曇り、夕方雨
●早く目が覚めたので、ベランダを洗っていると、雀と四十雀が競って鳴いている。向こうでは烏も負けじと鳴く。5時から6時頃は鳥の時間のようだ。
●ゲーテの言葉にこんなのがあった。
「年をとるということが既に、新しい仕事につくことなのだ。」
●夕ご飯は、たけのこと蕗と揚げを炊いた一番平凡なお菜で。新ジャガイモはマッシュにしないで胡瓜とサラダ。
●町内会の班長の当番が4月で終わるので、早めに次の人に引継ぎをした。1年間は長い。前は半年だったのに、1年に変更された。この1年は信之先生が亡くなったり、花冠の40周年の合同句集の発行があったり、重なるときは重なるとは世の常らしいが、その通りになった。終わってほっとしている。
〇4月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。今年の桜は、満開になるころ冷え込んだせいもあって、長く楽しめました。それだけに、多くの方がさまざまに桜を詠んでくださり、句会も華やかな感じになりました。
選とコメントをありがとうございました。
〇この場をお借りして合同句集『泉』から四季の句を一句ずつ4月15日にまでに選んでいただきましたことをお礼申し上げます。ありがとうございました。 全員とはなりませんでしたが、選んでくださった方大変ありがとうございました。花冠N0.371号(夏号)に花冠の秀句としてよい形で掲載したいと思っております。
〇これで、4月月例ネット句会を終わります。来月の月例ネット句会は5月12日(日)となります。
また、5月24日(金)は信之先生の忌日にあたりますので、信之忌(芍薬忌)ネット句会を開催いたしますので、こちらへもご参加よろしくお願いいたします。詳細はのちほどネット短信と、月例ネット句会のこのブログ上でお知らせいたします。
2024年4月20日
髙橋正子
晴れ
春の日の無音の日差し満ちみちて 正子
あか詰草しろ詰草がおなじ野に 正子
たけのこと花苗を買う直売所 正子
●JAの直売所へ朝掘りたけのこを買いにでかける。今年は筍が豊作なので、店舗前でたくさん売っている。午後になると値段を下げて売るのがJAらしいが、断然、朝掘ったばかりのものがいい。お昼を食べながら、大鍋で2時間ほど茹でる。一晩ゆで汁に浸けたらできあがり。
●『ファウスト』(池内紀訳/集英社)は、大ゲーテ著と言うので敬遠していたが、年を取って読むと身につまされるところもある。意味もなく手にしたが、登場人物の語りが、初めて聞くことではなく、むしろよく聞いたようなことなので、面白く読めた。先師の臥風先生はゲーテの研究者であったので、自然と、ゲーテの言うようなことが、仲間内で共有されていて、私まで伝わったのかもしれない。また、ひとつには訳文のお陰かも知れない。
箱根湿性花園
晴れ
筍の竹に育ちて雨通す 正子
茅花の穂光れば辺りみな茅花 正子
茅花野を行きつつ「リリー・マルレーン」 正子
●昼間暑いぐらいなのに、朝夕は寒い。
●「テネシーワルツ」は覚えるぐらい聞いた。テネシー州の州歌5曲入っているらしい。そのままの歌詞で州歌なら驚くが、この曲、すぐ歌えそうで、歌うとむずしい。はじまりが3拍目の弱音、低い音で歌いはじめないと、一気にオクターブ飛ぶから声がでない。真面目人にはスウィングがむずかしい。
曇り、夕方小雨
花水木司書のブラウス白であり 正子
あちこちに白き紙あり春の夜 正子
春の真夜四国南端震度6 正子
●梅雨の走りのような天気。昨日美知子さんの電話で珈琲屋さんはお元気だと知る。数年前、ずいぶん具合が悪いと聞いていたので、美知子さんも私も珈琲屋さんは亡くなられたと思っていた。存命と知り嬉しく思った。文化の重みが残る安心感がある。「花冠」2023年9月号(信之先生追悼号)と2024年2月号を送る。信之先生が亡くなったことが松山の昔仲間に知られて、話に上っていると聞いた。
珈琲屋さんは、松山の文学サロン的だった。今では老舗と呼ばれるらしいが、思い出せば、昔も老舗の雰囲気だった。二番町の地下のお店には地上から下りていく。お店の大きな円卓は新聞や文芸雑誌などが雑然と置かれていた。マスターの作る出来立て食パンが懐かしいが、帰りに買うときは2斤買っていた。西村先生の『世紀末ウィーンの・・』では、ウィーンのカフェが文化人に重要な役をはたしていたことが知れる。
今流行っているカフェは、パソコンを持ち込んで一人で勉強をするのが流行っている。それはそうと、本の「黙読」は、グーテンベルクが印刷機を発明し、大量に本が印刷されるようになったからだと、『はじめて学ぶドイツ文学史』で読んだ。ずっと昔は、識字率が低かったから、声にだして演劇のように伝えることが大事だったのだろうから、「黙読」という行為は面白い現象かもしれない。
●図書館で『ファウスト』(一部・二部)と『迷宮の将軍』(ガブリエル=マルケス)など4冊借りる。図書館のあるセンター南の駅前のナチュラルガーデンの花がよく咲いて、フランネル・フラワーが白いネルのような感じ。白いネルは戦後のこと、母が寝間着に仕立ててくれていたので感触が記憶に残っている。駅前広場は面白い構造で街が下にある。波打ったような坂が上り下りしている街なので歩道から街が眺められる。この街、気に入っている。
●4月月例ネット句会の入賞発表において、次の吉田晃さんの句を入選句にあげるべきところ脱落しておりました。お詫びして訂正いたします。従って【入選句】は10句から11句となります。
互選3点句
17. 枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田 晃
大変失礼いたしました。
2024年4月16日
髙橋正子
曇り, 夕方雨
たけのこに雨大粒に降り出しぬ 正子
筍の切っ先明るい緑なり 正子
藤房の揺れつぎつぎと伝わりぬ 正子
自転車の子らに躑躅の赤く燃え 正子
●今朝、目が覚めるや、「言語をこえる」という言葉を、早とちりをしていたと気づいた。50年前のことなので、50年間ずっとそう思っていたのだから、粗忽者もいいところ。恥ずかしさを通り越して、笑うしかない。
●図書館から借りた本の貸出期限が明日。『コレラの時代の愛』(ガブリエル=マルケス著)『ぼくのドイツ文学講義』(池内紀著)『ドイツの詩を読む』(野村修著)『はじめて学ぶドイツ文学史』(柴田翔編著)の4冊。『はじめて学ぶドイツ文学史』は、ドイツ文学はよく知らない、おまけに文学史ほど嫌なものはない私が、読んでみて、これほど面白い「文学史」はこれまでなかったと思ったのだ。
文学史で面白かったのは、ノヴァーリスの『青い花』の原題は『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』だとか、グリム童話の「ヘンデルとグレーデル」の解題とか、1701年~1789年の時代思潮として、「ガリレオやニュートン以来、自然科学は人間理性に対する信頼を着実に高めていた。だが、知識が、それどころか人間が進歩すると言う考え方は、伝統的世界観と矛盾する。その世界観に従えば、人間世界がより良いものへ進歩することはありえなかったからだ。人間を救済するのは神の役目だった。この神と理性の対立をどう調停するかが、18世紀精神の最初に直面する大きな課題だった。」と書いてあった。人間はよりよく進歩するものと考えられていると思っていたから。
「はじめて学ぶ」の題が冠されているのは、有名な初歩の作品があげられているため。本質的な重要なことは解説されている。例えば、マンなら、『ヴェッチアに死す』、グリムなら「ヘンゼルとグレーテル」、ゲーテなら『ファウスト』のはじめのところ、など。
『コレラの時代の愛』は500ページの長編の割には2日で読み終えた。とても骨太の作家と思った。ストーリーは少々が違ったとしても、現実には無い話のようで、実は現実にある話と思えた。
●夕方、鯛ヶ崎へ行った。躑躅や皐月、藤、モッコウバラが満開。数日鯛ヶ崎に来なかっただけなのにこの変わりよう。竹林に筍は30本以上は出ていているかもしれない。小学生の子たちが山の階段を自転車で降りて来る。これはすごい。
晴れ
若葉して銀杏並木の坂なせる 正子
ふさふさと欅若葉が空を刷き 正子
●早朝からオナガがよく鳴いている。循環器の定期診療の日。ようやく検査数値が落ち着いた。 自分に合った生活ができるようになっている結果らしい。
●待ち時間、くまざわ書店に寄る。『戦後思想の到達点』(NHK出版)を立ち読み。柄谷行人と見田宗介のそれぞれに大澤真幸がインタビューした本。見田宗介の方に親近感をもつし、見ている世界が馴染みやすい。戦後、日本の思想はどうなって、どこまで行っているのか、はっきりと知りたいところ。
●三日見ぬ間に、とはよく言うが、本当にあたりが一度に若葉になった。慶大の銀杏並木が若葉色に染まり、欅もふさふさと若葉をそよがせている。新入生が真新しい制服でがやがやと駅へ集まってくる。三日前には気づかなかったこと。
晴れ
樹木葬墓地
葉桜となりつつ花びら風に散り 正子
墓地の桜いまだ小さし葉桜に 正子
寺の事務所
テーブルに黒き艶あり花おわる 正子
●午前に、4月月例ネット句会の金・銀・銅賞の6句にコメントを書いて、入賞発表。
●午後1時過ぎ、町田・鶴川の墓地の様子を見に行く。その後、お寺の事務所で一周忌と納骨式の打ち合わせをしたが、15分もかからなかった。運よく墓地から駅までの直通バスに間に合い、鶴川駅まで帰れた。乗ったのは私ひとりだけ。四月にしては暑いぐらいの日だったので、帰宅したときにはずいぶん疲れていた。
■4月月例ネット句会入賞発表■
2024年4月14日
【金賞】
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
「土が目覚める」という感覚がいい。耕すと、下になっていた土が上に出てくる。その時の土の色、風が吹いてきて匂う土。冬の眠りから覚めた、春の土が新鮮である。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
山に桜が咲いている景色も、それはそれで美しい日本の風景だが、桜が咲き終わると、急に山々に新緑が増え、山が生き生きとして感じられるのだ。花から新緑へ山の色の変化はすなわち、季節の移ろいの色。(髙橋正子)
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
「咲くぞ」の「ぞ」を入れると、中七が字余りになるが、その崩れに藤の花房が枝垂れ、その先に円錐の切っ先の力が読み取れる。また、散文的な表現の工夫に新しさがある。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
「踏みしめる」に確かさがある。参道には日がよく当たって、桜の影がしっかりとできている。しっかりした影でないと、「(踏み)しめる」感覚はわかない。一歩一歩の充実した着実さがうかがえる。(髙橋正子)
28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏
「桜若葉」というあたらしい表現。葉桜になる少しまえに、柔らかな葉となっている。それを若葉と言った。駅や線路沿いにある桜の枝は、列車の風圧で揺れる。若葉と朝と、揺れに、さわやかさ新しさが感じらえる。(髙橋正子)
34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子
桜が散るとすぐに葉桜の季節になる。新年度のあわただしが落ち着き、葉桜となった枝は、青々とした葉をゆったりと揺らせている。「ゆったり」した感じがよい。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
桜が満開の参道です。桜を仰ぐ目を下に向けると桜の影も同じように満開なのです。(多田有花)
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/吉田 晃
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく/柳原美知子
31けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子
【髙橋句美子特選/7句】
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑/桑本栄太郎
散ったばかりの一面の花の色が乾くにつれて色濃く染め上げられ、その最後の美しさに桜の季節の名残りが惜しまれます。 (柳原美知子)
07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに/高橋秀之
春の日差しを受けて輝く新芽の色の美しさに見とれる心地よいひととき。心もはればれと良い一日になりそうです。 (柳原美知子)
18.春水を吸ってあかるい芽の緑/ 吉田 晃
生き生きとした新たな芽吹きから春らしさを感じました。明るい季節を予感させる素敵な光景です。(西村友宏)
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ/髙橋正子
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏
【入選/11句】
01.あの辺り金蔵寺とや花の雲/桑本栄太郎
洛西大原野にある金蔵寺ですね。どこか高いところから見晴らしておられるのでしょうか。大原野に一面の桜、古刹の名前も雅やかです。 (多田有花)
04.山風にあらがう麦の青さかな/小口泰與
人間や他の動物のように歩いたり走ったりすることが出来ない植物は風にあたり揺れ動く事により、運動となり大きく成長すると云います。今の時季は日々春めくと共に風も良く吹き、抗うように揺れる青麦の様子が見えるようである。(桑本栄太郎)
09.ふと見れば白夜の空に桜舞う/高橋秀之
白夜の薄明りの空に舞う桜、長い夜を彩ってくれ、異国情緒が漂いますね。(柳原美知子)
10.子雀の水浴びしたる潦/廣田洋一
雨上がり潦におぼつかない足取りで近寄り、水浴びをしている子雀に寄せる作者の優しい視線が感じられます。 (柳原美知子)
21.花吹雪く展示車両のひかり号/ 祝恵子
京都の鉄道博物館でしょうか。東海道新幹線開通時に走ったひかり号が展示されています。今のものより丸い雰囲気で穏やかに花吹雪を浴び余生を楽しんでいます。(多田有花)
24.時おりは花びらに触れ歩きけり/多田有花
桜並木を散策していると、時々、さくらに触れて思わぬ喜びをもらいます。(祝恵子)
27.山桜眼下に我が町光る海/柳原美知子
山桜の咲いている場所から見下ろしている景色がよく見える。光る海が良い、景色を大きくみせる。(廣田洋一)
05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな/小口泰與
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀/小口泰與
17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田晃
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩/西村友宏
■選者詠/髙橋正子
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
桜吹雪の谷その中を蝶が飛んでいきます。まるで花びらの一片でもあるかのように。(多田有花)
14.花散るやしずかな息をはく地球
一年後また花を咲かせるためにしずかに花は散る。地球上の万物はそのようにしずかに息をはき、時を待ち、息をつなぎ、命をつないでゆく。その循環がとだえることのないように祈りたいですね。 (柳原美知子)
15.はちみつのような春の森時間
■選者詠/髙橋句美子
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
人ごみに晒された喧噪が去り、ようやく静かになった。葉が緑の色を広げ、残り少なくなった花が、その陰にあって、これまでの疲れをいやすかのように青空にゆったりとゆれている。(吉田 晃)
35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
普段はひらひらと地面に揺れ落ちる桜が花吹雪として舞っている。吹き上げられて大空に向かった桜の葉にびらはどこへ行くのか。いろんな想像が膨らむ光景です。 (高橋秀之)
36.花祭り音楽聞こえた母の便り
互選高点句
●最高点句(5点)
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
集計:髙橋正子
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