4月22日(月)

★春月の光りにも触る午前二時  正子
何かの所要で真夜中の午前二時に起きられたようですね?自身は真っ暗な闇と想っていたものの、戸外の夜空は春月が独り輝き、その様子に気づいて驚いた作者です。不意をつかれたような発見が、春月の明かりとはうれしい限りである。(桑本栄太郎)                    
○今日の俳句
風に舞い風を染め上げ花の塵/桑本栄太郎
散り敷いた桜の花びらが風に舞い上がるときは、「風を染め上げ」の言葉通り。花の塵さえも美しい。(高橋正子)

○あやめ

[あやめ/横浜日吉本町・西量寺(201年4月16日)]_[草莓の3花/横浜日吉本町・西光院(2012年5月6日)] 

★あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ/松尾芭蕉
★あやめ草足に結ばん草履の緒/松尾芭蕉
★鯉のぼり泳ぐよ下に花あやめ/高橋正子
★入学して校門内の花あやめ/高橋正子

アヤメ(菖蒲、文目、綾目、学名:Iris sanguinea)はアヤメ科アヤメ属の多年草である。アヤメは山野の草地に生える(特に湿地を好むことはない)。葉は直立し高さ40~60cm程度。5月ごろに径8cmほどの緑色の花を1-3個付ける。外花被片(前面に垂れ下がった花びら)には網目模様があるのが特徴で、本種の和名のもとになる。花茎は分岐しない。北海道から九州まで分布する。古くは「あやめ」の名はサトイモ科のショウブを指した語で、現在のアヤメは「はなあやめ」と呼ばれた。

○生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

4月22日(月)

●小口泰與
雨後の朝川辺明るき柳かな★★★
老松の空へ鬨声緑立つ★★★
つちふるや雨後の芝生の青々と★★★

●河野啓一
葉桜の葉の増え来たる並木道★★★★
「葉の増え来る」は、実際感じているところだが、言葉に表したのは手柄であろう。桜が散り、葉桜の影が次第に大きくなって初夏を向かえる。気持ちも前へと向く。(高橋正子)

咲きはじむ平戸つつじは校庭に★★★
雲二つ重なり浮かび春は行く★★★

●多田有花
光また差して翳りて若楓★★★
青空へすっくと立ちぬチューリップ★★★
鞄より首出す犬やチューリップ★★★

●桑本栄太郎
春風や足なが募金の高校生★★★
川床の春の落葉や高瀬川★★★
秘めごとの吾にありしや著莪の花★★★

●古田敬二
ほかほかと筍飯の塩加減★★★
夕暮れて山蔭白くしゃがの花★★★
分け入りて水湧く淵のサイタズマ★★★★

●下地鉄
百万の百合花に埋まる小島かな★★★
菜の花や一両電車音残し★★★
一碧の水平線の雨の中★★★★
煙る雨の中に、「一碧の水平線」が印象深く、象徴化された日本画の世界を感じる。(高橋正子)

●高橋秀之
立山に未だ残雪白き峰★★★
ホタルイカまず人数分を注文す★★★
チューリップ揺らして唸るディーゼル音★★★

4月21日(日)

●小口泰與
夕さりの雨を弾きし白蘇枋★★★
そよ風や雨後の水田の花筏★★★
山桜妙義の奇岩指呼の間に★★★

●河野啓一
ぎっしりと予定のありて花水木★★★
新緑の煌めき夜来の雨上がる★★★★
新緑がとくに美しく輝くのは朝の雨上がり。柔らかの緑の爽やかさが素晴らしい。(高橋正子)

水玉は葉桜の陰雨のあと★★★

●下地鉄
翡翠カズラ風を揺らして重く垂れ★★★
サーファーの前髪美しき飛沫かな★★★
サーファーは女性であろうか。前髪に飛沫がかかり、健康な笑顔が見える。健やかな若者像。(高橋正子)

岩影に咲いて涼しき雪の下★★★

●高橋秀之
残雪の頂上白く飛騨山脈★★★
線路沿い白く黄色く水仙咲く★★★
さるぼぼを照らす薄日は春の空★★★

●祝恵子
藤の花帰りにも寄る房の前★★★★
見事な藤の花房。一度見て去るには惜しく、帰りにもう一度眺める。花好きな者には、うれしく、豊かな花である。(高橋正子)

直立の時期すぎ撓むチューリップ★★★
土再生植え込む春の苗色いろ★★★

●多田有花
桜蘂降るや冷たき雨の中★★★
山若葉風に応えて沸き立ちぬ
泉州の山まで見えて若葉風★★★

●桑本栄太郎
すでに早や若葉寒むとはさりながら★★★
雨後と云う丈を競いぬ春筍★★★
掘る人に日差し届かず竹の秋★★★

4月21日(日)

★独活放つガラスボールが水の玉  正子
山野に自生する他、栽培もされる独活。日本原産の野菜として古くから利用され、春、地上に出る前の若い茎は柔らかく芳香があるので、生食・和え物などに利用される。その独活をガラスボールに入れるときらきらと輝き、まるで春の水玉のような春の輝きになる素晴らしい景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
花薺道は峠に続きけり/小口泰與
なずなの花の咲く道がずっと峠まで続いている。ただそれだけのことなのだが、なんと柔らかな気持ちになれることだろう。心情がいい。(高橋正子)

○いちはつ(一初、鳶尾、一八、逸初)

[いちはつ/横浜日吉本町(左:2013年4月18日)・右:2013年4月13日)]

★いちはつの一輪白し春の暮/正岡子規
★一八の屋根並びたる小村かな/正岡子規
★一八の家根をまはれば清水かな/夏目漱石
★いちはつや馬籠は旧き坂の宿/小松崎爽青
★いちはつの花も剣葉も海霧の中/句写美
★いちはつの花の豊かに学問す/高橋正子

 イチハツ(一初、学名:Iris tectorum )はアヤメ科アヤメ属の多年草。帰化植物。地下に黄色の根茎がある。葉は幅2.5-3.5cm、長さ30-60cmの剣形で中脈が隆起しなく、縁は全縁。花期は5月で、高さ30-50cmの花茎が立ち、分枝して2-3の花をつける。花は径10cmほどになり、藤紫色で、外花被片は倒卵形で先が丸く、内花被片は小型でともに平開する。外花被片に濃紫色の斑点が散らばり、基部から中央にかけて白色のとさか状の突起がある。
 中国原産の植物で、古く室町時代に渡来し、観賞用として栽培されてきた。昔は農家の茅葺屋根の棟の上に植える風習があったが、最近は少なくなった。逸出し野生化しているものもある。種小名の tectorum は、「屋根の」という意味。アヤメの類で一番先に咲くので、「一初(イチハツ)」の名がある。

◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

4月20日(土)

●藤田裕子
朝晴れし稜線宙に山霞む★★★
鍋に入れ緑うるわし生若布★★★
山風の街筋やさしつつじ咲く★★★

●小口泰與
爆ぜ菓子や蘇枋ふくらむ夕まぐれ★★★
青空へ鬨声あげし名の木の芽★★★
摘みてきて蕨三和土にひろげあり★★★★
三和土(たたき)に広げられた蕨にこの時期のほどよい「湿り」を感じる。三和土のある家の薄暗がり、蕨の色とその湿り具合は、日本の湿潤な古くからの暮らしの象徴のようだ。(高橋正子)

●河野啓一
春は行く川の流れのそのように★★★
朝の日に背中のぬくみ春惜しむ★★★
夏隣り艶めいて今樹々の色★★★

●桑本栄太郎
菜の花の天井川の黄明かりに★★★
白壁の土塀つらなり柿若葉★★★
暮れ残る夕日に高きすいばかな★★★
夕日が斜めから差して、すっくと伸びた、赤いすいばの花を染めている。すいばの花が郷愁を感じさせて、やさしく詠まれている。(高橋正子)

4月20日(土)

★学び舎にチャイムの鳴りてチューリップ  正子
とても長閑な光景を思い浮かべます。赤や黄や白などとりどりのチューリップが咲いています。学び舎にチャイムの音が鳴り、青空に響きます。チャイムの音色は、とても懐かしく思い出されます。春陽、春風、春色を感じ、明るい状景が広がります。 (藤田裕子)

○今日の俳句
しゃがみてはタンポポのわた吹きし児よ/藤田裕子
タンポポのわたを見つけては、駆け寄って吹いてみることを繰り返す幼子の仕草がかわいい。子どもながら、けっしてタンポポの茎を折り取らないところ。あるがままをそっと野におく心があることは、素晴らしい。(高橋正子)

○牡丹

[牡丹/横浜日吉本町・金蔵寺(2013年4月15日)]_[牡丹/鎌倉・鶴岡八幡宮(2012年4月28日)]

★牡丹散ってうちかさなりぬ二三片/与謝蕪村
★寝床から見ゆる小庭の牡丹かな/正岡子規
★風止んで牡丹のかたち整いぬ/高橋正子
★古き家に牡丹の咲いてぼたん色/高橋正子

ボタン(牡丹、学名:Paeonia suffruticosa)は、ボタン科ボタン属の落葉小低木。 または、ボタン属(Paeonia)の総称。 別名は「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」「花神」「花中の王」「百花の王」「天香国色」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」など多数。 以前はキンポウゲ科に分類されていたが、おしべ・花床の形状の違いからクロンキスト体系ではシャクヤクとともにビワモドキ目に編入され、独立のボタン科とされた。 (ウィキペディア)

▼鎌倉八幡宮の牡丹(2012年4月29日の日記より)
 鎌倉の鶴岡八幡宮へ、昨日、信之先生は、一人吟行に出かけ、境内のぼたん園で牡丹の写真を撮って帰った。自宅から百メートル程西の日吉本町駅で横浜市営地下鉄グリーンラインに乗る。そこから四つ目の駅、センター北でブルーラインに乗り換え、新横浜駅、横浜駅等を過ぎ、戸塚駅で下車。戸塚駅からは、JR横須賀線で三つ目の駅、鎌倉駅まで。鎌倉駅から八幡宮までは徒歩、二の鳥居から三の鳥居へと、そこそこの道程があるが人波の絶えることがない。
 鶴岡八幡宮(つるがおか はちまんぐう)は、神奈川県鎌倉市にある神社。武家源氏、鎌倉武士の守護神。鎌倉八幡宮とも呼ばれる。境内は国の史跡に指定されている。宇佐神宮、石清水八幡宮とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられることもある。参道は若宮大路と呼ばれる。由比ヶ浜から八幡宮まで鎌倉の中心をほぼ南北に貫いており、京の朱雀大路を模して源頼朝が自らも加わり築いた。二の鳥居からは段葛(だんかずら)と呼ばれる車道より一段高い歩道がある。そこを抜けると三の鳥居があり、境内へと到る。境内へと入れば、すぐ右に、神苑ぼたん庭園の入口がある。源平池の池畔に造られた回遊式庭園の、ぼたん園である。源平池のほとりに内外の牡丹の名花、約1千株を集める。源平池の旗上弁天社では、藤の花が見頃を迎え、見事な白藤の盛りであった。

◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

4月19日(金)

★濃きお茶に春の灯しを入れて飲む  正子
春めいた日に濃い目のお茶を楽しんでおられます。ご家族ご一緒の一時でしょうか、春の灯しと共に。あたたかい雰囲気を感じます。(祝恵子)

○今日の俳句
カットする鏡に淡きチューリップ/祝恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)

 
○西洋おだまき

[西洋おだまき//横浜日吉本町(左:2012年6月15日・右:2013年4月18日)]

★をだまきや乾きてしろき吉野紙/水原秋桜子
★をだまきやどの子も誰も子を負ひて/橋本多佳子
★をだまきの花に風吹く陵の道/石原八束
★おだまきの花の造形こまやかに/高橋正子
★玄関の水栓隠す花おだまき/高橋正子
★西洋おだまき深山おだまき植え揃え/高橋正子

 西洋おだまきは、キンポウゲ科オダマキ属の耐寒性宿根草。花期4月ー6月。現在の日本で西洋オダマキと呼ばれているものは、ヨーロッパ原産のアクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)と北米産の大輪の花を咲かせる数種との交配種をさすようになっています。オダマキの仲間はもともと雑種をつくりやすいこともあって、きわめて多数の園芸品種がありますが、多くの場合、国内では個々の品種名を明記せずに色別や混合種子の形で流通しています。いずれも丈夫な宿根草で、高さ30〜50cmになり、株の中心からまっすぐ伸びた茎に赤、黄、青紫、白、桃色などの4〜5cmの花を多数咲かせます。葉は根元にまとまってつきます。
 本来セイヨウオダマキの和名をもつアクイレギア・ブルガリスの変種に八重咲きのフローレ・プレノ(A. vulgaris var. flore-pleno)があり、変種のステラータ(A. vulgaris var. stellata)は同じ八重咲きでも、距(花の後ろに突き出した部分)のないタイプで八重咲きのクレマチスのような形の花を咲かせます。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月19日(金)

●藤田洋子
陽を返す色一面の山躑躅★★★
山の日がまぶし躑躅の葉に花に★★★
展望台の陽射し広げて躑躅咲く★★★
展望台からの眺めに解放感があって、躑躅の花が輝き、初夏という季節の強さを思う。(高橋正子)

●小口泰與
もみじ咲く見上ぐる空は万華鏡★★★
チューリップ名残の花を挿しにけり★★★
老木のこぶに咲きたる桜かな★★★

●河野啓一
藤棚の房まだ上に向き★★★
気がつけば豊かにたれし藤の花★★★
そよ風の藤棚いつしか人去りて★★★

●迫田和代
何処(いずこ)より川面に揺れる花筏★★★
静かなり川土手の桜も葉桜に★★★★
満開の桜もよいが、花が散り、花蕊が降ってしまった後の葉桜には、安堵感や安らぎがある。川土手の葉桜の静けさにいい日常がある。(高橋正子)

青い空梨園に溢れる白い花 ★★★

●多田有花
うららかや小さき石橋を渡る★★★
春昼の池の蛙が鳴いており★★★
丘は晴れ霞桜のぽつぽつと★★★

●佃 康水
燕飛ぶ朱の廻廊へ婚の列★★★★
廻廊の朱と、燕に黒の強いコントラストが印象に残る。その華やかさと厳かさに婚儀の列が加わって、華やかさと厳かさが一層増した。(高橋正子)

能果てし帰船の入日よなぐもり★★★
少年ら雁木へ荷を置き磯遊び★★★

●桑本栄太郎
菜園の生垣めぐる新芽かな★★★
サンシェード下ろす車窓の春暑し★★★
秘めごとの吾にありしや著莪の花★★★

4月18日(木)

●小口泰與
夕映えを清流に乗せ花筏★★★
見下ろすや池をおおいし花の雲★★★
雄雉の忽と咫尺を飛びにけり★★★

●古田敬二
陽が落ちる芽吹きの梢に陽を残し★★★★
芽吹きの梢に夕陽が最後まで残って静かなかがやきとなっている。芽吹きの梢の細やかさが一日の最後まで美しい。(高橋正子)
葉桜となりて森の落ち着きぬ★★★
カラタチの花咲くその奥夕暮れて★★★

●河野啓一
夏近しシャツ一枚でペダル漕ぐ★★★
春は行く野山を青く染めあげて★★★
わらび餅購い帰る鄙の里★★★

●多田有花
野のみどり山のみどりや春暑し★★★
山吹も揺れることなし山の午後★★★
ゆっくりと躑躅咲く坂母とゆく★★★

●桑本栄太郎
用水の花菜明かりの中洲かな★★★
医科大の樟の大樹や新芽立つ★★★
花水木こころの痛むことばかり★★★

●黒谷光子
長閑さに訪ねる江戸の長屋門★★★
名園を巡り椿の八重一重★★★
乗り降りに傾く春の屋形船★★★
屋形舟は、花見の舟か。また新緑を楽しみながら下る川下りの舟か。乗り降りに傾いて危ういが、それも屋形舟の興趣。(高橋正子)

●小西 宏
鶯の鍵盤右へふと左へ★★★
空襲に斃れし人の竹の秋★★★
タンポポの綿毛競える夕明かり★★★

●佃 康水
 宮島桃花祭御神能祭
太郎冠者のらりくらりに山笑う★★★
春風を袖に孕みて能舞えり★★★★
厳島神社の能舞台は特別なもの。海を渡ってきた春風が能舞台を吹く。能衣装の袖に孕む風が風雅に動きのある新鮮さを呼んでいる。(高橋正子)

能笛の漏るる参道緑立つ★★★

4月18日(木)

★春ほのぼの棚にあげたる書の紙も  正子
晩春ともなれば山笑い野の花も咲き始めて大気に陽気がみなぎってまいります。日頃の暮らしの中にも次第にほのぼのと心の暖かさを感じます。棚にあげている書の紙にも春ほのぼのを感じられた作者は俳句を詠むことと同じ様に書も大切にしていらっしゃる気持ちが良く伝わってまいります。 (佃 康水)

○今日の俳句
春筍の先のみどりや土を割り/佃 康水
一見瑣末なことを述べているようであるが、そうではない。桜が咲き、散るか散らないうちに、竹やぶに筍の切っ先のみどりが土を割る。その「みどりの尖り」の強さ、みずみずしさが新鮮だ。(高橋正子)

○苧環(おだまき)

[おだまき/横浜日吉本町] 

★おだまきや旅愁はや湧く旅のまへ/水原秋桜子

 オダマキ属(オダマキぞく)は、キンポウゲ科の属の一つ。ラテン名のアキレギアやアクイレギア(Aquilegia)ということもある。本属の植物の総称がオダマキ(苧環)である。苧環は元来は機織りの際に麻糸をまいたもののことで、花の形からの連想である。日本、アジア、ヨーロッパに約70種くらい自生し、日本のものは山野草として愛好される一方、外国産のものには品種改良が行われ、園芸植物として広く市場に出回っているものがある。日本にはヤマオダマキ、ミヤマオダマキの2種が山地から高山にかけて分布する。ミヤマオダマキはむしろ山野草として栽培される。
 花の外側の花弁のようなものは、じつは花弁ではなく萼である。花弁はその内側にあって、ややまとまって筒状になる。花弁の基部からは角状の距が伸び、萼の間から突き出る。根出葉は普通2回三出複葉で細かく分かれ、先端には丸っこい小葉がつく。茎が高く伸びるものでは、やや小型の茎葉が出る。全草が有毒。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)