8月27日(水)

★りんりんと虫音に力のありて闇  正子
日中は残暑厳しきながら、さすがに夕方になりますと涼しくなり、今の時季は日中と夜の季節の光景のせめぎあいです。日毎に虫の音の声が力強くなり、秋の到来を実感する時ですね。闇との提示の止めが素晴らしく効果的かと思います。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
坂道の風を下れば稲の花/桑本栄太郎
「風を下れば」に詩がある。稲の花が咲くころは、暑い暑いと言いながらも、ときに心地よい風が吹く。そんな日に咲く稲の花は爽やかである。(高橋正子)

○竜胆(りんどう)

[竜胆/横浜日吉本町]

★竜胆や風落ち来る空深し 龍之介
★山の声しきりに迫る花竜胆 亞浪
★山ふところの ことしもここに竜胆の花 山頭火
★笹竜胆草馬の脊を滑りけり 普羅
★龍胆の太根切りたり山刀 かな女
★龍膽をみる眼かへすや露の中 蛇笏
★かたはらに竜胆濃ゆき清水かな 風生
★好晴や壺に開いて濃竜胆 久女
★銀婚の妻のみちべに濃竜胆 青邨
★霧に咲く深山りんどう卓に咲きぬ 秋櫻子
★竜胆の花のあいだに立つ葉かな 素十
★子へ供華のりんだう浸す山の瀬に 貞
★一輪の龍膽餐けよ鶴の墓 青畝

野生の竜胆の花を近隣の野原で見ることはほとんどない。それだけに野生の竜胆を自分の目で見つけたときの感激は一入だ。初めて自分の目が見つけた竜胆は、40年ほども前の阿蘇の中の牧の草地であった。中ノ牧の草地は草丈が低く、平地ならばちょうど草を刈り取ってしばらく経ったときのような爽やかな草原である。秋、朝の日が足元にもほど良く差していた。一歩踏み出そうとしたその靴先に竜胆が一輪上を向いて咲いている。踏んでしまうところだった。いまもその一輪の竜胆の色と姿をよく記憶している。阿蘇には、もう一度行ってみたいと思う。

★竜胆の紺一輪が靴先に/高橋正子
★竜胆に日矢が斜めに差し来たり/高橋正子

リンドウ(竜胆、学名Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim.)とは、リンドウ科リンドウ属の多年生植物である。1変種 Gentiana scabra var. buergeri をさすことが多いが、近縁の他品種や他種を含む総称名のこともある。英名Japanese gentian。古くはえやみぐさ(疫病草、瘧草)とも呼ばれた。本州から四国・九州の湿った野山に自生する。花期は秋。花は晴天の時だけ開き、釣り鐘型のきれいな紫色で、茎の先に上向きにいくつも咲かせる。高さは50cmほど。葉は細長く、対生につく。かつては水田周辺の草地やため池の堤防などにリンドウやアキノキリンソウなどの草花がたくさん自生していたが、それは農業との関係で定期的に草刈りがなされ、草丈が低い状態に保たれていたためだった。近年、そのような手入れのはいる場所が少なくなったため、リンドウをはじめこれらの植物は見る機会が少なくなってしまい、リンドウを探すことも難しくなってしまっている。園芸植物として、または野草としてよく栽培されるが、園芸店でよく売られているのは別種のエゾリンドウの栽培品種のことが多い。生薬のリュウタン(竜胆)の原料の1種である。

◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

8月26日(火)

★原っぱにえのころぐさの影となる  正子
寸地にも、えのころ草は生えて来ますが、原っぱで有ればなお生茂り大きな穂が伸びて少し色付き、影をつくる程になって参ります。その影や揺れるすがたに初秋の爽やかさを感じます。「原っぱ」「えのころ草」に遊んだ子供の頃の懐かしさを覚えます。(佃 康水)

○今日の俳句
賑わいの漁港の上の鰯雲/佃 康水
出船、入船、魚の水揚げなどで、賑わう漁港。その上の空高くに広がる鰯雲。生き生きとした漁港の美しい景色。(高橋正子)

○犬蓼(赤のまま)

[犬蓼(いぬたで)/横浜下田町・松の川緑道]

★犬蓼の花くふ馬や茶の煙 子規
★犬蓼の花に水落ち石出たり 鬼城
★手にしたる赤のまんまを手向草 風生
★モンペ穿く赤のマンマに笑ひながら かな女
★赤のまま土の気もなき蛇籠より 青畝
★赤のまま摘めるうまごに随へり 亞浪
★道ばたの捨て蚕に赤のまんまかな 石鼎
★人恋へば野は霧雨の赤まんま 鷹女
★赤のまま天平雲は天のもの 青畝
★赤のままそと林間の日を集め 茅舎
★山水のどこも泌み出る赤のまま 汀女
★われ黙り人話しかくあかのまま 立子
★一本を一心に見る赤のまま/大串章
★枯畦に残りて赤しあかのまま/阿部ひろし
★相模野にあるままを活け赤のまま/鷹羽狩行
★暁光を小粒に受けて赤のまま/林翔
★水際の赤のまんまの赤つぶら/高橋正子

イヌタデ(犬蓼、Polygonum longisetum あるいは Persicaria longiseta)は、タデ科の一年草。道ばたに普通に見られる雑草である。茎の基部は横に這い、多く枝分かれして小さな集団を作る。茎の先はやや立ち、高さは20-50cm。葉は楕円形。秋に茎の先端から穂を出し、花を密につける。花よりも、その後に見られる真っ赤な果実が目立つ。果実そのものは黒っぽい色であるが、その外側に赤い萼をかぶっているので、このように見えるものである。赤い小さな果実を赤飯に見立て、アカマンマとも呼ばれる。雑草ではあるが、非常に美しく、画材などとして使われることもある。名前はヤナギタデに対し、葉に辛味がなくて役に立たないために「イヌタデ」と名付けられた。

◇生活する花たち「芙蓉・萩・女郎花」(東京・向島百花園)

8月25日(月)

★葛咲けり一つの花のその奥にも  正子

○今日の俳句
青柿の並びさわさわ風に揺れ/河野啓一
青い柿の葉のなかにある青い柿の実。風が吹くと青柿がさわさわ揺れ、新涼のさわやかさを目にみせてくれる。(高橋正子)

○小豆の花

[小豆の花/ネットより]            [野小豆の花/ネットより]

★パソコン画面の小豆の花のさわやかに/高橋信之

小豆の花の記憶はうすいが、小豆が収穫されて、豆の鞘を木槌で打ってなかの小豆を取りだす作業は記憶にある。そういう仕事は、たいてい祖母の仕事であったから、遊びながら手伝った。まずは、ぜんざいになって、それからお餅の餡になった。農村では、店で小豆を売っているのを見たことがないから、それぞれの家で栽培していたのだろうと思う。畑のダイヤとか、小豆相場ということも小さい農村の生活者には無縁の言葉であった。

★海さえも火照りて小豆の花が咲く/高橋正子

アズキ(小豆、Vigna angularis)は、マメ科ササゲ属の一年草。アズキは二千年程の昔に中国から渡来したと考えられている栽培種。和菓子のあん、赤飯等に使われるマメとしてお馴染みである。原産地は東アジア。祖先野生種のヤブツルアズキ (Vigna angularis (Willd.) var. nipponensis) は日本からヒマラヤの照葉樹林帯に分布し、栽培種のアズキは極東のヤブツルアズキと同じ遺伝的特徴をもつ。日本では古くから親しまれ、縄文遺跡から発掘されているほか、古事記にもその記述がある。8月の終わり頃、葉腋に黄色い花を咲かせる。花の中心部にある竜骨弁と呼ばれるものは旋回しており、属は異なるがノアズキとよく似ている。果実は円筒形で細長く、ササゲ属の特徴をよく示している。種子は赤飯などでお馴染みと思うが、膨らんだ円筒形。アズキの約20%はタンパク質で、栄養価が高いほか、赤い品種の皮にはアントシアニンが含まれ、亜鉛などのミネラル分も豊富である。日本における栽培面積の6割以上を北海道が占める。丹波、備中を含めて、日本の三大産地である。 低温に弱く、霜害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期に播種する。国産の品種には以下のようなものがある。

大納言(大粒種) – 丹波、馬路、備中、美方、あかね、ほくと、とよみ
中納言、普通小豆 – えりも、しゅまり、きたのおとめ、さほろ
白小豆 – 丹波白小豆・備中白小豆・北海道白小豆
黒小豆

◇生活する花たち「朝顔・芙蓉・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

8月24日(日)

★朝風のとんぼを運び海へ去る  正子

○今日の俳句
蝉時雨その真ん中に座りけり/福田ひろし
情景は、「蝉時雨が四方八方から聞こえる」なのだが、「蝉時雨の真ん中に座る」と作者の行為を中心に捉えて、作者の存在感が強く打ち出された。(高橋正子)

○溝蕎麦

[溝蕎麦/横浜市港北区下田町・松の川緑道]

★溝蕎麦は水の際より咲き初めし/高浜年尾
★溝蕎麦や峡田乏しき水をひき/平松草太
★溝蕎麦の鳥の脚よりなほ繊き/永野孫柳
★溝蕎麦や足摺へ向く遍路みち/中平泰作
★溝蕎麦や遅れがちなる二人連/加藤知子
★溝そばの花園川の花盛り/飯田法子
★溝蕎麦の溝よりあふれ出て咲ける/江藤都月
★溝蕎麦を水をきらきら濡らし過ぐ/高橋正子

ミゾソバ(溝蕎麦、学名 Polygonum thunbergii または Persicaria thunbergii )は、タデ科タデ属 (Polygonum) またはイヌタデ属 (Persicaria) に分類される一年生草本植物である。東アジア(日本、朝鮮半島、中国)に分布する。日本では北海道・本州・四国・九州の小川沿いや沼沢地、湖岸などに分布する。 特に稲作地帯などでコンクリート護岸化されていない用水路脇など、水が豊かで栄養価が高めの場所に群生していることが多い。今でこそ護岸をコンクリートで固められてしまった場合が多いが、かつて日本各地で水田が見られた頃は、土盛りされていた溝や用水路、小川などの縁に普通に生えており、その見た目が蕎麦に似ていることが和名の由来になっている。水辺などで 30〜100cm ほどに生長し、根元で枝分かれして勢力を拡げ群生する。葉は互生し、形が牛の額にも見えることからウシノヒタイ(牛の額)と呼ばれることもある。花期は晩夏から秋にかけてで、茎の先端で枝分かれした先に、直径 4〜 7mm ほどで、根元が白く先端が薄紅色の多数の花を咲かせる。 なお、他のタデ科植物と同様に花弁に見えるものは萼である。

生活する花たち「白むくげ・萩・藤袴」(東京・向島百花園)

8月23日(土)/処暑

★剥く梨にわが顔映りいたるかも  正子
青梨の代表の二十世紀でしょうか。香り高く、果皮はなめらかで、みずみずと美しく、皮をむくと甘い液が滴り、その液に自分の顔が映るようだと美味しい梨を賛美している素晴らしい句ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
浮雲のほのと明るし赤のまま/小口泰與
赤のままのやさしい抒情と、丸みを帯びた浮雲のほのと明るい情景がよくマッチしている。(高橋正子)

○水引草

[水引草/東京・向島百花園]   [きんみずひき/東京白金台・自然教育園]

★かひなしや水引草の花ざかり/正岡子規
★水引の花が暮るればともす庵/村上鬼城
★水引や人かかれゆく瀧の怪我/前田普羅
★木もれ日は移りやすけれ水引草/渡辺水巴
★水引草ならば心音かすかかな/清水径子
★今日は今日の夕暮の色水引草/島田和世

○水引草
 水引草は、赤い糸を引くように風の中に咲く。植えるでもなくいつの間にか庭に下草のように増えている。一輪挿しにすっと伸びたものが欲しいとき、庭に出て水引草を摘んでよく活けた。まだ暑いのに秋の雰囲気がただよう。

 ★水引草の朱が試験期の図書館に/高橋正子

 これは大学時代の句。図書館には、さりげなく花が活けられていた。司書の方のセンスであろうが、図書館に澄んだ風が吹いているようであった。入学したてのころ、図書館に行くと文学部の上級生がお昼も抜きで3時間4時間平気で勉強していた。大学生とはこういうものと、真似をして、私もその人がいる間中ずっと図書館にいたことがある。結構図書館でも過ごしたが、自分の部屋で本を読むものいい。図書館であたらしいことを発見し、部屋で考えを深めたり、楽しんだりするという本の読み方が大学を卒業するころは習慣になった。図書館の花は、頭の疲れをとってくれるような気がした。

 水引草は、蓼(たで)科の多年草。学名 Antenoron filiforme。Antenoron : ミズヒキ属、filiforme :糸状の。開花時期は、8/5頃~10/10頃。上から見ると赤く見え、下から見ると白く見える花を、紅白の水引に見立てた。ヒマラヤから中国の高山帯の草地に群生。花茎は高さは5~20センチで葉がなく、円筒状あるいは卵状の総状花序に明るいピンク色の花をつける。花弁は4枚で、5本のおしべを持つ.2本の花柱は花後も残って成長し、先がかぎ状になって果実の先端から突出する。葉は長円形で、表面に黒い斑が入る。高さは約1米位。

 ギンミズヒキ(銀水引)は、ミズヒキの白い花が咲く品種。ミズヒキは 4 つある萼のうち上側の3つが赤く,下の一つが白いが,ギンミズヒキは 4 つとも白い。葉が斑入りのものもある。

 キンミズヒキ(金水引)は、バラ科、ミズヒキはタデ科で、全く別の種類の花である。名前の由来はミズヒキの方が基で、冠婚等の慶事で用いられる水引(みずひき)に例えて名付けられた。キンミズヒキは、この花に花の付き方や花穂の全体像が似ていて黄金色の花を付ける事から金色のミズヒキ、つまりキンミズヒキ(金水引)となったと言われている。

◇生活する花たち「落花生の花・ササゲの花・稲の花」(横浜市緑区北八朔町)

8月22日(金)

★小雨降る中の芙蓉を一つ剪る  正子
立秋の頃から咲きはじめる一日花の芙蓉。小雨もよいの中にひらく一輪を剪りとり、水に挿されたのでしょう。水滴のつく芙蓉がさわやかです。(小川和子)

○今日の俳句
水音を離れず蜻蛉疾くとび交う/小川和子
水音は、堰を落ちる水の音であろう。きれいな水を想像する。いつまでも水を離れず、すいすいと飛び交う蜻蛉に涼感がある。

○吾亦紅(われもこう)

[吾亦紅/横浜市港北区下田町・松の川緑道]
吾亦紅はその名前が文学少女好みなのだろう、今は80歳を越えた女性にはなかなかの人気だった。薔薇科とは思えない花の形。色も紅とも言い切れなくて茶色に近い。臙脂色と言っていいのだろうか。「わたしも紅なのですよ」と主張するあたり健気である。野原や河原の草原に生えているのを見つけると、これは感動ものである。松山時代のこと。道後平野を流れる一級河川に重信川がある。正岡子規が「若鮎の二手になりて上りけり」と詠んだ川である。厳密にはこの句は、重信川と石手川の合流する「出合」と呼ばれているところの若鮎を詠んだもの。この重信河原の中流より少し上手の河原に吾亦紅はいくらでもあると聞いた。吾亦紅があるあたり、おそらく河原撫子もあるのだろうと想像するが、実際見にゆけなく残念な思いが残っている。松山市内のレトロなコーヒー店で句会をしたとき、大きな丸テーブルの真中に吾亦紅がたくさん活けてあって、レトロな雰囲気によく似合っていた。数日前の8月20日向島百花園に寄った。女郎花と桔梗はちょうど見ごろであったが、吾亦紅はまだ固い蕾。それでも吾亦紅の色であった。すっと伸びた細い茎の分かれるとろこに羽毛状の軽い葉がある。この花にして、この葉ありだ。園内には蚊遣りが置かれていて、蚊が現れる。蚊遣りと吾亦紅、まんざら悪くない。萩もほんの二、三花なのだから、百花園は秋のほんの入り口だった。
 
  百花園
★吾亦紅スカイツリーのある空に/高橋正子
  松山
★吾亦紅コーヒー店のくらがりに/高橋正子

ワレモコウ(吾亦紅、吾木香)は、バラ科・ワレモコウ属の植物。英語ではGreat Burnet、Garden Burnet、中国語では地楡(ディーユー、dìyú)。日本列島、朝鮮半島、中国大陸、シベリアなどに分布しており、アラスカでは帰化植物として自生している。草地に生える多年生草本。地下茎は太くて短い。根出葉は長い柄があり、羽状複葉、小葉は細長い楕円形、細かい鋸歯がある。秋に茎を伸ばし、その先に穂状の可憐な花をつける。穂は短く楕円形につまり、暗紅色に色づく。「ワレモコウ」の漢字表記には吾亦紅の他に我吾紅、吾木香、我毛紅などがある。このようになったのは諸説があるが、一説によると、「われもこうありたい」とはかない思いをこめて名づけられたという。また、命名するときに、赤黒いこの花はなに色だろうか、と論議があり、その時みなそれぞれに茶色、こげ茶、紫などと言い張った。そのとき、選者に、どこからか「いや、私は断じて紅ですよ」と言うのが聞こえた。選者は「花が自分で言っているのだから間違いない、われも紅とする」で「我亦紅」となったという説もある。別名に酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などがある。根は地楡(ちゆ)という生薬でタンニンやサポニン多くを含み、天日乾燥すれば収斂薬になり止血や火傷、湿疹の治療に用いられる。漢方では清肺湯(せいはいとう)、槐角丸(かいかくがん)などに配合されている。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月21日(木)

★秋蝉は向こうにちちと鳴くのみに  正子
秋の蝉は、力強い夏の蝉と違い、ちちっと秋の蝉らしい鳴き方をします。向こうでちちっと鳴くのみが、正に秋になったことを伝えてくれます。(高橋秀之)

○今日の俳句
朝霧が包む港に汽笛鳴る/高橋秀之
素直な句で、朝霧に鳴る汽笛がのびやかに聞こえる。朝霧に包まれた港がこれから動き出そうとしている。(高橋正子)

○狗尾草・猫じゃらし(えのころぐさ・ねこじゃらし)

[えのころぐさとめひしば/横浜日吉本町]_[チカラシバ/横浜下田町・松の川緑道]

○狗尾草
穂草のなかで、芒と並んで絵になる草かもしれない。花のないときは、一輪挿しにさして秋の風情を呼ぶ。また、畑の草取りのときなどは、引っ張れば根ごとすぐ抜けて除草には楽な草だ。今朝、ラジオにヘンデルの「ラルゴ」が流れていた。このところ、この曲を忘れていたのだが、聞いていると葬送の曲とも思える。空のどこかに、どこに連れてゆかれるかわからないが、導かれてゆくような曲だ。その空は、狗尾草を揺らしておけばよいような空だと思えた。

 エノコログサ(狗尾草、学名:Setaria viridis)は、イネ科エノコログサ属の植物で、1年生草本である。ブラシのように毛の長い穂の形が独特な雑草である。夏から秋にかけてつける花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも「狗(犬)の尾の草」と表記する。ネコジャラシ(猫じゃらし)の俗称は、花穂を猫の視界で振ると、猫がじゃれつくことから。
 草丈は40-70cmになる。茎は細く、基部は少し地表を這い、節から根を下ろす。夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつける。葉は匍匐茎にも花茎にも多数ついており、最大20cm位、イネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがない。茎を包む葉鞘と、葉身の境目につく葉舌は退化して、その部分に毛だけが残る。
 花序は円柱形で、一面に花がつき、多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状になる。イヌビエなどの穂から出る毛は、小穂を包む鱗片(穎)の先端から伸びる芒であるが、エノコログサの場合、この毛は芒ではなく、小穂の柄から生じる長い突起である。エノコログサの小穂は、果実が熟すると、一個の種子(実際には果実)を鱗片が包んだものに見える。小穂の中には花は1つしかない。しかし、本来は2つの小花があるべきもので、そのうち1つが退化したものと解釈されている。

 現在は、一般的に食用としては認識されていないが、粟の原種であるので食用に使える。若い葉と花穂は軽く火であぶり、醤油などで味付けしたり(風味はポップコーンに酷似)、天ぷらにしたりして食べられる。ただし、終戦直後大量に食べて中毒を起こした学者がいる。近代以前の農村では、酷い飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。

◇生活する花たち「山萩・鬼灯・蓮の花托」(横浜・四季の森公園)

◆ご挨拶/8月ネット句会◆


◆8月ネット句会◆
ご挨拶(高橋正子/主宰)
8月句会は、お盆明けの句会となりました。残暑厳しい日が続いていますが、今回は、19名のご参加がありました。投句されたのは、秋の句です。残暑の中にも秋の気配が感じられ、句を拝読すると、さわやかな秋の来るのが楽しみになりました。今年の暑さや雨の降り方には異常を感じますが、入賞発表の今日は広島市の北部の住宅地で傷ましい土砂災害が起こり、大変な事態となっております。どなたもこのような災害に巻き込まれないことを切に祈ります。
入賞の皆さまおめでとうございます。選とコメントをありがとうございました。入賞した句には、それぞれに良さがあって、その基本には強い実感があることだと思います。これまでいろいろ詠まれたような場面の句でも、実感があり、対象に向かっていく精神があれば、一味違った句になります。選をしていて、つくづくそう思いました。今月も管理運営は信之先生に、互選の集計は洋子さんにお願いいたしました。どうもありがとうございました。これで、8月ネット句会を終わります。来月を楽しみに、ご健吟ください。

8月20日(水)

★葛にさえ初花ありて匂うなり  正子
秋の七草の一つでもあるという葛は、他の七草と同様に雑草というほうが近く、崖などにおおせいに茂る逞しい草です。花もさほど華麗というわけではありません。しかし、花の香りはとても匂やかで、思わず、こんな花にもと感動してしまいます。「葛にさえ」という表現と「初花」という言葉の響き合いが印象的です。 (小西 宏)

○今日の俳句
虫篭の軽きを子らのそれぞれに/小西 宏
虫篭をもった子がそれぞれ。篭に虫が入っているのか、いないのか。それはこの句では問題ではない。虫篭の軽さが子供の幼さ、風の軽さを表している。(高橋正子)

○稲の花

[稲の花/横浜市緑区北八朔町]

★いくばくの人の油よ稲の花 一茶
★南無大師石手の寺よ稲の花 子規
★稲の花今出の海の光りけり 子規
★湯槽から四方を見るや稲の花 漱石
★雨に出しが行手の晴れて稲の花 碧梧桐
★軽き荷を酔うてかつぐや稲の花 虚子
★酒折の宮はかしこや稲の花 虚子
★八十路楽し稲の花ひろびろと見る/高橋信之
★稲の花見つつ電車の駅までを/高橋正子
★稲の花雲なく晴れし朝のこと/高橋正子

 イネ(稲、稻、禾)は、イネ科 イネ属の植物である。稲禾(とうか)や禾稲(かとう)ともいう。 収穫物は米と呼ばれ、世界三大穀物の1つとなっている。本来は多年生植物であるが、食用作物化の過程で、一年生植物となったものがある。また、多年型でも2年目以降は収穫量が激減するので、年を越えての栽培は行わないのが普通である。よって栽培上は一年生植物として扱う。属名 Oryza は古代ギリシア語由来のラテン語で「米」または「イネ」の意。種小名 sativa は「栽培されている」といった意味。用水量が少ない土壌で栽培可能なイネを陸稲(りくとう、おかぼ)と呼ぶ。日本国内に稲の祖先型野生種が存在した形跡はなく、海外において栽培作物として確立してから、栽培技術や食文化、信仰などと共に伝播したものと考えられている。稲を異常なまでに神聖視してきたという歴史的な自覚から、しばしば稲作の伝播経路に日本民族の出自が重ねられ、重要な関心事となってきた。一般に日本列島への伝播は、概ね3つの経路によると考えられている。南方の照葉樹林文化圏から黒潮にのってやってきた「海上の道」、朝鮮半島経由の道、長江流域から直接の道である。3つの経路はそれぞれ日本文化形成に重層的に寄与していると考えられている。現在日本で栽培されるイネは、ほぼ全てが温帯ジャポニカに属する品種であるが、過去には熱帯ジャポニカ(ジャバニカ)も伝播し栽培されていた形跡がある。

 多くの節をもつ管状の稈を多数分岐させ、節ごとに1枚の細長い肉薄の葉をもつ。稈は、生殖成長期になると徒長して穂を1つつける。他殖性の風媒花であるが、栽培稲では98%程度が自家受粉する。開花時間は午前中から昼ごろまでの2-3時間と短い。花は、頴花(えいか)と呼ばれ、開花前後の外観は緑色をした籾(もみ)そのものである。籾の先端には、しなやかな芒(ぼう)が発達する。芒は元々は種子を拡散するための器官であるが、栽培上不要なため近代品種では退化している。農業上、種子として使われる籾は、生物学上の果実である玄米を穎(=籾殻:もみがら)が包んでいるもの。白米は、玄米から糠(ぬか)層、胚など取り除いた、胚乳の一部である。生態型によるジャポニカ種 (日本型、島嶼型)とインディカ種 (インド型、大陸型)という分類が広く知られている。

 稲の食用部分の主 成分であるでんぷんは、分子構造の違いからアミロースとアミロペクチンに別けられる。お米の食感は、両者の含有配分によって大きく異なる。すなわちアミロース含量が少ないお米は加熱時にやわらかくモチモチした食感になり、アミロース含量が多いとパサパサした食感になる。日本人の食文化では、低アミロースのお米を「美味しい」と感じる。この好みは、世界的には少数派となっている。通常の米は20%程度のアミロースを含んでいるが、遺伝的欠損によりアミロース含量が0%の品種もあり、これがモチ性品種で、モチ性品種が栽培されている地域は東南アジア山岳部の照葉樹林帯に限定されている。その特異性から、その地域を「モチ食文化圏」と呼称されることがある。日本列島自体が西半分を「モチ食文化圏」と同じ照葉樹林に覆われており、またハレの日にもち米を食べる習慣がある(オコワ、赤飯、お餅)ことから、日本文化のルーツの一つとして注目された。

◇生活する花たち「朝顔・芙蓉・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

■8月ネット句会入賞発表■

■8月ネット句会■
■入賞発表/2014年8月20日■

【金賞】
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)

【銀賞】
★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)

【銅賞2句】
★仏花入れ山のひぐらし鳴き始む/藤田洋子
山の墓地にある墓。墓の花筒に新しい花を入れると、山のひぐらしが鳴き始める。ひぐらしの声は、どこかさびしい。そして、木々の間をさざめかすように鳴くが、遠い誰かを呼んでいるようにも聞こえる。(高橋正子)

★白桃をむく指先の力抜き/柳原美知子
やわらかな白桃を剥くとき、意識しなくても、自然に指先の力を抜いている。その白桃の扱いをみれば、白桃が、いかに美的でやわらかく、完熟して果汁もしたたるばかりかと思う。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★仏花入れ山のひぐらし鳴き始む/藤田洋子
お盆のお墓参りのお花でしょうか。墓前に花を奉げていると折しも山の方から蜩の声が聞こえて来ました。夏に啼く蝉時雨とは違って蜩の啼く声は秋の到来を実感すると同時に一抹の寂しさを覚えます。しっとりとしたお盆の頃の風景が見えて参ります。(佃 康水)

★みんみんのど真ん中で聞く車椅子/迫田和代
今、みんみん蝉が盛んに啼いています。そのど真ん中に車椅子を止めて聞いている。木立の多い自然環境豊かな場所にお住まいの作者、心ゆくまで今の季節をお楽しみになられた事でしょう。(佃 康水)

★高き木の蝉音指差す幼き児/高橋正子
幼い児、もしやお孫さんでしょうか?高い木に啼いている蝉を指さす幼い児。幼い児は音や声に敏感に聞き取り、その嬉しさをまた不思議さを誰かに伝えようとします。それに応えて家族達まで嬉しくなり幸せを共有できる一時です。(佃 康水)
蝉音のする方向を探し当て高い木を指差す幼児の無垢な瞳の輝きとひと夏を懸命に鳴く蝉の命の輝きに感動を覚えます。(柳原美知子)

★秋茄子の香ばしく焼ける新居/高橋句美子
香ばしく焼き上がる秋茄子がいかにも美味しそうで、旬の味覚を味わう喜びが伝わります。季節を楽しみながら、新居での快適なお暮らしの充実感が感じられます。 (藤田洋子)

★観音像を丸くまわりてオニヤンマ/古田敬二
最近よく見かける巨大な観音像。その周りを丸く回るオニヤンマ。秋の爽やかな風情を感じる光景です。(高橋秀之)

★三ヶ月の昇る力に空仰ぐ/迫田和代
「三ヶ月」に「昇る力」を見たのだ。「満月」ではないところに作者の実感があり、作者の独自性がある。「空仰ぐ」に作者のいい姿を見た。空海の「遊心大空」の教えを思った。(高橋信之)

★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)

★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)

【高橋正子特選/8句】
★ひと雨の過ぎて澄みいる法師蝉/小西 宏
雨は全てのものを浄化してくれるように思います。雨上がりの木々の緑色も美しく輝いてみえます。法師蝉の声も澄み秋のおとずれを感じさせてくれます。 (井上治代)
何となく雨の多い日が続いていますがその雨も止むと辺りの空気はすっかり澄んでいます。夏の蝉の声が聞けなくなった頃、法師蝉のあの独特な啼き声に朝夕は秋の気配を濃く感じます。(佃 康水)

★秋の虹妻と同時に気付きたり/福田ひろし
思いがけなくも秋の虹と出会い、天空の美しさを奥様と共有できる幸せ。素敵なご夫婦の姿に心あたたまり、秋の虹がいっそう美しく優しく感じられます。 (藤田洋子)

★川岸を覆ひ尽くすや虫の声/内山富佐子
川岸の草原からは、虫の声が絶え間なく聞こえ、まさに覆い尽くすような感じがしてきます。秋を実感する一コマです。(高橋秀之)

★白桃をむく指先の力抜き/柳原美知子
やわらかな白桃を剥くとき、意識しなくても、自然に指先の力を抜いている。その白桃の扱いをみれば、白桃が、いかに美的でやわらかく、完熟して果汁もしたたるばかりかと思う。(高橋正子)

★桔梗咲き一輪青く陽にあたる/高橋句美子
桔梗の花の一輪だけに陽が当たっている。青むらさきの桔梗は、陽が当たると青が鮮やかに印象づけられ、桔梗の花はもの言わんとするようだ。(高橋正子)

★揚げ花火最中来る船かえる船/佃 康水
花火が大輪の花を空に咲かせている最中、早々と来た船は帰り、花火の最高潮にやって来る船もある。来る船、帰る船で賑わう海の花火である。(高橋正子)

★秋晴れて千本鳥居の中を行く/高橋秀之
伏見稲荷の千本鳥居だろうか。朱色の鳥居が千本立ち並ぶ。朱の鳥居は大変シンプルな形で、秋晴れの青空と好対照である。秋晴れにこそ潜りたい千本鳥居である。(高橋正子)

★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水
牧場の赤蜻蛉を詠み、一味違った赤蜻蛉の句になっている。赤蜻蛉という日本の抒情を詠みながら、「牧」「風立つ」の言葉が牧歌的雰囲気を醸し、それらがよく調和している。(高橋正子)

【入選/10句】
★玄関を開くれば入る盆の月/古賀一弘
玄関を開けた途端差し込んでくる月光綺麗な句ですね。(迫田和代)

★若者のおうと打ち来る盆太鼓/佃 康水
盂蘭盆といえどもまだまだ暑い盛り。踊りを盛り上げる若者の筋肉と汗をも想像させる盆太鼓の掛け声が逞しく轟き響きます。(小西 宏)
颯爽と櫓太鼓を打つ村一番のいい男手拍子に合わせ踊る村一番の美女たち盆踊り最高潮です。(古賀一弘)

★秋蝉に雨後の夕風立ちそめし/藤田洋子
季節の変わり目には雨が良く降り、一雨毎に涼しくなって来ます。秋雨の後、夕刻には涼やかな風が吹き、その中でも秋の蝉は物哀しく鳴いて、初秋の風情を醸し出してます。 (桑本栄太郎)

★うら若き僧の読経や盆の月/内山富佐子
お盆にみえた若いお坊様、お月さまと読経、何だか帰省した時のことが思い出されます。(祝恵子)

★草むらの吾亦紅見つけ触れてゆく/祝恵子
茎を伸ばし穂状の可憐な吾亦紅。草むらに作者が見つけて触れた吾亦紅の嬉しさに、清々しい秋の訪れを実感します。 (藤田洋子)

★茄子の牛父幾たびも振り返り/内山富佐子
仏壇に飾った茄子の馬。読経を終え拝むとき、今は亡き父と別れた時のことがしきりと思われる。(古田敬二)

★きちきちの鎌に追はれて右左/渋谷洋介
雑草刈でしょうか、腰をかがめて進んでゆくとキチキチバッタが音を立てながら飛び立っていきます。残暑のこの季節、そこに涼しさも味わうことができます。(小西 宏)
草いきれの中、草刈鎌の光とキチキチと翅を鳴らしながら慌てて飛び出すキチキチバッタの淡緑色の輝きが目に見えるようです。生き物への温かい視線を感じます。(柳原美知子)

★晴れの日も雨降る日にも夏帽子/井上治代
日除けとなり、風もよく通す、そして色も形も涼しげなお気に入りの夏帽子なのでしょうね。見る人、被る人の心の軽やかさが伝わってきます。(小西 宏)

★秋出水泥をものともせぬ球児/矢野文彦
今年の高校野球は大雨のために開催が遅れました。選手たちの出身地の中には大きな被害を受けたところもあったかもしれません。でも、そんな苦難も乗り越えて頑張っています。(小西 宏)

★嬬恋の空の深しや濃竜胆/小口泰與
嬬恋村(つまごいむら)は群馬県の西端にある。作者の住む前橋の西だ。きゃべつ畑と浅間山があって、詩情のある村だ。(高橋信之)

★盆波や小雨の沖に舟一艘/桑本栄太郎
盆の海を詠んで、作者の想いのある句だ。詩情が読み手に伝わってくる。その詩情がいい。(高橋信之)

★盆参り盛り上がりおり島言葉/祝恵子
「島言葉」は「お国言葉」だ。故郷の心の絆に無理がない。故郷の同じ先祖を持つ絆だ。(高橋信之)

■選者詠/高橋信之
★歩くのが好き歩き始めし児の夏よ
歩き始めたばかりの頃は、とにかく歩くのが好きで、とにかく歩きたがります。しかも、夏となれば、なおさらその歩みに元気が感じることができます。(高橋秀之)

★丘の家に盆来て盆の瓜なすび
★留守居して独り聞く冷房の音を

■選者詠/高橋正子
★高き木の蝉音指差す幼き児
幼い児、もしやお孫さんでしょうか?高い木に啼いている蝉を指さす幼い児。幼い児は音や声に敏感に聞き取り、その嬉しさをまた不思議さを誰かに伝えようとします。それに応えて家族達まで嬉しくなり幸せを共有できる一時です。(佃 康水)
蝉音のする方向を探し当て高い木を指差す幼児の無垢な瞳の輝きとひと夏を懸命に鳴く蝉の命の輝きに感動を覚えます。(柳原美知子)

★小ぶりなる桃に残暑の光あり
★黒きみどり銀杏並木は秋暑し

■互選高点句
●最高点(5点)
★牧に風立ちて殖えたる赤蜻蛉/佃 康水

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

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