5月12日

★ビルの窓全てで五月の空なせり  正子
五月は新緑の快い季節で、風も南風で、水の上、緑の上を渡って匂うような爽やかさで、高層ビルの窓という窓も初夏の気持ちのよい風を受けて喜んでいます。 (小口泰與)

○今日の俳句
麦秋や暮れても青き赤城山/小口泰與
暮れても戸外が心地よい麦秋の季節。暮れのこる青い赤城山を見つつ、麦秋の心地よさを心身に感じる作者がいる。(高橋正子)

○踊子草

[踊子草/東京白金台/自然教育園]

★み吉野の踊子草の白がちに/稲畑汀子
★淡きあはき紅粧ふも踊子草/大橋敦子
★夜すがらに奔る水音踊子草/田千鶴子
★踊子草ときをり風は囃子方/豊田都峰
★雨垂れのまた揺らしたる踊子草/川合万里子

 オドリコソウ(踊子草、学名:Lamium album L. var. barbatum (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav.[1][2])は、シソ科オドリコソウ属の多年草 。北海道、本州、四国、九州(及び韓半島、中国)に分布し、野山や野原、半日陰になるような道路法面に群生する。
 高さは30~50cmくらいになる。葉は対生し、その形は卵状3角形から広卵形で上部の葉は卵形で先がとがり、縁は粗い鋸歯状になり、基部は浅心形で葉柄がある。花期は4~6月で、唇形の白色またはピンク色の花を、数個輪生状態になって茎の上部の葉腋に数段につける。花のつき方が、笠をかぶった踊り子達が並んだ姿に似る。花の基部に蜜があり、観察実験の材料ともなる。
 近縁種:ヒメオドリコソウ(姫踊子草、学名:Lamium purpureum L.)、ホトケノザ(仏の座、学名:Lamium amplexicaule L.)。

 
◇生活する花たち「山躑躅・武蔵野きすげ・あやめ」(東京白金台・自然教育園)

5月11日

★薔薇垣と薔薇のアーチに人の住む  正子
丹精込めて手入れされた薔薇垣と薔薇のアーチなのでしょう。薔薇をこよなく愛する住人はどのような方でしょう。お住まいの方はもちろんのこと、通りすがりの人々にも、季節の豊かな彩りと喜びを分け与えてくれる薔薇の美しさ、芳しさを思います。(藤田洋子)

○今日の俳句
若葉風自転車きらり輪が廻る/藤田洋子
若葉風に吹かれ、自転車の銀輪がきらりと輝いて廻る。初夏の解放感と若々しさの溢れた句。(高橋正子)

○2014年5月11日
句美子と大船フラワーセンターへ吟行に行った。日吉駅で10時半に待ち合わせ。句美子はフラワーセンターは初めてなので、私が案内。園内は薔薇としゃくやくが咲き誇り、馥郁たる香り。この二つに加え、睡蓮、黄菖蒲がよく咲いていた。ルピナス、矢車草、おだまきなど百花繚乱。アカシヤの花、石楠花、藤がすでに終わっていた。句美子が温室を見たいというので温室に入った。思いがけず、睡蓮の花がとりどり咲いて、ロンドンのキューガーデンを句美子と見学したことを思い出した。睡蓮が咲いていたこと、オーストラリアやその他熱帯の植物があったことなど。赤バナナが成熟中であった。キューガーデンとは、もちろん、規模が全然違うのだけれど、フラワーセンターの意気込みも感じられた。 昼食は持参の助六すしと柏餅などで済ませた。帰りは、大船駅のドトールでアイスティーとミルフィーユで小憩。句美子は翌日、28句作ってメールで送ってくれた。

○睡蓮

[睡蓮/神奈川県立大船植物園]      [睡蓮/横浜都筑・ふじやとのみち]

★睡蓮の花沈み今日のこと終へず/臼田亜浪
★睡蓮に日影とて見ぬ尼一人/飯田蛇笏
★睡蓮や鬢に手をあてて水鏡/杉田久女
★睡蓮の明暗たつきのピアノ打つ/中村草田男
★睡蓮に雨意あり胸の釦嵌む/中村草田男
★睡蓮の汀に睫長き子よ/星野立子
★睡蓮やまづ暮のいろ石にあり/加藤楸邨
★睡蓮のひかりを絵の具盛り描く/宮津昭彦

睡蓮(学名:Nymphaea)は、スイレン目スイレン属の植物の一つで、水生多年草。単にスイレン(睡蓮)と呼ぶことが多い。日本にはヒツジグサ(未草)の1種類のみ自生する。日本全国の池や沼に広く分布している。白い花を午後、未の刻ごろに咲かせる事からその名が付いたと言われる。水位が安定している池などに生息し、地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべる。葉は円形から広楕円形で円の中心付近に葉柄が着き、その部分に深い切れ込みが入る。葉の表面に強い撥水性はない。多くの植物では気孔は葉の裏側にあるが、スイレンでは葉の表側に分布する。根茎から直接伸びる花柄の先端に直径5-10cmほどの花をつける。産地で大まかに分けると、熱帯産と温帯産に分けられる。温帯産は水面のすぐ上に花を付けるが、熱帯産は水面から高く突き出た茎の先端に花をつけるので、区別は容易である。また、熱帯産には夜や早朝にしか花を咲かせない種もある。

○生活する花たち「西洋おだまき・卯の花・錦木の花」(東京深川・芭蕉記念館とその近辺)

5月10日

★初夏の夜の電車傾きつつ曲がる  正子

○今日の俳句
蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野啓一
野原の蒲公英の絮が、風が来て、ふっと空に浮かんだ。これから広い空を飛んでゆく、蒲公英の種子の旅がはじまる。その心は、「詩」と言える。蒲公英の種子の飛行は、「空の詩」であり、「空の歌」なのだ。(高橋正子)

○杜若(かきつばた)

[かきつばた/東京白金台・自然教育園(左:2013年5月2日・右:2012年5月10日)] 

★宵々の雨に音なし杜若/与謝蕪村
★杜若けふふる雨に莟見ゆ/山口青屯
★森に池あり杜若濃き青に/高橋信之

カキツバタ(燕子花、杜若、Iris laevigata)はアヤメ科アヤメ属の植物で、湿地に群生し、5月から6月にかけて紫色の花を付ける。内花被片が細く直立し,外花被片(前面に垂れ下がった花びら)の中央部に白ないし淡黄色の斑紋があることなどを特徴とする。愛知県の県花でもあり、三河国八橋(現在の知立市八橋)が『伊勢物語』で在原業平がカキツバタの歌を詠った場所とされることに由来している。在原業平が詠んだ歌は「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」江戸時代の前半にはすでに多くの品種が成立しており、古典園芸植物の一つでもあるが、江戸時代後半には花菖蒲が非常に発展して、杜若はあまり注目されなかった。現代では再び品種改良が進められている。日本三大カキツバタ自生地は、愛知県刈谷市井ヶ谷町にある「小堤西池」、京都府京都市北区にある「大田の沢」、鳥取県岩美町唐川にある「唐川湿原」で、カキツバタの自生地として有名である。なお、「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。

◇生活する花たち「芍薬・しゃが・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

5月9日

★新緑の翳るときあり水があり  正子
今当に新緑の季節を迎えています。公園や広場の木々は初夏の艶やかな葉を茂らせ段々と緑も増し、その木々が重なり合って心地よい翳りを作ってくれています。辺りには噴水、池 水飲み場などが有り、目にしたもの全てが清々しく、そんな中で寛ぎの一時を過ごしていらっしゃる様子が見えて参ります。(佃 康水)

○今日の俳句
筍を茹でつつ糠を噴き零す/佃 康水
筍を茹でるとき油断すると灰汁を抜き、柔らかくするために加えた糠が吹きこぼれる。鍋や釜の縁に吹きこぼれた糠がこびりつくこともある。しかし、こういう事に季節の暮らしがある。(高橋正子)

○芍薬

[芍薬/横浜日吉本町]

★芍薬を画く牡丹に似も似ずも/正岡子規
★蕾日に焦げんとしては芍薬咲く/中村草田男
★芍薬の一ト夜のつぼみほぐれけり/久保田万太郎
★嫁ぎゆき芍薬の花咲きつづく/和知喜八
★そろひ咲く白芍薬よ朝の庭/阿部ひろし
★芍薬のピンクが白に近い色/高橋信之
★芍薬の白はふっくら日の溶けし/高橋正子

 (2012年の日記より)今日、5月28日は信之先生の81歳の誕生日。家族の都合で、昨日の日曜日に誕生祝いをした。四角な大きなケーキを句美子が作り、わたしは、たけのこ寿司を作った。ただそれだけの簡素なお祝い。芍薬の花を昼過ぎに買って花瓶に生けておいたら、夜には、蕾まで開きはじめて、開いていた花は、これ以上咲けないというほど開いた。花もちをよくする薬を入れたせいと、水切りがうまくいったのかもしれない。誕生日にふさわしく豪華に咲いた。砥部の庭には、臥風先生のお宅から移した芍薬があった。来年は、芍薬の根っこを買って鉢で育てようという話になった。
 花冠同人で今日の俳句に挙げた黒谷光子さんも、facebookで拝見すると、28日がお誕生日とのこと。光子さん、おめでとうございます。
 芍薬は牡丹が終わったころに咲く。牡丹ほど気取っていないので、砥部の庭にもあって、咲けば切って花瓶に挿して楽しんだ。小学生のころから芍薬は変わらずある。今はどうか知らないが、教室には教卓の近くに花瓶があって花が活けてあった。家に咲いた花を切って子どもたちが持ってきていたが、芍薬の咲く時期には、花瓶に挿しきれないほど芍薬が集まる。すると先生がバケツを用意してバケツに入れてくれる。このころは、芍薬だけでなく、あやめやいちはつなども次々に誰かがもって来ていた。

◇生活する花たち「黄菖蒲・睡蓮・芹の花」」(横浜都筑・ふじやとのみち)

5月8日

★野ばら咲く愛のはじめのそのように  正子
野ばらを見ると、愛が始まる時のような可憐な思いが湧いてきたのでしょうか。素敵な句です。(祝恵子)

○今日の俳句
チューリップ小雨は森に去りました/祝恵子
森の近くのチューリップ畑。あまりにもかわいらしいチューリップに雨は少しだけ降って森へ去っていった。ここにメルヘンが生まれた。(高橋正子)

○野茨(花いばら・野ばら)

[野茨/東京白金台・自然教育園]

★花いばら故郷の路に似たる哉/与謝蕪村
★愁ひつつ岡にのぼれば花いばら/与謝蕪村
★咲きはじむ野ばらの白よ旅衣を解く/高橋信之
★野ばら咲く愛のはじめのそのように/高橋正子

野茨(バラ目バラ科バラ属学名:Rosa multiflora)は、バラ科の落葉性のつる性低木。日本のノバラの代表的な種。沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。ノバラ(野薔薇)ともいう。高さは2mぐらいになる。葉は奇数羽状複葉で、小葉数は7-9、長さは10cmほど。小葉は楕円形、細かい鋸歯があり、表面に艶がない。花期は5~6月。枝の端に白色または淡紅色の花を散房状につける。個々の花は白く丸い花びらが5弁あり、径2cm程度。雄しべは黄色、香りがある。秋に果実が赤く熟す。野原や草原、道端などに生え、森林に出ることはあまり見ない。河川敷など、攪乱の多い場所によく生え、刈り込まれてもよく萌芽する、雑草的な性格が強い。古くはうまらと呼ばれ万葉集にも歌われている。

★道の辺の うまらの末(うれ)に 這(は)ほ豆の からまる君を はなれか行かむ/丈部鳥(はせつかべのとり)万葉集巻二十 4352

野薔薇は、シューベルトの歌曲で知られているが、与謝蕪村が好んで俳句に詠んでいる。蕪村の句は読んで非常に新しい感じがした。山裾の崖、河原の藪に絡むように育っているが、花は、一面に白い花が咲いて、可憐である。

◇生活する花たち「野茨・ひとりしずか・ふたりしずか」(東京白金台・自然教育園)

5月7日

★白ばらの空気を巻いていて崩る  正子
白ばらの正に絢爛と盛りある咲きよう。空気の中に広がり、否、大きく巻き込んで濃密な一体となって在り、この期を逃せばあとはただ崩れ去るのみ。(小西 宏)

○今日の俳句
蒲公英の花せめぎあい光りあい/小西 宏
蒲公英が明るい日差しの中に、びっしりの咲いている様子。一つ一つの花は可憐でありながら、せめぎあうほどの花の力。せめぐだけでなく、また、互いに光りあっている。確かな目である。(高橋正子)

○ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)

[ジャーマンアイリス/横浜市都筑区ふじやとの道] 

★ドイツアヤメ咲く青年のジョギング/高橋信之
★学ぶ卓ドイツあやめの香が届き/仙石君子

ドイツアヤメ (Iris germanica) はアヤメ科アヤメ属の植物の一種。別名のジャーマンアイリスで呼ばれることが多い。本種は、アヤメ属の植物を交雑して作出されたもので野生のものはない。1800年代の初期にドイツ、フランスで品種改良され、その後、アメリカが多数の品種を出している。花期は5 – 6月ごろである。

◇生活する花たち「山躑躅・武蔵野きすげ・あやめ」(東京白金台・自然教育園)

5月6日

★明け初めし空の丸さよ柿若葉  正子
煌々と明るくなる前の夜明けの空なので、丸く感じたのでしょう。柿若葉が春のやわらかで丸さを感じる空を引き立てて感じせてくれます。 (高橋秀之)

○今日の俳句
ヨットの帆きらめく海に高々と/高橋秀之
「きらめく」、「高々」の言葉が、ヨットの浮かぶ海の光景に高揚する気持ちをよく述べている。(高橋正子)

○芹の花

[芹の花/横浜市都筑区緑道ふじやとの道(左:2012年5月1日・右:2014年4月15日)] 

◆ご挨拶/端午ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


端午ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。参加者は14名で42句の投句が揃いました。入賞のみなさまおめでとうございます。また、いつもながら、選とコメントをありがとうございました。コメントをいただけると、大変うれしいもので、励みになります。
今年は、閏月のせいで、5月5日が立夏となりました。鯉のぼりが泳ぎ、菖蒲湯につかり、日中は汗ばむほどの天気でした。投句にもありましたように、まさに、「夏は来ぬ」です。どの季節も新しい季節の到来は新鮮でいいものですが、特に今は花もたくさん咲き、天気もさわやかで、素晴らしい季節だと思います。この季節を祝福したくなります。
管理運営は信之先生にお世話になりました。また、今回は、わたくしの目が少し不調(ドライアイとアレルギー)で、挨拶に至るまで、いつもより時間がかかってしまいました。これで、端午ネット句会を終わります。次回の月例ネット句会を楽しみに、ご健吟ください。

(金銀銅賞の皆様には、ささやかながら、わたくしの俳句はがきと上島祥子さん寄贈の和紙のシールをお送りしたいと思っています。)

◆入賞発表/端午ネット句会◆


■2016年端午ネット句会■
■入賞発表/2016年5月5日

【金賞】
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
青空の下をにパレードの行進がほがらに進む。夏が来たばかりの青い空をつばめがパレードをかすめるように飛ぶ。浮き浮きする光景だ。(高橋正子)

【銀賞2句】
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
朝の大空には雲が一つもなく、鯉のぼりがさわやかに泳いでいる。おおらかで、さっぱりとした句だ。その句意は、そのまま男の子にも望みたい精神だ。(高橋正子)

★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
八百屋に、端午の節句用の菖蒲が青々と売られている。菖蒲を売るための入れ物は、バケツで間に合わせているが、菖蒲とバケツの取り合わせが庶民的で、誰もが、邪気を払い健康を願うにふさわしい。(高橋正子)

【銅賞3句】
★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
モッコウバラは、棘がなく、小さな可憐なクリーム色の花を咲かせる優しい花だ。白い花もあるが、どちらの花も旺盛に蔓をのばし、花を「もりあがる」ようにつけて美しい。旺盛な花の生命力は、やはり、夏のものだ。(高橋正子)

★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
鯉幟を立ててもらった子らは、風に泳ぐ鯉幟の尾を捕まえようと、飛び跳ねる。吹かれれば吹かれるほど、しっぽを掴みたくなるのだ、子供だ。鯉幟に無邪気に遊ぶ子らが健やかだ。(高橋正子)

★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代
畑に植えた豌豆が収穫できるようになった。少し摘むつもりだったのだろうが、たくさん莢を付けた豌豆をついつい摘んで、エプロンのポケットだろうか、「ずっしり」となるほど摘んで持ち帰った。うれしい収穫だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★せせらぎにカエル探して子らの声/河野啓一
一昔前は普通の光景だったですが、今は珍しい光景となりました。自然の風情を思い出しました。(高橋秀之)
さらさらと流れる川で遊んでいる子ども達。「カエル見ーつけた」と言っている明るい声が青空へ響いています。この子ども達の未来が明るく輝いてほしいと思いました。(井上治代)

★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
幼稚園か保育園でしょうか。節句の行事でのほほえましい光景が目に浮かぶようです。 (河野啓一)

★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり/高橋正子
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代

【高橋正子特選/7句】
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
つんと伸びた青々とした菖蒲の葉、店先で私も見かけました。 (祝恵子)

★雨粒を抱きてばらの咲きはじむ/祝恵子
ばらの種類は様々で色彩的にも豪華なものが多いですね。雨粒を抱けばそのばらの色を透かせて、瑞々しくまた美しく真珠の様に光っています。これからがばらの最盛期となり楽しみですね。(佃 康水)
薔薇に限らず、花は咲く前に大きく膨らむ。その時に降った雨粒を抱いて弾きながら開花する瞬間を切り取った美しい句です。 (廣田洋一)

★あやめ直立して遠からず近からず/高橋信之
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)

★玉ねぎの香りとともに掘り起こす/古田敬二
新玉ねぎの収穫の時期になって参りました。掘り起こすと玉ねぎ独特の香りがして、元気になる様な気が致します。私たちにとっても玉ねぎは貯蔵も効くので年間を通しての貴重な食品です。掘り起こす玉ねぎの香りに収穫の喜びが伝わって参ります。(佃 康水)

★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代

【入選/8句】
★あちこちにゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
あちらこちらに鯉のぼりがゆったりと泳ぎ、さわかかな天気がつづく。日本な日本に子供たちがすくすく育つことを願う。(高橋正子)
俳句のお蔭であちこちの鯉のぼりがゆったりと泳いでいるのが目に入り嬉しくなりますね。子供たちの元気な成長を願うばかりです。作者の平穏な温かい眼差しが見えて参ります。(佃 康水)

★夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一
新緑の心地よい季節に南風が緑の上、水の上を渡って匂うような爽やかな瀬戸の海を白い帆に風をいっぱいに含んだヨットが次々に走っている素敵な景ですね。(小口泰與)
丘から見下ろす瀬戸内海。どこからともなくヨットが次々に増えて浮かぶ。青空と紺碧の瀬戸内海の初夏の風景が鮮やか。 (古田敬二)

★筍の柔らかさ噛み母の味/高橋句美子
昨日我が家は筍ごはんだったが旬を味わいました。お母さんの炊かれた筍の味をなつかしく思い出されているのだろう。初夏の季語に筍が効いていると思いました。(満天星)

★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意/高橋正子
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)

★眠き児へ父膝枕こどもの日/ 佃 康水
こどもの日の家族そろってお出掛けの光景であろうか?電車、バスの中でも子供は眠たくなり、父親がそっと膝枕のようである。子供にとってお父さんの優しい想い出となる事でしょう。 (桑本栄太郎)

★菖蒲葺く軒の低さよ藁の屋根/ 桑本栄太郎
端午の節句に、屋根に菖蒲の葉をたばねて載せて厄除け祈念すると聞いたことがありますが、藁葺きの低い屋根であってこそなのですね。古来の風習の由来を有り難く納得できました。(河野啓一)

★はこべらに子山羊の瞳めんこいよ/小口泰與
春から初夏にかけて野山でスキップでもしている気分にさせられます。童謡を歌っているような愉しい一句です。(河野啓一)

★ブラシの花が赤く咲き夏は来ぬ/谷口博望(満天星)
ブラシの花は、目にしたことのない方が多いかもしれないが、試験管ブラシのような形状の赤い花で、南国の雰囲気が漂う。青空にこの花が揺れるとと「夏は来ぬ」という思いになる。(高橋雅子)

■選者詠/高橋信之
★水芭蕉の白の世界へためらい入る
昔、北海道網走湖畔で野道を歩いていて水芭蕉の群落に出合いました。その時の詩情と感激を想い出しました。まさに「ためらい入る」という気持ちで、自然の素晴らしさと秘やかさに畏敬の念を抱きます。(河野啓一)

★あやめ直立して遠からず近からず
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)

★寺苑に咲いているあやめの縞模様

■選者詠/高橋正子
★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)

★薔薇垣の二軒に早き朝が来る
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり

■互選高点句
●最高点句(6点)
★09. 夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

5月5日

★葉桜の蔭は家居のごと安し  正子

○今日の俳句
鯉のぼり仲良く泳ぐ水鏡/上島祥子
田水が張られ、その近くに民家があるのか。ま鯉、ひ鯉、子供の鯉とそろって吹かれている様が水に映って気持ちよさそうだ。(高橋正子)

○今日はこどもの日。小学校2,3年生のときのこどもの日、を思い出した。

こどもの日

山へのぼろう
こどもの日に
山つつじが赤く咲く岬の山へ
かあさんたちが
つくってくれた
ばらずしをもって

山から海を見ようよ
少女たち
子もりのふうちゃんが
炭鉱のある九州へひっこっして行った海を
赤い髪の小さいけんちゃんが
手をふってブラジルへ行った海を

そうして
海のむこうから来る船が
正午に鳴らす汽笛を聞こうよ
目をこらせば
きっとわかるんだよ

○薔薇(ばら)

[薔薇/横浜日吉本町(2012年5月18日)] [薔薇/横浜・港の見える丘公園(2010年5月17日)]