和名紫荊はその花の紅紫色が、あたかもスオウ染め汁の色に似ているからである。
花蘇芳の紅紫色は古典的。よい色である。ハート型の葉も魅力。空の青色に似合う。生家には土塀のそばに一本の蘇芳が咲いた。
子どもの目にはその花は少し暗く思えたが、つやつやとした絹地のように映った。
◇生活する花たち「八重山吹・石楠花・梨の花」(横浜市緑区北八朔)

★春ほのぼの棚にあげたる書の紙も 正子
春の日はゆったりとしてのびやかで、その静かに落ち着いた中、書を書く和紙も心あたたまる景ですね。(小口泰與)
○今日の俳句
さえずりや忽と眼間昼の火事/小口泰與
テーマは「さえずり」。気持ちよくさえずりを聞いていると、忽然と火事が見えた。現実であるが、さえずりの中にあってまぼろしのような火事である。(高橋正子)
○げんげ

[げんげ/横浜日吉本町]
★風に揺るゝげんげの花の畦づたひ/星野立子
★げんげ摘む子の手ほのかにあたたかし/高橋正子
げんげは、マメ科ゲンゲ属に分類される越年草。中国原産。れんげ草とも呼ぶ。春の季語。茎の高さ10~25cm。根本で枝分かれして、暖かい地方では水平方向に匍匐し、60~150センチまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。げんげの花の蜜は、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。かつて水田に緑肥として栽培され、現在でもその周辺に散見される。化学肥料が使われるようになるまでは、緑肥および牛の飼料とするため、8~9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これはげんげ畑と呼ばれ、昭和末頃までの「春の風物詩」であったが減少している。畑は田植えの前に耕し、げんげをそのまま鋤きこんで肥料とした。
近所に、大ぶりの鉢に植えられて、田圃のようにげんげが咲いた。花の色が少しうすいのは、なぜか。肥料が足りないか。日当たりがよくないか。そういう種類なのか。色に不足はあったが、久しぶりに見るげんげにシャッターを押した。
◇生活する花たち「木瓜の花・姫踊子草・蘇芳」(横浜日吉本町)

★雉啼くや子二人育てつつ暮らす 正子
雉の鳴き声は古来詩歌で春の妻恋の声として詠われてきた由。また子を思う愛情の深い鳥と言われており、国鳥にも選定されています。このお作は先生の松山時代に詠まれたものかと拝察致しますが、お子達お二人を慈しみ育てられた日々の充実したお暮しが想像出来る素晴らしい御句と思いました。 (河野啓一)
○今日の俳句
★春深し小枝に小鳥来てとまる/河野啓一
「春」のただなかに身を置いている自分と、小枝に飛んできた小鳥に自分を重ねているような、静かな楽しさがある。「春深し」の実感。(高橋正子)
○雛菊(デージー)
★雛菊や子の作文に大志あり/大原 勉
★雛菊に朝の水やり子が済ます/高橋正子
雛菊の原産地はヨーロッパで、原種は芝生の雑草扱いされている。北アメリカ、アジア、オセアニアに外来種として広く帰化している。日本には明治時代初期に渡来し、北海道などの冷涼な地域を中心に定着している。特徴は、多年草であり、学名の種小名 perennis も「多年生の」という意味であるが、日本では夏が暑くて越夏できないことが多い。このため、通常は秋蒔きの一年草として扱う。寒冷地で越夏できるようであれば、株分けで繁殖させることができる。開花期は春で、舌状花が平弁咲きのものと管弁咲きの種類がある。草丈は10〜20cmくらい。葉は根生葉(ロゼット)で、長さ5cmくらいのへら形で鋸歯があり、薄く毛が生えている[1]。花は、市販品は11月頃から店頭に出回るが、露地で栽培した場合は3月から5月に咲き、花径は2cmくらいの小輪多花性種から、10cm近い大輪種まである。半八重または八重咲きで、舌状花は平弁のものと管弁のものがある。花の色は赤・白・ピンクと絞りがあり、黄色い管状花とのコントラストが美しい。
◇生活する花たち「桃の花・げんげ・つつじ」(横浜日吉本町)

★岩に滾る水にかがやく猫柳 正子
「岩に滾る」によって、渓流の傍に野生する猫柳の花の咲きようが眼前に迫ります。ほとばしる水のきらめきを浴び、さらに輝きを際立たせていることでしょう。また岩に躍動する水の流れと優しげに咲く猫柳との対比も鮮明です。(小西 宏)
○今日の俳句
★日の影は少し薄れて山桜/小西 宏
山桜の詩情をよく捉えて、よい俳句となった。「日の影」「少し薄れて」の表現もすっきりとして巧み。(高橋正子)
○花冠6月号入校
午前、花冠6月号の編集を終え、松山の印刷所「龍華堂」へ入校を済ます。
巻頭抄の第一句は、下記の句:
<日の影は少し薄れて山桜/小西宏>
山桜の詩情をよく捉えて、よい俳句となった。「日の影」「少し薄れて」の表現もすっきりとして巧み。(高橋正子)
特集は、5月号の続きで、「フェイスブック句会その二」となって、「ネットテレビのインタビュー」を取り上げた。ブログ版「花冠」は、以下のアドレス:
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/
高橋正子の作品10句は
片栗
智久さんへ二句
花束のように渡され花わさび
婚近きふたりに活けてスイートーピー
横浜四季の森公園
片栗に山の正午に日が差しぬ
かたくりの三々五々に日がほのと
椿咲く疎林の木々の幹見えて
仏生会あらしの去りし空の青
瓶に詰め透けし甘茶を持ち帰る
初蝶の黄がいきいきと飛ぶ速さ
初蝶に風のあらさの見えにけり
散り急ぐ今年の桜となっていし
○ゆすら
★風のみの夜に咲きふえしゆすら花/片岡砂丘艸
★母と娘の爪のうす紅花ゆすら/木下 春
★花ゆすらひとり海見るとき咲けり/高橋正子
中国原産の落葉灌木。高いのは3メートル余に達し、四月中旬、新葉と同時に白色または淡紅色の梅に似た花を開く。花盛りは梅桜に劣らぬ見事さだが、知る人はあまりない。
ゆすらの花は小さい子供に似合うように小さい。桜や梅に比べればあまりに小さい。小さいゆえに、子どもに好かれそうだ。その実はさくらんぼや梅のなる季節に重なるが、ままごとの林檎とでも言うような実だ。
◇生活する花たち「あけびの花・白山吹・をだまきの花蕾」(横浜日吉本町)

★欅若葉空をうずめて浅みどり 正子
欅がいっせいに芽吹き、初々しく優しい若葉の浅みどりが、鮮やかに空に映えています。空を埋め尽くすほどの欅若葉の明るい輝きに、季節の喜びを感じずにはいられません。 (藤田洋子)
○今日の俳句
春光につつまれし身のときめきよ/藤田洋子
この句を読むと、もの静かで明るい若い母親の姿が浮かぶ。うす紫の丸いヨークのセーターが、春光の中で、肩までの黒髪に映えていた。(高橋正子)
○花楓

◇花楓/横浜日吉本町◇
★縁拭きて楓の花を塵とせず/及川貞
★あを空や楓そよげば花がある/伊藤東吉
★花楓枝平らかにみな浮かび/高橋正子
★あおられてまたあおられて花楓/高橋正子
日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ (A. palmatum) である。福島県以南の山野に自生しているほか、古くから栽培も行われている。園芸種として複数の栽培品種があり、葉が緑色から赤に紅葉するものや最初から紫色に近い葉を持ったものもある。花は風媒花で、花弁は目立たなく小さい。果実は二つの種子が密着した姿で、それぞれから翼が伸びる翼果である。脱落するときは翼があるので、風に乗ってくるくる回って落ちる。芽がうつくしいので、とかく見過ごされがちだが、四月ごろ若葉とともに、複総状花穂をなした暗紅色の小花を綴る。
◇生活する花たち「ラベンダーとチューリップ・ゆすら・花楓」(横浜日吉本町)

★キーを打つその間も蕗の香指にあり 正子
パソコンに向かいキーを打っていると、先程皮を剥いた蕗の香が指先に残り、その香りに安らぎを覚えます。仕事に家事に忙しい中にも充足感のあるひとときだと思います。(井上治代)
○今日の俳句
虎杖の節毎の紅際立てり/井上治代
虎杖の茎にある紅の班、そして節をくっきりとさせる紅。「紅際立てり」に、虎杖のみずみずしさ、野生の力が感じられる。(高橋正子)
○躑躅(つつじ)
★風塵や一枝あまさずつつじ咲く/中村汀女
満山のつぼみのままのつつじかな/阿波野青畝
ミツバツツジ:ミツバツツジ(三葉躑躅 Rhododendron dilatatum)はツツジ科ツツジ属の落葉低木。また、近縁のミツバツツジ類の総称でもある。 関東地方から近畿地方東部の太平洋側に分布し、主にやせた尾根や岩場、里山の雑木林などに生育する。他のミツバツツジ類の多くは雄しべが10本なのに対し、本種は5本であることが大きな特徴。古くから庭木としても植えられるが、盗掘の影響もあるせいか野生の個体数は決して多くない。ミツバツツジ類は、4-5月頃に咲く紅紫色の花が美しい。花が終わってから葉が出てくる。枝先に三枚の葉がつくことからこの名がついた。ミツバツツジの変種には、トサノミツバツツジ、ハヤトミツバツツジ、ヒダカミツバツツジなどがある。日本に自生するその他のミツバツツジ類には、トウゴクミツバツツジやサイコクミツバツツジ、コバノミツバツツジ、ダイセンミツバツツジ、ユキグニミツバツツジ、キヨスミミツバツツジなどがある。
◇生活する花たち「チューリップ・花にら・わすれな草」(横浜日吉本町)
