■ご挨拶/4月ネット句会■


○ご挨拶/高橋正子(主宰)
桜が散り、桜蘂もすっかり落ちてしまったというのに、まだ肌寒い日が続いています。12日は淡路島で震度6の地震があり、驚かされました。関西地方の皆様は、大丈夫でしたでしょうか。お見舞い申し上げます。花々も随分たくさん咲き始めましたが、今夜、明日と、お天気は不安定なようです。先月の3月句会からは、第2日曜日を定例ネット句会としました。特別に題を決めるわけではないので、いろいろな行事を含めて、思い思いにその月の自信句をご投句いただいたのではと思います。入賞の皆様おめでとうございます。春も進んで、ますます句材に恵まれることでしょう。来月もまた楽しみです。今月は23名のかたに、ご参加いただきました。選とコメントをありがとうございました。句会の管理運営は信之先生に、互選句の集計は藤田洋子さんに、いつものようにお世話いただきました。ありがとうございました。これで定例4月ネット句会を終わります。来月の句会は、は5月12日(日)となります。楽しみにお待ちください。

○ご挨拶/小西 宏(花冠同人会長)
高橋信之先生
高橋正子先生
この度もまた「ネット句会」をご開催くださり、たいへんありがとうございました。同人、会員一同、いよいよ励みをもって新境地に向かい句作にチャレンジいたしました。先回3月11日の「3月ネット句会」からまだ一ヶ月ほどしか経っていませんが、投句の中に多く見られた季語は梅、青き踏む、水温む、ひいな、卒業、初蝶などの早春の香りから、今回4月句会は桜蘂、八重桜、入学式、燕来る、夏近しなど春長けた響きへと少しずつ移り変わっています。
むろん日本は南北に長い国ですし、高低、海沿い、内陸の違いがあって季節感は様々ですが、着実に季節が移り動いているのが感じられます。これもインターネットという広汎性を受け入れながら、しっかりと季節感を捉えて離さない俳句の力強さ、花冠の幅広さを示しているのだろうと思います。
集計にご尽力くださった藤田洋子さまをはじめ、ご協力くださったスタッフの方々、ご投句、ご選句下さったみなさまに心より感謝およびお礼申し上げます。

○ご挨拶/佃 康水(当番スタッフ)
高橋信之先生、高橋正子先生。
先月から新たに「定例ネット句会」という名称のもと、今月も4月ネット句会を開催いただき誠にありがとうございます。今回も 日本列島の桜一つを見ても地域差が感じられ、インターネットならではの醍醐味を楽しませて頂きました。晩春の皆様の素晴らしい投句やコメントなどからも勇気を頂いたり、多くの事を学ばせて頂き、心豊かな思いにひたることが出来たのも嬉しい事です。これからの時節、愈々春も深まり野山はますます若葉から新緑へと推移し爽やかな初夏の時期を迎えようとしています。次回の5月定例句会を今から楽しみにさせて頂きましょう。入賞の皆様誠におめでとうございます。
藤田洋子様、句会のお世話をいただきありがとうございます。そして選句やコメントなど皆様とご一緒に参加出来ました事に感謝しつつ4月ネット句会のご挨拶とさせて頂きます。

○ご挨拶/安藤智久(当番スタッフ)
信之先生、正子先生、4月ネット句会が23名の仲間の明るい句に溢れ、清々しい気持ちで開催されたことを心よりお慶び申し上げます。フェイスブックから「花冠ネット句会」へと場を移しての第2回目の句会になりますが、今まで慣れ親しんだブログ上での開催ということで、落ち着いた気持ちでパソコンに向かうことができました。ネット上のサービスは次々と新しいものが出てきますが、句会に適した場、花冠に適した場を常に深く考えてくださっている両先生のお心遣いに感謝いたします。
 さて、伊豆では河津桜が寒さでだいぶ遅れ、逆にソメイヨシノは急な暖かさで花数が少ないまま早くに終わってしまいました。不順な天候ですが、各地の皆様の俳句を拝見いたしますと、着実に春が深まっていることを実感いたします。緑が萌えだすこの季節、入学や誕生の句もみられ、皆様も若葉の色のようなみずみずしい気持ちで句会を楽しまれたことと思います。
 私はただ参加するだけの当番スタッフとなってしまいましたが、入選句にコメントを寄せて頂いたスタッフの皆様、集計の藤田洋子様、本当にありがとうございました。

■4月ネット句会入賞発表■

■4月ネット句会■
■入賞発表/2013年4月15日■

【金賞】
★花林檎溢れ街角あらたまる/小川和子
林檎の花が咲くときは、長い冬が終わり春が来たとき。街角も「あらたまる」。新鮮な感じだけでなく、なにか厳かな感じを秘めている。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★風船の真っ直ぐ上る大空へ/高橋秀之
風もなく風船が真っ直ぐに大空へ上がってゆく。「すうっと、自然のままな」状態に快さを感じる。春のおおらかさ、のびやかさがいい。(高橋正子)

★桜蘂降るを載せきしボンネット/川名ますみ
鏡のようなボンネットに降った紅色の桜蘂のイメージが鮮明。桜蘂を払わずにやって来た車に現代風な風流がある。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★チューリップ一万本の赤うれし/井上治代
一万本の赤いチューリップに、思わず微笑みと嬉しさがこみ上げてくる。チュ-リップと言えば、まずは赤、その可愛らしさ、あどけなさを素直に受け止めているのがよい。(高橋正子)

★掘りあげし筍は地のあたたかさ/安藤智久
掘り上げたばかりは、地中のあたたかさとなっている。ほっこりとした土をつけた柔らかな筍への愛おしみ。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★八重桜どつと大きな風に散る/川名ますみ
満開の八重桜は枝が見えない程重く垂れ下がっている。そこに強い風が吹きどっと散っている八重桜。まさにものの哀れを感じます。 (小口泰與)

★フリージア咲くだけ剪りてみどり児に/高橋正子
みどり児は見ているだけで周りを明るい気持ちにさせてくれます。そのみどり児に目の前にあるフリージアを咲くだけ剪りてが嬉しさ、優しさを感じさせてくれます。(高橋秀之)
大切な赤ちゃんへ、丹精されたフリージアを「咲くだけ剪りて」贈られたのでしょう。精一杯の、そして余分のない、祝福のお気持ちが、花束から香りたつようです。誕生の歓びと、未来の明るさを想い、力強い心地です。 (川名ますみ)

★青麦の畑の青さよ風清し/小川和子
畑一面に、麦の若葉が青々と伸び、その上を吹いてくる風がとても清らかで爽やかです。生き生きとした光景に、おもいきり深呼吸したくなるような清々しさを覚えました。(藤田裕子)

★チューリップ一万本の赤うれし/井上治代
公園か広場か1万本の赤いチューリップが勢揃いして可愛く咲き誇っています。春爛漫、広々と咲く赤いチューリップは気持ちを浮き立たせ開放的な嬉しさが湧いてまいります。 (佃 康水)

★このカーブ曲がれば今年も山桜/古田敬二
毎年訪れている山桜。このカーブを目印に、曲がれば見えてくる山桜。浮き浮きとした喜びが伝わってまいります。きっと清楚な山桜だったと思います。(藤田裕子)

★葉も花も朝日を透かせチューリップ/安藤智久
チューリップに注ぐ春陽がきらきらと眩しく、葉も花も鮮明で、春の喜びを感じます。赤や黄のチューリップが目の前に広がります。(藤田裕子)

★芝青む丘ふくらみて子ら遊ぶ/藤田洋子
丘の芝も青く伸びてきて春の光景を見せてくれます。冬の間、家の中で遊ぶことの多かった子どもたちも、外へ出て遊んでおります。自然の中で元気に遊ぶ子供達を優しく見つめられています。(藤田裕子)

★花林檎溢れ街角あらたまる/小川和子

【高橋正子特選/8句】
★蛇口へと集まる子らに夏近し/小川和子
春の陽射しは時には暑いほどに感じる日もある。戸外で元気に遊ぶ子供らの、急き切って水を求める明るい表情が見てとれて心地良い。(桑本栄太郎)

★新しき光りを路地へ燕くる/藤田裕子
ひらりと舞う燕の影が空に横切った瞬間、我が町にも新しい季節が訪れたことを実感する。燕を「新しき光り」と爽やかに表現されたところが新鮮です。(安藤智久)

★.鶯に啼かれて森の仲間となる/高橋信之
鶯のあのやわらかな呼び声はなんでしょうか?木霊する森の響き、芽生えの木々のうす緑、そして歌声の後のひっそりとした静まり。つまり皆、仲間として森に迎え入れられた訪れ人の喜びでしょう。 (小西 宏)

★掘りあげし筍は地のあたたかさ/安藤智久
筍は、春の太陽のあたたかさを十分に吸い込んだ土の中で成長します。掘った筍に触れてみると、そのあたたかさが残っています。それを、「地のあたたかさ」と感じた作者の豊かな感性が素晴らしいと思います。筍ご飯や煮しめなどごちそうがたくさんつくれたことでしょう。 (井上治代)
新鮮な大地の恵み、地のあたたかさが好きな表現です。(渋谷洋介)
自らの手で収穫された筍、その筍を手に取ったら暖かかったという新鮮な驚き。それは大地の暖かさ、土のぬくもりです。(多田有花)

★桜蕊降る公園の夜半の月/渋谷洋介
静かに降ってくる桜蕊。時間の流れる音もきこえるようです。空には明るい月が出て、いつまで見ていても飽きない美しい情景です。(井上治代)

★桜蘂降るを載せきしボンネット/川名ますみ
★風船の真っ直ぐ上る大空へ/高橋秀之
★花林檎溢れ街角あらたまる/小川和子

【入選/16句】
★夏近し放つ稚鮎の躍り出づ/佃 康水
水温む夏近くとなると毎年川に稚鮎の放流があるようです。放たれて躍り川に入る稚鮎たち、大きくなり釣り人たちを喜ばすことでしょう。(祝恵子)
シーズンに備え稚鮎の放流の時期でしょうか。跳ねて踊りながら稚魚が川に飛び込んでゆく様子は釣り人たちを鼓舞せずにはおれませんね。(河野啓一)

★水音もあたたか水路の草を引く/安藤智久
寒さもようやく和らぎ、日ごとにあたたまる水辺。快い水音を聞きながら水路の草を引くひとときに、明るく柔らかな水辺の春を感じます。(藤田洋子)

★お互いに手を振り交わす花見舟/祝恵子
春爛漫の花見舟。美味しいお花見弁当もあるでしょう。うきうきした舟同士擦れ違い、お互い手を振って楽しそうですね。 (迫田和代)
楽しそうな景がすぐ目に浮かぶ。(下地鉄)

★曙の地震が木の芽を驚かす/多田有花     
昨日の朝の地震には私も驚きましたが木の芽も驚くとは意外でした。今出てきたばかりの柔らかい木の芽が驚き震えたと考えられる豊かな発想に感じ入りました。(黒谷光子)

★春の風赤子の祝いにびゅんと鳴る/高橋句美子
赤ちゃんの誕生祝いでしょうか。春風がお祝いするかの様にびゅんと鳴って通り過ぎて行った。びゅんと鳴ると詠まれたのは きっと心地良い風だったのでしょう。春風の音と赤子の措辞に赤ちゃんへ注がれている優しい眼差しが見える様です。 (佃 康水)

★髪切りて春愁少しほぐれゆく/藤田裕子
冬の間にやや伸びた髪をカットして外に出ると春風が首筋に気持ち良い。春風が心のわだかまりを解きほぐしてくれるようだ。(古田敬二)

★風あらば遠まわりして花吹雪/黒谷光子
真っ直ぐに落ちるのではなく、風に流され、舞うように落ちる桜の花びら。桜吹雪がたくさんの桜が風に流され散る様子を感じさせてくれます。(高橋秀之)

★入学式明るい声が駅にあふれ/高橋句美子
駅に溢れているとあるから高校生でしょうか。これからの新しい生活への希望が全員の明るい声になり、笑顔が見えてくるようです。(高橋秀之)

★芝にふれ枝にふれつつ春の蝶/下地鉄
蝶の姿をいくつも見かけるようになりました。明るい日差しの中ひらひらと飛ぶ蝶、それを目で追っておられる詠者の姿が浮かびます。 (多田有花)

★ダムの湖を抱きて花の盛りかな/佃 康水
ダムのほとりに沿って桜が植えられています。やや高い位置から湖と桜並木を遠望むされたものでしょうか。春の盛りの華やかさがあります。 (多田有花)

★たらの芽や宅配食のいろどりりに/矢野文彦
宅配のお弁当にたらの芽が添えられていました。季節の彩りを忘れない心遣いがうれしいですね。たらの芽の歯ざわり、香り、かすかな苦味を堪能されたことでしょう。 (多田有花)
宅配食の心づくしですね。たらの芽など、春の香りと彩りを届けてくれています。そしてこの俳句も。 (小西 宏)

★若い日のあれこれ想う桜餅/迫田和代
桜餅の香りと彩りが若さによく似合います。そんな若い日にも、桜餅を手にして、ふと思うことがあったのでしょうか? 何か嬉しいことでしょうか、あるいは春の愁いのようなものでしょうか? (小西 宏)
桜餅の香りと味が、若い日の出来事を思い出させてくれ、懐かしさがこみあげてきます。今では、楽しかったこと、苦しかったこと、すべてがいい思い出になりました。(井上治代)

★ピアノ演奏響く窓辺の春の空/河野啓一
窓からピアノの音が聞こえて来ます。軽やかな響きです。見上げれば明るい春の空。ゆったりとした、静かな一時を感じさせてくれます。 (小西 宏)

★ハナミズキ蝶きて白き身のこなし/小西 宏
青い空へ揺れているハナミズキを眩しく思う今日このころです。白蝶のひらひらと舞うすがたを見て「身のこなし」と表現された事で、白蝶のしなやかさそして瑞々しいハナミズキが目に浮かび、ほのぼのとした春の明るさが感じられます。 (佃 康水)
ハナミズキの高さに蝶が舞いおりました。「白き身のこなし」一瞬目が離せません。(祝恵子)
 
★葉も花も朝日を透かせチューリップ/安藤智久
清々しい朝の光の中で、可愛いチューリップが咲いています。朝日を透かせて輝いているチューリップから今日一日の活力を与えられそうです。(井上治代)

★青空の雲は動かず花蘇芳/桑本栄太郎
青空の青、動かない白い雲、地上には赤い花蘇芳、配色の見事さです。(祝恵子)

★頬白や浮子のとどまる瀞碧し/小口泰與
頬白の鳴く声やびくつかない浮子、眠気を誘うような心休まる静かな瀞渓での時間です。(祝恵子)

■選者詠/高橋信之
★鶯に啼かれて森の仲間となる
鶯のあのやわらかな呼び声はなんでしょうか?木霊する森の響き、芽生えの木々のうす緑、そして歌声の後のひっそりとした静まり。つまり皆、仲間として森に迎え入れられた訪れ人の喜びでしょう。 (小西 宏)

★午後の陽が燦々農地の藤咲かせ
★花水木に空青あおと明るい未来

■選者詠/高橋正子
★フリージア咲くだけ剪りてみどり児に
みどり児は見ているだけで周りを明るい気持ちにさせてくれます。そのみどり児に目の前にあるフリージアを咲くだけ剪りてが嬉しさ、優しさを感じさせてくれます。(高橋秀之)
大切な赤ちゃんへ、丹精されたフリージアを「咲くだけ剪りて」贈られたのでしょう。精一杯の、そして余分のない、祝福のお気持ちが、花束から香りたつようです。誕生の歓びと、未来の明るさを想い、力強い心地です。 (川名ますみ)

★山陰にふいに水湧き著莪の花
著莪の花は山陰、竹藪、庭隅などのあまり目立たない所で良く見かけます。著莪の花をひっそりとした山陰に見つけられ、その辺りの地の湿りに水の湧いていることにきずかれ「ふいに水湧き」と詠まれたのでしょうか。著莪の花の咲いている情景が見えてまいります。 (佃 康水)

★藤棚の下の匂いのかすかなり

■互選高点句
●最高点(9点)
★新しき光りを路地へ燕くる/藤田裕子

●次点(7点)
★芝青む丘ふくらみて子ら遊ぶ/藤田洋子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

▼コメントのない句にコメントをお願いします。

■4月ネット句会清記■

■4月ネット句会■
■清記/23名69句

01.村人は黒点として菜花原
02.このカーブ曲がれば今年も山桜
03.健やかなこの一年ぞ木の芽掻く
04.青空の雲は動かず花蘇芳
05.乙訓の花菜明かりや風の黄よ
06.天よりの神の讃歌や揚ひばり
07.さくらしべ車に降りて街へ出づ
08.桜蘂降るを載せきしボンネット
09.八重桜どつと大きな風に散る
10.曙の地震が木の芽を驚かす

11.手をひかれ降りる階段花の下
12.麗かな大気の中に横たわる
13.水音もあたたか水路の草を引く
14.葉も花も朝日を透かせチューリップ
15.掘りあげし筍は地のあたたかさ
16.緑立つ金平糖の角の数
17.頬白や浮子のとどまる瀞碧し
18.菜の花や坂東太郎荒あらし
19.ハナミズキ蝶きて白き身のこなし
20.遠峯の白しずやかや北桜

21.赤四手の芽吹きに涼し山の風
22.譲られて八十路の春と思い知る
23.カラー咲く孫4歳の微笑みに
24.桜蕊降る公園の夜半の月
25.春陽浴び今日は今日まで明日は明日
26.若い日のあれこれ想う桜餅
27.お懐紙に青色残す草餅を
28.ピアノ演奏響く窓辺の春の空
29.蝶を呼び香りを撒いてリラの花
30.青草を踏んで素足の心地よき

31.髪切りて春愁少しほぐれゆく
32.新しき光りを路地へ燕くる
33.一瞬に地震春暁を破壊せり
34.妻も子も出かけし後の大朝寝
35.風船の真っ直ぐ上る大空へ
36.自転車で走る街並み春うらら
37.残照の入江舐めつつ暮れる春
38.芝にふれ枝にふれつつ春の蝶
39.山の宿岩間に白きチュリップ
40.夏近し放つ稚鮎の躍り出づ

41.ダムの湖を抱きて花の盛りかな
42.春風と朱の橋渡る音戸瀬戸
43.花林檎溢れ街角あらたまる
44.青麦の畑の青さよ風清し
45.蛇口へと集まる子らに夏近し
46.高階の屋上農園葱坊主
47.ビル内の木工展示に巣箱あり
48.お互いに手を振り交わす花見舟
49.たらの芽や宅配食のいろどりりに
50.囀りや貸し農園の一樹かな

51.せめぎあう建つマンションと春の田と
52.風雨去り残花きらりと葉も光る
53.芝青む丘ふくらみて子ら遊ぶ
54.春の草引くたび風の匂いする
55.山陰にふいに水湧き著莪の花
56.藤棚の下の匂いのかすかなり
57.フリージア咲くだけ剪りてみどり児に
58.午後の陽が燦々農地の藤咲かせ
59.花水木に空青あおと明るい未来
60.鶯に啼かれて森の仲間となる

61.チューリップ一万本の赤うれし
62.雨粒も鏡にうつる黄水仙
63.宙(そら)深し春満月のぽっかりと
64.街灯にしらじら浮かぶ夜の桜
65.白木蓮錆びかけ幼き葉の覗く
66.風あらば遠まわりして花吹雪
67.入学式明るい声が駅にあふれ
68.うららかな商店街に鼓笛隊
69.春の風赤子の祝いにびゅんと鳴る


◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、4月14日(日)午後7時から始め、同日(4月14日)午後10時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、4月15日(月)正午です。
※2) 伝言・お礼等の投稿は、4月14日(月)正午~4月15日(火)午後6時です。

※選句を開始してください。

●4月ネット句会投句箱●


▼4月ネット句会の投句案内
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2013年4月14日(日)午前0時~午後6時
※事前投句が許されますので、事前投句をご希望の方は、お申し込みください。
③投句は、下の<コメント欄>お書き込みください。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月14日(日)午後7時~午後10時
②入賞発表:4月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月15日(月)正午~4月16日(火)午後6時

▼スタッフ(12名):
①高橋正子(句会主宰)・②高橋信之(管理)・③藤田洋子(管理)・④藤田裕子・⑤井上治代・⑥高橋句美子・⑦祝恵子・⑧多田有花・⑨高橋秀之・⑩小西宏・11安藤智久・12佃康水
▼4月句会当番スタッフ:
小西 宏・安藤智久・佃康水

■ご挨拶/3月ネット句会■

○ご挨拶/高橋正子(主宰)
前回は、第21回(立春)フェイスブック句会でしたが、今回から、月例ネット句会といたしました。毎月第2日曜日に開催します。昨日9日は、初夏なみの気温、今日3月10日は、一日強い風が吹きましたが、暖かい陽気に恵まれました。お陰さまで気持ち良く過ごせました。今日の句会は、花冠5月号雑詠投句の締め切り日と重なりましたが、無事句会を終えることができました。入賞の皆さまおめでとうございます。今回は23名の方が参加され、いよいよ春が来たという句がたくさんあって、気持ちものびのびいたしました。選とコメントをありがとうございました。今月も同人の皆さまの生活のある句を読んで、遠く離れて暮らしておられるにも関わらず、身近に感じることができて楽しい思いになりました。句会の管理運営は信之先生、集計は洋子さんにお願いいたしました。お世話をありがとうございました。またスタッフの皆さまにはコメントをありがとうございました。これで3月ネット句会を終わります。次回は4月14日(日)です。楽しみにお待ちください。

○ご挨拶/藤田洋子(事務局長)
3月ネット句会ご参加の皆様、お世話になりありがとうございました。今月より、先月までのフェイスブック句会から月例ネット句会へと一新されましたが、ネット句会ならではの充実さを一層感じることができました。
奇しくも東日本大震災から2年を迎える今日、鎮魂の一日に様々な思いが深まります。その中で、ご参加の23名の皆さんの俳句を通して、生活実感から生まれる俳句の力をあらためて感じるところです。ものみな生き生きといのちを育む3月、万物に訪れるささやかな季節の喜びにこれからの希望や明るさを与えていただきました。このような句会の場のひとときに感謝し、今後も心あらたに俳句と向き合っていきたいと思います。
信之先生、正子先生には句会の運営や管理に至るまでお世話いただき、スタッフの皆様にはコメントのお世話をいただきありがとうございました。

○ご挨拶/祝恵子(当番スタッフ)
信之先生、正子先生、3月ネット句会の開催をありがとうございます。藤田洋子様、いつも集計等お世話様です。
3月に入りこの数日は暖かい日が続いております。各地の皆様の句で、春を迎えた喜びが伝わってくるようです。入賞の皆様おめでとうございます。土筆を初摘みをしてきました。午後からの雨で、増えていくことでしょう。このような楽しみは俳句を始めたことによる喜びでもあります。楽しい句会を皆様とご一緒できて幸せです。ありがとうございました。

○ご挨拶/高橋秀之(当番スタッフ)
高橋信之先生、高橋正子先生。
3月ネット句会を開催いただきありがとうございます。
藤田洋子様。句会のお世話をいただきありがとうございます。
今回はちょうど一気に春の暖かさが訪れた時期に重なり、「春の息吹」「春の勢い」を感じさせてくれる句がたくさんあり、元気と明るさを皆様方の句からいただきました。
地域によって、いろんな「春」があり、改めて日本は広いということと、これまで先生方が培ってくださった「ネット句会」のありがたさ、意義というものを感じさせてもらいました。
前回まで第21回を数えたフェイスブック句会から、今回より「月例ネット句会」に発展的に句会が変わりましたが、これを機に、また新たな気持ちで、皆様方とともに俳句に精進していきたいと思います。
最後に、入賞されました皆様、おめでとうございました。

■3月ネット句会入賞発表■

■3月ネット句会■
■入賞発表/2013年3月11日■

【金賞】
★菜の花や煌めく海へ揺れ止まず/佃 康水
「煌めく海」と「揺れ止まず」は、納得する動的な関係。黄色い菜の花を揺する風は、海にも吹いて海を煌めかす。海と菜の花の色彩が鮮やかで、煌めきのある生き生きとした句である。(高橋正子)

【銀賞】
★ふるさとの青きを踏んで師の墓参/古田敬二
ふるさとに青きを踏むときは、しみじみとした気持ちになるもの。ふるさとの師の墓参であれば、気持ちはなお深む。「ふるさと」と「青き踏む」が醸す抒情がいい。(高橋正子)

【銅賞】
★角とれて三月の雲ふわり浮く/藤田裕子
三月の声を聞くと、のどかな気持ちが湧くが、空を見上げれば、雲も角がとれてふわりと浮く春の雲となっている。「角とれて」は、素晴らしい発見。(高橋正子)

★帰る地のある幸せよ鳥雲に/桑本栄太郎
鳥が小さくなって、淋しくも雲に入って行く。ふるさとへ帰る鳥たちであるが、「帰る地がある幸せ」を地上から見上げ、わが身と重ねて思う作者である。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★菜の花や煌めく海へ揺れ止まず/佃 康水
海べりの菜の花畑であろうか?海水が春の日差しに煌き、菜の花の黄色と相俟って穏やかで明るい春の真っ只中である。(桑本栄太郎)

★帰る地のある幸せよ鳥雲に/桑本栄太郎
渡り鳥が北へ帰ってゆく季節。自然とともにある鳥の習性とは言え、一抹のさびしさと、帰る地のある希望とがうかがわれます。 (小川和子)

★魚跳ぶや紙漉き村の水温む/佃 康水
やっと寒さも和らぐ山里、水底に身を潜めていた魚も泳ぎ出し、明るい春の動きを感じ取れます。手漉き和紙の村なればこそ、厳しい寒さを越した「水温む」春の訪れがいっそう明るく温かく思われ、季節の喜びを感じます。(藤田洋子)

★碧色の空へと梅の咲きのぼる/多田有花
碧色に広がる大空にむかって咲きのぼってているように感じるほど梅の花が満開なのでしょう。暖かい春を感じさせてくれる光景です。 (高橋秀之)
春の空を「あおみどり」と捉えたところに新鮮な説得力があります。そこに「咲きのぼる」梅の花の姿も実感として明るく想像することができます。(小西 宏)

★春嵐玻璃戸の内のしんかんと/高橋正子
★角とれて三月の雲ふわり浮く/藤田裕子
★ふるさとの青きを踏んで師の墓参/古田敬二

【高橋正子特選/7句】
★ふるさとの青きを踏んで師の墓参/古田敬二
ふるさとの青々とした草を踏みながら、恩師の墓参りをされました。春の野山に包まれ、遠き日を思い出しながら、いい時間を過ごされたことと思います。(藤田裕子)

★菜の花や煌めく海へ揺れ止まず/佃 康水
畝を成してまっすぐに延び広がる菜の花。陽の光を集めて黄色の広がるその向こうに、キラキラ光る春の海。そこから吹く風に菜の花畑はゆったりと揺れる。大きな景を想像させる句である。(古田敬二)

★数本を摘んでお披露目初土筆/祝恵子
初土筆を摘む喜び、お披露目して春をおすそわけするような喜びにあふれた生き生きとしたお句ですね。(柳原美知子)

★緋毛氈しいて飾らる紙ひいな/河野啓一
★蝶々の戯れ昼の頂に/多田有花
★きらきらと春風を蹴るスニーカー/川名ますみ
★今日一日晴れている桜と吾に/高橋信之

【入選/28句】
★うららかや水替えており辻地蔵/祝恵子
春の日が輝きわたって、万象ことごとく柔らかく明るく美しく見える里山の道筋に鎮座するお地蔵様のお花の水も変えられ清々しい。素敵な気分になり、気持の良い景になりますね。(小口泰與)
お地蔵様も春のうららかな日、新しい水に変えてもらってうれしいことでしょう。(高橋秀之)

★陽をうけて古草緑また緑/矢野文彦
陽射しの明るさに、青々と萌え出でる古草がことさら瑞々しく、新たな息吹の喜び、再生への願いが感じ取れます。(藤田洋子)

★野道行く囀り空に充ち溢れ/河野啓一
野道には仏の座やはこべなどの花が咲き、春風が優しく頬をかすめます。空からは春の喜びを表わす囀りが聞こえ、生命力溢れる光景です。(井上治代)

★一品は菜の花和えを祝いの日/藤田裕子
どのようなお祝い事なのでしょうか?その席に菜の花和が出ました。あるいはお家で作られたものなのか。菜の花の明るい黄色がお祝いにふさわしいですね。(多田有花)
お祝いの御膳を調えていらっしゃるのでしょう。今の季節であれば、やはり「一品は菜の花和えを」と思います。春らしいお料理に、明るいひとときが生まれたこと、おめでたい気持ちになりました。(川名ますみ)

★ベビーカーの足跳ねている暖かし/多田有花
暖かくなると外に出ることが大好きな子たち。ベビーカーでも足が自然と跳ねている。なんとほほえましいことでしょう。 (祝恵子)
あたたかい春の日、ベビーカーの赤ちゃんも上機嫌ですね。元気よく足を跳ねているかわいい様子が目に浮かびます。(黒谷光子)

★盛り上る土に並ぶ芽チューリップ/藤田洋子
可愛い花を咲かせてくれるチューリップをお庭で育てていらっしゃるのでしょうか。球根を植える際、つちを耕したり、施肥をしたり、水やりをしたりと手を加え、次第に土が盛り上がって芽が出始めると花の咲く日が待たれます。(佃 康水)

★三月の日記にしるす晴れマーク/井上治代
何の晴れマークでしょうか?。耕作日記でしょうか?。何にしても嬉しいですね。(迫田和代)

★青柳や岸辺にぎわす稚魚の群/小口泰與
川沿いに青柳がある川。その岸辺には稚魚の群れ。春になり、暖かくなり、これからに向かう自然の生命の息吹を感じる光景です。 (高橋秀之)

★光散る岸いぬふぐり群生す/小西 宏
瑠璃色に光を放ち群生している光景は目を見張るばかりです。目を凝らせば次々に見えて来て、辺り一面に光りが散らばって涼やかな景色が見えてきます。(佃 康水)

★箸置きに桃の花見て節句知る/迫田和代
お節句の日のお食事の席に桃の花が箸置きとして添えられている。「ああ!今日はお節句だったんだ」と職員さん方のさり気無い気配りが嬉しかった事でしょう。楽しいお食事の様子が垣間見えて参ります。(佃 康水)

★迷ひ猫捜す貼紙春の風/古賀一弘
貼紙と春風と迷い猫を目にした詠者、猫ちゃん見つかったのでしょうか。(祝恵子)
春の風に誘われて、猫が遠出をしてしまったようですね。貼紙も風に揺れているようで、ユーモラスな楽しい句だと思います。(小西 宏)

★春驟雨村中総出の道普請/黒谷光子
春雨が降ったりやんだりの中、村人が力を出し合い道普請に精を出す、仕事がはかどります。(祝恵子)

★早起きと朝寝の子らの日曜日/高橋秀之
日曜日はゆっくり寝たいお父さん、早起きの子もおれば寝たい子もいる。今日の始まりです。(祝恵子)

★きらきらと春風を蹴るスニーカー/川名ますみ
いかにも軽々と足を運ぶスニーカーの動きがまぶしく春到来を伝えてくれています。(小西 宏)
春になると心がうきうきしてきて、外で思い切りかけまわりたくなります。「春風を蹴る」という表現がそのような気持ちをよく表していると思います。(井上治代)

★噴水のぶつかり落ちる飛沫かな/下地鉄
沖縄では、もう暑さを覚えるころかもしれません。噴水の飛沫に当たる亜熱帯の日差し、きらめく噴水の飛沫とそれがたてる音、ひたすらに明るい情景です。 (多田有花)

★鳥の声明るく澄みて山笑う/井上治代
空はよく晴れ、梅が咲き、風がやわらかくなりました。野鳥が囀り始め、周囲の山の木々も春めいてきています。春を迎えた喜びが御句全体に溢れています。 (多田有花)

★陽気よき谷戸に初蝶見失う/小川和子
暖かくなったなあと思いつつ歩かれていたのでしょう。そこにふわっと今シーズン初めての蝶。視線でそれを追いかけられましたが、春の眩しい光に溶け込むように蝶の姿は消えてしまいました。 (多田有花)

★光散る岸にいぬふぐり群生す/小西宏
光溢れる岸辺に群生するいぬふぐり。ひとつ、ひとつの花は小さいけれど、集まって咲いていると、青い絨緞のようでとてもきれいです。(井上治代)

★春光やみなとみらいの煉瓦街/渋谷洋介
春のやわらかな光が降り注ぎ、みなとみらいの煉瓦街も明るく輝いています。春本番の季節になり、未来への夢も広がっていきます。(井上治代)

★緋毛氈しいて飾らる紙ひいな/河野啓一
丁寧に緋毛氈をしいて飾られた紙ひいな、紙ひいなも喜んでいらっしゃるようで、ほのぼのと心あたたまります。季節を慈しむお暮らしもうかがえる紙ひいなの趣きです。(藤田洋子)

★卒業歌調子はずれのトランペット/柳原美知子
晴れやかな卒業式の緊張を解してくれるようなトランペットの音色。その音色の温かさに、春めく明るさの中での、うららかな卒業式の情景を思いうかべます。(藤田洋子)

★春驟雨村中総出の道普請/黒谷光子
「村中総出の道普請」が利いています。羨ましい地域のきずなとその場の人びとの光景が目に見えるように思います。(河野啓一)

★門燈の消し忘れあるしだれ梅/矢野文彦
わざと明灯りを消し忘れている?のかもしれませんね。美しい夜景が目に浮かびます。(河野啓一)

★箸置きに桃の花見て節句知る/迫田和代
桃の小枝を利用、あるいはデザインした風流な箸置き。日本人の心ととして大切に考えて行きたいものですね。(河野啓一)

★蝶々の戯れ昼の頂に/多田有花
昼間、山頂に蝶々が飛び交う光景が、とても長閑で、見ている人を楽しくしてくれます。「蝶々の戯れ」に、自由に自然に遊んでいる姿が浮かんできます。人間の世界を離れ、しばし蝶と一緒の時間を楽しまれたことでしょう。(藤田裕子)

★緋毛氈しいて飾らる紙ひいな/河野啓一
緋毛氈の上に飾られた紙のおひなさま。とても素朴で可愛らしく、温かな気持ちにさせてもらい、いつまでも眺めていたくなります。「緋毛氈」が、普段とちがって少し改まり、お雛さまへの敬いの念も込められているように感じました。(藤田裕子)

★卒業歌調子はずれのトランペット/柳原美知子
三月は卒業のシーズン。校舎の近くを通っていますと、卒業式の歌が聞こえてきました。懐かしくなり、少し佇んでいますと、調子はずれのトランペットの音がして、微笑ましくなりました。教職に就かれていた頃を思い出されたことと思います。(藤田裕子)

■選者詠/高橋信之
★犇めきて花びらの影花びらに
桜の花びらが犇き合って咲いているので花びらの影が花びらの上へ映っています。梅の花とは違って重なり合う華やかな桜の情景が鮮明に見えてきます。御句より今年一番に桜の花を見せて頂きました。(佃 康水)

★今日一日晴れている桜と吾に
晴れやかな日差しを浴びている桜と作者。今日の日差しに感謝し、清々しい気持ちにさせてくれる句を感じます。 (高橋秀之)

★通学路に沿う花木瓜の今盛りに

■選者詠/高橋正子
★辛夷の花枝ごと揺れて揺るる空
三拍子揃った素敵な句と思います。辛夷の空へ拳を突き出すような様、枝ごと揺れるからまるで空が揺れるようです。(下地鉄)

★すみれ咲く小さきゆえの濃むらさき
野のすみれには小さくても凛とした趣があります。それだけに高貴な濃むらさき色をしているのでしょうね。漱石の「菫程の小さき人に生まれたし」などをふと想い出しました。(河野啓一)
すみれの紫の可憐さを詠って、これ以上の分析はないと思います。 (小西 宏)

★春嵐玻璃戸の内のしんかんと
玻璃戸の外は春の嵐、中は人気もなくしんかんと静まり返っている。対照の妙に一種不思議な詩情を感じます。(河野啓一)

■互選高点句
●最高点(7点)
★すみれ咲く小さきゆえの濃むらさき/高橋正子

●次点(6点)
★菜の花や煌めく海へ揺れ止まず/佃 康水

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

▼コメントのない句にコメントをお願いします。

■3月ネット句会清記■

■3月ネット句会■
■清記/23名69句

01.辛夷の花枝ごと揺れて揺るる空
02.すみれ咲く小さきゆえの濃むらさき
03.春嵐玻璃戸の内のしんかんと
04.青柳や岸辺にぎわす稚魚の群
05.はくれんや本床にある有田焼
06.麗らかや水琴窟に耳を添え
07.鳥の声誘われ見あぐ春の土手
08.数本を摘んでお披露目初土筆
09.うららかや水替えており辻地蔵
10.静けさや目白憩える白き梅

11.角とれて三月の雲ふわり浮く
12.一品は菜の花和えを祝いの日
13.ふるさとの青きを踏んで師の墓参
14.山笑うふるさと恩師の一周忌
15.城の影映る木曽川水温む
16.梔子のつぼみの開く香りかな
17.沈丁花香りが先に届きけり
18.噴水のぶつかり落ちる飛沫かな
19.ふるさとの春田を偲ぶ遠い日や
20.箸置きに桃の花見て節句知る

21.壇ノ浦春潮はやく海狭く
22.たなびいて色即是空春霞
23.緋毛氈しいて飾らる紙ひいな
24.野道行く囀り空に充ち溢れ
25.迷ひ猫捜す貼紙春の風 
26.琴の音や白梅薫る丘広し
27.蕗の薹春の気配を天麩羅に
28.碧色の空へと梅の咲きのぼる
29.蝶々の戯れ昼の頂に
30.ベビーカーの足跳ねている暖かし

31.菜の花や煌めく海へ揺れ止まず
32.菜の花や少女二人の画布並ぶ
33.魚跳ぶや紙漉き村の水温む
34.鳥の声明るく澄みて山笑う
35.麗かや賛美歌聴きつつまどろみぬ
36.三月の日記にしるす晴れマーク
37.光散る岸いぬふぐり群生す
38.道脇に人眺めてる黄水仙
39.春風に洗濯物の袖触れ合う
40.古刹へと過ぎる公園柳の芽

41.白椿紅に遅れて咲き始む
42.春驟雨村中総出の道普請
43.イーゼルを据え爛漫の梅を描く
44.野にひかるタンポポの根の揺るぎなし
45.陽気よき谷戸に初蝶見失う
46.盛り上る土に並ぶ芽チューリップ
47.鶯の声に手を置く朝厨
48.箸先にふっと香りて蕗のとう
49.木の下へ一気に走る春時雨
50.うららかな日差しいっぱい物干し場

51.早起きと朝寝の子らの日曜日
52.祈ること日々に増え居り春嵐
53.帰る地のある幸せよ鳥雲に
54.残ること決めてくつろぐ春の鴨
55.陽をうけて古草緑また緑
56.朧月夜歩きをすることもなし
57.門燈の消し忘れあるしだれ梅
58.きらきらと春風を蹴るスニーカー
59.日を掴みひとつふたつと辛夷咲く
60.春服の骨董通りにひるがえる

61.卒業歌調子はずれのトランペット
62.道後の湯へ店頭の雛ながめつつ
63.鮊子の輝き笊に掬い煮る
64.犇めきて花びらの影花びらに
65.今日一日晴れている桜と吾に
66.通学路に沿う花木瓜の今盛りに
67.春光やみなとみらいの煉瓦街
68.つちふるやらんどまーくの空とざす
69.風強し辛夷咲き初む霧笛橋


◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、3月10日(日)午後7時から始め、同日(3月10日)午後10時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、3月11日(月)正午です。
※2) 伝言・お礼等の投稿は、3月11日(月)正午~3月12日(火)午後6時です。

●3月ネット句会投句箱●

※投句を開始してください。

▼3月ネット句会の投句案内
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2013年3月10日(日)午前0時~午後6時
※3月6日(水)から事前投句が許されますので、事前投句をご希望の方は、お申し込みください。
③投句は、下の<コメント欄>お書き込みください。

▼スタッフ(12名):
①高橋正子(句会主宰)・②高橋信之(管理)・③藤田洋子・④藤田裕子・⑤井上治代・⑥高橋句美子・⑦祝恵子・⑧多田有花・⑨高橋秀之・⑩小西宏・11安藤智久・12佃康水
▼3月句会当番スタッフ:藤田洋子・祝恵子・高橋秀之

■ご挨拶/第21回(立春)フェイスブック句会■

●高橋正子(花冠主宰)
3日の節分、4日の立春と日が過ぎ、暦の上では春となりました。今年は、急に大雪となったり、また急に春のような陽気になったり、変化の多い天候が続きました。落ち着かない天気の中で、春の声を聞くと嬉しいもので、寒さで固くなった心身がほぐれるような気持ちになります。立春句会には、はやも春らしい句が出そろいました。誰もが、春を心待ちにしておられることがよくわかります。早いところでは、梅が咲き始めているようです。春の小さな兆しを見つけて喜べるのも、俳句を作っているお陰と思います。今回は、花冠同人ほとんど全員といっていい26名の方が参加されました。大変うれしいことです。投句、選とコメントをいただき、ありがとうございます。入賞の皆さま、おめでとうございます。立春句会の管理運営は信之先生、集計は洋子さん、スタッフの皆さまにはコメントを書いていただきました。大変お世話になり、ありがとうございました。これでフェイスブック立春句会を終わります。次回は、3月3日の雛祭句会です。楽しみにお待ちください。

●藤田裕子(当番スタッフ)
信之先生、正子先生、第21回(立春)フェイスブック句会を開催していただきまして有難うございます。洋子様、いつも集計のお世話いただき有難うございます。ご参加くださいました皆様、お世話になりました。身にしむ寒さも、ようやく和らぎ、春の兆しがうれしい時季になってまいりました。各地の皆様の心温まる俳句を読ませていただきまして、とても幸せな春の訪れを感じさせていただきました。花々や鳥たち、光りや雨など、確実に春が近づいております。耐えていた冬から徐々に解放され、自由な楽しい明るい世界が広がってゆくようです。句会のコメントなどお世話いただきましたスタッフの皆様、有難うございました。まだまだ寒さの残るこの頃、どうぞ皆様、お体お大切になさってください。楽しい句会を、皆様有難うございました。

●多田有花(当番スタッフ)
信之先生、正子先生、第21回(立春)フェイスブック句会を開催頂きありがとうございました。洋子さまには毎回集計を担当頂き、ありがとうございます。フェイスブック句会では、いつも全国各地のそれぞれの季節の表情とそれを迎えられた同人のみなさまの暮らしぶりを垣間見ることができ、楽しみです。今年の立春は雨のところが多かったようですね。今日から春と思えば雨も明るく感じられます。まんさく、紅梅、白梅、デージー、蕗の薹といった早春の花や植物を詠まれた句の数々に、待ち焦がれた春を迎えられた喜びを感じました。節分の前の週末は春半ばといってもおかしくないような陽気になりました。立春を迎え、今度は寒の戻りがありそうな気配です。春は寒暖の差が大きい季節です。ご自愛ください。次回、3月3日の雛祭句会を楽しみにしております。

●井上治代(当番スタッフ)
信之先生、正子先生、第21回(立春)フェイスブック句会を開催して頂きましてありがとうございます。洋子様にはいつも集計のお世話をして頂きましてありがとうございます。フェイスブック句会ご参加の皆様、お世話になりありがとうございます。立春の日は雨が降りましたが暖かい一日になりました。この雨も大地を潤し、多くの生命を育んでくれることでしょう。皆様の俳句から、待ち望んでいた春の到来に喜びいっぱいの顔が浮かんできました。また、花の句、鳥の句、行事の句など様々な句があり、一句、一句から明るい色彩が豊かに広がり、鳥の声が聴こえ、優しい風の匂いを感じることができました。そして、このような俳句の仲間がいることに元気づけられました。季節の変わり目です。皆様、お身体ご自愛ください。

■第21回(立春)フェイスブック句会入賞発表■

■第21回フェイスブック句会■
■入賞発表/2013年2月5日■

【金賞】
★枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
枝に止まった鳥が、枝移りをするのか枝が揺れる。それを見ていると、光も揺らしているのだ。枝を張る陽光に満ちた木、枝移りする鳥が、なんと早春らしいことよ。(高橋正子)

【銀賞】
★風二月鳥よろこびの声散らし/藤田裕子
二月の、まだまだ寒い風に、鳥はもう「よろこびの声」を散らしている。真冬とは違う風の暖かさを知ったのだろう。野の生きるものたちは、季節の変化に敏感だ。(高橋正子)

【銅賞】
★夕映えの雲良く伸びて春兆す/小口 泰與
寒さが幾分和らぐ日、夕映えの雲が「良く伸びて」いる。伸びやかな夕映えの雲に春の兆しを感じ取ったセンスがよい。観察の賜物であろう。(高橋正子)

★まんさくの丘へ親子の声弾む/佃 康水
まんさくは、「先ず咲く」の訛りとも言われる。春が兆したばかりの丘に、母と子が声を弾ませ、楽しそうである。春が来たと思う光景だ。(高橋正子)

★節分の庭で男が薪を割る/多田 有花
節分という節目に、薪を割る潔い男の力。この男、「良い鬼」ではないかと思ってしまう。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
鳥そのものが光となって飛び去る。飛び去ったあとの木の枝がまた春の光に輝く。(古田 敬二)

★立春の朝は襖の白に明け/高橋正子
立春を迎える朝、ことさら際立つ襖の白さです。身辺の白の清々しさに、にわかに明るさを伴う春の光りを感じます。(藤田 洋子)
和室の襖に、立春の朝の明りが白々と穏やかです。冬の夜明けから柔らかな春の夜明けになってきた喜びが伝わってまいります。(藤田裕子)

★春立ちてとんとん刻む菜のみどり/藤田 洋子
寒も明けて、いよいよ立春。作者のうきうきとした気持ちが、菜を刻むとんとんと小気味よいリズムに現れているようです。(安藤 智久)
漸く立春を迎え、日常の厨事の何気ない所作にも、これからは少しづつ暖かくなって来るのだ・・との隠し切れない喜びの心情が窺えて素晴らしい。みどり色の菜を「とんとん刻む」との措辞が効果的である。(桑本 栄太郎)
寒気の中にもかすかな春の兆しが感じられる立春の朝、新鮮なみどりの菜の葉をリズム良く刻む軽快な音も春めいて来ている。春を迎えるうれしさが素晴らしいです。(小口泰與)
春らしいみどりの葉を音たてて刻んでいる。春が来た喜びが一杯です。みどりの葉も嬉しいですね。(迫田 和代)

★立春や夜明けは静かな雨となり/祝 恵子
俳句の侘・寂は、こういった「静かな」世界であろうと思う。自然の内に秘めたエネルギーをもつ静けさである。「立春」の雨の静けさがいい。(高橋信之)

★節分の庭で男が薪を割る/多田 有花
今日で冬が終わる。その区切りのときに男が独り薪を割っている。逞しくもあり、少し寂しげでもある。豆に追われた鬼か? いや、そんな説明は要らない。(小西 宏)
季節の入れ替わる節目の日を、鬼ではなく人を登場させて力強く詠まれたのが新鮮で印象に残りました。薪は鬼やらいの篝火などに使われるのでしょうね。(河野 啓一)

★白梅の花つぎつぎに空は青/迫田 和代
青い空に次々咲く白梅、春を見つけた嬉しさです。 (祝 恵子)

★風二月鳥よろこびの声散らし/藤田裕子
立春の声を聞くと自然界では春を謳歌したくなります。鳥達はいち早く春の到来へ喜びの声を散らしています。(佃 康水)

★宵闇のどこか匂いて豆を撒く/高橋正子
見えないところを見た。春近しを見た。すべての五感が働いて春近しを知ったのだ。視覚、嗅覚、「豆を撒く」ときの触覚と聴覚、それに「豆を食べるであろう」味覚までもが春近しを知った。日常を詠んで、いい感覚の句だ。(高橋信之)

【高橋正子特選/8句】
★枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
春の陽光のなかを枝を揺らせながら飛び交う鳥の嬉々とした様子に春を実感いたします。(黒谷光子)

★夕映えの雲良く伸びて春兆す/小口 泰與
夕焼け色を浴びた雲の明るさが広がり、春がすぐそこまでやってきている期待感が表れています。(祝 恵子)

★立春の朝のデージー鉢いっぱい/高橋句美子
立春の朝、鉢にいっぱい咲いているかわいいデージーの花。この光景を見ると、とても幸せな喜びを感じます。これから春に向かって、いろいろな夢も膨らんでまいります。 (藤田裕子)

★思い切り紅梅咲かせ丘の晴れ/高橋信之
空は晴れ、丘には紅梅が一気に咲き始めました。暖かく春めいてきた晴れた日、それに答えるかのように植物が活動を始めました。「思い切り」に力づよさが込められ、自然から元気をいただいたような思いが致します。 (藤田裕子)

★節分や豆蒔く音の弾みおり/井上 治代
節分の夜、豆を撒く音の弾みが何とも快く軽やかです。立春を明日に控えての、作者の心の弾みもうかがえ、明るい春の到来を感じさせてくれます。(藤田洋子)
節分の豆撒きは、子供の頃はもとより、大人になっても心弾む行事です。「豆蒔く音」によって、そんな待春の心が生き生きと詠われています。(小西 宏)

★節分会清め太鼓に島奮う/佃 康水
各地の寺社でとり行われる節分会。一島に春を呼び起すかのような清め太鼓の音が鳴り響き、厳かな中にも心晴れ晴れといたします。(藤田洋子)
島にある神社なのでしょう。節分の祭事の最中、きっと豆撒き直前の清め太鼓なのだろうと思います。「島奮う」の措辞が効果的で、句全体にリズムと力強さが感じられます。(小西 宏)

★節分会篝火赤く参道に/河野 啓一
節分の日、社寺参拝の人々のために浄らかに整えられた参道。その参道に赤く燃える篝火がひときわ鮮やかに、訪れる人の心にも温かく灯されるようです。 (藤田洋子)
神社の篝火はあるときは荘厳であり、あるときは力強く感じられます。赤く燃え上がる火炎は深遠な社での鬼やらいの儀式を鮮やかに見せてくれます。(小西 宏)

★まんさくの丘へ親子の声弾む/佃 康水
まんさくの花の明るい黄に包まれ、春めく日差しを浴びて丘に遊ぶ親子の笑い声が聞こえてきそうな心温まる光景ですね。 (柳原美知子)

【入選/14句】
★足湯してギターつま弾く春隣/柳原美知子
お家での光景か、それとも立ち寄りの温泉でしょうか。お湯に足を浸し、気分よくギターを弾く。春がもうそこまできている暖かさを楽しみながら、 お気に入りの曲を奏でる心持は春隣にふさわしいと感じます。(多田有花)

★雪の間に瑞々しきや蕗の薹/小口 泰與
雪の間からちょこんと顔をだした蕗の薹が春のおとずれを知らせてくれます。今年は例年より寒い冬だったので、蕗の薹を見つけた時はうれしかったことでしょう。(井上治代)

★寒晴の浦上天守マリア像/渋谷洋介
寒晴れにマリヤ像を配した景が見事です。(下地 鉄)

★子の春着一寸伸ばして夜の耽る/上島 祥子
立春を迎えて晴れ晴れとした思いの中に早や春着の支度が始まります。一日の家事を済ませ夜のしじまに子供の春着を丹念に直しながら子の成長を喜ぶ母親の姿が見えて参ります。(佃 康水)
※「春着」は、新年の季語。正月に着るために新調した衣服または晴れ着のこと。(注:高橋正子)

★犬とゆく二月の雨を軽く蹴り/安藤 智久
冷たい二月の雨も愛犬と一緒なら足取りも軽やかになりますね。(上島 祥子)
犬と歩く時、足の運びは、少しリズミカル。春浅い二月、やさしい雨を「軽く蹴り」ながら進む影が、さらりとそして力強くゆきます。春本番ももうじきです。(川名ますみ)

★敷石を音なく濡らす春の雨/黒谷 光子
春の雨の佇まいが旨く表現されていると思います。(古賀一弘)

★朝やさし枝垂るる先に梅一輪/川名ますみ
この数日穏やかな日が続いております。日ごと見ていて枝垂れる先に見つけた一輪の咲いた梅を見た喜びが伝わってまいります。 (祝恵子)

★寒椿縁に座れば目の高さ/高橋 秀之
縁側から目線は庭にある寒椿に、寒さのなか、頑張って咲いてくれる椿です。 (祝恵子)

★新駅の高架完成春立ちぬ/桑本 栄太郎
新駅の高架の完成は地域の人達にとっては何より嬉しい事、立春と共に大きな喜びが伝わってきます。(佃 康水)

★立春の雨鮮やかな傘が行く/古田 敬二
色とりどりの雨傘が通ってゆく道筋、立春の雨が柔らかく優しく降っています。傘の上に降る雨に、春の訪れを感じられ素敵です。 (藤田裕子)

★かき混ぜて音もいっしよの浅利汁/下地 鉄
湯気がたちあつあつの浅利汁を、かき混ぜて食べると美味しさ抜群です。「中七」の「音もいっしょの」という表現がすばらしいです。 (井上治代)

★目白来てヒヨ来て冬日射す小枝/小川 和子
鳥は自然のなかで快活に動いています。明るい日射しの中で小枝を揺らしながら楽しそうです。 (井上治代)

★紅ふふむ梅の蕾や雨の中/古賀一弘
雨の中で梅の紅い色が兆しはじめています。花が開くのも間近でしょう。 (井上治代)

★やわらかき雨連れ春の来たりけり/多田 有花
立春の朝は雨に明けたのでしょう。「やわらかき雨」に芽吹きをうながすような春らしい静かな趣が感じられて好きな句です。(小川 和子)

●選者

■選者詠/高橋信之
★梅開花一輪晴れのうれしさに
一輪であっても晴れた日の梅の開花には理屈抜きで春の訪れの嬉しさがあります。(高橋 秀之)

★思い切り紅梅咲かせ丘の晴れ
空は晴れ、丘には紅梅が一気に咲き始めました。暖かく春めいてきた晴れた日、それに答えるかのように植物が活動を始めました。「思い切り」に力づよさが込められ、自然から元気をいただいたような思いが致します。 (藤田裕子)

★今日は立春パソコンの明るい画面

■選者詠/高橋正子
★寒牡丹わが息すれば匂い立ち
真冬に咲く寒牡丹は華やかで、つい花に近付いて香りをかがれたたのでしょう。その動作が「わが息すれば」と詠まれ、ほのかな香りを楽しまれている様子がうかがえます。(佃 康水)

★立春の朝は襖の白に明け
特に技巧のある句ではないが、レベルの高い句。日常の確かさがいい。(高橋信之)

★宵闇のどこか匂いて豆を撒く
節分の宵闇のやわらかくかぐわしい春めく気配を捉えられ、女性ならではの感性を感じます。待春の思いがさらりと詠まれた素敵なお句ですね。(柳原美知子)

■互選高点句
●最高点(11点)
★枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏

●次点(9点)
★春立ちてとんとん刻む菜のみどり/藤田 洋子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

▼コメントのない句にコメントをお願いします。