6月5日(水)

●小口泰與
花茄子や水やる農婦太き指★★★
麦秋や戦後の御代のコッペパン★★★
湖風に苗代寒の朝かな★★★

●桑本栄太郎
梅雨空の降るとも云えぬ曇りかな★★★
曇りても日差し明るき五月空★★★
芒種はや風に湿りのふふみけり★★★

●多田有花
直立に濃く咲き登り立葵★★★★
立葵の花は、ピンク、白、赤色など様々ある。この句の立葵は、濃い色のもの。可憐な花の姿をしながら、「直立に」「濃く」咲いて、生命力のある花だ。(高橋正子)

緑陰の日差しを踏んで歩きけり★★★
新馬鈴薯のころころ小さきをもらう★★★

●河野啓一
焼き穴子煙たなびく魚の棚★★★
うすみどり昨日植えらる植田らし★★★
いとけなき細苗並ぶ植田かな★★★

●古田敬二
寝転べば足裏に明るき五月の陽★★★
紫に光る初茄子二つ採る★★★
芋の苗等間隔に寝かせ植え★★★

●祝恵子
鴨のいて花菖蒲池は賑わいを★★★
菖蒲園奥には小舟浮かばせて★★★
揚羽蝶吸い込まれそうに花の奥★★★

6月5日(水)

★緑陰に水湧きこぼる音尽きず   正子

○今日の俳句
青芒ひかり合いつつ野を充たす/小川和子
野一面の青芒を「ひかり合いつつ」「野を充たす」と、動きをもって、いきいきと詠んだ。積極的な視線がいい。(高橋正子)

○昼咲月見草

[昼咲月見草/横浜日吉本町]

★眠られず眠たし昼咲き月見草/佳世子★

ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草、学名:Oenothera speciosa)は、アカバナ科マツヨイグサ属の多年生植物。観賞用として栽培されている。草丈は30-60cmくらい。葉は披針形で互生する。5-7月頃に、4-5cmくらいの大きさの、白または薄いピンク色の花を付ける。花弁の数は4枚で、8本の雄蕊と、先端が十字型をした雌蕊がある。北米原産の帰化植物であり、観賞用として輸入・栽培されていたものが野生化している。名称の由来は、宵に咲くツキミソウと違って、昼間にも開花していることによる。

◇生活する花たち「花菖蒲・立葵・錦糸梅」(横浜・四季の森公園)

6月4日(火)

●小口泰與
【原句】香水の香を残しけり昇降機★★★
【正子添削】香水の香の残りたる昇降機
アカシヤの花や牧場の牛の声★★★
水打ちて飛び石の熱冷ましけり★★★

●佃 康水
青枇杷の産毛山雨を弾きけり★★★★
青枇杷の産毛が弾くのが「山雨」であるのがよい。野性味をおびた青枇杷が生き生きとしている。(高橋正子)

葉裏まで濃き赤紫蘇や雨に伸ぶ★★★ 
植田からちろちろ溢る余り水★★★

●桑本栄太郎
京都へと向かう車窓や青葉山★★★
バス停の待つ間も風に金糸梅★★★
御田植えの赤き裳裾の神事かな★★★

●河野啓一
花の名を問われ見上げし泰山木★★★
ミシシッピー流るや花は泰山木★★★
雲海のかなたに広き奥丹波★★★

6月4日(火)

★石楠花のうすくれないも昼下がり  正子

○今日の俳句
新緑の重なる先に飛行雲/高橋秀之
新緑のつややかな緑と、空に真っ白に描かれた飛行機雲の色彩的な対比がみずみずしい。(高橋正子)

○紫陽花

[紫陽花/横浜日吉本町]_小紫陽花(コアジサイ)/東京白金台・自然教育園]

★紫陽花や藪を小庭の別座敷/松尾芭蕉
★紫陽花の末一色となりにけり/小林一茶
★紫陽花の花に日を経る湯治かな/高浜虚子
★紫陽花や水辺の夕餉早きかな/水原秋櫻子
★紫陽花や白よりいでし浅みどり/渡辺水巴
★紫陽花の醸せる暗さよりの雨/桂信子
★大輪の紫陽花に葉の大きさよ/稲畑汀子
★里山の結界なせる濃紫陽花/宮津昭彦
★あじさゐや生き残るもの喪に服し/鈴木真砂女
★誓子旧居紺あぢさゐに迎へられ/品川鈴子
★紫陽花の花あるうちを刈られけり/島谷征良
★あぢさゐに触れて鋏のくもりけり/高田正子

紫陽花(アジサイ、学名: Hydrangea、アジサイ科アジサイ属の植物の総称である。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。また、英語では「ハイドレインジア」と呼ぶ。開花時期は、 6月から7月15日頃。ちょうど梅雨時期と重なる。日本原産。色がついているのは「萼(がく)」で、花はその中の小さな点のような部分。しかしやはり萼が目立つ。紫、ピンク、青、白などいろいろあり。花の色は土が酸性かアルカリ性かによっても。また、花の色は、土によるのではなく遺伝的に決まっている、という説もある。

★妻の浴衣あじさい白く染め抜かれ/高橋信之
★あじさいに七曜またも巡りくる/高橋正子

◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)

●一般・新会員①●

●増田泰造
泰山木の花咲きましたと写真載る★★★★
事実の報告だが、他人の喜びをさらりと共有して句にしたところが良い。(高橋正子)

草笛を夕日に向いて子らは吹く★★★★
「草笛」「夕日」「子ら」といった素材がいい。「夕日に向いて」には、懐かしさがある。(高橋正子)

麦秋の美瑛の丘に夕日落つ★★★
いつしかに児は眠りおり風車★★★
地下を出る人に炎天まとひつく★★★
最上川母も摘みしか紅の花★★★
さくらんぼ山形訛りの電話聞く★★★

●藤井 擴
雷や地震原発長寿命★★★
五月雨や川の始めの丸木橋★★★
マンションの網戸いつも柵の内★★★
これらの3句は、川柳に近い句ですね。俳句では、自然を見る。自然を読む。自然に親しむ。そして、自分の内面に帰る。(高橋信之)

●藤井 擴
道でない渓谷くだれば梅雨に入る★★★
渓谷の道のないところは、青葉が茂り、下草などにも露が置いている。いかにも梅雨に入ったようだ。(高橋正子)

癌検診結果出る日の梅雨寒し★★★
犬だけが元気に鳴きて梅雨に入る★★★

●神山大河
気象士の開花を告げる声清ら★★★★
「声清ら」が、桜の花のイメージをよく伝えている。桜の開花にふさわしい、清らかな声であると感じた感覚がよい。(高橋正子)

[以上90名]どかっと立つや卒業生★★★★
卒業生の名前が一人ずつ呼ばれる。全員で90名。一学級ではなく、一学年であろう。いっせいに90名が起立する「どっか」という重量感。一人一人の重み。その瞬間じんと胸に来るものがある。(高橋正子)

名残り雪沢庵ぴりり沁みるかな★★★
名残り雪のころ、保存食として漬けた沢庵も時期的には終わり。名残雪の寒さも手伝って、辛めの沢庵か、「ぴりり」と沁みるに哀感がある。(高橋正子)

●増田泰造
白妙の雪に晴着や成人式★★★
雪に成人式の晴れやかな晴着が映えて、初々しくとても美しい。(高橋正子)

●大西義久
花弁からこぼれる春や天満宮(原句)
梅の花散ってこぼれし天満宮★★★(正子添削)
天満宮なら花は梅。梅の花弁がこぼれて、今や春。こぼれる梅の花弁に春を感じた。(高橋正子)

山燃ゆる古都の寒明け冬花火(原句)
冬花火山に揚げたり古都寒明け★★★(正子添削)

山茶花の衣めくりし春の風(原句)
山茶花の花びら吹ける春の風★★★(正子添削)

6月3日(月)

●小口泰與
伽羅蕗や子供ら帰省する事稀に★★★★
子供たちもそれぞれ家庭をもって、日常に忙しく、帰省も稀になった。みんなで囲む色どり豊かな食卓から、夫婦二人の食卓に。質素で、味わい深い伽羅蕗がそんなことを思わせる。(高橋正子)

蜜豆や湖畔に集うオープンカー★★★
山道や汗湧き出でて滝の如★★★

●河野啓一
せせらぎを渡り乱舞す蛍の火★★★
六甲の山並み青し梅雨晴れ間★★★
風そよぐ窓辺に置かれアマリリス★★★

●多田有花
紋黄揚羽梅雨の光をまとい飛ぶ★★★
不如帰高らかに鳴き森静か★★★
ビル街に流れる雲や明易し★★★

●桑本栄太郎
曲がり来る影や植田のモノレール★★★★
モノレールが植田の上を走っている。カーブするところは、モノレールの影が映りやすい。颯爽と走るモノレールと、植田とが好対照ながら、まとまった風景となっている。(高橋正子)

梅雨晴れの風に明るき湿りかな★★★
彼の人の逝きて七年枇杷熟るる★★★

6月3日(月)

★明易し畳に二つ旅かばん  正子

○今日の俳句
噴水のしぶき花にも吾らにも/祝恵子
噴水のしぶきが辺りに散るほど吹き上がり、そばに花が咲き、吾らがいる。楽しげで、涼しげな光景に気持ちが和む。(高橋正子)

○立葵

[立葵/横浜日吉本町]_[銭葵/横浜日吉本町]

★日の道や葵傾くさ月あめ 芭蕉
★鶏の塀にのぼりし葵哉 子規
★鴨の子を盥(たらい)に飼ふや銭葵 子規
★ひとり咲いて朝日に匂ふ葵哉 漱石
★鵜の宿の庭ひろびろと葵かな 虚子
★白葵大雨に咲きそめにけり 普羅
★花葵貧しくすみて青簾吊る 蛇笏
★立葵咲き上りたる櫺子かな 風生
★つき上げし日覆の下や鉢葵 みどり女
★蝶低し葵の花の低ければ 風生
★またけふも隣は留守や立葵 万太郎
★うらかなし葵が天へ咲きのぼる 鷹女
★葵とその周りの空間葵が占む 耕衣
★三方に蝶のわかれし立葵 汀女
★立葵夜を紅白に町に坂 汀女
★立葵憚るのみに人の門 汀女
★花葵仔犬の小屋をここに置く 立子
★花あふい子を負へる子はみな男 立子

★立葵空へ空へと咲きのぼる/高橋信之
★丘に咲き風吹く中の立葵/高橋信之

 立葵は、フリルのような花が女の子向きかもしれない。梅雨のころから咲き始め、真夏の青空は背に咲き上る。一番好きな立葵の景色は、ぽっかりと白い雲を浮かべた青空に立ち上って咲いているところだ。踏切が開くのを待っている間、いつこぼれた種から育ったのか、咲いているのを眺めることがある。かんかんかんかんとなる踏切の音と、やわらかな立葵の花は、昭和時代への郷愁を誘う。
 ゼニアオイというのがある。立葵に比べると、地味だが、眺めていると歴史をさかのぼっているような味わいがある。こう、言ってもよくわからないだろうが、京都の簾、江戸風鈴、枕草子など、取り留めもなく思いが湧いてくる。庭や畑の隅に、咲くのが当たり前のように、夏になると咲いた花だ。

 アオイ科(Malvaceae)は双子葉植物の科のひとつで、従来の分類では約75属、1500種からなる。美しい花をつけるものが多く、観賞用のハイビスカス、ムクゲ、フヨウ、タチアオイなどのほか、食用のオクラ、またワタやケナフなど繊維として利用されるものもある。草本または木本。花は両性花で、5枚の花弁と雄蕊が基部で合生し、雄蕊どうし合着して筒状になる。熱帯地方に多く、日本の本土に本来自生するものは数種(三浦半島以南の海岸に生えるハマボウのほか、南西諸島にさらに数種)で、そのほか帰化植物が数種ある。アオイ(葵)という名は、元はフユアオイなどを指し、「仰(あおぐ)日(ひ)」の意味で、葉に向日性があるためという。家紋に使われる葵(徳川家の「三つ葉葵」、下鴨神社の「双葉葵」など)は別科であるウマノスズクサ科のフタバアオイの葉をデザインしたものである。
 立葵(タチアオイ、学名:Althaea rosea、シノニム:Alcea rosea)は、アオイ科の多年草。以前、中国原産と考えられていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との雑種(Althaea setosa ×Althaea pallida)とする説が有力である。日本には、古くから薬用として渡来したといわれている。花がきれいなので、園芸用に様々な品種改良がなされた。草丈は1~3mで茎は直立する。 花期は、6~8月。花は一重や八重のもあり、色は赤、ピンク、白、紫、黄色など多彩である。花の直径は品種によるが大きなものでは10cmくらいである。本来は宿根性の多年草であるが、品種によっては一年草でもある。
 ゼニアオイは地中海沿岸原産の帰化植物。河川敷や線路脇の空き地、高架橋の下などの荒地に生育する強健な越年性の2年生草本。劣悪な環境にも生育ができるのは地中海気候にも適応した種であることも関係あろう。草丈は1.5mほどになり、株元から分かれて直立する。葉は円形から浅く5裂あるいは7裂する。花は6月から10月にかけて次々と咲き、直径3cmほど。花弁は淡紫紅色で濃色の筋がある。基本種のウスベニアオイは茎に開出毛がある点と葉が中~深裂する点が異なる。

◇生活する花たち「紫陽花」(北鎌倉・東慶寺)

6月2日(日)

●小口泰與
洗い鯉日は浅間へと急ぎけり★★★
ひやひやの秩父の在の夏氷★★★
賜わりし天然氷滝しぶき★★★

●祝恵子
植田には田水深ぶか満たされて★★★★
「田水深ぶか」がいい。豊かな水が涼しそうであるし、満ちている安心感がある。(高橋正子)

夏野菜支柱に雨滴ずうらりと★★★
金糸梅通れば増える金の花★★★

●桑本栄太郎
水弾き朝の日差しに瓜の苗★★★
片側の車線工事や夏の昼★★★
梅雨晴の雉鳩遠くに聞こえけり★★★

●多田有花
姫女苑抱かれ電車に手を振る子★★★★
姫女苑の優しさと、抱かれた幼い子のやわらかい可愛さが、童画的に詠まれている。(高橋正子)

青羊歯の盛んなるかな谷を埋め★★★
不如帰きのうも今日も曇り空★★★

●佃 康水
グミの実の小枝や棘の鋭かり★★★
明日田植え庭にエンジン試さるる★★★
田植機の上がり手直す老婆かな★★★

●小西 宏
梅雨晴や朝鳥騒ぐ屋根の光★★★
水遣りの路地に紫陽花色広ぐ★★★★
崖下に山紫陽花の青灯る★★★

●河野啓一
星の色灯し蛍の舞う夕べ★★★
梅雨晴れ間鋏ひびかせ植木屋さん★★★★
野萱草咲くや隣家の百合の花★★★

6月2日(日)

★夜空あり虚々実々の心太  正子
ぷるんとした半透明のところてんを見つめて作者は夜空を想起されたのでしょうしょうか。黒いお椀なのか、ところてんに掛けた黒い蜜なのか、そしてまた黄色のからしが夜空の星或いは夏の月として見立てて居られるのか?と、想像が拡がります。ところてんは海藻を煮詰め固めたものを突き出して素材を活かしたもの。将に虚々実々のところてんです。読み手の方でどの様にでも想像出来て意表を突いた楽しいポエムを感じます。改めてところてんに明るい夜空を想像いたしました。(佃 康水)

○今日の俳句
草叢の木苺朝の陽を返す/佃 康水
草叢の木に小さな実をつける木苺。つぶつぶの実が朝日をはね返すと、宝石のように輝く。小さく、フレッシュなものの可愛いさ。(高橋正子)

○枇杷

[枇杷の実/横浜日吉本町]

★高僧も爺でおはしぬ枇杷を食す 虚子
★青峡の中に一樹の枇杷の鈴 風生
★飼猿を熱愛す枇杷のあるじかな 蛇笏
★枇杷の実の上白みして熟れにけり 石鼎
★降り歇まぬ雨雲低し枇杷熟れる 久女
★枇杷を吸ふをとめまぶしき顔をする 多佳子
★枇杷買ひて夜の深さに枇杷匂ふ 汀女
★枇杷の種赤く吐き出す基地の階 不死男

 枇杷(ビワ、学名: Eriobotrya japonica)は、バラ科の常緑高木およびその果実。中国南西部原産。英語の「loquat」は広東語「蘆橘」(ロウクワッ)に由来する。日本には古代に持ち込まれたと考えられている。またインドなどにも広がり、ビワを用いた様々な療法が生まれた。中国系移民がハワイに持ち込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まった。トルコ、レバノン、ギリシャ、イタリア南部、スペイン、フランス南部、アフリカ北部などでも栽培される。葉は互生し、葉柄は短い。葉の形は20cm前後の長楕円形で厚くて堅く、表面が葉脈ごとに波打つ。縁には波状の鋸歯がある。花期は11~2月、白い地味な花をつける。花弁は5枚。葯には毛が密に生えている。自家受粉が可能で、初夏に卵形をした黄橙色の実をつける。果実は花たくが肥厚した偽果で、全体が薄い産毛に覆われている。長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多いものの若干の耐寒性を持ち、寒冷地でも冬期の最低気温-10℃程度であれば生育・結実可能である。露地成熟は5月~6月。

 枇杷の実で思い出すことはいろいろある。昔は田舎には、どの家にもというほどではなかったにしろあちこちに枇杷の木があった。雨がちな季節に灯をともすような明るさを添えていた。晩秋、枇杷の花が匂い、小さな青い実をいつの間にかつけて、この実が熟れるのを待っていた。枇杷が熟れると籠いっぱい葉ごともぎ取っていた。おやつのない時代、子どもは枇杷が大好きで沢山食べたがったが、大人から制裁がかかった。衛生のよくない時代、赤痢や疫痢を恐れてのことであった。サザエさんの漫画にもそんな話がある。枇杷を買ってきて、子どもに内緒で夜、大人だけこっそり食べる話。ところが寝ぼけた子どもが起きてきて、急いで食卓の下に枇杷を隠したものの、結んだ口から枇杷の種がポロリとこぼれ、露見するという話。
もうひとつ、童謡に「枇杷の実が熟れるよ、ねんねこ、ねんねこ、ねんねこよ」「枇杷の木がゆれるよ、ねんねこ、ねんねこ、ねんねこよ」という歌詞があった。灯ともすような枇杷の実の色は、幼子をやすらかな眠りに誘うような色だ。
今は、茂木枇杷など、立派で高価な枇杷が果物屋に宝物のように箱に詰められて並んでいる。

★枇杷の実の熟れいろ雨に滲みたり/高橋正子

◇生活する花たち「紫陽花・カルミア・卯の花」(横浜日吉本町)