緋寒桜
高橋正子
境内の桜花芽の静寂に
黄水仙雨後の風は低きにも
白梅に架かる電線門灯まで
芽木山に落葉のなかに芽生ゆもの
薊・菫の芽生えを見つつ踏む山路
薮椿背にも前にもある山路
春山の土にどんぐり枯れつつも
春寒し丘の守りに不動堂
山肌の傾るるままに落椿
墓石かがやき緋寒桜のなおかがやき
明るくて深い 現代語による俳句を。よい生活から よい俳句を。
緋寒桜
高橋正子
境内の桜花芽の静寂に
黄水仙雨後の風は低きにも
白梅に架かる電線門灯まで
芽木山に落葉のなかに芽生ゆもの
薊・菫の芽生えを見つつ踏む山路
薮椿背にも前にもある山路
春山の土にどんぐり枯れつつも
春寒し丘の守りに不動堂
山肌の傾るるままに落椿
墓石かがやき緋寒桜のなおかがやき
春の水
高橋正子
青空の風の塵なる梅の花
谷の陽に紅梅白梅みずみずし
梅林のすみずみ平らかに日差し
日翳れば梅一輪の日を失い
梅林に空より風の来て散らす
凝らし見てまだ青淡きいぬふぐり
春立ちぬわが正面に雪の富士
風あれば辛夷の銀の芽がふくらみ
流れ出て泡耀かす春の水
青という空に浮びて春の月