ご挨拶/11月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
11月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。立冬を過ぎたと言うのに、小春日和が続き、今日の気温も21度ありました。去年はどうだったかと、季節感もつかみにくい感じがしています。
今回もほどんどの会員のみなさまにご参加いただき、ありがとうございました。
選とコメントをありがとうございます。お陰で入賞の句すべてにコメントをいただくことができました。それぞれの句への心温まるコメントを、ご味読ください。
これで、11月月例ネット句会を終わります。インフルエンザが流行りはじめました。お互いに気を付けて過ごすようにいたしましょう。来月の月例ネット句会は、12月8日です。楽しみにお待ちください。
2024年11月14日
髙橋正子

11月14日(木)

曇り
 湯島天神三句
境内の隅ずみまでも菊咲かす   正子
猿回しの子猿も晴れ着七五三    正子
七五三の着物つややか抱かれいて 正子

●ネット短信No.427を未明に出す。吉田晃さんの「俳壇」12月号、10月号の掲載句、および、12月号のブックレビューのに取り上げらえた句とコメントの紹介。

●湯島神社へお守りをいただきに朝から出かける。今日も御徒町から行った。天気予報は晴れだったが、電車の窓からはずっと曇り空しか見えなかった。いただいたのは、「学業御守」と「健康御守」と「神札」。境内に着くと菊祭りがあり、千輪仕立ての見事な菊をはじめ、菊愛好家や、商店街、企業、それに湯島の小学生、中学生、教職員の仕立てた菊が展示してあった。地域挙げて、天神様の菊祭りに参加と言う具合。境内でテンツク、テンツク、小太鼓が鳴っているので、近づくと猿回しだった。日光猿軍団から来たといって、2歳の猿が芸を披露していたので、少しだけ見た。2歳の猿は子ザルで、まだまだ耳や手が小さい。

●『篠原梵の百句』(岡田一美著/ふらんす堂2024.4)があることを知った。篠原梵が注目を浴びなくなったのは、人間探求派の座談会で、司会の山本健吉と論争して、互いが「許さぬ」ことになったことに始まると聞いている。実際、その理由だけではないが、その後、篠原梵は、人間探求派からはずされている。山本健吉の父親の石井露月と森鴎外の論争も有名で、その思想の違いが、今に至るまで、尾を引いている。梵の俳句が今なぜ評価されないという著者の問に、誰が答えることができるであろうか。露月と鴎外の考えの違いがいまも日本の思想に尾を引いていて、ときどき噴き出すのを見る。臥風先生は鴎外の考えに賛同していた。

篠原梵は旧制松高俳句会出身で、指導者は川本臥風先生なので、私の年の離れた兄弟子になる。句集『葉桜』『年々去来の花』も手元にある。人が世に出るときに、だれかがストップをかけることは、実際よくある。もっと著名になってい良いはずの人は多くいる。その発掘は難しい。梵は一度は俳壇の寵児であった。梵の俳句は新しいが、再評価されるかどうか。梵は帰省の度に臥風先生を訪ね、俳句に執心はあったが、中央公論の編集長に終わったふしもあるのではないかと言う学者もいる。
俳句でも、詩でも小説でもそれを始めたら、終生それに携わったかどうかが、重要なのではないかと思えた。

11月13日(水)

晴れ
うたた寝よりひとり目覚めて冬の昼   正子

●「俳壇」12月号が届く。今月は晃さんの未発表句「月の島」5句が載った。また、ブックレビュー「本阿弥ラライブラリー」に「俳句の杜2024」がとりあげられ、晃さんの句三句が批評に上った。それによれば、「平明な表現に実直な作者の顔が見える。」所属が「水煙」になっているので、信之先生もよろこばれているであろう。

●同じ「俳壇」12月号で、「宇宙」主宰の島村正氏が8月14日に80歳で亡くなられたことを知った。島村氏は見ず知らずの私に『現代俳句1』を贈ってくださった。そのなかに「誓子山脈の人々」があって、丁寧にに読んだ。お礼の手紙を出したら、長い手紙を頂いた。誓子門の谷野予志先生の事をご存じかと聞いたら、話したことはないと言う返事だった。無名の私になぜ著書をお送りくださったのかよくわからないけれど、ありがたく拝読した。

中学の教科書には、誓子、楸邨、鬼城、草田男、子規の俳句が載っていたのを覚えている。特に誓子の俳句にはスタイリッシュな新鮮さを感じていた。その影響か初心のころの作品は谷野予志先生が喜ぶような俳句を作っていた。
コーヒーの匙の上向きすぐ冷ゆる 正子
予志先生は、匙が「上向く」と気づく敏感さに驚いたといい、句会後に英文研究室でほめちぎったそうだ。これは若い助教授の先生からあとで聞いた。ちょっと困ったことになったのである。英詩の時間には、教師からここはどう思うかなど、特別に当てて聞かれるようになったのだ。訳も分からい人に。

島村正氏のご冥福をお祈りする。

●旅行の切符が買えたのでほっとしたが、窓側席は埋まっていた。ウィークデイでビジネスマンでいっぱいなのかもと想像した。東京から名古屋まではビジネスマンが確かに多い。

●普段は洒落気もなくフリースを着ているが、少し寒くなったので、自分で編んだ、正確には編んであげた、グレーのベストを少し前から重ねている。このベストは信之先生のお古。これを編んだのは一昨年か去年か記憶が曖昧。今年1周忌を迎えたので、亡くなったのは去年。
ベストは最初、模様編みにしていたが、ダサいので解いて表編みで編みなおした。そのため、編みあがりが遅くなり、完成したのは1月半ば。それから2か月少し着ていて、4月になると暖かくなって着なくなり、その後すぐに亡くなった。
こう考えると、編み始めたのは一昨年の12月で、完成して着ていたのは去年の1月の半月、2月、3月。去年の今ごろは生きていたと思ったが、もう亡くなっていた。一昨年の今ごろは生きていた。2023年、令和5年5月に亡くなったということ。

11月12日(火)

曇りのち晴れ
   野生化のインコ
冬空にインコ羽裏の色残す  正子
観覧車円に灯点す冬の暮   正子
白菜を大袋に詰め電車の主婦 正子

●新幹線の切符を買いに新横まで。ついでに横浜そごうまで。切符は往復割引が利用できてよかったが、切符の印字を見ると、途中下車できない。せっかくの一人旅なので途中下車して、東福寺へ寄る予定を立てていた。しばらく旅行していないので、勘が鈍っている。往復切符では途中下車はダメなのだ。

●『若き詩人への手紙』(高安國世訳/新潮社)は、若き詩人カプスから送られた手紙は載っていない。リルケの手紙だけ。訳者の高安國世は旅の鞄には、内容が濃く薄い本を入れると言っていた。まさに、『若き詩人への手紙』がそうだ。その『若き詩人への手紙』のなかで、リルケは詩人へのアドバイスに、本はほんの数冊でいい。自分がいつも持っているのはバイブルとヤコブセンの詩集だと言っている。バイブルは意外だった。ヤコブセンを読むためにデンマーク語を勉強したという。ロシア語も学び、トルストイともロシア語で会話し、もちろんロシア文学も原文で読み、フランス語の詩も手紙も多い。生まれたのはプラハなのでチェコ語も話し、母語はドイツ語とのこと。孤独と集我を求めたリルケは、芸術家や文学者と多く交わっている。創作するときは、孤独を重視し、『若き詩人への手紙』にも孤独の重要性を度々述べている。それにより内面の奥へはいっていく。これが重要だと。

『若き詩人への手紙』は一通り読んだ。10通が収められている。1903年2月17日、パリからの手紙に始まるが、初めの数通の手紙が詩人への忠告としてわかりやすい。

■11月月例ネット句会/入賞発表■

■11月月例ネット句会/入賞発表■
2024年11月11日

【金賞】
16.水脈競い秋青海へ漁の船/吉田 晃
漁に向かう船は二艘か、あるいは、もっとか。舳先を沖へ向けて出てゆく。船の水脈がどんどん作られて、水脈が競争しているように見える。秋海は青く,潮の匂いがしてきそう。出漁の漁船の勢いのある姿である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
21.山気浴び手綱をつける秋の馬/柳原美知子
馬肥える秋である。山の乗馬場か。清涼な山の空気を浴びて、馬が手綱をつけている。馬の体もつやつや光ってたくましい。また静かさもあって、馬の存在感大である。(髙橋正子)

36.あの黄色石蕗の花に違いなく/多田有花
枯が進む中で、石蕗の花の黄色は目立つ。その黄色は、澄んでいて、力強い。遠くから、まだよくわからないところからも、黄色を見つけ、石蕗の花と確信する。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
18.薄青の空暖かな窓の冬/吉田晃
窓から見える穏やかな冬の日が快く詠まれている。部屋の窓からの眺めは毎日の眺めであるが、天気により、また気持ちの持ちようにより、日々変わる眺めでもある。(髙橋正子)

26.リツトウの響きの通り冬来る/川名ますみ
「リツトウ」とカタカナで書いてあるのは、音に出して言うためであろう。「リットウ」と言葉に出して言ってみると、力強く、きっぱりとした音に聞き取れる。ピアニストの作者であるだけに、音で冬の到来をとらえた鋭敏な句と思う。(髙橋正子)

32.朝が来て富士山頂の初冠雪/髙橋句美子
朝が来て、富士山を見ると初冠雪の姿が見えた。富士山が見えるところに住むと、富士山は日々、自然と心の中心的な山になっている。初冠雪は新しい季節の到来を示し、嬉しいものである。新鮮な句。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
16.水脈競い秋青海へ漁の船/吉田晃
秋晴れの青い海に真っ白い水脈が長く短く輝く美しい景色が目に浮かび、漁師達の力強い声が聞こえてきそうです。(柳原美知子)

23.栗菓子や特急列車の並び席/高橋秀之
おそらく遠くまで行くのでしょう。特急列車の並び席で広げられた栗菓子が、甘い匂いときれいな形を見せています。いかにも楽しそうな、秋の旅が浮かび、わくわくします。 (川名ますみ)

32.朝が来て富士山頂の初冠雪/髙橋句美子
今年の秋は残暑の期間が長く、冬は本当にやってくるのだろうか?と思って居た作者です。とある朝になり、漸く富士山の初冠雪を眺めました。例年より」一ヶ月遅れとは言え、少し安堵の作者です。(桑本栄太郎)

18.薄青の空暖かな窓の冬/吉田晃
19.谷水の音に紛れずちちろ鳴く/柳原美知子
26.リツトウの響きの通り冬来る/川名ますみ
36.あの黄色石蕗の花に違いなく/多田有花

【髙橋句美子特選/7句】
03.毬栗の落ちたる先の子犬かな/小口泰與
毬栗や子犬の様子が浮かぶ動きのある句です。 (髙橋句美子)

05.柿すだれ峡の村なる母のさと/桑本栄太郎
桑本さまの故郷は確か山陰でしたね。昔ながらの日本の「ふるさと」がまだそこにたっぷり残っている気がします。 (多田有花)

15.水替える黄菊のつんと匂うなり/髙橋正子
花瓶の水を代える時、菊に手を伸ばすと、部屋の中に広がっていた匂いではなく、「つん」とした匂いが鼻孔をつつく。菊の花の強い香に、改めて小さく驚いている作者なのだろう。 (吉田晃)


21.山気浴び手綱をつける秋の馬/柳原美知子
秋が深まり、乗馬に最適の季節になってきました。「山気浴び」という言葉が澄んだ空気の空の高さを思わせます。 (多田有花)

22.風に舞う落ち葉の先に青き空/高橋秀之
都会でも街路樹が色づき、落葉を開始して季節の移り変わりを知らせてくれます。マフラーに首をうずめた人が行き交う季節も間もなくです。 (多田有花)

27.濠に三つ小さき輪を生む小さき鴨/川名ますみ
マガモでしょうか。北の大地からはるばるやってきた冬の使者。濠に落ち着いて小さな水輪を生み出しています。 (多田有花)


36.あの黄色石蕗の花に違いなく/多田有花

【入選/8句】
01.古き山古き河川に秋の月/小口泰與
山川も月もすべて何億年、何十億年という歳月の中に会って常に新鮮です。縄文人もここにいて、月を見上げただろうなあなどと思います。 (多田有花)

07.背に肩に紅葉散りたる古き寺/廣田洋一
「背に肩に」という表現で紅葉が散る光景の臨場感が伝わってきました。古いお寺と言う場所も相まって、晩秋の寂しさと風情ある雰囲気を感じました。 (西村友宏)

12.小春日や新チーム白きユニホーム/上島祥子
パッと思い浮かんだのがサッカーのユニホームでした。(子どもたちは学生時代サッカーしていたもので)小春日の新チーム結成、真新しいユニホームは、どの競技でも新鮮ですね。 (高橋秀之)

17.玄関を出る靴音の軽い秋/吉田 晃
颯爽とお出かけになる姿が思い浮かびます。ありふれた日常の中に感謝と嬉しさを感じさせる一句だと思いました。 (上島祥子)

28.皮むけば房がふっくら紅みかん/ 西村友宏
先日、木からもぎとって蜜柑を食べました。さっきまで太陽に照らされていた房にはほんのり温みが残っていました。「ふっくら」に蜜柑の甘さと美味しさが詰め込まれていますね。 (多田有花)

30.取れたての柿の冷たさ朝の風/西村友宏
庭に柿があるのでしょうか。朝晩は冷えるようになりました。柿の実の冷たさにその寒さを感じる。そんな朝の様子がうかがえます.。 (高橋秀之)
朝の冷たい風の中に今年も沢山の柿が豊作を知らせてくれている。その柿を一つとってみると冷風を浴びた柿の冷たさが伝わってくる。さぞかしおいしい柿だろうと楽しみにしている作者の顔が浮かんでくる。(小口泰與)

35.草むらを小春日和のてんとう虫/多田有花
草むらの中を歩くてんとう虫に小春日和の優しい日差しが差しこむ、穏やかな秋を感じました。 (高橋秀之)

34.凩の中をゆくなり郵便夫/多田有花
四季を通じて、どんな悪天候の中でも、山奥でも辛抱強く一軒一軒貴重な配達をしてくれる郵便夫さん。これからの季節、凩の中をゆく郵便夫への感謝と安全を祈る気持ちに共感を覚えます。(柳原美知子)
 

凩の吹くときも、郵便配達夫は任務とはいいながら、たくましく勤めを果たす。凩の吹く、枯れた景色に赤い郵便バイクは画になり、子どもにも愛される景色。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋正子 
15.水替える黄菊のつんと匂うなり
花瓶の水を代える時、菊に手を伸ばすと、部屋の中に広がっていた匂いではなく、「つん」とした匂いが鼻孔をつつく。菊の花の強い香に、改めて小さく驚いている作者なのだろう。 (吉田晃)

13.初鴨の数をかぞえて座りおり
冬の到来を告げてくれる初鴨。今日は何羽いるのか数えながら、楽し気な泳ぎを眺める小春日和の心安らぐひと時です。(柳原美知子)


14.夕鵙のキチキチキチキチ長鳴けり

■選者詠/髙橋句美子
31.湯豆腐に薬味きりりと夜深し
夜が更けてから湯豆腐を食べた。疲れを取るために、辛いか酸っぱいか濃い味を付ける為に薬味をたっぷり使った様子が良く見える。薬味きりりとが良い。 (廣田洋一)

32.朝が来て富士山頂の初冠雪
今年の秋は残暑の期間が長く、冬は本当にやってくるのだろうか?と思って居た作者です。とある朝になり、漸く富士山の初冠雪を眺めました。例年より」一ヶ月遅れとは言え、少し安堵の作者です。(桑本栄太郎)

33.小春日にパンケーキ焼け夫を呼ぶ
「小春日」「パンケーキ」が暖かい雰囲気で、焼き上がりが満足のいくものであったことがうかがえます。さあいただこう、とご主人を呼ばれた声の弾み具合も伝わってきます。(多田有花)

●互選最高点句(5点)
15.水替える黄菊のつんと匂うなり/髙橋正子
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

11月11日(月)

晴れ
桜冬芽空ゆく雁にふと見ゆる   正子
冬来たり広葉の森の巣箱にも   正子
冬の日の広葉を透けて吾を包む  正子
●11月月例ネット句会入賞発表
みんなの選を見ていると、選は難しいのだと、つくづく思う。昔、先輩諸氏から、「俳句の選はその人のレベルの選しかできない。初心者は初心者の句をとる」と聞かされた。選のレベルが上がらないとよい句は生まれない。よい歳時記を使わないとよい句が生まれない感じもする。

●朝6時ごろ、小鳥を探しに出かけた。夜の雨で鯛ヶ崎公園は湿って、虫が良く鳴いている。小鳥は鵯が鳴いているが、ほかの鳥の声は聞こえない。

昨日繁茂する葛の蔓を足にひっかけて転びそうになった。蔓を手繰り寄せて、歩く人が引っ掛からないように蔓を振り分けて道を作った。今朝みると、一本蔓が道を横切って伸びている。ひっかけそうなので、引っ張るが、どうにもならない。今年の葛はよく茂っている。日本中に葛がはびこっているのだろう。葛粉が無くなるのを心配したが、それより葛の根を掘る人がいないのが心配だ。

●朝、入賞発表の原稿を書くのに寒い。思い切って、この辺で一人用の炬燵を出した。立方体の炬燵は座布団に乗せ、毛布を折りたたんで掛けるとそれで出来上がり。座るのは椅子。椅子に腰かけて炬燵にあたる。お陰で原稿がはかどる。

●図書館へ。『若き詩人への手紙 若き女性への手紙』(リルケ著/高安國世訳・新潮社)を借りる。ほかに雑誌3冊。「若き詩人」は、フランツ・K・カプス宛て。「若き女性」は、『リルケ』の本のどこかに書いてあったと思うが、今思い出せない。

●『リルケ』(星野慎一著)に出て来るピアニスト、ベンベヌータは『神様の話』に感激し、書店気付でリルケに手紙を出している。これを読んだとき、私は『神様の話』を読んでいなかったので、読み飛ばしていたところがあった。『神様の話』を読んだリルケとベンベヌータの関係がよくわかる。そういう話からリルケは青い目をして、真面目で高潔な人の印象がした。

■11月月例ネット句会清記■

■11月月例ネット句会清記■
2024年11月10日
36句(12名)

01.古き山古き河川に秋の月
02.潜る度賢者になりし秋の鴨
03.毬栗の落ちたる先の子犬かな
04.やまざとの夕暮れ早し芋水車
05.柿すだれ峡の村なる母のさと
06.せせらぎの早瀬に沿いぬ石蕗の花
07.背に肩に紅葉散りたる古き寺
08.道沿いに光撒きつつ紅葉散る
09.冬初め飾り電灯伸ばしけり
10.秋灯シャトルランする影二つ

11.南天の影の揺らめき長談義
12.小春日や新チーム白きユニホーム
13.初鴨の数をかぞえて座りおり
14.夕鵙のキチキチキチキチ長鳴けり
15.水替える黄菊のつんと匂うなり
16.水脈競い秋青海へ漁の船
17.玄関を出る靴音の軽い秋
18.薄青の空暖かな窓の冬
19.谷水の音に紛れずちちろ鳴く
20.三日月と金星光り合う残照

21.山気浴び手綱をつける秋の馬
22.風に舞う落ち葉の先に青き空
23.栗菓子や特急列車の並び席
24.金曜日月を眺めて酔い覚まし
25.薄紅葉に包まれ走る通院路
26.リツトウの響きの通り冬来る
27.濠に三つ小さき輪を生む小さき鴨
28.皮むけば房がふっくら紅みかん
29.露寒く朝の洗顔水痛し
30.取れたての柿の冷たさ朝の風

31.湯豆腐に薬味きりりと夜深し
32.朝が来て富士山頂の初冠雪
33.小春日にパンケーキ焼け夫を呼ぶ
34.凩の中をゆくなり郵便夫
35.草むらを小春日和のてんとう虫
36.あの黄色石蕗の花に違いなく


※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

11月10日(日)

曇り、夜雨

●11月月例ネット句会
投句
13.初鴨の数をかぞえて座りおり
14.夕鵙のキチキチキチキチ長鳴けり
15.水替える黄菊のつんと匂うなり

●句会の前に5丁目の丘へ行った。住宅地の中の公園にインコが数羽。日本の景色の中でインコの羽は目立つ。そのうち日本に適応して、羽が少しずつ地味な色に変わるのかもしれないと、思ったり。銀杏はまだうすき緑。桜はほどんど散っている。

●夕方、句美子の家へ。電車の若い人たちの服装を見ると、オーバーサイズ、つまり、だぶだぶの服を着た人が多い。ゆったりしたい気分が世の中にあるのかと思ったりした。それに太った人が普通になっている。昔アメリカ人をみるときに思ったことと似ている。

11月9日(土)

晴れ
墓原歩くとつぐみ不意に発つ     正子
背を伸ばし鶫はひろき地を眺む    正子
冬竹林散歩の犬が中を行き      正子

●部屋にいると小寒い。やはり冬なのだと思うが、来週からは暖かい予報。朝鯛ヶ崎に散歩に行った。鶫を見に行ったが、気配はなく、公園の低木の茂みにアオジがいた。チリチリ鳴いている。目白もチリチリ鳴くので、確かめようと思うと、茂みに潜って二度とでてこなかった。アオジに間違いないと思う。そして、竹林を散歩している赤いチェックの服を着た犬を見た。飼い主はうす暗い竹林にまぎれて、いないように見えたが、リードが光って、その先にいた。竹林を散歩する犬もなかなか風流なと思いつつ見ていた。

●窓拭きを少し。きのうは電気毛布を敷いて寝た。寒さや暑さにやせ我慢しないことにした。いままで、この程度の寒さなら、信之先生はともかく、自分は暖房器具を使うことはなかった。この冬からは、自分に甘く、ときどき、褒美もあげて生活するのがいいと思い出した。

11月8日(金)

晴れたり、曇ったり
夕鵙は出でしばかりの月へ鳴く   正子
夕鵙は月へ帰るか鳴き止みぬ    正子
竹林の端の空暮れ鵙鳴けり     正子

●昨日、神宮館の暦を買ってきたので、今日は、テンプレートを使って来年のカレンダーを作った。二十四節季や俳句の行事、家の予定を前もって書き込めるなど、便利がよい。これに味をしめている。A4の大きさも大きすぎずよい。ひとり暮らしにはこれで足りる。

●墓地の管理事務所に来年の法事の予約を入れた。油断して忘れるところであった。お花は今年は洋花だったので、来年は和花にしてもらった。干菓子と果物も頼んだ。

●昨日が立冬だったので、朝冷える感じがする。昨日は丘を越え緑道を通り、日吉まで行ったので、一万歩を越えていた。

今朝は、小鳥のいるところを探して歩いたが、ひよどりぐらいしかいない。ところが、まさかのことに墓地の囲いになかに鶫がいた。鶫がいるとは思わないから、ただ歩いていたら、急に鶫が飛び立った。白と茶色のまだらが目に残る。ようやく渡ってきたところだろう。 

鯛ヶ崎公園の竹林の裾に、公園で見られる小鳥の看板がある。鶫とほおじろをまだ見ていなかった。見たいとは思っていたが、なかなか会えなかった。今日は偶然といえる。公園の上手の樹に巣箱がかかっている。多分、四十雀が入るのだろうとしばらく眺めていた。待っている間もなく、四十雀が飛んで来て巣箱の上に止った。中に入りかけて、入らない。この巣箱は、竹林の近くの樹に掛けていたのを、移動したのではないかと思えた。この森に巣箱がひとつだけ、とういのも面白い。小鳥を見るには、森に入って小鳥が来るのを待っていなければいけない。自分が森に溶け込んで、人の気配を失くしたときに小鳥がやってくることに気づいた。