4月28日(金)

晴れ。
えごの花光と風にまみれつつ 正子
●句美子がクリーム色の薔薇とカンパニュラを買ってきてくれた。
●訪問診療。訪問看護。
●入浴サービスの契約。介護関係で幾つ契約をしただろうか。すべてが契約。
診療、看護、タクシー、入浴、介護用品のレンタル。

4月26日(水)

きらきらと春の夜明けの雨となる  正子
花いばら明けのひかりに見え初むる 正子
芍薬の小ぶりの花のなつかしき   正子
●訪問看護は毎日。今日で10日になる。
●友宏さんが会社帰りに直接信之先生の見舞いに来てくれる。大手町から日吉まで直通電車とは言え、疲れているのに有りがたい。
●信之先生に目覚めているときに、スマホでクラッシクの動画を見せる。BGMのように聞いているが、曲に混じっている小鳥の声が気になるらしい。

4月25日(火)

晴れ。
●区役所から介護認定の調査に見える。介護保険は被介護者のためというより、介護者にあるのだとか。看護日誌に本人の精神支援と家族支援の項目がある。話を聞いたり、大丈夫ですか、とか聞かれたりが支援に当るようだ。
●誕生日の花束の中の芍薬が開く。今日開いたのは、小ぶりの昔ながらの花の大きさ。去年の誕生日の写真を見るとおおきな薄紅の花。たしか、いい匂いがしていた。
●信之先生、手助けしようとすると、「余計なことをするな。」と不機嫌。介助が嫌いらしい。で、放っておく。ベッドから台所の椅子まで歩いて行って座る。

4月22日(土)

曇り。
●きのうと打って変わって、今日は肌寒い。暖房をいれる。
●今日は、信之先生の誕生日を前倒しでサプライズで祝う。句美子に芍薬を入れた花束を買ってきてもらう。芍薬、八重咲きトルコキキョウ、アリアム、白い花の花束。誕生日ケーキに「信之さんへ誕生におめでとう」のクッキープレート。
句美子が帽子をプレゼント。これは本人が希望。下田寿司をたのみ、句美子、友宏、元、正子で夕食。信之先生は、ケーキのクリームを一口。92才の誕生日ですよに、顔をほころばす。信之先生との写真を撮る。
●信之先生、色紙に「92才 信之」を書いて、句美子と友宏さんに渡す。名前は大きくしっかり書けた。
●洋子さん、秀之さん、有花さん、恵子さん4名から、ネット短信の返信でお見舞いのメッセージをいただく。

4月21日(金)

晴れ。
●この春一番の暑さ。部屋のなかで24度。
●溜めていた自由な投句箱の選と秀句のコメントを5日分。なぜか、自由な投句箱のアクセス数が、きのうはやけに多い。投句者は、4人から6人なので、その人たちが見るだけのはず。実際はかなり多くの人が見ているようだ。
●訪問診療と訪問看護を開始したのが4月17日の月曜日。通院が難しくなったので、入院か在宅かの判断をしなくてはいけなかったが、ほどんど迷うことなく在宅診療をお願いした。訪問診療も訪問看護もすべてケアマネジャーさんが手配してくれて順調に事が運んだ。ケアマネジャーさんも4月5日に決まったばかり。あれこれてきぱきやってくれた。
昼夜逆転の行動に草臥れはするが、勤めていないので、しなやかにこなすしかない。句美子が2、3日前から泊りがけで手伝いに来てくれた。在宅勤務の利点。休憩中に買い物や薬をとりにいってくれる。
17日からの医療と看護を受け、在宅のほうが、病院よりも高質な医療が受けれている感じだ。
お医者さんは今二人が担当して、女性医師は愛媛の西条出身で、県病院に勤務の経験、もう一人の男性医師は母親が松山出身とのこと。偶然とは言え、ご縁のありがたさ。親身になってくれる。看護師さんたちも数人入れ替わるが、やさしい対応。

ご挨拶/4月月例ネット句会を終えて

今年は桜がいつもより早く咲き初め、すっかり葉桜となりました。4月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。いつもながら、選とコメントをありがとうございます。入賞の皆様おめでとうございます。今月は佳句が多く、厳選になりました。花冠の中から生まれた句は、だれが何と言おうと誇りと思える句だと思っています。これからも、精進を続けて参りましょう。これで、4月月例ネット句会を終わります。

なお、来月5月月例ネット句会は延期となります。延期の日時は未定です。よろしくお願いします。
4月19日
主宰 髙橋正子

■4月月例ネット句会/入賞発表

■4月月例ネット句会/入賞発表
■2023年4月例ネット句会■
■入賞発表/2023年4月11日

【金賞】
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめが来るということは、有花さんのコメントにあるように、季節の一ページがめくられる新鮮さがある。風が新しく吹く里は、田植の準備がされ、いよいよ活気づいて来る。心弾む季節をつばめは連れて来たのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
冬の間田に植えてあった大根も花咲いて、田返しの際は、畦に抜き捨てて、田を打ち返す。今、田植の準備が始まったところ。情景がリアルで、田土の匂いがしそうである。(髙橋正子)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りに燕がなんども行き来している。巣へ戻る時も、巣から出て行くときも、いつも軽やか。巣作りにいそしみながらも、楽しそうである。巣が出来ると、卵を産み 雛を育て、飛び発つまでの営みが人間にも楽しさをもたらしてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
3.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
わが子の門出にふさわしく、空は大きく青く、桜が咲いて祝福してくれている。大らかな詠みぶりに、子を旅立たせる父親の懐深い心情が読み取れる。(髙橋正子)

16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
児を抱いて、桜の下にいると。ヒラっと花びらが舞い落ちた。小さな指で摘まめそうな花びらに、興味しんしんなみどり児のやわらかさがいい。(髙橋正

子)

29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ
処置室へ向かう廊下だろう。空が見える高い窓からは弾けるように囀りが聞こえる。高窓にあふれる囀りに、フレッシュな気持ちが湧いて来る。春はわくわくと新しい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】

のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花
ここ数日、大変暖かったものが急に冷え込みです。「新樹冷ゆ」でもなく、「若葉寒」でもなく、まさに「花失せて花冷え残りけり」でした。この様な事もある、気候の端境期のようです。 (桑本栄太郎)
まだ見られると思っていた桜が、思いがけない嵐で散ってしまいました。けれど、そのうすら寒さはまだ残っているよう。静かな花冷えを抱きしめるように感じます。(川名ますみ)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りをしている燕は、本当に軽やかに飛んでいる。これを燕の行き来と上手く詠んだ。景が見える。(廣田洋一)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめは渡り鳥の中でもとりわけはっきりと季節の移り変わりを教えてくれます。つばめがやってきた、それだけで季節の一ページが確実にめくられたことがわかります。「風新しき」に共感します。新鮮な感動を連れてきてくれる鳥です。 (多田有花)
つばめが飛び交うようになると、いかにも春の季節の到来を感じさせて、里は活気に満ちてよみがえるようになる。素敵な季節の到来である。 (小口泰與)
新しい季節を迎えたことを、「つばめが来て里の空気をがらりと変えた」、「風新しき里」と詠まれたことに感服いたします。颯爽と風と共につばめが横切るさまが目に浮かびます。 (友田 修)
つばめが里に戻ることで、平凡な日常生活に自然界から刺激が与えられ、里全体が活気づく予感がして春めいた情景が目に浮かぶようです。 (弓削和人)
 
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ

【髙橋句美子特選/5句】
03.稜線のあおぞらうねり花の雲/桑本栄太郎
青空のうねりが雄大に感じられる句です。(髙橋句美子)

18.雨やめば藤の房にも粒を持ち/祝 恵子
雨がっ止んだ後の藤の房に水玉が映える綺麗な光景が目に浮かびました。 (西村友宏)


20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
37.咲きあふる寺の桜を通りより/髙橋正子

【入選/18句】
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな/桑本栄太郎
白壁に囲まれたお屋敷の中、ひと際みずみずしい朱の色の花を咲かせている木瓜の大樹。その美しさに感動し春が実感され、年輪と共にお屋敷の様々な歴史に思いを馳せられる詠者です。 (柳原美知子)

05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
雨雲に覆われた空からキラリと白い腹をひからせ、袈裟斬りに飛翔し風をおこすつばめ。その勢いと美しさが想像され、雨もよいの景の風情が感じられます。 (柳原美知子)

09.輝ける春のひかりを胸に抱く/友田 修
うららかな春の日の胸に透き通るようなひかりが感じられ、身も心も静かに満ち足りていくようです。繊細で若々しい句ですね。 (柳原美知子)

15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
子供たちもみな巣立たれ、夫婦ふたりだけとなった静かな食卓。一抹の寂しさとともにしみじみと味わう春野菜の一皿です。 (柳原美知子)

19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く/吉田 晃
漁港に戻って来たカツオ漁船でしょうか。その場で引くカツオの刺身。きっと美味なことでしょう。 (高橋秀之)

30.糊利きし白衣四月の病院に/川名ますみ
糊がピシッときいた白衣の医師や看護師さんが生き生きと働いている姿に、改めて四月、新年度がきたことが実感されるようです。清潔なたたずまいで接してくれる看護師さん達には、安心感が持て、心強い気がしますね。 (柳原美知子)

31.川下る賑わう船に花吹雪/髙橋句美子
両岸に満開の桜が咲いている川を下る観光船でしょうか。花見で賑わいがより一層の盛り上がっているんだろうと感じます。 (高橋秀之)

32.電車待つ春のコートに風つよし/髙橋句美子
都会の春は若い女性によく似合う。東京勤務時代は50年も前の事。渋谷、新宿、池袋が休日の活動範囲だったが、プラットホームに吹く春の強い風が女性の長い髪を乱す。そんな姿がよく春に似合っていると感心したものだった。 (吉田 晃)

33.風光るいつもの店にパン選ぶ/髙橋句美子
いつものパン屋さんへの出入りにも煌めく光と風が感じられる春たけなわ。仕事から解放され、心も軽く今日のパンを選ぶのも楽しみのひとつですね。 (柳原美知子)

35.生徒らに式辞の長し花曇り/西村友宏
式辞というものは、どうして長いの。早く終わって。という生徒たちの思いが花曇りの天気と重なって微笑ましく懐かしいです。 (高橋秀之)

36.朝寝してコーヒー片手に野球観る/西村友宏
春の朝寝は気持ちがいいですね。WBCの試合でしょうか。準決勝、決勝と湧かせてくれましたね。コーヒー片手に満面の笑顔が想像されます。 (柳原美知子)

04.喧騒の利根の流れや春の鳥/小口泰與
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
08.青空と新緑に心が躍る/友田 修
12.白き蝶群なし舞へる畑かな/廣田洋一
14.列車行く菜の花畑の向こう側/高橋秀之
15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
21.桃咲いて子ら新しき道をゆく/吉田 晃
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて/柳原美知子
34.目黒川英語飛び交い桜舞う/西村友宏


■選者詠/髙橋信之

のちほど。

■選者詠/髙橋正子
39.車椅子軽く動けり花は葉に 
車椅子で移動できることはありがたいですね。押す人も押される人も一体となって春光を浴び、短い花の季節を楽しまれたことでしょう。葉桜がまたおふたりを迎えてくれます。(柳原美知子)

37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子

次点(6点/同点2句)
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花

集計:髙橋正子