◆ご挨拶/立春ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
今年は暖冬と言われながらも、普段雪の降らない西日本や九州にも雪が積もり、厳しい寒さが続きました。日差しは日増しに強くなって、暦の上では春となりました。少し救われるような思いです。入賞作品を拝読しますと、やはり春は来ていると知らされます。立春句会には13名の方がご参加くださいました。ありがとうございます。入賞の皆様おめでとうございます。また、選句とコメントをありがとうございました。
私は、4日は昼間の3時間ほど目黒の自然教育園へ信之先生と出かけました。森は春の光が大いに差し込んでいましたが、花らしいものは見えません。それでも探せばありました。藪椿が数花咲いていました。例年は咲いている節分草は、芽も出ておりませんでしたが、雪割いちげがちらほら咲き始めていました。それに福寿草も咲き始めていました。小鳥はコゲラが二羽枯れた蒲の茎を叩いておりましたし、大鷺も枯れ沼で餌を漁っていて、結構楽しんで帰りました。俳句となるとなかなかまとまりません。次には良い句をと思うことになりました。寒いといいながらも少しずつ暖かくなることでしょう。風邪に気を付けてご健吟ください。来月は雛祭ネット句会となります。(高橋正子)

※上島祥子さんが、和紙で出来たかわいいシールを沢山送ってくださいましたので、金・銀・銅賞と最高点を取られた方にお送りいたします。ご利用ください。

入賞発表/立春ネット句会


■2016年立春ネット句会■
■入賞発表/2016年2月4日

【金賞】
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
椿は、瓶や大鉢に惜しみなく、どんと活けるのが似合う。春が店頭に惜しみなくある。いかにも清潔で活気ある店のたたずまいが想像できる。たっぷりとした椿が春を告げている。(高橋正子)

【銀賞句】
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリという根気がいる治療に、気がめいることもあるだろうが、春を先駆けて菜の花が活けてある。水をよく吸い上げて黄色い花をほころばせ、元気だ。それを見るにつけ、励まされる思いだろう。(高橋正子)

【銅賞2句】
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
立春の声を聞くと、辺りはどこか、伸びやかな雰囲気になる。木立の影も健やかに真直ぐ伸びている。そのことを、技巧を凝らさず詠んだところにこの句の妙味が生まれている。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
ただ鴨を見ている、作者のその姿がいい。(高橋信之)

★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
春を迎えてのいい句だ。他に言葉を付け加え無くてよい。(高橋信之)

★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリ室の患者さんに何気なく活けてある花菜、元気を出してくださいとの職員の方の励ましでしょうね。 (祝恵子)

★たんぽぽの咲き初めしを座して見る/祝恵子
ふと気づいた咲初めの路傍のたんぽぽに、思わず足を止め座り込んで見ている様子が目に浮かびます。(高橋秀之)

★節分の豆を家族にそれぞれ買い/髙橋句美子
節分の豆を家族の人数分それぞれに買われた優しい気持ちが見えて、「福は内!」の雰囲気が醸し出された御句です。(佃 康水)

★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/高橋句美子
ふきのとうが土を割って花芽をのぞかせる頃となりました。花の開かない内に摘み採り、味噌汁などに散らすため刻めば明るい薄緑が広がり、また香ばしい香りを放ちます。厨に立つ初々しい主婦の姿を想像致します。(佃 康水)

★料峭や手荷物チッキに上京す/桑本栄太郎
「料峭」は、春風が寒く吹くことなのだが、「料峭」としか言いえないような気候である。日差しはすでに明るく、あたたかいように思えても風は冷たい。手荷物をチッキにして、入学や就職で故郷を離れる若者も多いだろう。嬉しさと、不安と、淋しさが混じったような気持を料峭はよく表しているのではないだろうか。(高橋正子)

★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二

【高橋正子特選/8句】
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子
小川のせせらぎが春の陽光にきらきらと輝いて流れてゆく心愉しい景。童謡「春の小川」を想い出します。(河野啓一)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん/高橋信之
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★春立ちて蒼空高く鳥渡る/河野啓一
春立ちて、蒼空の高いところを鳥が渡ってゆく。きょうより春というだけで、蒼空に光が強くなり、渡る鳥の影も濃くなる。それを素直に詠んで、好感が持てる。(高橋正子)

★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/髙橋橋句美子
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/ 柳原美知子

【入選/6句】
★山かげを山に映して山笑う/佃 康水
春の山の明る感じをリズム良く素敵に詠つています。素晴らしいですね (小口泰與)

★新しき靴履き初めて春立つ日/ 多田有花
パステルカラーのパンプスでしょうか?新調の春物の洋装には、その色に合わせて購入した靴を節目の立春に履き初めます。少し肌寒いものの、心が躍り出しそうです。(桑本栄太郎)
立春に合わせて新しい靴をおろしたんでしょう。今日から新たな気分で臨むことが感じられる、気持ちの良い句です。(高橋秀之)

★薄氷に風の震えし痕を見る/古田敬二 
暦の上では春になっても、まだまだ寒く早朝の池や水溜りなどに薄く氷が張る事があります。その薄氷に風の通り道とも思える模様が残っているのが見えますが「風の震えし痕」と詠まれたところに詩情を感じます。 (佃 康水)

★立春の木肌の温みに触れてみる/古田敬二
永かった冬も終わり、天地はゆるみ、芽吹こうとしている木肌の微かな温もりを感じたいということであろうか。 (満天星)

★伸びやかな赤城の裾野麦青む/小口泰與
赤城山は見たことがありませんが赤城山へ続くすそ野の春の感じが読まれていてよいと思います。(古田敬二)

★おはようのあいさつ明るく春立てる/高橋秀之
立春の暖かい日差しの中で「おはよう」と挨拶を交わし合う子ども達の声はおのずと明るく元気がよい。笑顔あふれる春の訪れです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
★丘への道丘からの道椿咲く
丘へ登る時も降りる時も美しい椿を愛で、丘から仰ぐ青空もひろびろと春の訪れが感じられる伸びやかな句ですね。 (柳原美知子)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★立春の森の青空仰ぎたり

■選者詠/高橋正子
★森の道紅い椿になごみつつ
森に「紅い椿」が咲けば、森の厳しさ、淋しさは、無い。そこを下五の「なごみつつ」と詠んだのは、作者の感性であって、作者らしい句となった。(高橋信之)

★春光に蒲の穂絮の粒子めく
「粒子めく」で春光にきらめき、青空へと立ち昇る蒲の穂絮、水光る岸辺の情景が鮮やかに目に浮かびます。(柳原美知子)

★冬すぎて春が来ている榛の花

■互選高点句
●最高点(7点)
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆立春ネット句会清記◆


2016年2月4日
■立春ネット句会清記
13名39句

01.海苔掻や潮のふくらみ濡らす尻
02.料峭や手荷物チッキに上京す
03.春寒のふるさと放れ早や古希に
04.おはようのあいさつ明るく春立てる
05.窓を開け深呼吸する立春の朝
06.立春の文字は大きくネットみる
07.春立ちて蒼空高く鳥渡る
08.春立つや庭に明るき鳥の声
09.立春大吉幸祈りおるかな年男
10.いつまでもいつものところ鴨を見て

11.豆拾ひ神社廻りの節分会
12.抽斗のカナダの写真春立ちぬ
13.節分の豆や老犬まじろぎし
14.白梅の雨や和菓子の個個の色
15.伸びやかな赤城の裾野麦青む
16.立春や木立の影はまっすぐに
17.立春の木肌の温みに触れてみる
18.薄氷に風の震えし痕を見る
19.山かげを山に映して山笑う
20.白梅の蕾ひしめく空青し

21.縁起もの目につく日々や初受験
22.節分の豆を家族にそれぞれ買い
23.ふきのとう明るいみどりに刻まれる
24.春の光街に広がり窓照らす
25.春光に蒲の穂絮の粒子めく
26.冬すぎて春が来ている榛の花
27.森の道紅い椿になごみつつ
28.春立つや川の光の流れゆく
29.たんぽぽの咲き初めしを座して見る
30.大鉢に椿をどんと活ける店

31.節分の朝よく晴れて風も無し
32.快晴や冬に別れを告げる霜
33.新しき靴履き初めて春立つ日
34.立春の森の青空仰ぎたり
35.丘への道丘からの道椿咲く
36.囲われて檻の猿なり雪さんさん
37.寒明くる開花予想のテレビより
38.水揚げてリハビリ室の花菜の黄
39.立春の淡き夕焼け木の間より

  ※互選を開始してください。

●立春ネット句会投句案内●

●立春ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2016年2月4日(木)午前0時~2016年2月4日(水)午後7時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月4日(水)午後7時~午後10時
②入賞発表:2月5日(木)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月5日(木)正午~2月7日(土)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

2月4日(木)/立春

★立春のピアノの弦のすべてが鳴る/高橋正子
春を迎える日の窓に聞こえてくるピアノ曲の軽やかな旋律を想像いたします。音階を緩急自在に走りゆき、和音をのびやかに膨らませて、すべての弦がふるえ響き、春到来を喜んでいるようです。(小西 宏)

○今日の俳句
枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
枝に止まった鳥が、枝移りをするのか枝が揺れる。それを見ていると、光も揺らしているのだ。枝を張る陽光に満ちた木、枝移りする鳥が、なんと早春らしいことよ。(高橋正子)

○立春
★立春の米こぼれをり葛西橋/石田波郷
★立春の海よりの風海見えず/桂 信子

★立春の夜道どこからか水の匂い/高橋信之(昭和四十八年作)
「立春」と聞くと、それだけで気持ちがほぐれる。厳しい冬の寒さと別れ、いよいよ春になる。夜道を歩けば、どこからか水の匂いがする。小川の流れか、水はいち早く温み始めたのだろう。夜道の暗さに水の匂いが春のはなやぎのように感じられる。(高橋正子)

陰暦では、1年360日を二十四気七十二候に分けたが、立春はその二十四気の一つで、陽暦では2月4日か5日、節分の翌日に当たる。節分は冬の季語となっている。節分を境に翌日は春となる。あくまでも暦の上だが、この切り替えがまた、人の心の切り替えにも役立って、立春と聞くと見るもの聞くものが艶めいて感じられる。冬木もいよいよ芽を動かすのだろうと思う。寒禽と呼ばれていた鳥も鳴き声がかわいらしく聞こえる。

★立春の朝は襖の白に明け/高橋正子
★立春の朝のデージー鉢いっぱい/高橋句美子

○梅

[白梅/横浜日吉本町(2013年2月3日)]_[紅梅/横浜日吉本町(2013年2月3日)]

2月3日(金)/節分

★節分寺裏山までも清められ   正子
季節の節目、特に冬を送って春を迎える節分は気分が新たになります。節分にあたり、寺域を清められたお寺の清々しいたたずまいが目に浮かびます。 (多田有花)

○今日の俳句
朝霜に木を切る音の響きおり/多田有花
朝の霜がまだあるうちから、木を切る仕事が始まっている。霜に響く木を切る音が力強い。(高橋正子)

○柊挿す(ひいらぎさす)・柊鰯

[柊/横浜日吉本町]               [柊鰯/ネットより]

2月2日(火)

★枯木立星のあおさに揺れもせず   正子
冬になって、葉がことごとく落ちつくした落葉樹の群落の枯木立は真冬の厳しい夜の寒さにも負けず凛として立ちつくしている。雄々しい素敵な景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
群れ起つや羽音厳しき寒雀/小口泰與
小さい雀だが、一斉に群れて飛び立つときは、体に似合わないほどの音を立てる。「羽音厳しき」は、厳しい寒さのときだけに、強い実感となって一句となった。(高橋正子)

○老鴉柿(ロウヤガキ)

[老鴉柿/東京・小石川植物園(2013年1月20日)]

2月1日(月)

★大寒の真青な空の実栴檀   正子
空は青空、そこに栴檀の実が高く沢山の実を付け残っている。大寒の空にも栴檀の実をみつけた楽しさ。 (祝恵子)

○今日の俳句
賑わいの境内冬芽あちこちに/祝恵子
賑わいは、前掲句「境内に人の溢れて初弘法」から初弘法と知れるが、そうした境内の賑わいの中に、冬芽もあちこちの木に育っている。冬芽も賑わいのひとつである。(高橋正子)

○立寒椿

[立寒椿/大船フラワーセンター]

1月31日(日)

 鎌倉・報国寺
★竹林に踏み入るところ冬椿   正子
冬の竹林は冷え切っている。そんな中へ入った時見つけた椿の紅。そういえば田舎の竹やぶにもあった風景。なんだか近づいてくる春の足音を聴くような句である。(古田敬二)

○今日の俳句
やや白く割れて万朶の梅つぼみ/古田敬二
寒中の寒さに堪えて咲く梅であるが、咲く兆しが見えると非常に嬉しい。白梅の蕾に白が認められる。しかも万朶の蕾に。待春の気持ちが明るくてよい。(高橋正子)

○寒牡丹

[寒牡丹/鎌倉・鶴岡八幡宮]

1月30日(土)

★竹林に踏み入るところ冬椿  正子
鎌倉の竹寺ともいわれる報国寺。見事な孟宗竹の竹林に入ろうとした時、凛と咲く冬椿との嬉しい出会い。寺苑の澄んだ空気の中、竹林との対比も鮮やかに、心洗われるような美しさの冬椿です。思いがけない冬椿の彩りは、深閑とした竹林を前に、ふと心和らぐあたたかさも感じられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
「枯れ尽くしても水の上」は、意表をついて、新しい発見。蓮や菖蒲などは、枯れると茎や葉が折れて水に浸かってしまう。葦原の葦は、枯れながらもまっすぐに立ち、水には影を落とすのみ。なるほど、枯れ尽くしても水の上ある。(高橋正子)

○飯桐の実(いいぎりの実)

[飯桐の実/東京白金台・国立自然教育園]

★いゝぎりの実もて真赤な空ありぬ/飴山 実
★飯桐の実やどこまでも青き空/819maker

 イイギリ(飯桐、学名:Idesia polycarpa)は、ヤナギ科(Salicaceae)イイギリ属(Idesia)の落葉高木。和名の由来は、昔、葉で飯を包んだため飯桐といわれる。果実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)ともいう。イイギリ属の唯一の種。
 日本(本州以南)、朝鮮、中国、台湾に分布する。秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、栽培もされ、生け花や装飾にも使われる。雌雄異株。高さは15-20m。葉は互生、枝先に束性し、キリやアカメガシワに似て幅広い。葉柄は長く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身の付け根にある)。雄花も雌花も同じように黄緑色で3-5月頃咲き、円錐花序となり垂れ下がる。花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。雄花には多数の雄蕊がある。雌花にも退化した雄蕊があり、子房上位。果実はブドウの房のように垂れ下がる。液果で直径1cmほど。熟すと真っ赤になり、多数の細かい種子を含む。果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ。白実の品種もある。

▼朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」より:
 明るい朱色の房になって垂れ下がるいいぎりの実は、ひときわ華やかな晩秋を演出します。いいぎり(飯桐)と呼ばれるのは、昔その大きめの葉にご飯を包んだり、盛ったりしたからといわれています。日本の中でも西では(いとぎり)ともよばれるそうです。
 南天桐という別名は、艶やかな丸い実が南天の実の色と形に似ているからでしょう。この実をつけている季節は、木が10数メートルに達する高さであることもあって一段と目立つのですが、それは人間だけでなく鳥とて同じ。遠くから実をながめて楽しもうと思っていた矢先、そこにあったはずの実が下がっていない!
 ―――花材として綺麗なままをとろうとすれば、そりゃできる限りの高さに鳥よけの網をかけて、実を守るしかないからねーーーいけばなの枝をたくさん扱っている花屋さんの話です。長ければ20センチ近くの房になり、実は秋が深くなるまで枝に残っています。大きな葉がなくなってしまえば、元の枝から切り取って水につけなくても、実は急に落ちたり、表面の皮がすぐにはしおれる事は少ないでしょう。こんな理由もあって、この時期の花展には花材としてよく見かけられます。
 木肌は確かに桐に似ています。桐から下駄やたんすが作られるのは他の木と比べると軽めだからといわれますが、この南天桐も実がついているわりに、持ってみると想像していたより軽く感じられます。実に充分に陽が当たるように、という植物本来の持っている知恵でしょうか、枝は真っ直ぐ羽を広げたように伸びています。そこに下がる房の間隔は隣の房にあまり邪魔にならないよう、絡む事のないよう、うまく配置されているかのように見えてくるのです。
 夏も終りのころのいいぎりを見た事があります。その緑の実からは、秋も深まったころの豪華に垂れ下がった姿はあまり想像できません。熟していないため実の形もほっそりとしています。でもこれはこれで面白く、魅力があります。朱赤ではなく白い実をつけた(いいぎり)もあるということですが 私はまだ見たことはありません。もしもこの時期、いいぎり南天を幸運にも見かけることができたら色と形をじっくり観察してみてください。毎日の散歩の途中、すこし首を伸ばして上をみて探してみてください。都会の真ん中でもいいぎりは意外と回りに見つかるかもしれません。鳥たちに先を越されなければ、ですが。(光加)

◇生活する花たち「蝋梅①・蝋梅②・芽柳」(横浜・四季の森公園)