7月6日(水)

★青田みな青嶺へ靡き吹かれける  正子
風になびく、山に向かう青々とした植田の静かな田園景色が浮かびます。(祝恵子)

○今日の俳句
ピーマンの分厚く光るを収穫す/祝恵子
よくそだったピーマンの質感をよく捉えている。「分厚く」に納得。(高橋正子)

○夕菅(ゆうすげ)

[夕菅/大船植物園]

●7月月例ネット句会のご案内●


●7月月例ネット句会のご案内●

①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(夏の句)計3句をブログ<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2016年7月7日(木)午前0時~7月10日(日)午後6時
④選句期間:7月10日(日)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:7月11日(月)午前10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、7月11日(月)午前10時~7月12(火)午前10時

7月5日

★蜜豆に夜の会話の間がありぬ  正子
密豆を前にして会話のひととき、ご家族でしょうか、それともお友達同士?いずれにしてもくつろいだ楽しい雰囲気だったことでしょう。(多田有花)

○今日の俳句
★子を抱いて浴衣の父の祭かな/多田有花(姫路ゆかたまつり)
男の祭でも、村の祭でもない「父の祭」がいい。子を抱き、浴衣に寛いでささやかな祭を楽しんでいる父の姿さっぱりとして、涼しそうだ。(高橋正子)

○笹百合

[笹百合/神奈川県箱根町・箱根湿性花園]

7月4日

★長き柄に団扇の風のぱっさぱっさ  正子
うちわは柄も長く、扇の面積も広いので風もよく来ます。自分だけでなく寝る児など傍にいる人にも風を送って風情があります。それにしても、「ぱっさぱっさ」とは豪快で小気味よい扇ぎぶり、それを座五に置かれて大らかです。(小西 宏)

○今日の俳句
模様替えし部屋に藺草の匂い立つ/小西 宏
住まいは夏を旨とすべし、と言われるように、夏はことに部屋を夏向きに模様替えする。新しい花茣蓙を敷くと、藺草のいい匂いがする。開けた窓からの涼風とともに寛いだ気持ちになれる。(高橋正子)

○松葉牡丹

[松葉牡丹/大船植物園]

7月3日

★鎌倉へ合歓の一樹の花盛り  正子
合歓の木は随所に見られますが、普段はほとんど目につかず、花が咲いて初めて「ああこんなところに合歓が!」と嬉しくなることが多いかと思います。鎌倉へ行かれるご用事の道すがら、一樹の花盛りを見つけられた作者の気持ちが読者にも浮き浮きと伝わってきます。(河野啓一)

○今日の俳句
紫陽花の軒端に雨水たっぷりと/河野啓一
紫陽花が咲く軒端に雨水がたっぷりと溜まっている。たっぷり溜まった雨水がゆたかで涼しい。(高橋正子)

○月見草(待宵草)

[待宵草/横浜日吉本町]

7月2日

★松林に白百合まばら富士裾野  正子
富士の裾野なので、松林も広々としたところなのでしょう。その広々としたところにまばらに咲く白百合。大きな自然と小さな自然の共生がそこにあると感じます。(高橋秀之)

○今日の俳句
せせらぎの木陰のめだか動かずに/高橋秀之
せせらぎの木陰はすずしそうだ。涼しさを喜んで、目高が活発に泳ぐかと思えばそうではない。じっとして、木陰の水の涼しさを体で享受しているようだ。(高橋正子)

○夾竹桃

[夾竹桃/横浜日吉本町]          [夾竹桃/大船植物園]

7月1日

 箱根湿性花園
★雲はれて日光黄菅の野にひかる  正子
フェイスブック画面にて正子先生撮影のお写真も見せて頂きました。野に咲く日光黄菅にはっとさせられます。「雲はれて」が一句をつらぬいていて野の風情も大らかに伝わってくるようです。(小川和子)

○今日の俳句
声透る夏うぐいすに森深し/小川和子
森深く入ると、夏うぐいすも、森の深さに比例するかのように声が澄んでくる。鶯の声のよさは、夏うぐいすが一番であろう。(高橋正子)

○布袋草(布袋葵)

[布袋草/フラワーセンター大船植物園]

6月30日

★蛍ぶくろ霧濃きときは詩を生むや  正子
白や紫色した蛍袋が下向きに咲き、中はがらんどう。蛍袋の咲く梅雨の頃には霧の発生も良く見られ、濃い霧にぼやけて見える花は一際風情を感じます。また、この花筒の中にほたるを入れて遊んだという説にはますますメルヘンの世界に誘われると共にこの様なところから詩が生まれて来そうな予感が致します。御句こそが美しい一行詩です。(佃 康水)

○今日の俳句
清らかや飛騨路に出合う朴の花/佃 康水
朴の花は、大ぶりな白い花でよい香りがする。山深い飛騨路に出合えば、「清らかさ」が印象的。(高橋正子)

○コムラサキとムラサキシキブの二つが違うものであることを知らないときは、その花の付き方、実の付き方を細かく書いた文を丁寧によくよく読んで判別していたが、コムラサキとムラサキシキブを見ただけで分かるようになると、そんなことをしていたことが、なんだか、余計なことのように思われる。区別できるようになったのも、説明のおかげなのだが。
自宅から10分ほどの小高い公園の山にムラサキシキブがあったが、去年ばっさり切られてしまったのを発見。自生なんだから大切にしなければならないのに。近所を見る限り、大体にして、すぐに木を切ってしまう。なんのために切るのかよくわからないが。それに、庭木の剪定さえも下手に思う。(2015.6.30)

○コムラサキの花

[コムラサキの花/横浜日吉本町]

6月29日

★紫陽花を剪るに真青き匂いたち  正子
梅雨の頃、小さい多数の四片の花を、毬状に群がり咲かせ、花弁と見えるものは萼で、花期が長く白、淡緑、碧、紫、淡紅と日を経るに従って花の色が変化する美しい花を剪って花瓶にさした紫陽花の素晴らしい景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
蛍飛ぶ後ろ大きな山の闇/藤田洋子
大きな山を後ろに闇を乱舞する蛍の火。山間の清流を舞う蛍火の見事さを「山の闇」で的確に表現した。(高橋正子) じゃがいもの花や赤城は靄の中/小口泰與
雄々しい赤城の山も靄の中に消え、薄紫のじゃがいもの花が優しく咲く。じゃがいもの花が咲く頃は、雨の後など靄がかかりやすい。季節がよく捉えられている。(高橋正子)

○夏萩

[夏萩/東京・関口芭蕉庵(2011年6月12日)]_[夏萩/北鎌倉・円覚寺(2013年6月16日)]

★夏萩の咲きひろがりぬ影の上/谷野予志
★夏萩や山越ゆる雲かろやかに/石原絹江
  東京・関口芭蕉庵
★芭蕉居しと夏萩の紅明らかに/高橋信之
★夏萩にもっとも似合うのシャツ白/高橋正子

 萩と言えば、秋の七草のひとつで、多くの方がご存じ。万葉集に詠まれ、日本画、着物などの柄、日常の種々のものにも描かれて、馴染み深い花となっている。秋が来るのを待たず咲いているのに出会うと、「もう萩が。」と汗が引く思いで足を止めて見る。夏萩は、夏の終わりから秋の初めにさく南天萩、四業萩、猫萩、夏開花する野萩、めどはぎ、犬萩、藪萩などを指すしている。六月に関口芭蕉庵を訪ねたことがあったが、瓢箪池のふちに夏萩が枝をのばして紅紫の可憐な花を付けていた。「古池や」の句碑も立っているが、池水のにごりに映えて静かな雰囲気を醸していた。関口芭蕉庵から椿山荘へ場所を移すと、椿山荘にも露を置く草の中に数本の枝が倒れて紅紫の花をほちほちと草に散るように咲いていた。一足はやい秋の訪れを垣間見る思いだ。

 俳人・正岡子規も愛した“萩の寺”、大阪府豊中市の曹洞宗東光院(村山廣甫住職)で、ナツハギが6月初旬~中旬くらいまでが見頃で、かれんな花が参拝客らの目を楽しませている。参道には、秋に見頃を迎えるマルバハギなど約10種3千株にまじり、ナツハギ約30株が植えられており、今年は例年より早く赤紫の花が房状に咲き始めたという。東光院は、奈良時代の天平7(735)年に僧の行基(668~749年)が現在の大阪市北区に薬師如来像を自作し、薬師堂を建立したのが始まりとされる。行基が死者の霊を慰めるために当時、淀川に群生していたハギを供えたことから境内にもハギが植えられ、「萩の寺」として親しまれるようになった。子規や高浜虚子ら多くの俳人が好んで訪れ、子規はハギが咲き誇る風情を「ほろほろと石にこぼれぬ萩の露」と詠んだという。同院は「ハギの群生美は、日本らしい『和』の民族性を表しているよう。1度花を咲かせたあと、さらに茎を伸ばし花を咲かせる姿は、私たちに希望を与えてくれる」と話している。
 ハギ(萩)とは、マメ科ハギ属の総称。落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。分布は種類にもよるが、日本のほぼ全域。古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもある。秋ハギと牡鹿のペアの歌が多い。別名:芽子・生芽(ハギ)。背の低い落葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。茎は木質化して固くなるが、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出る。直立せず、先端はややしだれる。葉は3出複葉、秋に枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。果実は種子を1つだけ含み、楕円形で扁平。荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事跡などに一面に生えることがある。

◇生活する花たち「岩タバコ・雪ノ下・夏萩」(北鎌倉/東慶寺・円覚寺)