◆入賞発表/8月月例ネット句会◆


■2016年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2016年8月22日

【金賞】
★一筆を画布に添えけり秋気澄む/小口泰與
秋になると絵心が動く。画布に一筆添えると、秋らしく、色だけでなく、空気も澄んでいる。すっかり秋の景色になった。こちらまで心が澄み、絵を描きたくなる。(高橋正子)

【銀賞2句】
★籾殻に隠れし林檎香り立つ/廣田洋一
木箱に籾殻と一緒に詰められた林檎。箱の蓋を開ければ、すぐさま林檎の香りがしてくる。籾殻に隠れた林檎は、私には昭和の思い出とともに記憶に残っている。(高橋正子)

★啼き合いて秋燕万羽葦の原/ 佃 康水
燕が南の国へ帰るときがきた。それぞれの場所で過ごしていた燕たちは、千羽も万羽もというほど集まって、旅立つ前を過ごす。葦原に集まって啼きあっている。旅立つ前の忙しさと一抹のさびしさを思う。(高橋正子)、

【銅賞3句】
★鰯雲白きを見れば旅心/河野啓一
鰯雲が白く空高くに広がるのをみれば、誰の心にも遠くへ、旅へ、出たい気持ちが湧くのだろうと思う。(高橋正子)

★カマキリの怒りは吾へ指差せば/祝恵子
カマキリは攻撃されると大きな鎌を振り上げる。カマキリを指差しただけで、怒りが自分に向かうとは。いよいよ命短くなったカマキリの抵抗か。(高橋正子)

★子らの乗る飛機遠ざかる鰯雲/ 佃 康水
帰省した子供たちが、空港から帰路に就く。子らの乗った飛行機はぐんぐん小さくなって、鰯雲の広がりのなかに消えた。一抹のさびしさをまた会える楽しみに。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★一筆を画布に添えけり秋気澄む/小口泰與
俳句を嗜む人が秋の到来を待ちわびるように、絵を描く事に嗜みのある方も秋の景色の到来を待っているものです。日中はまだ残暑が厳しいながらも、そこはかとなき秋の気配に絵筆を執った作者である。一筆を画布に添えるとの措辞に、その心情がよく表された。 (桑本栄太郎)

★籾殻に隠れし林檎香り立つ/廣田洋一
林檎箱を開けると一杯に詰まった籾殻の中に林檎が整然と並んでいる。その林檎箱を開けると林檎の素晴らしい香りが漂って食欲をさそう。秋の素敵な景ですね。 (小口泰與)

★鯔飛ぶや鷺の佇む被爆川/満天星
★啼き合いて秋燕万羽葦の原/ 佃 康水
★子らの乗る飛機遠ざかる鰯雲/ 佃 康水
★カマキリの怒りは吾へ指差せば/祝恵子
★一本の鉢植え甘藷の葉は繁り/祝恵子
★切り分けて冷えたる西瓜の赤尖る/ 髙橋正子

【高橋正子特選/8句】
★籾殻に隠れし林檎香り立つ/廣田洋一
木箱に入った林檎、籾殻に手を入れ探したものです。懐かしい思い出です。(祝恵子)

★街路樹に秋蝉小さく鳴いている/髙橋句美子
先日、公園の木々で啼いている秋の蝉に初めて遭遇し、とても嬉しく思いましたが、御句の「秋蝉小さく鳴いている」の措辞に小さな秋を見つけた!の思いと、夏蝉から秋蝉に変わったばかりのまだ弱々しい蝉のすがたを見せて頂きました。(佃 康水)

★鰯雲白きを見れば旅心/河野啓一
先日、飛行場で小さな鰯雲をみました。澄んだ青空へ白い鱗が美しく並んでいました。あの一つ一つの白い鱗を見ると秋への移ろいが感じられ、何となく侘しさも有り、何処かへ旅をしたい気持ちも湧いて来ますね。(佃 康水)

★一筆を画布に添えけり秋気澄む/小口泰與
★次次にかなかならしく鳴きにけり/小口泰與
★啼き合いて秋燕万羽葦の原/ 佃 康水
★子らの乗る飛機遠ざかる鰯雲/ 佃 康水
★回覧板持ちゆけば知る地蔵盆/祝恵子

【入選/4句】
★名乗り出で寸暇惜しむや法師蝉/桑本栄太郎
蝉の最後に出て来る法師蝉の鳴き声を上手く表現している。 (廣田洋一)

★木槿咲き客の送迎定食屋/廣田洋一
お好み屋の玄関に木槿が咲いているのを見たことがありますが、同じ情景をうまく詠われていると思いました。(満天星)

★雨上がり晴れたる空に秋の雲/廣田洋一
この時期の雨はわずかの時間にまとまって降るので、雨が上がるときも気持ちいいぐらいすっきりと上がります。その雨上がりの空に広がる秋の雲に、夏から秋へ移る季節が感じられます。 (高橋秀之)

★初鳴きの鈴虫音色がぎこちなく/高橋秀之
草むらではもう鈴虫が啼き始めたのですね。鈴を鳴らすような澄んだリーン、リーンと言う声が聞こえますが、如何にも涼しそうです。まだまだぎこちなく練習中なのでしょうか。本格的な秋ももうすぐですね。
(佃 康水)

■選者詠/高橋信之
★じゃがいもときゅうりのサラダ卓に盛らる
散文的で平易なな記述ながら、山盛りで豊かな秋の食卓を感じさせます。ユニークで面白いと思いました。(河野啓一)

★卓上の西瓜が切られ内部の赤
★団らんの卓に西瓜の赤楽し

■選者詠/高橋正子
★切り分けて冷えたる西瓜の赤尖る
真っ赤に熟れた新鮮な西瓜を良く冷やし、雫を滴らせながら頂く味は何とも言えません。切り分けた時のあの尖った部分が一段と美味で、いち早くかぶり付きたくなります。如何にも美味しそうな西瓜が目に浮かびます。(佃 康水)

★クーラーに吾亦紅活け秋呼べり
★薄まりし藍の色なる牽牛花

■互選高点句
■互選高点句
●最高点(5点)
★子らの乗る飛機遠ざかる鰯雲/ 佃 康水

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

8月21日(日)


●8月月例ネット句会開催。
オリンピックも終盤となり、高校野球も決勝戦を待つばかりとなり、テレビ、ラジオもそろそろ落ち着いてきた。落ち着いて投句いただけるだろう。

●「俳句添削教室」の掲示板は有料なので、今日利用料を払って更新した。「俳句添削教室」から花冠に入会された方がほとんど。ネットだけの俳句指導は、歯がゆいところがある。それをネットで俳句を勉強されるかたにわかってもらうのは至難のわざ。

●8月月例ネット句会のご案内●


●8月月例ネット句会のご案内●

①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(秋の句)計3句をブログ<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2016年8月18日(木)午前0時~8月21日(日)午後6時
④選句期間:8月21日(日)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:8月22日(月)午前10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、8月22日(月)午前10時~8月23日(火)午前10時

◆8月月例ネット句会清記◆


2016年8月21日

■8月月例ネット句会清記
11名33句

01.夕日映え東の空に入道雲
02.鯔飛ぶや鷺の佇む被爆川
03.書斎より「サノヨイヨイ」の盆踊
04.次次にかなかならしく鳴きにけり
05.秋の水山間の里走りけり
06.一筆を画布に添えけり秋気澄む
07.名乗り出で寸暇惜しむや法師蝉
08.喫水線の水脈深々と秋の潮
09.秋潮の運河きらめく入日かな
10.籾殻に隠れし林檎香り立つ

11.雨上がり晴れたる空に秋の雲
12.木槿咲き客の送迎定食屋
13.木漏れ日の明るさに見る秋気
14.鰯雲白きを見れば旅心
15.水澄める箕面の谷の楓かな
16.啼き合いて秋燕万羽葦の原
17.リオ五輪見つつ窓辺の遠花火  
18.子らの乗る飛機遠ざかる鰯雲
19.初鳴きの鈴虫音色がぎこちなく
20.仕事終え歩く夜道に虫の声

21.夕暮れの空に茜の鰯雲
22.回覧板持ちゆけば知る地蔵盆
23.カマキリの怒りは吾へ指差せば
24.一本の鉢植え甘藷の葉は繁り
25.切り分けて冷えたる西瓜の赤尖る
26.クーラーに吾亦紅活け秋呼べり
27.薄まりし藍の色なる牽牛花
28.卓上の西瓜が切られ内部の赤
29.団らんの卓に西瓜の赤楽し
30.じゃがいもときゅうりのサラダ卓に盛らる

31.花火の光り河川敷へと落ちてゆく
32.灰色に分厚く満ちる夕立雲
33.街路樹に秋蝉小さく鳴いている
 
※互選を開始してください。

8月20日(土)


●角川俳句年鑑2017年版の住所録掲載のはがきを返信。
信之先生、句美子さん、正子分。

●年鑑掲載の信之先生の諸家自選5句は9月7日締め切り。
●年鑑の「花冠」についての原稿締め切りは9月5日。今日になってもこの原稿依頼がないので、角川に連絡するつもりでいたら、ちょうど郵便受けに原稿依頼の封書が入っていた。うっかりしていると、いつの間にか削除ということになるケースもあるようだし。締め切りまであと2週間。小結社ながら、会員9名の俳句を掲載してもらえるのはありがたい。

8月19日(金)

★白桃の無疵を少女に剥き与う  正子
お子さんへ選ばれた無疵の白桃、向きあい、お話をしながら剥いてわたす、幸せな一時です。(祝恵子)

○今日の俳句
足場組む上へと徐々に秋空へ/祝恵子
足場が徐々に組まれ行く様子を見上げて、秋空をよく感じている。丁寧な写生がよい。(高橋正子)

○カンナ

[カンナ/横浜市港北区日吉本町]      [カンナ/横浜市港北区箕輪町]

★老いしとおもふ老いじと思ふ陽のカンナ/三橋鷹女
★鶏たちにカンナは見えぬかも知れぬ/渡辺白泉
★王様はこのごろ不安花カンナ/丸山海道
★押してゆく自転車カンナの海へ出る/西川碧桃
★カンナ咲く遥かな海を照らしつつ/鈴木夏子
★ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナ/丹沢亜郎

カンナ科はカンナ属のみで構成されます。熱帯アメリカを中心に約50種が分布する毎年花をさかせる多年草で、地下に根茎(球根)をつくります。日本には江戸時代前期にカンナ・インディカ(和名:ダンドク)が渡来し、現在では河原などで半野生化しているものが見られます。カンナはギリシア語で「アシ(葦)」を意味し、その草姿がアシに似ているところに由来します。
草丈が1m-2mになる大型種と40cm-50cm程度におさまる矮性種(わいせいしゅ)に大きく分けられます。冬は地中の根茎の状態で越し、春に芽を出して葉を広げます。葉は長だ円形や先のとがったやや細長いかたちで、色は緑や赤銅色、葉脈に沿って美しい斑の入るものもあり花のない時期も充分楽しめます。
花どきは主に夏-秋、花の形態はやや特異で6本ある雄しべが1本を残してすべて花びらになり※1、雌しべはへら状になります。花色は緋色、ピンク、オレンジ、黄色、白などがあり、葉に斑点や模様のはいるものも多く非常にカラフルです。

生活する花たち「白むくげ・萩・藤袴」(東京・向島百花園)

8月18日(木)

★いつよりか燕無き空青澄める  正子
ツバメは群れを成したり隊形を整えたりして渡ることをしないようですから、春が来て何羽もが街を飛び交っているのを見つけたり、また秋には、いつの間にか一羽もいなくなってしまっていることにふと気が付くというようなことがよくあります。
「燕無き空青澄める」という表現には、しみじみと秋到来を思う深い詩情が込められており、「いつよりか」にはまた、小さな喪失への感慨が届けられて来ます。(小西 宏)

○今日の俳句
露ころぶキャベツ外葉の濃き緑/小西 宏
キャベツの濃い緑の外葉にころがる露に、力がある。丸く、収れんした露の力と輝きは秋の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

●長男家族が11時ごろ揃って来た。
昼食は、孫の元希が蕎麦がいいいうので、蕎麦と天ぷらにした。3歳なのに、蕎麦の食べっぷりは、なかなか通っぽい。海老の天ぷらを手でつかんで、チョンチョンとそばつゆをつけて食べる。
玄関に朝顔の写真を何枚も飾っていたら、それがほしいと言うので、全部持たせた。いいものに思えたのか。絵葉書がはいっていたケースに入れてあげると、ちょうど額縁に入ったようになったので、にっことする。何がわかったのかと思うが。
元が使った木の貨物列車を可愛いので飾ったおいているのに興味を示す。正月に来たときは全然興味を示さなかったのにまるで、違う反応だ。

○木槿(むくげ)

[木槿/横浜日吉本町]            [木槿/東京・新宿御苑]

★花むくげはだか童のかざし哉 芭蕉
★道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉
★修理寮の雨にくれゆく木槿哉 蕪村
★花木槿里留主がちに見ゆる哉 一茶
★馬ひとり木槿にそふて曲りけり 子規
★縄簾裏をのぞけば木槿かな 漱石
★墓多き小寺の垣や花木槿 碧梧桐
★いつまでも吠えゐる犬や木槿垣 虚子
★お遍路木槿の花をほめる杖つく 放哉
★みちのくの木槿の花の白かりし 青邨
★路草にむかひて萎む木槿かな 耕衣
★日の出待つや木槿いつせいに吹かる中 林火
★避暑町の少しさびれぬ花木槿 たかし
★道すがらうかぶ木槿や徒労ばかり 波郷
★白木槿ごみを出すにも蝶むすび/片山由美子
★ふっくらと巻きて落花の木槿かな/野村洋子

 木槿は、朝咲いて夕方にはしぼむ。お茶席の花としてよく活けられもする。先日千駄木の骨董屋の女主人が亜浪先生の句について信之先生に聞いて来られた折に、骨董の竹籠に槿と縞萱を活けた写真を送ってこられ、だれかをお茶にお招きしたい気分だと書き添えてあった。お茶の花ともなるが、どこにでも咲いている。
 
★白槿十年たちまち過ぎていし/高橋正子
 
 この句は、砥部の田舎で学生が来たり、ドイツ語の先生が来たり、子どもの友達がわっさわっさと来たり、句会の人たちが出入りしたり、掃除、洗濯、庭の手入れなどなど、雑多なことに明け暮れて、ある朝、白い槿を見て、十年なんてすぐ終わってしまうと思ったとき出来た句だ。
 今朝、自分の以前作ったこの白槿の句を読んで、今はもうこういう句を作る気持ちではないと知った。あれから十年が何回過ぎたことか。
 
★底紅の紅が澄みたる白槿/高橋正子

 ムクゲ(木槿、別名:ハチス、Hibiscus syriacus; 英語: rose of Sharon)はアオイ科の落葉低木。 庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花としても欠かせない花である。インドや中国が原産で、中近東にも自生している。日本へは奈良時代に中国から渡来し、和歌山県や山口県に野生のムクゲがあったとされる。 夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい花をつける。薬用のほか、鑑賞用に多くの品種がある。俳句では秋の季語である。根が横に広がらないため、比較的狭い場所に植えることができる。 刈り込みにもよく耐え、新しい枝が次々と分岐する。そのため、庭の垣根に利用されることもある。 自然樹形は箒を逆さにしたようになる(下記の樹形の例参照)。 栽培されているものはよく剪定されてしまうため、高さは3-4mくらいのものが多く、灌木であると誤解されるが、放置すると10m以上の樹高になり、桜の木よりすこし小さいくらいの大きさになる。花期は7-10月。花の大きさは10-18cmほど。花芽はその年の春から秋にかけて伸長した枝に次々と形成される。 白居易(白楽天)の詩の誤訳から一日花との誤解があるが、朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開き、一重のもので2-3日。八重の長く咲くもので2週間くらい、一輪の花を楽しめる。中国名の木槿(もくきん)を音読みし、木槿(むくげ)、木槿花(もくきんか)と呼ばれるようになった。また、「類聚名義抄」には「木波知須(キハチス)」と記載されており、木波知須(キハチス)や、単に波知須(ハチス)とも呼ばれる。白の一重花に中心が赤い底紅種は、千利休の孫である千宗旦(せんそうたん)が好んだことから、「宗丹木槿(ソウタンムクゲ)」とも呼ばれる。中国語では木槿/木槿(ムーチン)、朝鮮語では???(無窮花; ムグンファ)という。英語の慣用名称のrose of Sharonはヘブライ語で書かれた旧約聖書の雅歌にある「シャロンのばら」に相当する英語から取られている。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月17日(水)

★葛の花匂わすほどの風が起き  正子
秋の七草の一つの葛の花。その旺盛に伸び広がる蔓性の葉が、吹き起こる風に、いっせいに煽られる清々しい光景が浮かびます。風に裏返る白い葉裏も、辺りに漂う紅紫色の花の甘い香りも、嬉しい秋の訪れを感じさせてくれます。(藤田洋子)

○今日の俳句
真珠筏浸し秋の海澄めり/藤田洋子
浸し」が秋海の澄んだ水をよく感じさせてくれる。秋海の澄んだ水に浸され殻を育てている真珠は、美しく輝く珠となることであろう。(高橋正子)

○青柿

[青柿/横浜日吉本町]

8月16日(火)

★いつよりか燕無き空青澄める  正子
ツバメは群れを成したり隊形を整えたりして渡ることをしないようですから、春が来て何羽もが街を飛び交っているのを見つけたり、また秋には、いつの間にか一羽もいなくなってしまっていることにふと気が付くというようなことがよくあります。
「燕無き空青澄める」という表現には、しみじみと秋到来を思う深い詩情が込められており、「いつよりか」にはまた、小さな喪失への感慨が届けられて来ます。(小西 宏)

○今日の俳句
露ころぶキャベツ外葉の濃き緑/小西 宏
キャベツの濃い緑の外葉にころがる露に、力がある。丸く、収れんした露の力と輝きは秋の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

●長男家族が11時ごろ揃って来た。
昼食は、孫の元希が蕎麦がいいいうので、蕎麦と天ぷらにした。3歳なのに、蕎麦の食べっぷりは、なかなか通っぽい。海老の天ぷらを手でつかんで、チョンチョンとそばつゆをつけて食べる。
玄関に朝顔の写真を何枚も飾っていたら、それがほしいと言うので、全部持たせた。いいものに思えたのか。絵葉書がはいっていたケースに入れてあげると、ちょうど額縁に入ったようになったので、にっことする。何がわかったのかと思うが。
元が使った木の貨物列車を可愛いので飾ったおいているのに興味を示す。正月に来たときは全然興味を示さなかったのにまるで、違う反応だ。

○木槿(むくげ)

[木槿/横浜日吉本町]            [木槿/東京・新宿御苑]

★花むくげはだか童のかざし哉 芭蕉
★道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉
★修理寮の雨にくれゆく木槿哉 蕪村
★花木槿里留主がちに見ゆる哉 一茶
★馬ひとり木槿にそふて曲りけり 子規
★縄簾裏をのぞけば木槿かな 漱石
★墓多き小寺の垣や花木槿 碧梧桐
★いつまでも吠えゐる犬や木槿垣 虚子
★お遍路木槿の花をほめる杖つく 放哉
★みちのくの木槿の花の白かりし 青邨
★路草にむかひて萎む木槿かな 耕衣
★日の出待つや木槿いつせいに吹かる中 林火
★避暑町の少しさびれぬ花木槿 たかし
★道すがらうかぶ木槿や徒労ばかり 波郷
★白木槿ごみを出すにも蝶むすび/片山由美子
★ふっくらと巻きて落花の木槿かな/野村洋子

 木槿は、朝咲いて夕方にはしぼむ。お茶席の花としてよく活けられもする。先日千駄木の骨董屋の女主人が亜浪先生の句について信之先生に聞いて来られた折に、骨董の竹籠に槿と縞萱を活けた写真を送ってこられ、だれかをお茶にお招きしたい気分だと書き添えてあった。お茶の花ともなるが、どこにでも咲いている。
 
★白槿十年たちまち過ぎていし/高橋正子
 
 この句は、砥部の田舎で学生が来たり、ドイツ語の先生が来たり、子どもの友達がわっさわっさと来たり、句会の人たちが出入りしたり、掃除、洗濯、庭の手入れなどなど、雑多なことに明け暮れて、ある朝、白い槿を見て、十年なんてすぐ終わってしまうと思ったとき出来た句だ。
 今朝、自分の以前作ったこの白槿の句を読んで、今はもうこういう句を作る気持ちではないと知った。あれから十年が何回過ぎたことか。
 
★底紅の紅が澄みたる白槿/高橋正子

 ムクゲ(木槿、別名:ハチス、Hibiscus syriacus; 英語: rose of Sharon)はアオイ科の落葉低木。 庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花としても欠かせない花である。インドや中国が原産で、中近東にも自生している。日本へは奈良時代に中国から渡来し、和歌山県や山口県に野生のムクゲがあったとされる。 夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい花をつける。薬用のほか、鑑賞用に多くの品種がある。俳句では秋の季語である。根が横に広がらないため、比較的狭い場所に植えることができる。 刈り込みにもよく耐え、新しい枝が次々と分岐する。そのため、庭の垣根に利用されることもある。 自然樹形は箒を逆さにしたようになる(下記の樹形の例参照)。 栽培されているものはよく剪定されてしまうため、高さは3-4mくらいのものが多く、灌木であると誤解されるが、放置すると10m以上の樹高になり、桜の木よりすこし小さいくらいの大きさになる。花期は7-10月。花の大きさは10-18cmほど。花芽はその年の春から秋にかけて伸長した枝に次々と形成される。 白居易(白楽天)の詩の誤訳から一日花との誤解があるが、朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開き、一重のもので2-3日。八重の長く咲くもので2週間くらい、一輪の花を楽しめる。中国名の木槿(もくきん)を音読みし、木槿(むくげ)、木槿花(もくきんか)と呼ばれるようになった。また、「類聚名義抄」には「木波知須(キハチス)」と記載されており、木波知須(キハチス)や、単に波知須(ハチス)とも呼ばれる。白の一重花に中心が赤い底紅種は、千利休の孫である千宗旦(せんそうたん)が好んだことから、「宗丹木槿(ソウタンムクゲ)」とも呼ばれる。中国語では木槿/木槿(ムーチン)、朝鮮語では???(無窮花; ムグンファ)という。英語の慣用名称のrose of Sharonはヘブライ語で書かれた旧約聖書の雅歌にある「シャロンのばら」に相当する英語から取られている。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月15日(月)


今日は月遅れのお盆。明日は、長男家族が訪ねてくるので、その準備などもあるが、土、日でほぼすませたので、今日は時間がある。前から気にかかったいた町田市鶴川にある「認定NPO法人エンディングセンター(尊厳ある死と葬送を実現するために活動している市民団体)」にある樹木葬の墓地を見に行くことにした。

今日行かなければ、またずるずると先に延びそうな気がして、何がなんでもという勢いで信之先生と出かけた。鶴川には、白洲次郎、正子夫妻が住んだ武相荘がある。小田急線の鶴川で下車。そこからバスで15分ほどの丘陵に樹木葬の墓地がある。檀家の昔ながらの墓地もある。南向きの日当たりのより晴れやかなところで、横浜市内が見える。噴水があり、お花も供花だけでなく、ところどろこに、まとめて活けられていた。供花を挿すところは、湧き水をひいて、いつも水が流れているそうだ。墓所は、芝生に覆われて、シンボルツリーの桜が植えられている。川津桜やエドヒガン、秋に咲く十月桜もある。いろんな種類の桜が集められている。それぞれの墓所へは遊歩道のような道があるが、「参道」とよばれている。芝生を手て撫でている家族もいた。正式契約は二週間後にして、墓地を予約して帰った。帰ったあとは、ずいぶんと疲れて、夕飯はスーパーでお寿司を買って済ませた。

TEL:042-850-1212/FAX:042-850-1211
http://www.endingcenter.com/tokyosakura/shiori/