ご挨拶/9月月例ネット句会を終えて

 今月も月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。残暑もなかなか収まりそうもありませんが、それでも、朝夕は涼しい時間を過ごせるようになりました。
 入賞の皆様おめでとうございます。また、いつもながら、選とコメントをありがとうございました。それぞれの方の経験した身近な生活の景色が、生き生きして、投句を受け付けるたびに、新鮮な刺激をうけます。14名の方が、忘れず月例句会に投句してくださるのも、自慢できて、うれしいことです。
 
 花冠創刊40周年を迎え、花冠9月号を受け取られた多くのかたから、
「40周年おめでとうございます。」「40年の重みはすごい。」とか、「40年は長い。」とかの言葉をいただいています。日々の、また月々の俳句が積み重なって花冠の俳句となっています。「細く長く」を心に「明るくて深い 現代語による俳句」を目指してゆくことに迷うことはないように思います。
 
 今日は首都圏はゲリラ雷雨で、歩道や階段を雨が流れるどしゃぶりです。明日からの3連休、よい休日をお過ごしください。これで、9月月例ネット句会を終わります。

9月15日
髙橋正子

9月15日(金)

曇り、一時雨。
稲光いくたびもして部屋灯す   正子
ひとり居にきらっきらっと稲光  正子
雨すぎて外の夕べのさわやかに  正子
●西町町内会より、敬老の日お祝いのお茶をいただく。
●昼前、急に雨。都心は階段を滝のように流れる大雨。靴もくるぶしまで雨水に浸かっている。
●俳壇10月号に祝恵子さんの「種採」5句が掲載される。ネット短信No.397で、「種採」5句を知らせ、好きな句にコメントをお願いする。
●晴美さんに葉書きのお礼の電話。四国旅行は至れり尽せりのもてなしだったようだ。かずら橋、桂浜、宇和島、道後、石手寺、松山城、子規博物館など。道後ホテルでは、竹かごにタオルと温泉入浴券を入れたのを渡してくれたとのこと。その竹かごは、「湯かご」というのだと教える。「湯かご」をもって電車に乗る人が今もいるのかどうか。

9月14日(金)

晴れ
植え込みに白き茸が童話めき  正子
夜の長し浅き眠りの覚めやすく 正子
教え子の秋思それぞれ仏前に  正子
●小西さん、東さん、岡本さんの三人からのお供の線香を郵送いただく。いろいろあったなあ、と思い出す。それぞれに、お礼状と花冠9月号を小西さん宛てにまとめて、郵送した。東さん、岡本さんの住所がわかない。

9月13日(木)

晴れ
●午前、アカデミアへ。喫茶店で、信之先生の俳句50句を選ぶつもりで資料を詰め込んで出かけたが、センター北の喫茶店はそんな雰囲気ではなかった。やる気は無くなって、帰ってから、句美子の『手袋の色』以後の俳句を選び出す。明日もう一日かかりそうだ。
●水谷さんと晴美さんから花冠9月号のお礼のはがき。ふたりともご主人をなくされて日が浅い。正子の俳句日記を息を詰めて読んだとか、ご主人の事と重なって最後まで読めなかったという文面。
●「人は死んでから人間になる」と言ったのは誰か。アーレントか。死んでからその人の生涯が完結して完全に人となる、と考えれないでもない。

9月12日(火)

晴れ
●残暑はあるが、秋らしくなった。
●音楽スタジオに13時に予約をしていたので、行ったが、予約が入っていないという。そんなはずが。でもそれは確か。電子ピアノの部屋なら空いているという。迷ったが、そこでもいいかと。譜面を置くところが遠すぎて、眼鏡なしでは加線が二重に見えて困りはしたが、少し覚えて弾いてみたので、適当ながら、楽めた。
●鎌倉の成就院、紫陽花で有名だが、紫陽花を刈り取って減らしたという。その代わり萩を植えたのだと。9月下旬には見ごろになるだろうか。17日はどうだろう。

9月11日(月)

晴れ、どきどき曇り
●9月月例ネット句会入賞発表
正午発表予定には、30分ほど遅れたが、予定通りに発表。
●今日は9・11。誰も言っていない。世界はウクライナ戦争、モロッコ地震と災厄つづき。
●野球のU-18で、日本が台湾に勝って優勝したニュース。丸太君は、甲子園とU-18で優勝して、奇跡に近い。
●四時ごろセンター北のアカデミアへ。今度七里ガ浜へ行くので、旅行雑誌の「鎌倉」をめくる。アンナ・ハーレントの伝記が漫画になっているのが目に入った。それが3600円。『浄瑠璃寺の365日』。めくると「花は仏の姿」という言葉が目にはいった。菊なんかは特にそんな感じがする。
井筒俊彦の本が並んでいる。『意識と本質』の著者だったかなと著書一覧の見ると、そうだった。文庫で買って付箋だらけだが、臥風先生の俳句についての話にずばり嵌っているところがある。
帰宅は6時半ごろ。部屋は真っ暗。仏間に小さい灯をつけて行くべきだった。

9月10日(日)

晴れ
●9月月例ネット句会
●夕方句美子が来る。敬老の日の連休の予定を聞くので、七里が浜に行くと言うと、一緒に行ってあげるという。17日の日曜日に行くことにして、レストランに13時の予約を入れてくれた。
●鶏の唐揚げを作る。粉は片栗粉2に、小麦粉1の割合で混ぜて揚げる。いい出来上がり。ポテトサラダは久しぶり。じゃが芋を蒸し器で蒸して作った。味がしっかりしている。茄子とピーマンを炒めて赤みそメインの味付け味噌を入れた。考えなくて良い料理ばかりを句美子に持たせた。
●句美子に頼まれて葡萄を冷凍しておいたが、それを見て、売ってもいいくらいの出来じゃん、と喜ぶ。たしかにうまくできた。

■9月月例ネット句会入賞発表■

■9月月例ネット句会入賞発表■
2023年9月11日

【金賞】
25.水桶の水真新し新豆腐/吉田 晃
今年収穫した大豆で作られた新豆腐が、真水を入れた桶のなかに沈んでいる。新涼に味わう食のさっぱりした感じが伝わる一句。「桶」の素材は木やプラスティックなどだろうが、レトロな印象がする言葉。「真水」は、水道水ではない、湧き水や井戸水などを連想させるが、真水の冷たさ、柔らかさが伝わっていい。これらの道具をさりげなんくそろえた力量は一日にしてならず。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.乗り換えの駅に飛び交う赤とんぼ/ 高橋秀之
都会から乗ってきた列車を乗り換えるため下車すると、思いがけず、赤とんぼがたくさん飛び交っていた。残暑の都会から、地方の駅にきたとたんに赤とんぼに出会い、秋を感じた新鮮さうれしい一句。(髙橋正子)

33.朝の窓開ければどっと稲田の黄/柳原美知子
朝窓を開けると、「どっと」押し寄せる熟れ田の黄色。ゆたかな稔りに圧倒された一瞬。晴れやかな稔りの風景を読者も堪能できる一句と思う。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.朝顔のあす咲く蕾ふくらます/祝恵子
朝顔の蕾は日ごと育って、初めは強くよじれた形であったのに、しだいによじれも緩くなり、膨らんでいく。いよいよ明日は咲きそうなふくらみまで近づいた。明日の花を思うと心楽しい。(髙橋正子)

34,窓八枚真横に秋の雲たなびく/川名ますみ
「窓八枚」、「真横に」は、現代詩的な、ある意味散文的な表現だが、新しい俳句表現の試みがある。また別な意味では、現代の生活がそうなのだとも言える。八枚のガラス窓が連なって、秋の雲が横にたなびいている。のびやかで、さわやかな景色がいい。(髙橋正子)

41.秋天へ声透き通るコンサート/西村友宏
野外コンサートだろう。合唱の声は秋天へ届きそうに響いている。その声も透き通って、少年少女の合唱のように思える。「透き通る」は、混じりけがないことを言う。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】

16.村落のあかりを点ける野分かな/弓削和人
村落の夜はいつもなら早くに灯が消えて、漆黒の闇となるが、台風の夜にはあかりが点り、風雨が心配される。緊張感の漂うほのかなあかりにけぶる村落もまた情趣がありますね。(柳原美知子)

19.朝顔のあす咲く蕾ふくらます/祝恵子
秋晴れの一日一日を愛おしむような朝顔が明日を迎える瞬間を切り取っている。清々しい希望を描いている作者の思いを投影しているようだ。(弓削和人)

22.乗り換えの駅に飛び交う赤とんぼ/ 高橋秀之
何処の駅での乗り換えであろうか?ホームに待って居れば、赤とんぼが飛び交い始めました。いずれにしても鄙びた田舎の駅のホームが想われ、旅情のあふれる良い光景である。 (桑本栄太郎)
「乗り換えの駅」は、出発でも行き先でもない駅。そこで、赤とんぼが飛び交う景色に出会いました。関わりのなかった駅が、心身に秋を届ける場所に。さわやかな景色ですね。(川名ますみ)

34,窓八枚真横に秋の雲たなびく/川名ますみ
学校でしょうか。ビルでしょうか。とにかく窓が鏡のように並ぶ建物です。そこに刷毛でさっとはいたような秋の雲が映っています。青空がもうひとつ生まれたようなさわやかな情景です。 (多田有花)

06.母よ西方浄土は秋夕映/多田有花
25.水桶の水真新し新豆腐/吉田 晃
33.朝の窓開ければどっと稲田の黄/柳原美知子


【髙橋句美子特選/7句】
15.散歩道気づけばたわわ青蜜柑/友田 修
普段は何気なく歩く散歩道。でも、見逃している日常の風景もふと気が付けばたわわに青蜜柑が実っている。秋の気付きのひとつです。(高橋秀之)

18.水引の凛と咲きたり雨あがり/弓削和人
清楚なたたずまいながら、水引の存在感が感じられる句です。 (髙橋句美子)

41.秋天へ声透き通るコンサート/西村友宏
野外コンサートでしょうか。皆さん楽しまれています。 (祝恵子)

08.大輪の菊を一花飾りけり/廣田洋一
17.星月夜ひじ掛け椅子に睡りおり/弓削和人
29.葛の花みな立ち上がる山の畑/髙橋正子
33.朝の窓開ければどっと稲田の黄/柳原美知子


【入選/14句】
04.身に入むや臨終の母の手を取れば/多田有花
ご愁傷様です。御臨終ですと先生に言われてから手を取ると、冷たくて本当に身に染みる思いがする。母上のご冥福をお祈り致します。(廣田洋一)
万感の思いでお母様の手を取られたことでしょう。お悔やみ申し上げ、お母様のご冥福を心よりお祈りいたします。(柳原美知子)

09.秋雨にしっとり濡れし藪蕎麦屋/廣田洋一
夏の間は客で賑わったのだろう。秋の雨にしっとり濡れる蕎麦屋の暖簾。本格的な秋まで少しの寛ぎの時を過ごしているように感じた。 (吉田 晃)

11.渓流の水の豊や黄鶺鴒/小口泰與
詠者は渓流釣りを趣味とされていると記憶します。魚影を追って渓流を歩いておられるとそこにキセキレイの姿が。渓流の間を飛び渡る黄色い姿が鮮やかです。(多田有花)

24. 夏休み終えてふたりの夕ご飯/ 高橋秀之
帰省していた孫や子たちも夏休みの終わりとともにそれぞれの場所に戻っていった。御馳走が並んでいた夕ご飯も二人だけの食卓となった。季節の移り変わりを若干の寂しさといつもの生活に戻ったという安堵感とで同時に食卓に映した句にほっと致します。(友田修)

31.今日一日秋燕に暮れ月の里/柳原美知子
そろそろツバメが渡りを始める頃です。昼間は南へと戻るツバメが高空を何羽も飛び交っていました。その村里の上に夜が来て美しい月が出ました。(多田有花)

32.子の作る蒸しパン今朝は栗入りで/柳原美知子
お子さんが蒸しパンを作ってくれる。それだけでも嬉しいところに今朝は栗が入っている。嬉しさ、喜びが増し増しです。(高橋秀之)

40.月出でて太鼓高鳴る盆踊り/西村友宏
盆踊りの高揚感に満ちた御句です。思わずどどんと太鼓を叩きたくなる、そういう楽しさもあります。櫓の上には見事な月も出て、これぞ日本の盆踊り。(多田有花)

42.ハンモック揺れて目覚める秋の風/西村友宏
秋は夏と冬の季節風の交替期で、定まった風位は有りません。ハンモックで寝ている夢の世界を肌寒い身に染む風によって目を覚まされる。なんともつれない残念な気持ちの目覚めです。 (小口泰與)

38.撫子の軽い花びら束にされ/髙橋句美子
女性らしい優しい一句。束にされても軽い撫子の花びらは、まるで花野に揺れているその軽さを思う。この花束は、お父上の仏壇に飾るのだろう。 (吉田 晃)

01.秋の蚊の親い寄り来る夕べかな/桑本栄太郎

05.母逝きぬ大空にかかる秋の虹/多田有花
10.列をなす訳あり市や秋の晴/小口泰與
12.山の沼鯉の吐きたる秋の風/小口泰與
27.野に優し風の軽さを秋蝶へ/吉田 晃

■選者詠/髙橋正子
28.露草のまことの青が草に散り
我が庭の柊の木陰に露草が葉を広げている。まだ小さな青だがいくつか花開いており、残暑厳しい中に秋の風情を醸している。もう少しすると散らばり咲くのだろう。秋の静かな営みが見えてきたことをさりげなく詠んだ句に魅力を感じた。(吉田 晃)

29.葛の花みな立ち上がる山の畑/髙橋正子
野趣あふれる山畑の総立ちになった葛の花。赤紫色の美しい花から立ち昇る芳香に浸り、山気の中に秋が実感されるうれしいひとときです。 (柳原美知子)

30.秋芝に影がきれいよボール蹴る

秋の日差しを受ける影が夏と違い、きれいに映っている。きっと少年であろうプレイヤーの元気よさも伝ってきます。」(高橋秀之)

■選者詠/髙橋句美子
38.撫子の軽い花びら束にされ
女性らしい優しい一句。束にされても軽い撫子の花びらは、まるで花野に揺れているその軽さを思う。この花束は、お父上の仏壇に飾るのだろう。(吉田 晃)

37.満月を高く指さしつつ帰宅
39.葡萄詰め瀬戸内からの贈り物

■互選高点句
●最高点句(7点)
22.乗り換えの駅に飛び交う赤とんぼ/ 高橋秀之
※集計:髙橋正子
※コメントの無い句にコメントをお願いします。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2023年9月10日
42句(14名)

01.秋の蚊の親い寄り来る夕べかな
02.秋冷や腕(かいな)をいだき眠り居り
03.勝虫と云われ前へと赤とんぼ
04.身に入むや臨終の母の手を取れば
05.母逝きぬ大空にかかる秋の虹
06.母よ西方浄土は秋夕映
07.恙なし重九の酒を一人酌む
08.大輪の菊を一花飾りけり
09.秋雨にしっとり濡れし藪蕎麦屋
10.列をなす訳あり市や秋の晴

11.渓流の水の豊や黄鶺鴒
12.山の沼鯉の吐きたる秋の風
13.枝豆をつまむ今宵のブルームーン
14.早朝の呆れるほどの残暑かな
15.散歩道気づけばたわわ青蜜柑
16.村落のあかりを点ける野分かな
17.星月夜ひじ掛け椅子に睡りおり
18.水引の凛と咲きたり雨あがり
19.朝顔のあす咲く蕾ふくらます
20.クワガタの展示してあり美容室

21.音立てて開きそうです白桔梗
22.乗り換えの駅に飛び交う赤とんぼ
23.秋空を見上げつぶやく秋はどこ
24.夏休み終えてふたりの夕ご飯
25.水桶の水真新し新豆腐
26.早生の稲架少し湿りの残る田へ
27.野に優し風の軽さを秋蝶へ
28.露草のまことの青が草に散り
29.葛の花みな立ち上がる山の畑
30.秋芝に影がきれいよボール蹴る

31.今日一日秋燕に暮れ月の里
32.子の作る蒸しパン今朝は栗入りで
33.朝の窓開ければどっと稲田の黄
34,窓八枚真横に秋の雲たなびく
35.涼新たメールの返事みな早く
36.秋澄みてビル街に雨吸われゆく
37.満月を高く指さしつつ帰宅
38.撫子の軽い花びら束にされ
39.葡萄詰め瀬戸内からの贈り物
40.月出でて太鼓高鳴る盆踊り

41.秋天へ声透き通るコンサート
42.ハンモック揺れて目覚める秋の風

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は、このコメント欄にお書きください。

9月9日(土)

小雨
●明日の月例句会の準備。投句された句をざっと見る。自分の句がなかなかまとまらないのに、投句された句はいい句ば並ぶ。刺激を受ける。
●朝、日の出前に5丁目の丘へ一人吟行に。丘の畑は作る人が亡くなったらしく、荒れ果てている。去年信之先生が満開の桜を背景に立っていたところは、孟宗竹の竹の垣根も朽ちて壊れ、畑は葛でおおわれている。少し歩いて、早速見えない絮らしきものが肌についたようで、かゆくなる。丘を一回りして帰る。五丁目全体が古くなった印象。