2月13日(土)

★下萌えは大樹の太る根もとより   正子
春の日差しが木の枝や幹を温め、その温みが地にも伝わって、先ず樹の根元から草の芽が吹き出すのでしょう。そういえば、雪解けも樹の根元から丸く始まりますね。丸々とした大樹の太さと小さな下萌えの対比が軽妙です。(小西 宏)

○今日の俳句
枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
枝に止まった鳥が、枝移りをするのか枝が揺れる。それを見ていると、光も揺らしているのだ。枝を張る陽光に満ちた木、枝移りする鳥が、なんと早春らしいことよ。(高橋正子)

○節分草

[節分草/東京白金台・自然教育園]

★雨光る節分草の咲く日より/後藤比奈夫
★節分草つぶらなる蕊もちゐたる/加藤三七子
★節分草渓の水引く村の風呂/鈴木政子
★大峰の秘湯ゆたけし節分草/竹内美登里
★節分草よき木漏日のありにけり/渡辺玄子
★たまゆらのもれびこもれび節分草/大堀柊花
★節分はおとといなりき節分草/高橋正子

 セツブンソウ(節分草)Shibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake et Okuyama は、キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草。関東地方以西に分布し、山地のブナ林など、落葉広葉樹林の林床に生え、石灰岩地を好む傾向がある。高さ10cmほど。地下の1.5センチほどの塊茎から、数本の茎を伸ばし、不揃いに分裂した苞葉をつける。花期は2~3月で花茎の先に2センチほどの白色の花をつけるが、花弁に見えるのは、実は萼片である。花弁自体は退化して黄色の蜜槽となり、多数のおしべと共にめしべの周りに並んでいる。めしべは2~5個あり、5月の中ごろに熟し、種子を蒔いた後で地上部は枯れてしまう。和名は、早春に芽を出し節分の頃に花を咲かせることからついた。可憐な花は人気が高く、現在は、乱獲や自生地の環境破壊によって希少植物になっている。 節分草の自生地として有名な場所は、埼玉県小鹿野町(旧両神村地区)、栃木県栃木市(星野の里)、広島県庄原市(旧総領町地区)などがある。
 千曲市戸倉のセツブンソウの群生地は地域の人達が丁寧に守り保護して来ました。千曲市では昨年の2006年に「珍奇または絶滅にひんした植物の自生地」などとして、戸倉の1万2000平方メートルと倉科の約2000平方メートルを市の天然記念物に指定。両地域では2006年11月以降、市民らによる下草刈りや遊歩道の整備をして、一般公開に踏み切った。戸倉地域では2007年2月に発足した「戸倉セツブンソウを育てる会」(会員約60名)が毎日群生地を見回っている。地域では「群生地は地域の誇り、貴重な花への理解を深めてほしい」と呼び掛けている。

◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

2月11日(木)/建国記念日

 東海道53次川崎宿
★下萌えの六郷川の水青し   正子
川崎宿を歩かれたのでしょうね。萌え出した草の柔らかさ、六郷川に流れる雪解けの清らな水、春が訪れた喜びを感じます。(祝 恵子)

○今日の俳句
もてなさる一つに椀のあさり汁/祝 恵子
もてなしの料理が並ぶなかの一つの椀があさり汁である。春らしい一椀に、ほっと気持ちが解きほぐされ、主客ともに春をいただく気持ちが湧く。(高橋正子)

○木蓮の花芽

[木蓮の花芽/横浜日吉本町(2014年1月28日)]_[木蓮の花/横浜日吉本町(2012年4月12日)]

★木蓮に日強くて風定まらず/飯田蛇笏
★遊雀木蓮の花芽毛皮の冬構え/遊雀

 モクレン(木蓮、木蘭、Magnolia quinquepeta もしくは Magnolia liliiflora、中国では、「辛夷」と表記する。)は、モクレン目モクレン科モクレン属の落葉低木。花が紫色であることから、シモクレン(紫木蓮)の別名もある。ハネズ、モクレンゲと呼ばれることもある。昔は「木蘭(もくらん)」と呼ばれていたこともあるが、これは花がランに似ていることに由来する。今日では、ランよりもハスの花に似ているとして「木蓮(もくれん)」と呼ばれるようになった。
 小型で樹高3-5m程度。葉は互生で、広卵型、長さ8-10cm、先は尖る。花期は春(4-5月頃)。花は濃い紅色から桃色で、花弁は6枚、がくは3枚、雄しべと雌しべは多数が螺旋状につく。上品な強い芳香を放つ。ハクモクレンとは異なり、花びらは舌状で長い。実は赤い。
 庭木、公園樹として中国、日本だけでなく、北米やヨーロッパ諸国で広く栽培されている。移植は困難であり、株分けによって殖やす。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では国花に指定されている。
 ハクモクレン(白木蓮、学名:Magnolia heptapeta、シノニム:Magnolia denudata)はモクレンの仲間で白色の花をつける。しばしば、「モクレン」と混同され、そう呼ばれることがある。モクレン属の中では大型の種類で樹高は10-15m程度まで成長する、春、葉に先立って大形で白色の花が開く。

 今近隣では、冬の寒さを凌ぐため冬芽(ふゆめ、とうが)を形成し、じっと耐えている木々の姿をよく見かける。特に、木蓮などは、毛皮のようなもので芽を覆いしっかりと身を守っている。

◇生活する花たち「満作・椿・蝋梅」(神奈川・大船植物園)

2月10日(水)

★春浅し立ちたる草の鳴りづめに   正子
萌え出した草の上を風が渡っているのでしょうか。光からも音からも明るい春の景色がうかがえ、心楽しくなります。(多田有花)

○今日の俳句
沖よりも甍の光り春めけり/多田有花
海の沖を眺めると、冬の沖とは違って春めいて思えるだが、それよりも手前に眺める甍の光りの方が強く、遥かに春めいているのだ。日本の甍は、その季節、その日の光りを偽ることなく反射させる。今、春めいた陽光を反射させている。(高橋正子)

○赤花満作

[赤花満作/横浜・四季の森公園]

★満作咲く丘の麓の空晴れて/高橋信之
★満作のひらひら咲くや寒波来て/高橋正子
★森に咲く満作の枝横伸びに/高橋句美子
★作紅し森の階段森奥へ/高橋句美子

 アカバナマンサク(赤花満作、学名:Hamamelis japonica var.obtusata)は、マンサク科 マンサク属の落葉小高木。別名はベニバナマンサク(紅花満作)だが、あまり使われない。花弁が赤色のマンサクだが、外国種や交配種の赤花もアカバナマンサクという名前で表示されていたり、売られていたりする。分類的には、本来の”アカバナマンサク”は在来の”マンサクの変種のマルバマンサクの一つの品種”のことを指す。外国種や交配種には別の学名がつけられている。分布:本州の日本海側、樹高:3~8m、花期:2~3月、果期:9月
 落葉の小高木で落葉樹の多いところに生えている。マルバマンサクの品種で花弁全体が暗い赤色を帯びる。枯れ葉が枝に残っていることがある。葉は単葉で互生し、長さ5~11cm。幅3~7cm。葉の先が半円形の菱形状円形または広卵形で基部は左右の形がちがう。葉縁は先半分に波状の鋸歯があり、基部半分は全縁。果は直径1cmほどの卵状球形。熟すと2つに裂けて光沢のある黒い種子を2個はじきとばす。葉の展開に先立って花を咲かせ、花弁は4枚、煤けたような暗い赤色で、鮮やかな赤色ではない。黄色い縁取りがあり、長さ1~1.5cm。萼片も4枚ある。花は良い香りはせず、生臭い香りがかすかにする。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・沈丁花の蕾・木瓜」(横浜日吉本町)

2月9日(火)

★梅の香を息に吸い込みあるきけり   正子
梅咲く中、馥郁と清らかな香りを「息に吸い込み」つつ、可憐な花と香りに春を感じる作者を思います。その心身の快さと自然との一体感に、早春のみずみずしさ、季節の喜びが感じ取れます。(藤田洋子)

○今日の俳句
街筋の昼月ほっと梅開く/藤田洋子
街筋の空を見上げれば、白く透明感のある昼の月が浮かんでいる。昼月を遠く梅が開いて、昼月と梅との美しい出会いがある。(高橋正子)

○満作

[ニシキマンサク/東大・小石川植物園]   [アテツマンサク/東大・小石川植物園]

★まんさくに水激しくて村静か/飯田龍太
★満作咲く丘の麓の空晴れて/高橋信之
★満作のひらひら咲くや寒波来て/高橋正子
★森に咲く満作の枝横伸びに/高橋句美子

 ニシキマンサク(錦満作、学名:Hamamelis japonica var. obtusata forma flavo-purpurascens)は、マンサク科 マンサク属の落葉小高木。分布:北海道の西南部、本州の東北地方から鳥取県の日本海側、樹高:5~6m、花期:2~3月仲間:マンサク、シナマンサク、マルバマンサク、アカバナマンサク、アテツマンサク等、同科トキワマンサク属:ベニバナトキワマンサク。多雪地の山地に生える日本在来種マルバマンサクの変種で、日本海側の山地に自生する。前年枝の葉腋から花柄を伸ばし黄色い花を咲かせる。他のマンサクの仲間と同様に、葉の展開より先に開花する。冬芽の表面は、褐色の毛で覆われている。葉は単葉で互生し、葉身は菱形状円形または広卵形で基部は左右の形がちがう。長さ5~11cm。葉縁の先端側に粗い波状の鋸歯があり、基部側は全縁。果実は果で、毛が生えた直径1cmほどの卵状球形、熟すと2つに裂け、光沢のある黒い種子を2個はじき出す。黄色い花弁の基部が、煤けたような、黒ずんだ赤色を帯びる。花弁は4枚あり、長さ1~1.5cm。
 アテツマンサク(阿哲満作、学名:Hamamelis japonica var. glauca)は、マンサク科 マンサク属の落葉小高木。アテツマンサクは中国地方から四国・九州に分布する落葉の小高木。暖帯の中・上部からブナ帯にかけての急傾斜地に生育する。雪の消えた頃から咲き始め、場所によっては2月の中頃から落葉樹林の中で、黄色い花を咲かせて、春の訪れを知らせている。花はおもしろい形であり、4枚のリボン状の花弁がよれて広がっている。アテツは最初に発見された岡山県阿哲地方を意味しており、マンサクは最初に咲くので、「まず咲く」であるともいうが、どうであろうか。満作とか、万作などの漢字をあてると、豊作を期待させるイメージになる。基本種であるマンサクは関東以西から九州に広く分布し、若葉の星状毛は早期に脱落するが、アテツマンサクは褐色の毛が残る点で区別される。

◇生活する花たち「クリスマスローズ・木瓜の蕾・枝垂れ梅」(横浜日吉本町)

2月8日(月)

★梅の花遠きに咲きて白さ満つ   正子
遠くの梅の木が、花を咲かせました。その白さは、遠景の中、発光するような耀きを以ち立っています。浅き春、白梅に満ちた汚れなさ、逞しさに、離れていても力を分かたれる感触を抱くこと、深く共感いたします。向こうに望む白梅は、希望そのものです。(川名ますみ)

○今日の俳句
水仙の低きに咲くを見つけたり/川名ますみ
この句の生命は「低きに咲く」にある。低いところは、木の下か、道の下か、幾分の湿りもあるだろう。そういったところに咲く水仙には、日向の水仙よりも陰影を帯びた魅力がある。(高橋正子)

○三椏の花蕾

[三椏の花蕾/横浜・四季の森公園]

★三椏や英国大使館鉄扉/佐藤鬼房
★三椏の花三三が九三三が九/稲畑汀子
★三椏の花に暈見て衰ふ眼/宮津昭彦
★三椏の花じやんけんを繰り返す 大串章
★いかるがの草は低さに花蕾/伊藤敬子
★花蕾立春の音たてている/ぽちこ
★三椏の花の蕾のその勢い/高橋信之

▼ブログ「古い日記の続きの日記 by kokoro-usasan」
 きょうもいい天気。庭では、すっかり葉を落とした三椏の木に、白い花蕾がたくさんの小さなぼんぼりのように愛らしくついている。これは不思議だったよ。だって、この木は暮れのある日まで、大ぶりの葉っぱがたくさん茂っていて、芽生え始めた花蕾を覆い隠すようにしていたのだもの。毎年、そういう営みをしているはずなのに、わたしは、そのへんの流れを記憶していなくて、あれぇ、三椏って、常緑樹だったけかなぁ、おかしいなぁ、葉っぱ落ちるよねぇ、これじゃ、花が咲いても見えないよねぇ、なんて訝しく思ってた。そうしたら、それから程ない年明けのある朝、あれだけたくさん茂っていた葉が一枚残らず、地面に落ちて、可愛い蕾たちだけが、裸木にいっぱい残されてたの。なんじゃ、こりゃ、だよ、ほんとに。笑。
 花芽が小さいうちは、大事に葉っぱで守っていたんだろか。葉っぱたちは、寒さのなか我慢に我慢を重ねて、花芽が、もう充分成形できてきたかねっていうころを見計らって、お日様の光が思う存分当たるように、一斉に落ちていったってことかな。ねぇ、ねぇ、そういうこと?って、霜柱の立った地面の上に落ちてる葉っぱを一枚拾い上げて訊いてみたけれど、何にも言わなかった。自然は人間と違って謙虚だからね。ふふ。
 三椏は地味な木だけれど、とてもユニークな花を咲かせる。色合いの変化も中々面白くて、おや、そうきますか?なんて、ちょっとからかいたくなっちゃう。この木は、以前は我が家にはなくて、父が亡くなる前年くらいに、まだしっかりしていた母が、ホームセンターで苗木を頼んで植樹したものだった。三椏を植えるんだと母に聞いたとき、わたしは内心、わ、うれしいなって思ったんだよね。なんでかっていうと・・・。(2013-01-25記)

◇生活する花たち「菜の花」(横浜日吉本町)

2月7日(日)

 東山・法然院
★春寒し木を打ち人を呼び出せり   正子
暦の上では春になったとはいえ、まだ肌に感じる空気は冷たい初春に、木を打つ音が山に響いています。今まで家のなか中心に静かに暮らしていた人々が、その音を聞き外に出てみようかという気持ちになっている情景でしょうか?これから、日に日に暖かくなり人々の暮らしにも活気が出てくることでしょう。(井上治代)

○今日の俳句
早も咲ける菜の花の丈低かりし/井上治代
春も暦ばかりと思えるのに、早も菜の花が咲いて黄色い光を返している。先駆けの菜の花らしく「丈低かりし」であって、実在感がある花となっている。(高橋正子)

○芽柳

[芽柳/横浜・四季の森公園(2012年1月26日)]_[芽柳/横浜・四季の森公園(2012年3月22日)]

★古川にこびて芽を張る柳かな 芭蕉
★ほつかりと黄ばみ出でたり柳の芽 暁台
★芽柳のおのれを包みはじめたる/後藤比奈夫
★芽柳や鶏飼ふ艀菜をきざむ/皆川盤水
★芽柳の色となりつゝ風と合ふ/稲畑汀子
★芽柳や傘さし上げてすれ違ふ/満田春日
★退屈なガソリンガール柳の芽/富安風生
★芽柳や声やはらかく遊びをり/遠藤千鶴羽
★東京の石神井恋し柳の芽/清水淑子

 めやなぎ(芽柳)とは、早春、芽の出始めた柳。芽吹き柳。芽張り柳。[季]春。《―の奥たのもしき風情かな/鬼貫》(三省堂 大辞林)
 ヤナギ(柳、英語: Willow)は、ヤナギ科 Salicaceae ヤナギ属 Salix の樹木の総称。世界に約350種あり、主に北半球に分布する。日本では、柳と言えば一般にシダレヤナギを指すことが多い。落葉性の木本であり、高木から低木、ごく背が低く、這うものまである。葉は互生、まれに対生。托葉を持ち、葉柄は短い。葉身は単葉で線形、披針形、卵形など変化が多い。雌雄異株で、花は尾状花序、つまり、小さい花が集まった穂になり、枯れるときには花序全体がぽろりと落ちる。冬芽は1枚のカバーのような鱗片に包まれ、これがすっぽりと取れたり、片方に割れ目を生じてはずれたりする特徴がある。これは、本来は2枚の鱗片であったものが融合したものと考えられる。果実はさく果で、種子は小さく柳絮(りゅうじょ)と呼ばれ、綿毛を持っており風に乗って散布される。 なお、中国において5月頃の風物詩となっており、古くから漢詩等によく詠み込まれる柳絮だが、日本には目立つほど綿毛を形成しない種が多い。
 日本では、柳といえば、街路樹、公園樹のシダレヤナギが代表的であるが、生け花では幹がくねったウンリュウヤナギや冬芽から顔を出す花穂が銀白色の毛で目立つネコヤナギがよく知られている。

◇生活する花たち「福寿草・菜の花・紅梅」(横浜日吉本町)

2月6日(土)

★おしばなの紅梅円形にて匂う   正子
愛らしい紅梅を一輪、おしばなにしてみた。薄く広がって円形になった後でも、咲いていた時のように透き通って、香りが感じられるようだ。心嬉しい一句です。(河野啓一)

○今日の俳句
水音して箕面連山春浅し/河野啓一
「水音して・・春浅し」の感覚がいい。箕面連山を行くと、ころころと水音が絶えずしている。自然に身を入れると、確かに春が来ている。(高橋正子)

○2014年
横浜市の大倉山は梅林で有名。それほど広い梅林ではないが、東横線の日吉駅から二駅目にあるので、昨日2月5信之先生と散歩気分で出かけた。大倉山の梅林は北側にあるので、期待はしなかったが、木によっては満開になっていた。紅梅と白梅があって、そのまざり具合が快い絵のようになっている。梅見の人はほどんどいなく、熱心に写真を撮る人が数人いた程度で、静かに楽しめた。

大倉山へは以前は句会や吟行でよく出かけたが、しばらく来ていない。坂道の途中にベーカリーが出来ていて、「今日も元気にがんばっています!」とポップがあったので、入ってみた。若い人数人が楽しそうに働いて、作業場も見える。入口の吹きさらしのテーブルでは、コーヒーを飲みながら買ったパンを食べている人もいる。聞くとコーヒーは無料とのこと。みんなに倣ってコーヒーをいただいて、買ったパンを食べた。親切にも、ひざ掛けが置いてある。買ったパンは、粒あんパン、メロンパン、クロックムッシュ一個ずつ。二人分で、お土産の紅茶クッキー2枚も入れて720円。

○福寿草「秩父紅」

[福寿草「秩父紅」/横浜日吉本町]     [福寿草「秩父紅」/埼玉県皆野町「ムクゲ自然公園」(ネットより)]

★小さくても昇殿すなり福寿草 一茶
★暖炉たく部屋暖かに福寿草 子規
★一日の温さに開く福寿草/高橋正子
★福寿草紅色がちな花は光り/高橋正子

 フクジュソウ(福寿草、学名:Adonis ramosa)は、キンポウゲ科の多年草。春を告げる花の代表である。そのため元日草(がんじつそう)の別名を持つ。福寿草という和名もまた新春を祝う意味がある。正月にはヤブコウジなどと寄せ植えにした植木鉢が販売される。花言葉は永久の幸福、思い出、幸福を招く、祝福。

▼幻の福寿草「秩父紅」を訪ねて(ブログ「いったりきたり日記/2010年2月27日」より:
父からの誘いで埼玉県皆野町のムクゲ自然公園というところに行く。西武秩父駅前で午前10時に待ち合わせ、車で皆野町へ。とはいえムクゲは夏の花なので当然いま咲いているわけがない。今日の目的は「秩父紅」というここだけに咲く幻の福寿草。雨模様だったがしだいに晴れてきた。秩父紅は陽が当たらないと開かないそうだ。母がしきりに「わたしは晴れ女だから」と自慢する。ロウバイが咲いている。マンサクも咲いている。その先の山腹に一万株の秩父紅が植わっている。セイヨウミツバチがちらほら来ていた。半透明のデリケートな花弁と華やかな雄しべ。一般種の福寿草は目の覚めるような強烈イエロー。材木に生えていたきのこ。池で鳴いていたカジカガエル。カジカガエルの卵。公園案内所に戻って甘酒と目薬の木のお茶をごちそうになった。ここでは園内のハーブ園で栽培したハーブや、花の種や鉢植えの販売もしている。母は目薬の木のお茶を、私は古代米をおみやげに買い求めた。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・節分草・満作」(横浜・四季の森公園)

2月5日(金)

★水掛けて春水かがやく仏なる  正子
温かい春の日、観音様をお訪ねになられ、柄杓で水を掛けお参りなされたのでしょうか。観音様は水に濡れる度に益々春の光りに輝きを増されて来ます。私達のこころまで洗われる様な光り輝くお姿を想像致します。(佃 康水)

○今日の俳句
野に覚めし淡きみどりや蕗のとう/佃 康水
「野に覚めし」によって、淡い蕗のとうのみどりが目に強く焼きつく。初めて見つけた蕗の董であろう。驚きと嬉しさを隠せない。(高橋正子)

○蕗の薹

[蕗の薹/横浜日吉本町]

★莟とはなれもしらずよ蕗のたう  蕪村
★ほろ苦き恋の味なり蕗の薹/杉田久女
★蕗の薹おもひおもひの夕汽笛/中村汀女
★猪を炙り蕗の薹まぶしかな/長谷川櫂
 
 蕗は菊科の多年草で山野に自生する。早春、新葉が出る前に根茎から卵の形をした緑色の花茎を出す。花茎は数枚の大きな鱗のような葉で包まれ、特有の香気とほろ苦い風味が喜ばれる。花がほうけたものを蕗の姑(ふきのしゅうとめ)という。 学名:Petasites japonicus、Petasites(ペタシテス)は、ギリシャ語の「petasos(つば広の帽子)」が語源で、葉が広く大きいところから。
 蕗の薹(ふきのとうは、蕗の花芽のことで、天ぷらにするとおいしい。花が咲く前の柔らかいうちがベスト(地面から出てきた直後ぐらいの状態のもの)。春の代表的な山菜。花が咲いてから、地下茎を通じてつながっている葉が大きく伸びて広がってくる。(花と葉が別々につく)。この”葉柄”(葉の茎の部分)がいわゆる「フキ」として食用になる。市販されているものはほとんどが「秋田フキ」と呼ばれる、葉柄2mほどの大型のもの。葉自体は円形。

◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

◆ご挨拶/立春ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
今年は暖冬と言われながらも、普段雪の降らない西日本や九州にも雪が積もり、厳しい寒さが続きました。日差しは日増しに強くなって、暦の上では春となりました。少し救われるような思いです。入賞作品を拝読しますと、やはり春は来ていると知らされます。立春句会には13名の方がご参加くださいました。ありがとうございます。入賞の皆様おめでとうございます。また、選句とコメントをありがとうございました。
私は、4日は昼間の3時間ほど目黒の自然教育園へ信之先生と出かけました。森は春の光が大いに差し込んでいましたが、花らしいものは見えません。それでも探せばありました。藪椿が数花咲いていました。例年は咲いている節分草は、芽も出ておりませんでしたが、雪割いちげがちらほら咲き始めていました。それに福寿草も咲き始めていました。小鳥はコゲラが二羽枯れた蒲の茎を叩いておりましたし、大鷺も枯れ沼で餌を漁っていて、結構楽しんで帰りました。俳句となるとなかなかまとまりません。次には良い句をと思うことになりました。寒いといいながらも少しずつ暖かくなることでしょう。風邪に気を付けてご健吟ください。来月は雛祭ネット句会となります。(高橋正子)

※上島祥子さんが、和紙で出来たかわいいシールを沢山送ってくださいましたので、金・銀・銅賞と最高点を取られた方にお送りいたします。ご利用ください。

入賞発表/立春ネット句会


■2016年立春ネット句会■
■入賞発表/2016年2月4日

【金賞】
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
椿は、瓶や大鉢に惜しみなく、どんと活けるのが似合う。春が店頭に惜しみなくある。いかにも清潔で活気ある店のたたずまいが想像できる。たっぷりとした椿が春を告げている。(高橋正子)

【銀賞句】
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリという根気がいる治療に、気がめいることもあるだろうが、春を先駆けて菜の花が活けてある。水をよく吸い上げて黄色い花をほころばせ、元気だ。それを見るにつけ、励まされる思いだろう。(高橋正子)

【銅賞2句】
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
立春の声を聞くと、辺りはどこか、伸びやかな雰囲気になる。木立の影も健やかに真直ぐ伸びている。そのことを、技巧を凝らさず詠んだところにこの句の妙味が生まれている。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
ただ鴨を見ている、作者のその姿がいい。(高橋信之)

★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
春を迎えてのいい句だ。他に言葉を付け加え無くてよい。(高橋信之)

★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリ室の患者さんに何気なく活けてある花菜、元気を出してくださいとの職員の方の励ましでしょうね。 (祝恵子)

★たんぽぽの咲き初めしを座して見る/祝恵子
ふと気づいた咲初めの路傍のたんぽぽに、思わず足を止め座り込んで見ている様子が目に浮かびます。(高橋秀之)

★節分の豆を家族にそれぞれ買い/髙橋句美子
節分の豆を家族の人数分それぞれに買われた優しい気持ちが見えて、「福は内!」の雰囲気が醸し出された御句です。(佃 康水)

★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/高橋句美子
ふきのとうが土を割って花芽をのぞかせる頃となりました。花の開かない内に摘み採り、味噌汁などに散らすため刻めば明るい薄緑が広がり、また香ばしい香りを放ちます。厨に立つ初々しい主婦の姿を想像致します。(佃 康水)

★料峭や手荷物チッキに上京す/桑本栄太郎
「料峭」は、春風が寒く吹くことなのだが、「料峭」としか言いえないような気候である。日差しはすでに明るく、あたたかいように思えても風は冷たい。手荷物をチッキにして、入学や就職で故郷を離れる若者も多いだろう。嬉しさと、不安と、淋しさが混じったような気持を料峭はよく表しているのではないだろうか。(高橋正子)

★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二

【高橋正子特選/8句】
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子
小川のせせらぎが春の陽光にきらきらと輝いて流れてゆく心愉しい景。童謡「春の小川」を想い出します。(河野啓一)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん/高橋信之
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★春立ちて蒼空高く鳥渡る/河野啓一
春立ちて、蒼空の高いところを鳥が渡ってゆく。きょうより春というだけで、蒼空に光が強くなり、渡る鳥の影も濃くなる。それを素直に詠んで、好感が持てる。(高橋正子)

★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/髙橋橋句美子
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/ 柳原美知子

【入選/6句】
★山かげを山に映して山笑う/佃 康水
春の山の明る感じをリズム良く素敵に詠つています。素晴らしいですね (小口泰與)

★新しき靴履き初めて春立つ日/ 多田有花
パステルカラーのパンプスでしょうか?新調の春物の洋装には、その色に合わせて購入した靴を節目の立春に履き初めます。少し肌寒いものの、心が躍り出しそうです。(桑本栄太郎)
立春に合わせて新しい靴をおろしたんでしょう。今日から新たな気分で臨むことが感じられる、気持ちの良い句です。(高橋秀之)

★薄氷に風の震えし痕を見る/古田敬二 
暦の上では春になっても、まだまだ寒く早朝の池や水溜りなどに薄く氷が張る事があります。その薄氷に風の通り道とも思える模様が残っているのが見えますが「風の震えし痕」と詠まれたところに詩情を感じます。 (佃 康水)

★立春の木肌の温みに触れてみる/古田敬二
永かった冬も終わり、天地はゆるみ、芽吹こうとしている木肌の微かな温もりを感じたいということであろうか。 (満天星)

★伸びやかな赤城の裾野麦青む/小口泰與
赤城山は見たことがありませんが赤城山へ続くすそ野の春の感じが読まれていてよいと思います。(古田敬二)

★おはようのあいさつ明るく春立てる/高橋秀之
立春の暖かい日差しの中で「おはよう」と挨拶を交わし合う子ども達の声はおのずと明るく元気がよい。笑顔あふれる春の訪れです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
★丘への道丘からの道椿咲く
丘へ登る時も降りる時も美しい椿を愛で、丘から仰ぐ青空もひろびろと春の訪れが感じられる伸びやかな句ですね。 (柳原美知子)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★立春の森の青空仰ぎたり

■選者詠/高橋正子
★森の道紅い椿になごみつつ
森に「紅い椿」が咲けば、森の厳しさ、淋しさは、無い。そこを下五の「なごみつつ」と詠んだのは、作者の感性であって、作者らしい句となった。(高橋信之)

★春光に蒲の穂絮の粒子めく
「粒子めく」で春光にきらめき、青空へと立ち昇る蒲の穂絮、水光る岸辺の情景が鮮やかに目に浮かびます。(柳原美知子)

★冬すぎて春が来ている榛の花

■互選高点句
●最高点(7点)
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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