■8月ネット句会■
■入賞発表/2014年8月20日■
【金賞】
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)
【銀賞】
★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)
【銅賞2句】
★仏花入れ山のひぐらし鳴き始む/藤田洋子
山の墓地にある墓。墓の花筒に新しい花を入れると、山のひぐらしが鳴き始める。ひぐらしの声は、どこかさびしい。そして、木々の間をさざめかすように鳴くが、遠い誰かを呼んでいるようにも聞こえる。(高橋正子)
★白桃をむく指先の力抜き/柳原美知子
やわらかな白桃を剥くとき、意識しなくても、自然に指先の力を抜いている。その白桃の扱いをみれば、白桃が、いかに美的でやわらかく、完熟して果汁もしたたるばかりかと思う。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★仏花入れ山のひぐらし鳴き始む/藤田洋子
お盆のお墓参りのお花でしょうか。墓前に花を奉げていると折しも山の方から蜩の声が聞こえて来ました。夏に啼く蝉時雨とは違って蜩の啼く声は秋の到来を実感すると同時に一抹の寂しさを覚えます。しっとりとしたお盆の頃の風景が見えて参ります。(佃 康水)
★みんみんのど真ん中で聞く車椅子/迫田和代
今、みんみん蝉が盛んに啼いています。そのど真ん中に車椅子を止めて聞いている。木立の多い自然環境豊かな場所にお住まいの作者、心ゆくまで今の季節をお楽しみになられた事でしょう。(佃 康水)
★高き木の蝉音指差す幼き児/高橋正子
幼い児、もしやお孫さんでしょうか?高い木に啼いている蝉を指さす幼い児。幼い児は音や声に敏感に聞き取り、その嬉しさをまた不思議さを誰かに伝えようとします。それに応えて家族達まで嬉しくなり幸せを共有できる一時です。(佃 康水)
蝉音のする方向を探し当て高い木を指差す幼児の無垢な瞳の輝きとひと夏を懸命に鳴く蝉の命の輝きに感動を覚えます。(柳原美知子)
★秋茄子の香ばしく焼ける新居/高橋句美子
香ばしく焼き上がる秋茄子がいかにも美味しそうで、旬の味覚を味わう喜びが伝わります。季節を楽しみながら、新居での快適なお暮らしの充実感が感じられます。 (藤田洋子)
★観音像を丸くまわりてオニヤンマ/古田敬二
最近よく見かける巨大な観音像。その周りを丸く回るオニヤンマ。秋の爽やかな風情を感じる光景です。(高橋秀之)
★三ヶ月の昇る力に空仰ぐ/迫田和代
「三ヶ月」に「昇る力」を見たのだ。「満月」ではないところに作者の実感があり、作者の独自性がある。「空仰ぐ」に作者のいい姿を見た。空海の「遊心大空」の教えを思った。(高橋信之)
★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)
【高橋正子特選/8句】
★ひと雨の過ぎて澄みいる法師蝉/小西 宏
雨は全てのものを浄化してくれるように思います。雨上がりの木々の緑色も美しく輝いてみえます。法師蝉の声も澄み秋のおとずれを感じさせてくれます。 (井上治代)
何となく雨の多い日が続いていますがその雨も止むと辺りの空気はすっかり澄んでいます。夏の蝉の声が聞けなくなった頃、法師蝉のあの独特な啼き声に朝夕は秋の気配を濃く感じます。(佃 康水)
★秋の虹妻と同時に気付きたり/福田ひろし
思いがけなくも秋の虹と出会い、天空の美しさを奥様と共有できる幸せ。素敵なご夫婦の姿に心あたたまり、秋の虹がいっそう美しく優しく感じられます。 (藤田洋子)
★川岸を覆ひ尽くすや虫の声/内山富佐子
川岸の草原からは、虫の声が絶え間なく聞こえ、まさに覆い尽くすような感じがしてきます。秋を実感する一コマです。(高橋秀之)
★白桃をむく指先の力抜き/柳原美知子
やわらかな白桃を剥くとき、意識しなくても、自然に指先の力を抜いている。その白桃の扱いをみれば、白桃が、いかに美的でやわらかく、完熟して果汁もしたたるばかりかと思う。(高橋正子)
★桔梗咲き一輪青く陽にあたる/高橋句美子
桔梗の花の一輪だけに陽が当たっている。青むらさきの桔梗は、陽が当たると青が鮮やかに印象づけられ、桔梗の花はもの言わんとするようだ。(高橋正子)
★揚げ花火最中来る船かえる船/佃 康水
花火が大輪の花を空に咲かせている最中、早々と来た船は帰り、花火の最高潮にやって来る船もある。来る船、帰る船で賑わう海の花火である。(高橋正子)
★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)
【入選/10句】
★玄関を開くれば入る盆の月/古賀一弘
玄関を開けた途端差し込んでくる月光綺麗な句ですね。(迫田和代)
★若者のおうと打ち来る盆太鼓/佃 康水
盂蘭盆といえどもまだまだ暑い盛り。踊りを盛り上げる若者の筋肉と汗をも想像させる盆太鼓の掛け声が逞しく轟き響きます。(小西 宏)
颯爽と櫓太鼓を打つ村一番のいい男手拍子に合わせ踊る村一番の美女たち盆踊り最高潮です。(古賀一弘)
★秋蝉に雨後の夕風立ちそめし/藤田洋子
季節の変わり目には雨が良く降り、一雨毎に涼しくなって来ます。秋雨の後、夕刻には涼やかな風が吹き、その中でも秋の蝉は物哀しく鳴いて、初秋の風情を醸し出してます。 (桑本栄太郎)
★うら若き僧の読経や盆の月/内山富佐子
お盆にみえた若いお坊様、お月さまと読経、何だか帰省した時のことが思い出されます。(祝恵子)
★草むらの吾亦紅見つけ触れてゆく/祝恵子
茎を伸ばし穂状の可憐な吾亦紅。草むらに作者が見つけて触れた吾亦紅の嬉しさに、清々しい秋の訪れを実感します。 (藤田洋子)
★茄子の牛父幾たびも振り返り/内山富佐子
仏壇に飾った茄子の馬。読経を終え拝むとき、今は亡き父と別れた時のことがしきりと思われる。(古田敬二)
★きちきちの鎌に追はれて右左/渋谷洋介
雑草刈でしょうか、腰をかがめて進んでゆくとキチキチバッタが音を立てながら飛び立っていきます。残暑のこの季節、そこに涼しさも味わうことができます。(小西 宏)
草いきれの中、草刈鎌の光とキチキチと翅を鳴らしながら慌てて飛び出すキチキチバッタの淡緑色の輝きが目に見えるようです。生き物への温かい視線を感じます。(柳原美知子)
★晴れの日も雨降る日にも夏帽子/井上治代
日除けとなり、風もよく通す、そして色も形も涼しげなお気に入りの夏帽子なのでしょうね。見る人、被る人の心の軽やかさが伝わってきます。(小西 宏)
★秋出水泥をものともせぬ球児/矢野文彦
今年の高校野球は大雨のために開催が遅れました。選手たちの出身地の中には大きな被害を受けたところもあったかもしれません。でも、そんな苦難も乗り越えて頑張っています。(小西 宏)
★嬬恋の空の深しや濃竜胆/小口泰與
嬬恋村(つまごいむら)は群馬県の西端にある。作者の住む前橋の西だ。きゃべつ畑と浅間山があって、詩情のある村だ。(高橋信之)
★盆波や小雨の沖に舟一艘/桑本栄太郎
盆の海を詠んで、作者の想いのある句だ。詩情が読み手に伝わってくる。その詩情がいい。(高橋信之)
★盆参り盛り上がりおり島言葉/祝恵子
「島言葉」は「お国言葉」だ。故郷の心の絆に無理がない。故郷の同じ先祖を持つ絆だ。(高橋信之)
■選者詠/高橋信之
★歩くのが好き歩き始めし児の夏よ
歩き始めたばかりの頃は、とにかく歩くのが好きで、とにかく歩きたがります。しかも、夏となれば、なおさらその歩みに元気が感じることができます。(高橋秀之)
★丘の家に盆来て盆の瓜なすび
★留守居して独り聞く冷房の音を
■選者詠/高橋正子
★高き木の蝉音指差す幼き児
幼い児、もしやお孫さんでしょうか?高い木に啼いている蝉を指さす幼い児。幼い児は音や声に敏感に聞き取り、その嬉しさをまた不思議さを誰かに伝えようとします。それに応えて家族達まで嬉しくなり幸せを共有できる一時です。(佃 康水)
蝉音のする方向を探し当て高い木を指差す幼児の無垢な瞳の輝きとひと夏を懸命に鳴く蝉の命の輝きに感動を覚えます。(柳原美知子)
★小ぶりなる桃に残暑の光あり
★黒きみどり銀杏並木は秋暑し
■互選高点句
●最高点(5点)
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
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