6月19日(月)

晴れ、
●信之先生がいた時と同じように、出かけるときは、小さい白板に、「何月何日何時からどこそこへ」のメモを残して出かけている。万一のことがあっても、家に入れば、手掛かりがつかめるようにということ。このメモが小さい重石というか、係留点という感覚。都会の一人暮らしは、それなりの用心がいる。

6月18日(日)

晴れ、時々曇り
●銀行の用事で、日吉まで松の川緑道を歩いた。金蔵寺の横の山道の入り口に野菊が咲いて、藪には白い紫陽花が誰の所有ともわからず咲いていた。慶大グランド横を通ったが、芝生がきれいに生えそろって見事なグリーン。学生が大勢練習をしていた。日吉の商店街に着くと七夕飾りが風に鳴っていた。
●午後俳句四季の原稿を書こうとするが、ぜんぜん捗らない。
●夕方句美子が来る。仏壇を初めて見て、お参り。「街では父の日、父の日と言っているが、こっちは母子家庭になったのにね。」という。母子家庭云々の年ではないと思うが。句美子に言わせれば、「お父さんは、一週間ごとにどんどん悪くなって死んだ。」ということなのだ。

6月17日(土)

晴れ。
●仏壇が届く。位牌は遅れて7月2日にできるので、店に取りに行く。
●俳句四季8月号の原稿の締め切り6月20日が近づく。会員の句を選ぶのに時間がかかる。写真はほぼ用意できたが、古い写真なので電子ベースがないので、19日に速達で郵送しなくてはいかんのか。
●仏壇店からのメールに月命日には好物を。胡瓜と茗荷の浅漬けを供えてと、提案されていた。それで、浅漬けのもとを買ってきた。夕飯に胡瓜の浅漬けを作って食べてみた。30分前に思いついてもできる。簡単、おいしい。

6月16日(金)

晴れ。
●角川に送った原稿が気になって10時過ぎメールを見る。担当の中村さんから、臨場感のある句、とコメントのある返信があった。ひとまず、安心。校正があるようだ。
●明日仏壇が届くので、今あるテーブルを台にしてその上に置くことにした。仏壇を載せる仏壇台は、そこそこのをネットで見つけているが、急がないで買うことに。テーブルとわからないように布をかけることにして、ユザワヤへ布を買いに出かけた。
何色にするか決めてなかったので、布の色を見ながら決める。紺色にした。リネンがよさそうだが、高いので、オックスフォードのような布にした。帰って縁をミシンで縫って出来上がり。掛けると張りがあるので、きれいに落ち着いた。
●今日は暑い。薬を飲むのを忘れて出かけたので、ユザワヤの階段を上がるとき、息がきれた。用心しなければ、いかん。疲れていないようでも疲れているのかもしらん。
●公文さんから電話。電話番号が見つからないので、はがきで信之先生が亡くなったことを知らせたのだ。公文さんはちょうど2か月前に我が家を訪ねてくれていた。信之先生が最後にあった教え子。

6月15日(木)

曇り
●角川締め切り。夕方、6時ごろメールで送る。写真は写真工房でUSBに入れてもらったのを使う。締め切りが迫るまで、やる気がでないので、ぎりぎりになって、見切り発車状態。ともかく原稿を送ったので,一件落着。あとはどうでも。
●新しいパソコンのDellは、Officeがまだ使えるようになっていないのに気付く。Wordを使おうとすると、プロダクトキーを入れろと出てくる。元はなにも言わず、2枚の小さい印刷したものを置いていったので、その中にあるのかと、見るとコインで削るというのがでてきた。ようやくOffceが使えるようになる。息子は老母がどれだけパソコンのことを知っていると思っているのだろう、まったく不親切。それともIT能力を買っているのか。

6月14日(水)

曇り
●原田写真工房で写真を撮る。
帰り、喫茶店「然(ぜん)」に初めて寄る。クリニックの庭利用した喫茶店。高齢者女性3人の先客。庭に巣箱、半夏生、げんのしょうこ、蛍袋が見える。先客のうち一人は見覚えのある顔。思い出せないが、話しているうち、井口文華堂の奥さんとわかった。違う場所で会うとわからないもの。コーヒーをブラックで頼む。みんなが美味しそうなパウンドケーキを注文したので、私も注文。イチジクジャムとくるみのパウンドケーキ。井口さんはすぐ隣だったので、初めてなのに話が盛り上がる。30分ほどいて帰ったが、帰り際、井口さんから、煙の木を一枝もらった。
日吉の商店街には喫茶店が少ないので、誰か来た時のために様子をみておきたかったのだ。
●写真店には、夕方取りに行く。メールでも送ってもらい、USBにも入れてもらい、CDROMにも入れてもらった。
●寝室の北窓に簾をかけた。窓を開けてものぞかれることはなさそう。

6月13日(火)

曇り
●台風3号が夜のうち温帯低気圧に変わり、今朝は曇り。
●夕方、西町会のブロック長さんが、お参りに来られた。
●音楽スタジオにお昼を挟んで1時間ほど行った。信之先生がまだ普通にしていたとき一度行ったが、そのときできなかったところが、できるようになっている。
●原田写真工房に明日11時の予約。

追悼 故花冠名誉主宰/髙橋信之先生

 
故高橋信之先生
 謹んでご冥福をお祈りいたします。
         2023年6月11日
         花冠会員一同
★螢火や悼みて想う師の栄光/桑本栄太郎

★先生の手料理句会窓は初夏/吉田晃

★夕焼の消ゆる速さや恩師の死/小口泰與

★追悼の雨天心へ四葩かな/弓削和人

★紫陽花に色なきを見る朝かな/友田修

★大阪城師を囲みいた夏の句座/祝恵子

★亡き師との思い出遠き富士の夏/多田有花

★葉桜や子たちを連れて長浜城/高橋秀之

★梅雨に入る深き祈りの一と日より/藤田洋子

★バースデイカード五月の空の師へ送り/柳原美知子

〈2007年水煙俳句フェスティバル〉
★天の青知る師と乾杯十一月/川名ますみ

★See youと英文俳句夏の暮/廣田洋一

★芍薬の香る葬儀に空青し/西村友宏

★菖蒲湯に最後の思い出父の家/高橋句美子

★薫風にいつかかわした君の声/遠部光子


★外に出たき思いもありぬ聖五月/高橋正子

(以上16句)

いただいた追悼句は、短冊に書いて仏前に供えさせていただきました。それぞれのかたが信之先生との思い出を俳句にしていただき、ともに過ごした時を私も思い出しました。仏前がとても賑やかになりました。ありがとうございました。
(なお、追悼句の互選はいたしません。)

■故髙橋信之先生追悼句会/入賞発表

■故髙橋信之先生追悼句会(6月月例ネット句会)
入賞発表/2023年6月12日

【金賞】
27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
七変化と言われる紫陽花について「今朝の色」は、はっとさせられる。庭から、今朝切り取った朝顔の「今朝だけの色」。ガラス瓶が今朝だけの色を支えていることに揺らぎと儚さが感じ取れる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
初生りの嬉しさが、「濃き一本」に凝縮されている。一本の胡瓜が目にはっきりとある、この力強さ。(髙橋正子)


30.水湛え朝空湛え田植待つ/柳原美知子
田植を待つ田んぼには、水が湛えられ、朝の空を映している。ひやひやと風の吹く田植を待つ田は洋子さんの言われるように「静謐」な田である。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
18.時々は川面に触れて鯉のぼり/祝 恵子
川に張り渡されている鯉のぼりだろう。風が吹くと、川を溯るように勢いよく泳ぐ。風が止むと鯉のぼりは尾が垂れて川面に触れる。それを「時々は川面に触れて」で簡潔にして十分に表現されている。(髙橋正子)

34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
信之先生の誕生日は、5月28日で、ちょうど誕生日に合わせたように芍薬の花が咲くので、花が咲くのを心待ちにしていたように思う。松山郊外の砥部には庭があったので、昔ながらの一重の芍薬を植えていた。そんなことを承知の皆さんからよく芍薬の花を贈られた。痩身であったので、芍薬の花を「深く抱く」感じに見えたのだろう。(髙橋正子)

32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏
ジーンズは、よく履いて、洗い晒らされたものに、ますます愛着がわく。色あせたジーンズは色が薄くなって、夏が来て、夏に履くのにいい色になった。「夏の色」がさわやか。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】

05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
手塩にかけて育てられた胡瓜が生る時期に入ってきました。
採りごろになった胡瓜を見つけられた心のときめきが伝わってきます。 (多田有花)

18.時々は川面に触れて鯉のぼり/祝 恵子
鯉幟が川を渡って飾られている。風がなかったり、逆に強すぎたりすると鯉幟が上下に揺れてたまには尾が川面に触れる様が良く見える。川面に触れてが良い。 (廣田洋一)

25.額装の師の墨痕に梅雨深む/藤田洋子
信之先生の墨跡も瑞々しい書を前に、さまざまな思い出とともに時の過ぎゆく感慨と哀悼の思いが「梅雨深む」に表されていて、感動します。 (柳原美知子)

27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
日替わりで色の違う紫陽花をガラス瓶にさして楽しむ情景が浮かぶとともに、昨日挿した紫陽花の色が今日は変化して違う色になっていたりするのかなと想像されます。諸事、無常、変化の世の中ですがそれを楽しむ気持ちも大切と思いました。 (友田修)
紫陽花の日ごと徐々に色変えてゆく姿、今朝の色、がいいですね。 (祝恵子)
紫陽花の色の変化を楽しむ素敵な日常が目に浮かびます。「今朝の色」で一日を気持ちよくスタートできそうです。(西村友宏)

30.水湛え朝空湛え田植待つ/柳原美知子
田植えを前に、一面水を満たした田と朝空の爽やかな清々しい光景。田植えの準備が整い、その時を待つ水田の静謐なひと時をも感じます。 (藤田洋子)

34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
大好きな芍薬の花の香りに包まれた細身の信之先生のお姿と笑顔が彷彿とされます。先生への思いが伝わってきます。ご冥福をお祈りいたします。(柳原美知子)

27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏

【髙橋句美子特選/7句】

13.紫陽花を濡らす優しき朝の雨/友田 修
紫陽花を降り包む雨の静けさに、紫陽花の清楚な佇まいが目に浮かびます。しっとりと心落ち着く朝の情景です。
(藤田洋子)
20.いつになく早き梅雨入り師は逝けり/多田有花
今年は例年にない早い梅雨入りで、信之先生のご逝去を哀悼するかのような雨となりました。先生との思い出を胸にご冥福をお祈りするお気持ちが伝わってきます。 (柳原美知子)

26.紫陽花の薄きみどりに偲ぶ日々/藤田洋子
薄きみどり色はなんとも言えない感情を表しています。(髙橋句美子)

05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏
34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
45.衣更えて夫かろやかに旅立てり/髙橋正子

【入選/14句】

1.はんざきのように眠りぬ夏の風邪/桑本栄太郎
「はんざき」というのが意表を突く言葉であると同時にユーモアを感じます。
きれいな水の底でじっとしているはんざきのように、ゆっくり今はただ眠るのみです。 (多田有花)
12.まさおなる空や二階へ枇杷実/弓削和人
枇杷が実り始めました。二階へ届きそうな大きな枇杷の木なのでしょう。
それを下から見上げるとその視線の先に青空が広がっていました。 (多田有花)

17.メダカの子今は小さなちいさな子/祝 恵子
そうなんです。ほんとそうなんです。というように見たままの句。でも、なぜか心に訴えるものがありました(わが家でメダカを飼っているからかもしれません)。 (高橋秀之)

40.竹林の手入れを終へて梅雨満月/廣田洋一
竹は成長が早く手入れが欠かせません。梅雨の季節、伐採や落葉掻きを終え、雨夜の月を想う時は、会いたくても会えない相手が浮かぶでしょうか。竹取の翁のような、広い世界と少しの寂しさを感じます。 (川名ますみ)


03.斧構えうじゃうじゃや生る子蟷螂/桑本栄太郎
07.電話より聲高らかや松落葉/小口泰與
19.師の訃報告げる電話や五月逝く/多田有花
15.真青なる空に吹き初む夏の風/友田 修
22.一株の紫陽花大きく鮮やかに/高橋秀之
24.初蝶の舞い上がりゆく空広し/高橋秀之
31.夕日さす水面に光る鮎二匹/西村友宏
35.青葉雨心あそばせ光りとなる/川名ますみ
41.短夜やこむらがへりに目覚めたり/廣田洋一
42.短夜のワイン控えめパリの宿/廣田洋一

■選者詠/髙橋正子
45.衣更えて夫かろやかに旅立てり
信之先生を見送られた正子先生の御句。看取るということには、一言では言い難いものがあります。ただ「かろやかに」という語が信之先生らしくもあり、正子先生らしくもあります。今は旅立たれた信之先生にもご遺族のみなさまにも「お疲れ様でございました」と申し上げたいです。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 (多田有花)
信之先生のご逝去は丁度衣更の時季であった為、死出の旅の衣もかろやかであったとは言え、小柄な信之先生のお身体を想う時正子先生の御心境は如何許りかと想われます。 (桑本栄太郎)
 昔は、宮中でも民間でも、陰暦四月朔日と十月朔日とに、衣を更えるのを例とした。要するに、冬より夏へ時期の衣服にかえて信之先生は次の新しい世界へと旅立っていきました。今は正子先生をはじめご遺族の皆様の弥栄をお祈り申し上げます。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。合掌。 (小口泰與)
軽やかに旅立たれたとのこと。先生の笑顔が見える。「晃さん 先に行っときますよ」という声が聞こえる気がして辛い。 (吉田晃)

43.入らざりし点滴液捨つ夏隣
44.昼顔は真昼の花よ夫眠る

■選者詠/髙橋句美子

37.絵ろうそく揺らぐ炎に蓮の花/髙橋句美子
丁寧に一つ一つ絵が描かれた和蝋燭。揺らめく炎がことさら柔らかく、優しく感じられます。その炎の揺らぎと蓮の花の清浄さに、作者の込められた情感がしみじみと伝わります。
(藤田洋子)

38.芍薬の白はもうすぐ誕生日

白色の芍薬がお好きだった信之先生。通りすがりに
芳香を放っている白い芍薬を見ると、お父様の誕生日が意識されます。お元気で誕生日を迎えてほしいと願われる情愛が思われます。 (柳原美知子)

39.初夏の雨花の苗は青々と

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子


集計:髙橋正子
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