7月19日(土)

★すずしさに星座の話読みつなぐ  正子
都会では、今ははもう星々を線でつなぎ星座の姿を思い浮かべることが難しくなってしまいました。昔はよく夕涼みなどに出て星空を見上げ、遠いメソポタミアの神話に思いを馳せたものでした。子供たちにとっては、それは時間的にも空間的にも思いの広がる楽しいひと時でした。 (小西 宏)

○今日の俳句
行き交える電車の過ぎて蔦の青/小西 宏
電車が行き交っている間は、向こうにあるものに目が届かないが、過ぎた向こうには蔦が青々と茂っているのが目に鮮やかに飛びこむ。行き交う電車にこの蔦は煽られ揺れていたであろうが。(高橋正子)

○朝顔

[朝顔/横浜日吉本町]

★あさがほに我は飯くふ男かな 芭蕉
★朝顔や其の日其の日の花の出来 杉風
★朝がほに釣瓶とられてもらひ水 千代女
★朝がほや一輪深き淵のいろ 蕪村
★朝がほや垣にしづまる犬の声 白雄
★あさがほの花はぢけたりはなひとつ 暁台
★雪国の大蕣の咲にけり 一茶
★朝顔のさまざま色を尽すかな/正岡子規
★朝顔の紺の彼方の月日かな/石田波郷
★堪ふることばかり朝顔日々に紺/橋本多佳子
★朝顔の濁り初めたる市の空/杉田久女
★朝顔むらさき海に裏側みせて棲む/桂 信子

 朝顔は、鉢植えにして行燈作りにするか、四つ目に竹を組んで垣根を作って咲かせてきた。最近はネットに上らせているが、風情がなくていけない。四つ目の垣に咲き上ると、花はみんな表を向いて、裏側からは、葉ばかり眺めることになる。でも、外からみれば、すずしい花がいくつも咲いて、きれいなのだ。
 桂信子の「海に裏側みせて」は、海の見えるベランダで咲かせたときは、まったくこの通り。久女の「濁り初めたる市の空」は、朝顔が涼しい時にさいているのは、ほんのひととき。すぐに市の空は煙ったように濁り初め、じりじりと暑くなる。朝の終わりを咲く朝顔か。
 横浜に引っ越してから、朝顔の種をまく時期がいつも遅くなっている。今年も5月20日過ぎに蒔いた。ゴールデンウィークに種をまくことにしていたが、ついつい遅くなっている。遅くなっても必ず蒔く。遅くなりはしたが、2,3日前から咲き始めた。最初は錆朱、次は赤紫、その次も赤紫。毎朝、何色が咲いたか楽しみにみるのが夏の朝の日課となるが、青も白もはまだ咲いていない。。朝顔の色を一つと言われれば、青をあげたい。西洋朝顔は、青い花ではあるが、昼間も夜も花をたくさん咲かせて、涼しいそうに見えはしない。日本の朝顔の破れそうなロート型の花が日本の夏にはよく似合う。

◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

7月18日(金)

★しがみつくかなぶん捨てて衣を畳む  正子
かなぶんと取り込んだ干し物の情景がありありと目に浮かび、共感とともに、親しさと心楽しさを感じる日常の一場面です。かなぶんを捨てたあとの「衣を畳む」所作が、とりわけ美しく、整然とした日々のお暮らしまでも思われます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○ブラックベリー

[ブラックベリー/横浜市港北区箕輪町]

★ブラックベリーの黒輝きて今朝の晴れ/高橋信之
★蓮寺の結界出ればブラックベリー/高橋正子

 日吉本町の隣合わせの箕輪町にある大聖院の門前の家にブラックベリーがある。フェンスに絡ませて育てているが、驚くほど沢山実を付けている。自転車で通りすがりに見たときは、ラズベリーかと思った。それにしては、色が緑色がかりすぎている感じもした。何度かその前を通る内に実が黒く色づいてきたので、ブラックベリーと気付いた。ラズベリーに比べて実が少し長くて、つぶつぶがはっきりしているように思う。違う町にくれば、また違う植物を好んで植えるものだとつくづく思った。

ブラックベリー (Blackberry) は、バラ科キイチゴ属の一群の種または1種の低木およびその果実。広義には Rubus 亜属の総称として使う。ただし Rubus 亜属にはブラックベリーのほかにデューベリー (Dewberry) 類も含まれ、それらはブラックベリーから区別することもある。クロイチゴ(Rubus mesogaeus)、ブラックラズベリー (Rubus occidentalis) はいずれもラズベリーであり、(広義でも)ブラックベリーには含まれない。狭義には、 Rubus 亜属の栽培種セイヨウヤブイチゴ(西洋藪苺、学名 Rubus fruticosus)。ただし Rubus fruticosus をさらに多数の種に分割する説もあり、その場合は狭義のブラックベリーも多数の種の総称になる。米国中部原産で、落葉半つるである。開花期は5月下旬から6月で、 結実期は7月から8月上旬である。果実は生のまま食べることも出来るが、多少酸味があるためジャムにして食べることも多い。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月17日(木)

★夕焼けが海に分かたれ平らな沖  正子
日没により西の空を赤く染めると共に海もまた美しい夕焼けの色に染まっていきます。空から海へと夕焼けを分かたれ、更に平らな海が遥かな沖まで続いていると言う広大な美しい情景が見えて参ります。 (佃 康水)

○今日の俳句
草刈り機木魂し合える谷間かな/佃 康水
夏草が生い茂り、草刈りに忙しいときだ。谷間のあちこちで使う草刈り機の音が木魂する。谷間の村も生き生きとし、活動的な暮らしがうかがえる。(高橋正子)

○白粉花(おしろいばな)

◇白粉花/横浜日吉本町◇

★白粉の花ぬつてみる娘かな/小林一茶
★おしろいは妹のものよ俗な花/正岡子規
★道端に白粉花咲ぬ須磨の里/正岡子規
★白粉花妻が好みて子も好む/宮津昭彦
★白粉花の実をつぶす指若しとす/金子兜太
★おしろいや人は心の裏見せず/稲畑汀子
★おしろいの花のたそがれ白痴の子/成瀬櫻桃子
★路地狭むおしろい花や廓跡/水原春郎

 おしろいばなは、白粉花と書く。秋の季語。熱帯アメリカ原産であるということだが、古くに渡来したせいか、夕涼みのころの日本的情緒のある花と思ってきた。それも昭和の白い割烹着の母を思わすような花と。

 白粉花咲けり昭和の母の花/正子

 暑さも収まる5時過ぎに日吉本町六丁目にある西量寺へ行った。目的は、白粉花の写真を撮るため。西量寺は、天台宗のこじんまりしたお寺で、石垣の上にある。近づけば、民家の屋根より少し大きいかなというぐらいの屋根がすぐ目に付く。

 寺の屋根西は西日の色に照り/正子

 お寺の石垣の裾を埋めて白粉花が咲いてほのかな香りが漂う。白粉花といえば、理科でならった遺伝の
法則を思いだすのだが、優性遺伝、劣性遺伝とあって、どちらかが遺伝する。普通は、赤い花と白い花を交配すると、白か赤かになる。ところが、白粉花は、ピンクになるというようなこと。西量寺の白粉花も長年同じ場所に種がこぼれて生えるのだろう、白に赤い斑があるものがたくさん見られた。純粋に白、純粋に赤というのが少ない。石垣の裾は夕方はちょうど日陰になって、日中の猛暑はどこへ去ったのかと思うほど、涼しい風が吹いていた。ほのかな香りがするのも、白粉花らしい。白粉花はまだ花が咲いているときから黒い種ができて、子どもがそれを割って中の白い粉を出し、白粉にして遊ぶ。子どもにも好まれる花と言えるのだろう。
 子ども時代の戦後を思い出すが、妻も子も慎ましさがあった。貧しいときであったが、個々のことを言わなければ、暗い時代ではなかった。扇風機さえも無い家が多かったから、夕方には縁台を出して、夕涼みをした。西瓜を食べたり、花火をしたり、星を見たり。垣根の根元には、白粉花が咲いていた。白粉花は、ちゃんとした場所ではなく、垣根の下や、ごみなどを焼く畑の隅に咲いた。種がこぼれて年々そこに花を咲かせるようになるのが多いからだろう。
 白粉花も朝顔も秋の花なのだと、この猛暑に思う。ずっと秋口まで咲いてくれる。朝咲く花と夕咲く花を夏の花にしておくには、慎ましすぎる。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月16日(水)

★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横  正子
さくらんぼは桜桃とも言われ、夏の訪れとともに店頭にも出まわりますが、山形産がよく知られるところです。つやつやとしたさくらんぼは、その茎とともに目にも新鮮でおやつやデザートにうれしい一品です。(小川和子)

○今日の俳句
花鋏鳴らし涼しき庭飽かず/小川和子
「庭飽かず」に、作者の楽しさが読み取れて、それが読者を楽しませてくれる。たくさん咲いた花の中にいて、花鋏を軽く鳴らしながら涼しい庭を巡っている。花に囲まれたうれしさが涼やかに詠まれた。(高橋正子)

○百日紅(さるすべり)

[百日紅/横浜日吉本町]

★明日もあるに百日紅の暮れをしみ 千代女
★百日紅浮世は熱きものと知りぬ 漱石
★武家屋敷めきて宿屋や百日紅 虚子
★日除して百日紅を隠しけり 鬼城
★百日紅咲く世に朽ちし伽藍かな 蛇笏
★武者窓は簾下して百日紅 龍之介
★百日紅地より分れて二幹に 風生
★独り居れば昼餉ぬきもし百日紅 みどり女
★百日紅燃えよ水泳日本に かな女
★少女倚る幹かゞやかに百日紅 麦南
★真青な葉の花になり百日紅 立子
★百日紅乙女の一身またたく間に 草田男
★地福寺は山を負ふ寺さるすべり 万太郎
★朝雲の故なくかなし百日紅 秋櫻子
★百日紅われら初老のさわやかに 鷹女
★いつの世も祷りは切や百日紅 汀女
★百日紅出征の花火突と鳴り 不死男
★乳子ほのと立ちて新し百日紅 不死男
★夕栄にこぼるる花やさるすべり 草城
★百日紅この叔父死せば来ぬ家か 林火
★百日紅片手頬にあて妻睡る 楸邨
★女来と帯纏き出づる百日紅 波郷

さるすべりには、白、赤、ピンクの花がある。赤とピンクの色は、微妙に違った花が見られる。夏の間、夾竹桃と並んで咲き継ぐのが「さるすべり」。幹がつるつるして木登り上手な猿が滑り落ちるから、こんな名がついたのか。四国松山に住んでいた頃、わが家の庭の真ん中にあったのが、薄紫に近いピンク。風が吹けばフリルのような花がこぼれる。真っ青な空も、炎昼の煙るような空にも似合う。さるすべりには、古木も多く、日吉の金蔵寺には、幹の半分以上がなくなっているが、残った幹がよく水を通わせるのか花を相次いで咲かせている。県の名木に指定されている。

◇生活する花たち「蛍袋・立葵・紅かんぞう」(横浜・四季の森公園)

7月15日(火)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
野原や道端で他の草や木にからみ、朝顔に似た小さな花を開き、日中に咲いて夕べにはしぼむ可憐な昼顔に日が射している素晴らしい景ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
目高の子ぐいと水面を走りけり/小口泰與
平明な句で句意がはっきりしている。目高の子が水面を「ぐい」と蹴るように走る。目高の子の力強さが、生き生きとして涼しさを与えてくれる。命の涼しさ。(高橋正子)

○蓮の花

[蓮の花/横浜市港北区箕輪町・大聖院]

★蓮のかを目にかよはすや面の鼻 芭蕉
★蓮白しもとより水は澄まねども 千代女
★蓮の香や水をはなるる茎二寸 蕪村
★うす縁や蓮に吹かれて夕茶漬 一茶
★昼中の堂静かなり蓮の花 子規
★そり橋の下より見ゆる蓮哉 漱石

 一昨年の日記より:
 今朝、蓮の花を見に天聖院に信之先生と出掛けた。蓮は朝咲いて昼に凋むので早朝が見ごろだ。天聖院に蓮池というほどの池はないが一むら蓮がある。その他にも御手洗のほとり、奥まった山裾あたりには大きめのポリ容器で育てている。散華が蓮の葉にかかっていた。紅蓮ばかりで、大賀蓮ではないようだ。ちょうど新暦のお盆なのだが、特にお寺まいりの人もなく森閑としたなかにさいている。松山市の城北に長建寺という寺があるが、ここの蓮池は立派で、池に突き出た部屋からは、蓮池が良く眺められる。蓮の花を描くという妹について早朝この寺に出かけたが、蚊取り線香が必携であった。岡山の行楽園にも蓮がある。これも見事だ。岡山は祭すしで有名だが、蓮田も多くこの祭すしには蓮根が使われる。鎌倉八幡の源平池の蓮もよく知られている。蓮の風情からいうと、後楽園の方が好きだ。
 蓮の花について、一番なつかしいのは、学生時代の夏休みや結婚してからの帰省で予讃線から見た蓮田の景色だ。蓮田は松山から今治に近づくとところどころに見られる。はじめ遠く炎暑で煙る緑の蓮田が近づいてくると蓮の赤い花が見える。今年も蓮の花が咲いていると眺めながら、ディーゼル車のコトコト走る音を聞いた。とてもいい景色だった。

★蓮の葉にあまたかかりて蓮散華/高橋正子
★蓮の葉のそよげる中の蓮の花/〃
★煙りたる空の下なる紅蓮/〃

 ハス(蓮、学名:Nelumbo nucifera)は、インド原産のハス科多年性水生植物。古名「はちす」は、花托の形状を蜂の巣に見立てたとするのを通説とする。「はす」はその転訛。 水芙蓉(すいふよう、みずふよう)、もしくは単に芙蓉(ふよう)、不語仙(ふごせん)、池見草(いけみぐさ)、水の花などの異称をもつ。 漢字では「蓮」のほかに「荷」の字をあてる。ハスの花を指して「蓮華」(れんげ)といい、仏教とともに伝来し古くから使われた名である。 また地下茎は「蓮根」(れんこん、はすね)といい、野菜名として通用する。属名 Nelumbo はシンハラ語から。種小名 nucifera はラテン語の形容詞で「ナッツの実のなる」の意。 英名 lotus はギリシア語由来で、元はエジプトに自生するスイレンの一種「タイガー・ロータス」 Nymphaea lotus を指したものという。7月の誕生花であり、夏の季語。 花言葉は「雄弁」。原産地はインド亜大陸とその周辺。地中の地下茎から茎を伸ばし水面に葉を出す。草高は約1m、茎に通気のための穴が通っている。水面よりも高く出る葉もある(スイレンにはない)。葉は円形で葉柄が中央につき、撥水性があって水玉ができる(ロータス効果)。花期は7~8月で白またはピンク色の花を咲かせる。 早朝に咲き昼には閉じる。園芸品種も、小型のチャワンバス(茶碗で育てられるほど小型の意味)のほか、花色の異なるものなど多数ある。

◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

7月14日(月)/京都祇園祭・パリ祭

★なでしこの苗に花あり風があり  正子
なでしこの苗には花の色が分かるようにひとつ二つの花があり、そしてその花が風に揺れている様子が、涼しさを伝えてくれます。(高橋秀之)

○今日の俳句
せせらぎの木陰のめだか動かずに/高橋秀之
せせらぎの木陰はすずしそうだ。涼しさを喜んで、目高が活発に泳ぐかと思えばそうではない。じっとして、木陰の水の涼しさを体で享受しているようだ。(高橋正子)

○巴里祭(パリ祭)

[パリ、モントルグイユ通り、1878年6月30日の祭日/クロード・モネ画]_[京都祇園祭/ネットより]

★汝が胸の谷間の汗や巴里祭/楠本憲吉
★パリ祭や手乗り文鳥肩に乗せ/鷹羽狩行
★濡れて来し少女がにほふ巴里祭/能村登四郎
★図書館で借る古今集パリー祭/品川鈴子
★重層の雨の鉄階パリー祭/岡本眸
★星空を怒濤の洗ふ巴里祭/小澤克己
★巴里祭空いつぱいの水しぶき/豊田都峰
★ピザ生地を大きく抛りパリー祭/斉藤和江
★巴里祭とろ火に鍋を預けをり/能村研三
★巴里祭机上の医書は閉ぢしまま/水原春郎

 「巴里祭」は、この映画を見た世代によく語られ、また俳句にも詠まれている。バスチーユ監獄襲撃というフランスの革命の記念日が日本で親しまれているのも不思議だが、邦題「巴里祭」の映画に大いによるものだろう。映画旺盛の時代のパリへの憧れもあったでろう。 詠まれている俳句は、それぞれが、それぞれの思いで「私の巴里祭」を詠んでいる句が多い。日本ではちょうど7月1日から1か月も続く京都の祇園祭の宵山が始まる。これに重ねれば、「巴里祭」も文化人たちののゆかしき一日なのかもしれない。

★巴里祭今日の予定に空を見る/高橋正子

パリ祭(ぱりさい)は、フランスで7月14日に設けられている国民の休日(Fête Nationale)。1789年同日に発生しフランス革命の発端となったバスチーユ監獄襲撃および、この事件の一周年を記念して翌年1790年におこなわれた建国記念日(Fête de la Fédération)が起源となっている。なお、フランスでは単に「Quatorze Juillet(7月14日)」と呼ばれ、「パリ祭」は日本だけの呼び名である。これは、映画『QUATORZE JUILLET』が邦題『巴里祭』として公開されヒットしたためで、邦題を考案したのは、この映画を輸入し配給した東和商事社長川喜多長政たちである。読み方について、今日では「ぱりさい」が一般的だが、川喜多かしこは「名付けた者の気持ちとしてはパリまつりでした」と語っている。当時の観客の大半も「パリまつり」と呼んでいたという。荻昌弘もまた「私の感覚では、これはどうあってもパリまつり、だ」と述べている。現在のイベントは、7月14日には、フランス各地で一日中花火が打ちあげられる。午前中にはパリで軍事パレードが開催され、フランス大統領の出席のもとシャンゼリゼ通りを行進する。その後、フランス共和国大統領の演説がおこなわれる。パレード終了後にはエリゼ宮殿において茶会が催される。パリ祭当日にはツール・ド・フランスが開催されている。(フリー百科事典「ウィキペディア」より)

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

◆ご挨拶/7月ネット句会◆

◆7月ネット句会◆
ご挨拶(高橋正子/主宰)
梅雨明けが待たれますが、今日も台風の後の暑い一日でした。今年は台風8号や大雨の被害が至るところにありましたが、皆様のところは被害はありませんでしたか。入賞の皆さまおめでとうございます。今月は添削教室から新しく福田ひろしさんがご参加くださいました。ご参加の皆さまには、選と丁寧なコメントをいただき、ありがとうございました。句会の運営や集計で信之先生、洋子さんお世話になりありがとうございました。
今夜のラジオを聞くともなく聞いておりましたら、「財政政策効果」と「金融政策効果」について新米でもなく、中堅でもないビジネスマン向けの話が耳に入りました。それら以外にも「幸福効果」というのがあって、実際幸福な人のそばにいると幸福感が増すそうです。そうなれば、私たちのネット句会も「俳句効果」が必ずあって、良い句の隣にいて、良い句ができたり、よい心境を伝播してもらったりできると確信しました。不順な天候ですが、ご体調に気をつけて、ご健吟ください。これで7月ネット句会を終わります。

◆7月ネット句会入賞発表◆

◆7月ネット句会◆
◆入賞発表/2014年7月13日◆

【金賞】
★水辺より生れて蜻蛉日に透ける/藤田洋子
水辺から生まれた蜻蛉の羽が日に透けている。透明な水から生まれたものが、日にも透明である。造化の不思議。(高橋正子)

【銀賞2句】
★捕虫網立て分け進む草いきれ/小西 宏
草いきれのする草を掻き分けて、捕虫網が突っ立たたまま進んでいる。虫や蝶を探す子どもの勢いが見えて微笑ましい。(高橋正子)

★草原の青さにまぎれ捩り花/小川和子
現実は草原の青に紛れた捩り花の桃色であるが、句の表現上では、草原の青色と捩り花の対比が鮮明ですっきりとした句。(高橋正子)

【銅賞3句】
★夏野菜売る声高く女の子/内山富佐子
トマトや茄子、胡瓜などの夏野菜は、露けくていかにも新鮮だ。それを売る女の子の声も溌剌と輝いている。眼にも、耳にも涼しい句だ。(高橋正子)

★初蝉の聞いてほどなく止みにけり/桑本栄太郎
初蝉の声を聞いた。鳴き続けるかと耳を傾けていたが、ほどなくして鳴き止んでしまった。始めは慎重な試し鳴き。本格的に鳴くのも、まもなくだ。(高橋正子)

★仙石原の原っぱ明るくノハナショウブ/高橋句美子
箱根の仙石原は薄で有名だが、湿原となっている原っぱは、花菖蒲の野生種であるノハナショウブが明るく彩る。よい情景だ。ノハナショウブは仙石原湿原の特徴的な花。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★塩さらさらと四万十の鮎にふる/藤田洋子
鮎にふる塩、焼ける香ばしいにおいまでしてくるようです。四万十がきいています。(祝 恵子)

★大西日連れて豆腐屋ラッパ吹く/古賀一弘
見事な夕日に照らされながら、自転車に乗ってラッパを吹く豆腐屋の姿が、色鮮やかに描かれています。赤々とした絵画的な美しさが句に凝縮されていりように思います。(福田ひろし)

★夏野菜売る声高く女の子/内山富佐子
★百合咲けりリュックの子より高い花/祝 恵子
★捕虫網立て分け進む草いきれ/小西 宏
★水辺より生れて蜻蛉日に透ける/藤田洋子
★仙石原の原っぱ明るくノハナショウブ/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
★夏潮を越えて島並みサイクリング/河野啓一
瀬戸内海の島々をサイクリングで巡っておられるのでしょう。橋で繋がれた街道をゆくのは、まさに夏潮を越えてゆく感じそのものだと思います。 (高橋秀之)

★初蝉の聞いてほどなく止みにけり/桑本栄太郎
★捕虫網立て分け進む草いきれ/小西 宏
★涼風に賽銭箱と吹かれけり/福田ひろし
★草原の青さにまぎれ捩り花/小川和子
★水辺より生れて蜻蛉日に透ける/藤田洋子
★ひと雨のあとの夕映え夏祓/藤田洋子

【入選/10句】
★いつまでもあの日に帰る原爆忌/迫田和代
私達にとってけっして忘れることのできないあの日。平和の祈りをさらりと明快に詠まれれた印象深い御句です。 (河野啓一)

★畦道の乾く暇なし半夏生/福田ひろし
半夏生は水辺や畦道などの湿地に生え、黄白色の穂状の花をつけ、葉の一部分が真っ白に変化して浮き出ています。その白い葉はじめじめとした梅雨の時期にはとても爽やかさを感じさせます。湿地に生える半夏生を見事に表現された御句です。(佃 康水)

★砂浜を蟹横走り児らの声/河野啓一
砂浜で遊ぶ子ども達の声が明るく響き、蟹もはさみを振り上げて走り、嬉しそうな様子が目に浮かびます。 (井上治代)

★古代蓮今日を咲く花よごれなき/小川和子
二千年の時を超えて開花する古代蓮。そのよごれなき姿に、悠久の時を経て今日を咲く、命の崇高さを見る思いがいたします。(藤田洋子)
今朝、咲き始めたばかりの蓮の汚れのないきれいな花を見ていると、希望に満ちた気持ちが高まります。(高橋秀之)

★梅雨晴れて遠くに連なる白き雲/高橋秀之
うんざりする梅雨の空に変わり空には明るい白い雲が連なっている。ホッとして嬉しい気持ちですね。迫田和代)

★紫陽花は線路に沿って旅人に/高橋句美子
ゴトゴトと線路は登り、紫陽花は旅人を楽しませるために色を添えて待っていてくれています。自然への感謝、出会いへの共感にあふれた作品だと思います。 (小西 宏)

★梅雨晴れの空の青さに未来あり/井上治代
雨の続く梅雨の時期のひとときの晴れ間。その晴れ間に垣間見える青空は、これから訪れるであろう夏本番、ひいては楽しいの未来の訪れを予感させてくれます。 (高橋秀之)

★靄晴れて睡蓮浮かぶ森の湖/佃 康水
★ばらの香と雫を共にきりにけり/小口泰與
★アセチレンランプの夜店なつかしき/矢野文彦

◆選者詠/高橋信之
★森に出会う山百合の大きな花よ
★池に近く野かんぞうの散らばり咲く
★梅雨まだ去らぬ森に散りばめ白花を

◆選者詠/高橋正子
★山百合に雨粒一つ二つ落つ
高さ一メートル4、5センチにもなり、清楚な白色で、内側に紅色の斑点を持つ大輪の香り高い美しい花に雨粒が一つ二つと落ちて続いて雨脚が強くなり、素晴らしい花を困らせる。(小口泰與)

★溝萩をはなれぬ沼の蝶なりき
★夏鶯外輪山に声長く

◆互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★紫陽花は線路に沿って旅人に/高橋句美子
★塩さらさらと四万十の鮎にふる/藤田洋子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆7月ネット句会清記◆

◆7月ネット句会◆
■清記/18名54句

01.七月の老木樹液光れるよ  
02.夏野菜売る声高く女の子
03.一面の蓮の葉揺れて花現われ
04.幼子のゑくぼ晴れやか柿若葉
05.大西日連れて豆腐屋ラッパ吹く
06.利根川の流れ蕩々麦の秋
07.靄晴れて睡蓮浮かぶ森の湖
08.樹々茂り古寺の大屋根埋もるる
09.夢乗せて行き交う電車二星号
10.熟梅の香りにひかれテントまで

11.ひまわりや二階より顔覗くかな
12.百合咲けりリュックの子より高い花
13.初蝉の聞いてほどなく止みにけり
14.つれづれと云う幸せよ梅雨きのこ
15.梅雨夕焼け青き空あり夕餉の香
16.老鶯や分校つとに廃校に
17.ばらの香と雫を共にきりにけり
18.萱草の群咲く畦や雨ざんざ
19.捕虫網立て分け進む草いきれ
20.夏蝶のキリキリ昇る日の柱

21.炎天の暮れ西空に深き紅
22.いつまでもあの日に帰る原爆忌
23.新緑が燃える道ありビル並木
24.峠駅雨にけぶって咲く合歓や
25.五月雨の雨だれ激し大仏殿
26.涼風に賽銭箱と吹かれけり
27.畦道の乾く暇なし半夏生
28.砂浜を蟹横走り児らの声
29.夏潮を越えて島並みサイクリング
30.台風の去りて森の辺静まれる

31.古代蓮今日を咲く花よごれなき
32.古墳へと登る草原野萱草
33.草原の青さにまぎれ捩り花
34.雨の中家族総出の田植終え
35.梅雨晴れの空の青さに未来あり
36.夏の蝶光をまとい流れゆく
37.塩さらさらと四万十の鮎にふる
38.水辺より生れて蜻蛉日に透ける
39.ひと雨のあとの夕映え夏祓
40.雨がやみ始まる蝉の大合唱

41.夏木立の下で一息雨宿り
42.梅雨晴れて遠くに連なる白き雲
43.アセチレンランプの夜店なつかしき
44.新しき義歯の重たしわらびもち
45.効きますか土用やいとは効きますよ
46.森に出会う山百合の大きな花よ
47.池に近く野かんぞうの散らばり咲く
48.梅雨まだ去らぬ森に散りばめ白花を
49.山百合に雨粒一つ二つ落つ
50.溝萩をはなれぬ沼の蝶なりき

51.夏鶯外輪山に声長く
52.紫陽花は線路に沿って旅人に
53.木下影ひつじ草の白ひとつ
54.仙石原の原っぱ明るくノハナショウブ

※選句を開始してください。

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、7月13日(日)午後6時から始め、同日(7月13日)午後10時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、7月14日(月)午前10時です。
※2) 伝言・お礼等の投稿は、7月14日(月)午前10時~7月15日(火)午後6時です。

7月13日(日)

★ひまわりの黄色澄みしを供花にもす  正子
ひまわりが咲き始めました。ひまわりにも色々な種類がありますが、畑一面に黄色を振りまく小ぶりの花は、周囲のみどりとも相俟って、透き通るような黄色です。供花とすれば、明るい色にほとけさまも喜ばれる事でしょう。。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
茄子苗の花の咲きつつ売られけり/桑本栄太郎
茄子の苗が売られているが、はや、紫の花がついて、みずみずしく勢いがある。植えればすぐに根付き、よく実を結ぶそうだ。(高橋正子)

○胡麻の花

[胡麻の花/横浜緑区北八朔]

★胡麻の花濡れしに思ひ至りけり/加藤楸邨
★足音のすずしき朝や胡麻の花/松村蒼石

 胡麻の花はうすむらさきである。畑につっと立った胡麻の茎に直接に咲いて、9月ごろ実がなり、葉が枯れると、花の付き具合が一目瞭然となる。農家で畑の隅に自家用の胡麻をほんの数畝植えていた。生家では、さつま芋の隣に落花生、胡麻を植えていた記憶がある。最近では横浜の北八朔で栽培しているのを見た。結構広く植えていたので、自家用ばかりではないのかもしれない。
尾瀬にゆく途中でも山裾の小さい畑に植えてあったが、これは自家用だけと見受けた。

★尾瀬へゆくバスが見せたる胡麻の花/高橋正子

ゴマ(胡麻、学名:Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカのサバンナに約30種の野生種が生育しており、ゴマの起源地はサバンナ地帯、スーダン東部であろうというのが有力である。ナイル川流域では5000年以上前から栽培された記録がある。日本列島では縄文時代の遺跡からゴマ種子の出土事例がある。室町時代に日明貿易での再輸入以降、茶と共に日本全国の庶民にも再び広まった。古くから食用とされ、日本には胡(中国西域・シルクロード)を経由して入ったとされる。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月頃。日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている。財務省貿易統計によると、2006年のゴマの輸入量は約16万トン。一方、国内生産量は、約200トン程度に留まっている。全体の僅か0.1%に相当する国産ゴマのほとんどは鹿児島県喜界島で生産され、8~9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する。草丈は約1mになり、葉腋に薄紫色の花をつけ、実の中に多数の種子を含む。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。鞘の中に入った種子を食用とする。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、すりつぶす(すりごま)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマに分けられるが、欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培。

◇生活する花たち「蛍袋・立葵・紅かんぞう」(横浜・四季の森公園)