2月19日(水)

★ヒヤシンスの香り水より立つごとし/高橋正子
水栽培で育つヒヤシンス。直立する花茎に、無数に開く可憐な小花のみずみずしさを思います。春を呼び覚ますような爽やかな芳しさのヒヤシンスです。(藤田洋子)

○今日の俳句
春光につつまれし身のときめきよ/藤田洋子
この句を読むと、もの静かで明るい若い母親の姿が浮かぶ。うす紫の丸いヨークのセーターが、春光の中で、肩までの黒髪に映えていた。(高橋正子)

○孫橋元希一歳の誕生日
元希は2013年2月19日生まれ。

○猫柳

[猫柳/東大・小石川植物園(2013年2月14日]_[猫柳/横浜・四季の森公園(2012年3月22日)]

★ぎんねずに朱ケのさばしるねこやなぎ/飯田蛇笏
★ひもすがら日は枯草に猫柳/松村蒼石
★猫柳奈良も果てなる築地越し/加藤楸邨
★猫柳高嶺は雪をあらたにす/山口誓子
★そばへ寄れば急に大きく猫柳/加倉井秋を
★ときをりの水のささやき猫柳/中村汀女
★二月はや天に影してねこやなぎ/百合山羽公
★猫柳四五歩離れて暮れてをり/高野素十
★猫柳大利根ゆるぎなく流れ/渡辺潔
★猫柳今日水音の高きこと/稲畑汀子
★谿風の鳴る日鳴らぬ日猫柳/山田弘子
★猫柳水を鏡に呆け初む/皆川盤水
★子を肩に猫柳しかない空ぞ/加藤かな文
★水音は川幅を出ず猫柳/鷹羽狩行

★猫柳さざ波向こうから寄せて/高橋正子

ネコヤナギ(猫柳、学名:Salix gracilistyla)は、ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木。山間部の渓流から町中の小川まで、広く川辺に自生する、ヤナギの1種である。北海道〜九州までの河川の水辺で見られ、早春に川辺で穂の出る姿は美しいものである。他のヤナギ類の開花よりも一足早く花を咲かせることから、春の訪れを告げる植物とみなされる。他のヤナギ類よりも水際に生育し、株元は水に浸かるところに育つ。根本からも枝を出し、水に浸ったところからは根を下ろして株が増える。葉は細い楕円形でつやがない。初夏には綿毛につつまれた種子を飛ばす。花期は3〜4月。雌雄異株で、雄株と雌株がそれぞれ雄花と雌花を咲かす。高さは3mほど。銀白色の毛で目立つ花穂が特徴的であり、「ネコヤナギ」の和名はこれをネコの尾に見立てたことによる。花穂は生け花にもよく用いられる。ネコヤナギの樹液はカブトムシやクワガタムシ、カナブン、スズメバチの好物である。

◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

2月18日(火)

★青空の果てしなきこと二月なる   正子
二月の空はどこまでも青く、高く広がっています。地上では野の花が咲き、天道虫が草の上を這っています。これから、少しずつ暖かくなり、命あふれる季節がやってきます。二月の空の様子を見事な一句にされていて感心しました。(井上治代)

○今日の俳句
川岸の菜の花明かり水明かり/井上治代
川岸をこぼれそうな菜の花。川の水の明かり。どちらもがほのかに、あかるい「明かり」となって、対象を見る作者の心を満たしている。溶け合うような「明かり」の世界が美しい。(高橋正子)

○菊咲き一華(キクザキイチゲ)

[菊咲き一華/横浜・四季の森公園]

★うちとけて一輪草の中にゐる/古館曹人
★一輪草強気な色を投げらるゝ/鈴木早春
★山の日は一輪草に届かざる/田中かつ子
★一華咲く春の確かな陽の中へ/高橋信之
★うす青き沼の光りに一華咲く/高橋正子

 キクザキイチゲ(菊咲一華、学名:Anemone pseudoaltaica)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)とも呼ばれる。本州近畿地方以北~北海道に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。高さ10~30cm。花期は3~5月で、白色~紫色の花を一輪つける。キクに似た花を一輪つけることからこの名がついた。春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種。山梨県など複数の都道府県で、レッドリストの絶滅危惧種(絶滅危惧I類)や絶滅危惧II類などに指定されている。近縁種は、アズマイチゲ(東一華、学名:Anemone raddeana)、ユキワリイチゲ(雪割一華、学名:Anemone keiskeana)。
 イチリンソウ属(イチリンソウぞく、学名:Anemone )は、キンポウゲ科の属の一つ。日本の種にシュウメイギク(帰化)、ユキワリイチゲ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウ等がある。

◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・ハヤザキマンサク」(東大・小石川植物園)

2月18日-19日

2月19日

●小口泰與
木の芽和水嵩増えし里の川★★★
円かなる梢の雨粒春の昼★★★★
かんかんと竹林鳴るや春暖炉★★★

●桑本栄太郎
枝先の艶の伸びいる雨水かな★★★
まんさくの瀬音聞きつつ下りけり★★★★
段堰の飛沫(しぶき)きらめき風光る★★★

●多田有花
曇り空風の音して雨水かな★★★
新幹線春北風の中を滑り行く★★★
二輪目の紅梅開くを見つけたり★★★

●河野啓一
雪深き信太の森の白狐かな★★★
うす雪の解けて五弁の梅の花★★★
枯れ木にも潤いあらむ雪解けて★★★

●古田敬二
花を愛ず人は優しき椿咲く★★★
樹によれば確かな春の温みあり★★★
命あれば温きものよと樹に触れる★★★★

2月18日

●小口泰與
梅ふふむ靄に沈みし赤城山★★★

ほつほつと梅のふふむや水ゆたか★★★★
雪解け水や雨で水嵩の増えた川。ちょうどその季節梅の蕾がほころび始める。「水ゆたか」に季節をよく詠わせている。(高橋正子)

春雪の止みて榛名の隠れなし★★★

●多田有花
春きざす地蔵にさらのよだれ掛け★★★★
梅林に紅梅一輪開き初む★★★
梅林の斑雪を鳥の飛び立ちぬ★★★

●桑本栄太郎
伊丹へと降りる機影や春きざす★★★
春泥の日蔭の水の光りけり★★★

梅が香の角を曲がれば教会へ★★★★
梅の香りと教会の取り合わせに意外性がある。しかし、その取り合わせは、まったく離れたものの取り合わせではなく、「清らか」という点でつながり、詩情を生んでいる。(高橋正子)

●古田敬二
精一杯開いて陽を受けいぬふぐり★★★
陽だまりに寄りあい開くいぬふぐり★★★
いぬふぐり地を行く風に震えけり★★★

●河野啓一
病院の門や重ねて雪積る★★★
ふんわりと雪かぶせらる伊吹かな★★★★
冴え返る花一つのみ残りいて★★★

2月17日(月)

 東海道53次川崎宿
★下萌えの六郷川の水青し   正子
冬枯れの地面のそこかしこから、野にも川辺にも萌え出た草を見出す事が出来、春らしい景色の中六郷川の川の水も春の青空を映してゆったりと流れている素晴らしい景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
蕗の芽や利根の支流に毛鉤打つ/小口泰與
蕗の芽が出はじめ、利根川の支流の愛着の川だろうが、春を待ちかねて毛鉤を打った。川の水にも蕗の芽にもある早春の息吹が何よりも嬉しい。(高橋正子)

○雪割一華(ユキワリイチゲ)

[ユキワリイチゲの花/東京白金台・自然教育園]

★雪割一華へ浅春の陽が燦々と/高橋信之
★一華咲く春の確かな陽の中へ/高橋信之

四季の森公園で初めて「キクザキイチゲ」を見た。去年3月22日のこと。「イチゲ」とは、どんな字を書くのだろうと名札のカタカナを見ながら思った。「一華」である。一茎に一つ花を咲かせる。
先日2月14日に小石川植物園に行った。園内を巡り、売店で柚子茶を飲んでもう帰ろうかと思ったところ植物園で作業をしている男性に出会って立ち話を少々した。一旦別れ、歩いているとまた出会って「下にユキワリイチゲの蕾がちょうど出たところだよ。神社の下の小さい池がある辺り。」と東北訛りで教えてくれた。神社は太郎神社、小さな沼池は榛の木が生えているところと見当がついた。危うく見逃すところだったが、言われた所に行くと、榛の木の生えている少し上に名札が立ててあるのに気付いた。近づくと、紫がかった三つ葉の葉に似た叢に小さな白い蕾が見える。名札がなければ、発見は難しいところだった。一輪だけが咲きかけていた。白い小さな蕾が葉に浮くように、どれも向こうを向くか横向きであった。沼に足を滑らせないように気をつけて、写真を撮った。

★うす青き沼の光りに一華咲く/高橋正子
★榛の木の根方一華の蕾みたり/高橋正子

雪割一華(ユキワリイチゲ、学名:Anemone keiskeana)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の滋賀県から九州にかけて分布し、林の中や渓流沿いなどに生える。「雪割」は早春植物を意味し、「一華」は一茎に一輪の花を咲かせるという意味である。草丈は20から30センチくらいである。根際から生える葉は3小葉からなる。小葉は三角状の卵形でミツバの葉に似ていて、裏面は紫色を帯びる。茎につく葉は茎先に3枚が輪のようになって生える(輪生)。開花時期は3月から4月である。花の色は白く、淡い紫色を帯びている。花びらは8枚から12枚くらいである。ただし、花弁のように見えるのは萼片である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。花言葉は「幸せになる」である。属名の Anemone はギリシャ語の「anemos(風)」からきている。種小名の keiskeana は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんの」という意味である。圭介はオランダ商館のシーボルトのもとで植物学を学んだ。(花図鑑、©龍&華凛)

◇生活する花たち「満作・椿・蝋梅」(神奈川・大船植物園)

2月16日(日)

★向こうからさざ波寄する猫柳   正子
ゆったりとさざ波が寄せてくる河畔に、ふくらみはじめた銀色の猫柳を思いうかべました。懐かしい感じのする早春の景です。(小川和子)

○今日の俳句
二月の陽を反射させつつバス来たる/小川和子
バスを待っていると、向こうから陽を反射させながらバスがやって来た。光は、早くも明るい二月の光。二月の光を連れて来たバスである。(高橋正子)

○雪割草

[雪割草/横浜・四季の森公園(左:2013年2月10日/右:2012年3月22日)]

★雪割草雲千切れとぶ国上山/朝妻 力
★雪割草佐渡がもつとも純なとき/中嶋秀子
★雪割草垂水の滝は巌つたふ/山口草堂
★雪割草風透き通るこの辺り/高澤良一
★日に飢ゑし雪割草と灯をわかち/軽部烏頭子
★森の空高し雪割草に吾に/高橋信之
★雪割草の色いろいろに咲く日向/高橋正子

○国営越後丘陵公園(新潟県長岡市)の雪割草まつり
○2013年3月16日(土)から4月7日(日)開催
○主なイベント:展示会講演会花苗・資材販売
平成20年3月1日に「新潟県の草花」に指定された雪割草。長い冬を耐えて可憐な花をつける雪割草の魅力を屋内展示や群生地にてご鑑賞いただけます。4月上旬には約9万株の雪割草の群生地が見頃を迎えます。「新潟県の草花」雪割草。
「雪割草」は、キンポウゲ科ミスミソウ属( Hepatica )の園芸名で、北半球に9種類の分布が知られています。日本にはその中の1種類( H.nobilis )から分かれたミスミソウ・スハマソウ・オオミスミソウ・ケスハマソウが自生しています。これら雪割草の中で最も注目される「オオミスミソウ」。自生地は新潟県を中心とする日本海側にあります。このオオミスミソウは、雪割草の中でも最も変異の幅が広く、さまざまな色や形が楽しめ、しかも性質が丈夫であるため交配に熱中する愛好家も増えています。また、個体もさることながら色とりどりの群生の素晴らしさも言い尽くせません。早春、木立の中で愛らしい花々が咲き乱れ、互いを引き立てながら調和しあう美しさは、出会った人々にすばらしい思い出を与えてくれることでしょう。
http://echigo-park.jp/guide/flower/hepatica/index.html

◇生活する花たち「福寿草・菜の花・紅梅」(横浜日吉本町)

2月16日-17日

2月17日

●小口泰與
単線の鉄路かがよう春スキー★★★
あけぼのの雪解の榛名輝かす★★★★
春の雲掲ぐ榛名や鳶の笛★★★

●祝恵子
樹に隠る春鳥を待つ日の温み★★★
まんさくや今来た道を振り返る★★★★
梅ふふむ一人占めする空のあり★★★★
青空に梅の蕾がふくらんでいる。梅のふふむ空の美しさにひとり見惚れている。一人占めして楽しんでいる。心の持ちようでこんなよい世界が生まれる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
梅ひらく一木のみの白さかな★★★★
あたりに先駆けて一木だけ梅が満開である。清潔で光に満ちた白さが目を惹く。「一木のみの白さ」が季節感と共に梅の花らしさをよく表現している。(高橋正子)

青空へ紅の一輪丘の梅★★★
、白梅の空の彼方へつづきけり★★★

●小西 宏
庭の雪芯の青みに解けゆけり★★★★
風に耐え雪に影置き春の光★★★
道に雪融けつつあるを跨ぎ行く★★★

2月16日

●小口泰與
春雪の花を咲かせし梢かな★★★
腰までの春雪降りし史上初★★★
ずぶずふと小犬消ゆるや春の雪★★★★
雪にまろび遊ぶのが好きな小犬ではあるが、このたびの春の大雪は、子犬が雪に溺れてしまうほどである。「ずぶずぶと」に水分を多く含んだ春の雪のやわらかさ、深かさ、子犬の重さなどが知れる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
吹きさらす風の野面や蓬萌ゆ★★★★
雲奔り日射し眩しき余寒かな★★★
蒼天の楽譜となりぬ銀杏芽木★★★

●多田有花
城跡より城跡を見る春早し★★★
一本の松が立ちたり春の空★★★
山に山重ねて山の朧かな★★★

●小西 宏
春の空青々と澄み雪垂(しず)り★★★★
雪融けて庭に如雨露の口立てり★★★
吹く風に木の芽襞なし空を指す★★★

●川名ますみ
春雪の角度保ちて降りそそぐ★★★★
さつさつと斜めに降る春雪の降り様を「角度保ちて」と表現した。「理」が買っているようだが、よいデッサン力だ。(高橋正子)

春の雪角度を守り降りきたり★★★
春雪を弾く樹花芽に載せる樹★★★★

2月15日

●小口泰與
水玉の梢(うれ)に並ぶや春の雪★★★
春雪や畑に散りたる鴉達★★★
淡雪や淡き昔の学園祭★★★

●黒谷光子
湖辺へと過ぎる公園下萌ゆる★★★
打ち寄せる波に逆らい春の鴨★★★★
「波に逆らい」に感があってよい。。春浅い風が水面を波だたせ、その波が鴨の胸に寄せている。波に逆らいながらも浮く春の鴨に意志と健気さを感じる。(高橋正子)

波寄する湖岸に人無く残る鴨★★★

●迫田和代
青い空梅花(ばいか)白白空に映え★★★
鶯の声茜の空に高々と★★★
川土手の土柔らかく草萌える★★★★
「土柔らかく」がいい。一雨ごとに春めいてくるころ、土手の土も黒々と柔らかになってくる。柔らかな土から緑の草が萌えるのはうれしいものだ。(高橋正子)

●多田有花
その昔飢えは身近に春浅し★★★
すれ違う電車を待って余寒かな★★★
山巡る間に二度の春時雨★★★★

●桑本栄太郎
靴跡の白の行き交い春の雪★★★★
階段のなんば歩きや春の雪★★★
紀州路の南部(みなべ)七分や梅便り★★★

●河野啓一
東北に生まれて春の金メダル★★★
週末の雪山歌声響かせて★★★★
街中に雪解を集め狭き川★★★

●小西 宏
雪の朝鎖の音すバス通り★★★
ベランダに雪解けの音かろやかに★★★★
春の雨静かに屋根の雪融かす★★★

●川名ますみ
ごつごつと桜の花芽雪を載せ★★★★
立春を過ぎてからの春の大雪に二度も見舞われた今年。桜の花芽にも雪が積もり、その形が優しい桜の花に似合わず「ごつごつ」としている。
しかし、このごつごつとした強さが桜の花を一時に咲かせる力の源でもあるのだ。雪に桜の花色を置いて見たくなる句だ。(高橋正子)

春雪を冠す並木のどの枝も★★★
春雪にけぶるさくらのお壕端★★★

2月15日(土)

★菜の花に蛇行の川の青かりし   正子

○今日の俳句
春立つや空の青さに海の色/下地鉄
「春立つ」の声を聞けば、空の色、海の色に春らしい明るさを感じるのも人の心。春は空の色、海の色から始まる。(高橋正子)

○菜の花

[菜の花/伊豆河津(2011年2月22日)]   [菜の花/横浜日吉本町(2013年2月3日)]

★菜の花や月は東に日は西に/与謝蕪村
★家々や菜の花いろの灯をともし/木下夕爾
★菜の花に汐さし上る小川かな/河東碧梧桐
★菜の花の遥かに黄なり筑後川/夏目漱石
★菜の花の暮れてなほある水明り/長谷川素逝
★菜の花に汐さし上る小川かな/河東碧梧桐
★一輌の電車浮き来る菜花中/松本旭
★寝足りたる旅の朝の花菜漬/稲畑汀子
★咳こもごも流転身一つ菜種梅雨/目迫秩父
★白鷺の飛びちがへるに菜種刈る/木村蕪城
★菜殻火に刻々消ゆる高嶺かな/野見山朱鳥
★うしろから山風来るや菜種蒔く/岡本癖三酔

★まんまるい蕾もろとも花菜漬け/藤田裕子
まんまるい、黄色も少し見える蕾もろとも漬物に付け込むには、心意気がいる。日常生活が身の丈で表現された句。(高橋正子)

★菜の花へ風の切先鋭かり/高橋正子
★菜の花も河津桜も朝の岸/高橋正子
★菜の花の買われて残る箱くらし/高橋正子

 菜の花(なのはな、英語:Tenderstem broccoli)は、アブラナまたはセイヨウアブラナの別名のほか、アブラナ科アブラナ属の花を指す。食用、観賞用、修景用に用いられる。アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを指して「白い菜の花」「ダイコンの菜の花」ということもある。
 3月のこの季節、菜の花は季節の食材として店頭にも多く並ぶようになった。3月18日に家族で椿山荘で食事をしたとき、菜の花のからし酢味噌かけがあった。天もりは、芽紫蘇。若い者たちも「菜の花のからし酢味噌かけ」が一番おいしかったと答えた。味のリズムと触感と彩りと季節感があったのだろう。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・沈丁花の蕾・木瓜」(横浜日吉本町)

2月14日

●小口泰與
歩むるは羽根もつ跡や春の雪★★★
赤あかと朝日出づるや凍返る★★★

山笑う終業ベルの高らかに★★★★
終業のベルが高らかに鳴り響く。日ごと日脚が伸び、山笑うころの日暮れは、明るさがある。(高橋正子)

●多田有花
バレンタインデー粉雪降り続け★★★
春の雪いつしか雨となりし午後★★★

通帳の印字黒々冴返る★★★★
ATMを通した通帳だろう。機械から出て来た通帳の印字がやけに黒々としているのに驚いた。冴え返る空気が余計に数字をはっきりさせた感じだ。嬉しい印字だろう。(高橋正子)

●桑本栄太郎
蝋梅の標となりし門扉かな★★★
茎立や草取り屈む姉被り★★★
豆の花高き支柱の葉の陰に★★★★

●佃 康水
巣組みする鴉や青き枝散らし★★★
荒鋤の田の面の艶や春の風★★★
僧の描く円き箒目風光る★★★★

●河野啓一
屋根の雪どんと音して落ちにけり★★★
雪止めば枯れ枝揺らす鵯の声★★★★
雪空の中から淡雪音もなく★★★

●小西 宏
斑雪野(はだれの)にセキレイ土を選び行く★★★
雪残る街にまた降る春の雪★★★★
花芽もつ鉢植え埋め雪の降る★★★

2月14日(金)


★さきがけて咲く菜の花が風のまま   正子
未だ寒い冷たい時期では有りますが、さきがけて咲いた瑞々しい菜の花が風の吹くままに揺れています。菜の花自身が春を喜んでいる様にも思え、又、私たちにも春の到来を告げてくれている様にも思え、早春の明るい風景が見えて参ります。 (佃 康水)

○今日の俳句
まんさくの丘へ親子の声弾む/佃 康水
まんさくは、「先ず咲く」の訛りとも言われる。春が兆したばかりの丘に、母と子が声を弾ませ、楽しそうである。春が来たと思う光景だ。(高橋正子)

○榛の木(ハンノキ)の花

[榛の木の雄花)/東大・小石川植物園]   [榛の木の雄花と雌花/国立自然教育園]

★はんの木のそれでも花のつもりかな 一茶
★渓声に山羊啼き榛の花垂りぬ/飯田蛇笏
★空ふかく夜風わたりて榛の花/飯田龍太
★はんの木の花咲く窓や明日は発つ/高野素十
★榛咲けり溝には去(こ)年(ぞ)の水さびて/川島彷徨子
★百姓の忙しくなる榛咲けり/樋口玉蹊子
★榛の花いつかは人の中で死ぬ/岩尾美義
★空深し榛の花とは垂るる花/高橋正子

 ハンノキの花は単性で雄花と雌花は別々につく。雄花穂は、枝先に5cmぐらいの長さで尾状に下垂し、雌花穂は、雄花穂の付け根の近くの葉腋に高さ2cmほどの小さな楕円状になって直立する。両花穂とも小さな花の集合体で、目立つような花弁もなく、よく注意をしないと花とは気がつきにくい。
 ハンノキ(榛の木、学名:Alnus japonica)は、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木。日本、朝鮮半島、ウスリー、満州に分布する。日本では全国の山野の低地や湿地、沼に自生する。樹高は15~20m、直径60cmほど。湿原のような過湿地において森林を形成する数少ない樹木。花期は冬の12-2月頃で、葉に先だって単性花をつける。雄花穂は黒褐色の円柱形で尾状に垂れ、雌花穂は楕円形で紅紫色を帯び雄花穂の下部につける。花はあまり目立たない。果実は松かさ状で10月頃熟す。葉は有柄で長さ5~13cmの長楕円形。縁に細鋸歯がある。良質の木炭の材料となるために、以前にはさかんに伐採された。材に油分が含まれ生木でもよく燃えるため、北陸地方では火葬の薪に使用された。近年では水田耕作放棄地に繁殖する例が多く見られる。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・雪割草・満作」(横浜・四季の森公園)