3月5日(日)

★花菜の束一つが開き売られたり   正子
花菜が束にして売られていて,かわいい花先が見えている。待ちに待った春のお店での出会いです。(祝恵子)

○今日の俳句
春の日をせりだす床に坐して受け/祝 恵子  
「春の日をせり出す」は、ようやく暖かくなった春の日差しをうまく表現している。「せり出す」は、言えそうでなかなか言えない。(高橋正子)

○ノースポール

[ノースポール/横浜日吉本町]

★ノースポールの真白き花に四月来ぬ/高橋正子

 ノースポール(North Pole、学名:Leucsnthrmum paludosum Syn. Chrysanthemum paludosum)は、キク科 フランスギク属の半耐寒性多年草である。しかし、高温多湿に極端に弱いため、国内では一年草として扱われている。「ノースポール」はサカタのタネの商品名であるが、種苗登録などはされていないため、一般名として定着している。旧学名またはシノニムの「クリサンセマム・パルドーサム」と表記されることもある。12月から翌6月にかけ、白い花を咲かせる。名の由来は、花付がよく株全体を真っ白に覆うように見えるところが北極を連想させることによる。
 原産地はアフリカのアルジェリア周辺ないしはヨーロッパ。地中海沿岸に広く分布している。日本へは1960年代に入って輸入された。 草丈は15cm-25cmほど。まだ寒い12月ごろから初夏までの長期間、マーガレットによく似た白い花を付け、矮性でよく分枝し、芯の管状花は黄色。今日では冬のガーデニングにはなくてはならない存在にまでなった。
比較的強健で、こぼれ種でもよく増え、雑草混じりの場所などでもよく育つ。しかし、市販品のタネから育てるときは、タネの数が少ないので、浅鉢にまき、覆土しないか、タネが隠れる程度に覆土して、鉢底から吸水させる方がよい。蒔き時は東京付近で9月中旬から10月上旬、日のよく当たる場所を好み、乾き気味に管理する。過湿は根腐れの原因となる。日本では6月頃までよく咲くが、暑くなると急速に枯れてしまう。
 パンジーやヴィオラなどとともに、春先から初夏までの庭を彩る主役をつとめる。とくに、性質のよく似た植物で黄花のクリサンセマム・ムルチコーレと一緒に植えると、コントラストが美しい。(Wikipedia より)

◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・猫柳」(東大・小石川植物園)

3月4日(土)

★花菜の束一つが開き売られたり   正子
花菜が束にして売られていて,かわいい花先が見えている。待ちに待った春のお店での出会いです。(祝恵子)

○今日の俳句
春の日をせりだす床に坐して受け/祝 恵子  
「春の日をせり出す」は、ようやく暖かくなった春の日差しをうまく表現している。「せり出す」は、言えそうでなかなか言えない。(高橋正子)

○木瓜の花

[木瓜の花蕾/横浜日吉本町(2013年2月13日)]_[木瓜の花/横浜日吉本町(2011年3月27日)]

★初旅や木瓜もうれしき物の数 子規
★黄いろなる真赤なるこの木瓜の雨 虚子
★岨道を牛の高荷や木瓜の花 鬼城
★一と叢の木瓜さきいでし葎かな 蛇笏
★花ふゝむ木瓜にひかりて雨ほそし 悌二郎
★日のぬくみ吸うて真つ赤に木瓜の花 淡路女
★木瓜の朱いづこにかあり書を読む 青邨
★浮雲の影あまた過ぎ木瓜ひらく 秋櫻子
★つれづれに夕餉待たるる木瓜の花 草城
★木瓜紅く田舎の午後のつづくなる 多佳子
★木瓜咲くや漱石拙を守るべく/夏目漱石
★草木瓜に日はあたたかし道の縁/高橋正子

 中国原産の落葉低木。日本には江戸中期に渡来したといわれる。平安時代の説も。四月ごろ葉に先だって花を開く。深紅色のものを緋木瓜、白色のものを白木瓜、紅白雑色のものを更紗木瓜という。実は薬用。実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したも言われる。
 木瓜は、棘がある。四国砥部の我が家の門扉近くには緋木瓜が植わっていた。その隣に蝋梅、その隣に白山吹、白椿と並んでアプローチを飾っていた。日当たりがよかったので、正月ころからぼつぼつ咲き始めた。子供のころは、紅白がまだらになった更紗木瓜と緋色より薄い紅色の木瓜をよく見た。更紗木瓜については、なんでこのような色具合にといつも思っていたが、そういう咲き方するもののようだ。今はどうか知らないが、春先の花展で、さんしゅゆ、万作の花と並んでよく使われた。秋にひょっこり花梨を少し小さくした、枝に似あわず大きな実がついていることがあった。花梨もバラ科なので樹高は違うが木瓜と似たところがある。

○2013年3月4日:
きのうは雛祭だが、わが家は四国から引っ越して来てからもずっと月遅れで雛を飾っている。本当に桃の花が咲くときに雛を飾る予定。でも、夕餉はちらしずしと菜の花のお吸い物。夕飯を済ませてから、日吉の東急や商店街に買い物に。花冠発送用の封筒、ロルバーンの手帖を文具店で、東急の中の美容室で髪を切る。美容室の待ち時間に「入門 近代日本の思想史」(田恂子著)を立ち読み。解りやすくて面白いので、買うことにした。文庫本ながら1400円。高いがしかたあるまい。このごろは、この手の本は女性の書いたものが、丁寧でわかりやすい。髪を刈った後、林フルーツで雛祭のフルーツケーキを買う。8時近いので割引となって4個で1145円。

◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)

3月3日(金)

★手渡されながら花桃散りいたり   正子

○今日の俳句
一枝の桃を活けたりひな祭り/河野啓一
一枝の桃の花で、ひな祭りがずいぶん円かになる。あかるく、あたたかく、かわいらしい桃の花は、やはり、雛の節句に相応しい。(高橋正子)

○桃の花

[桃の花/横浜日吉本町]< ★故郷に桃咲く家や知らぬ人/正岡子規
★百姓の娘うつくし桃の花/正岡子規
★桃咲くや古き都の子守唄/正岡子規
★雛の影桃の影壁に重なりぬ/正岡子規

★両の手に桃とさくらや草の餅/松尾芭蕉
★葛飾や桃の籬も水田べり/水原秋桜子
★風吹かず桃と蒸されて桃は八重/細見綾子
★桃咲いて五右衛門風呂の湯気濛々/川崎展宏
★金貸してすこし日の経つ桃の花/長谷川双魚

 モモ(桃、学名は Amygdalus persica L.で[1][2]、Prunus persica (L.) Batsch はシノニムとなっている[3]。)はバラ科モモ属の落葉小高木。また、その果実のこと。春には五弁または多重弁の花を咲かせ、夏には水分が多く甘い球形の果実を実らせる。中国原産。食用・観賞用として世界各地で栽培されている。
 3月下旬から4月上旬頃に薄桃色の花をつける。「桃の花」は春の季語。桃が咲き始める時期は七十二候において、中国では桃始華、日本は桃始笑と呼ばれ、それぞれ啓蟄(驚蟄)の初候、次候にあたる。淡い紅色であるものが多いが、白色から濃紅色まで様々な色のものがある。五弁または多重弁で、多くの雄しべを持つ。花柄は非常に短く、枝に直接着生しているように見える。観賞用の品種(花桃)は源平桃(げんぺいもも)・枝垂れ桃(しだれもも)など。庭木として、あるいは華道で切り花として用いられる。
 葉は花よりやや遅れて茂る。幅5cm、長さ15cm程度の細長い形で互生し、縁は粗い鋸歯状。湯に入れた桃葉湯は、あせもなど皮膚の炎症に効くとされる。ただし、乾燥していない葉は青酸化合物を含むので換気に十分注意しなければならない。
 7月 – 8月に実る。「桃の実」は秋の季語。球形で縦に割れているのが特徴的。果実は赤みがかった白色の薄い皮に包まれている。果肉は水分を多く含んで柔らかい。水分や糖分、カリウムなどを多く含んでいる。栽培中、病害虫に侵されやすい果物であるため、袋をかけて保護しなければならない手間の掛かる作物である。また、痛みやすく収穫後すぐに軟らかくなるため、賞味期間も短い。生食する他、ジュース(ネクター)や、シロップ漬けにした缶詰も良く見られる。

◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

3月2日(木)

★芽柳のるると色燃ゆ向こう岸   正子
柔らかい風にさ緑の芽を付けた柳の枝が川の畔などで靡くさまに瑞々しい春の趣を感じます。「るると色燃ゆ」の措辞に向こう岸の若緑の芽柳は日毎に濃い緑へと成長し、しなやかにそして爽やかに揺れる光景が目に浮かびます。傍で見るよりも向こう岸に揺れている芽柳の方が朧に見えて余計風情を感じられる様に思います。(佃 康水) 

○今日の俳句
海の味口に溢るる牡蠣祭り/佃 康水
牡蠣をはじめ貝類は、とくに潮の香りがする。牡蠣祭りでたくさん牡蠣を召し上がったことだろうから、口中には海の味があふれるほどに。(高橋正子)

○ヒアシンス(風信子)

[ヒアシンスの花/横浜日吉本町]

★一筋の縄ひきてありヒヤシンス/高浜虚子
★敷く雪の中に春置くヒヤシンス/水原秋桜子
★銀河系のとある酒場のヒヤシンス/橋石
★誰もゐなくて満開の風信子/如月美樹

★ヒアシンス白水仙とあわせ活け/高橋正子
★ヒアシンスの香り水より立つごとし/高橋正子

ヒアシンスともいう。小アジア原産。草丈20センチほど。色は白・黄・桃色・紫紺・赤など。香りが高い。ヒヤシンスの名は、ギリシャ神話の美青年ヒュアキントスに由来する。彼は愛する医学の神アポロンと一緒に円盤投げに興じていた。その楽しそうな様子を見ていた西風の神ゼピュロスは、やきもちを焼いて、意地悪な風を起こした。その風によってアポロンが投げた円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額を直撃してしまった。アポロンは医学の神の力をもって懸命に治療するが、その甲斐なくヒュアキントスは大量の血を流して死んでしまった。ヒヤシンスはこの時に流れた大量の血から生まれたとされる。
ヒヤシンスは花茎がまっすぐで意外と頼もしい。しかし優艶。こんなところからか、特に青い花を見ていると美青年が髣髴される。
ヒヤシンスを植えたところは踏まれないように縄を一筋張って置く。縄を張るなんていかにも昭和らしい。今日2月29日は朝から粉雪が舞い、2センチほど積もっている。春の雪が敷く花壇にヒヤシンスが咲けば、そこだけ「春」が置かれたようになる。虚子、秋桜子と対照的な句だが、ヒヤシンスの姿をよく表わしている。わが家では、年末水栽培のヒヤシンスを買い、早も咲いていたのだが、花の匂いを楽しんだ。水栽培で子どもたちでも楽しめる。

 以上の文は、2月が29日あった最近の年の文。つまり、2012年。
 今年(2013年)も年が明けてヒアシンスの鉢植を近所の花屋で買って楽しんだ。薄い紫を選んだ。一鉢に三球ある。花は全部で六本咲いた。一球から二本ずつ花が咲いた。二本目が立ちあがるころ最初の花の茎が斜めに倒れるので切り取って花瓶やコップに挿した。ヒアシンスが一番似合ったのはキッチン。薄紫ばかりで単調なので散歩の途中、山裾の捨て球根から育った蕾の水仙を二本摘んで来て一緒に挿して置いたら、とても清楚なまっしろな水仙が開いた。それが、またヒアシンスと特別よく似合った。

◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

3月1日(水)

★身を固く春雪吹くを帰り来る   正子
先日の関東地方の思わぬ春の大雪を詠まれたものと思います。雪国の人には慣れたものでも、都会生活者には驚くような大雪でした。滑らないよう、足元に注意して帰られる様子が「身を固く」によく現れています。(多田有花)

○今日の俳句
末黒野の彼方に海の光りけり/多田有花 
半焼けになった茨や萱などは、無残なようだが、新しい芽吹きのためであるので、春へと期待のふくらむ風景だ。海の光が期待を象徴している。(高橋正子)

○早咲き桜

[早咲き桜/横浜日吉本町(2013年3月9日)]

2月27日(月)

★天城越ゆ春の夕日の杉間より   正子
修善寺から下田を結ぶ天城峠を超えると春の柔らかな日差しが沢山の杉の木の間から射し込み、のんびりと穏やかな気持ちになりますね。とっても春らしい素敵な句だと思います。(小口泰與)

○今日の俳句
ほつほつと梅のふふむや水ゆたか/小口泰與
雪解け水や雨で水嵩の増えた川。ちょうどその季節梅の蕾がほころび始める。「水ゆたか」に季節をよく詠わせている。(高橋正子)

○白梅

[白梅/横浜・大倉山公園梅林]

2月26日(日)

★さきがけて咲く菜の花が風のまま   正子
梅や水仙にさきがけて菜の花が咲いています。早春の風の中で揺れている趣のあるさまが目に浮かびます。(河野啓一)

○今日の俳句
雪消えて餌箱架ける昼下がり/河野啓一
雪の積むあいだ、小鳥たちは餌をどうしていたのか。小鳥たちを思いやって、雪が消えるのを待ってさっそく餌箱を取り付けた。 慈しみのある句。(高橋正子)

●ストックの花の匂いの真暗闇    正子
すみれ匂うや青空市は花の市     正子
如月の花の市はも黄昏るる       正子
ルピナスや西洋婦人にあらずとも   正子
金星の金のひかりに梅匂う      正子      
 
2月13日、青山通りのシュタイフの店へ。隣は花屋なりて出し鼬に驚く
春寒し青山通りも鼬出づ     正子
春寒き誕生月のぬいぐるみ    正子

近所に図書館がない(あっても慶大図書館)なので本屋に寄るしかない。『鑑賞のためのキリスト教美術事典』(視覚デザイン研究所)を2200円也で買ったが、面白い。ぼんやりしていたキリスト教美術がはっきりした。画家たちは何を描きたかったのか。ほぼ同じテーマではないか。
『言ってはいけない』(橘 玲・新潮新書780円)を買う。そういうことは言うもんじゃない、ということをデータで示している。言ってはいけないことは、不愉快な現実だが、人間心理、そういうことを知りたい。

○クロッカス

[クロッカス/横浜日吉本町]

2月25日(土)

★青空の果てしなきこと二月なる   正子
季節の替り目、二月は晩冬から早春にかけて風も強く空は哀しいまでに真っ青です。その青さは秋のそれよりも青いかもしれません。そして、凛とした青空は厳しい寒さの中にも、暖かい春の近い事を予感させてくれます。 (桑本栄太郎)

○今日の俳句
故郷回想
海苔掻や潮目沖へと流れおり/桑本栄太郎
沖へと流れる潮目を見ながらの海苔掻きに、春の磯の伸びやかな風景が見えて、素晴らしい。(高橋正子)

○三椏の花

[三椏の花/伊豆修善寺(2011年2月22日)]_[三椏の花蕾/横浜四季の森公園(2012年1月26日)]

2月24日(金)

★梅の香を息に吸い込みあるきけり   正子
梅の花の咲くころは胸に吸い込む空気もまだやや冷たい。思わず呼吸を意識してしまう。そこに漂い来る梅の花の香り。梅園を歩く清澄さが快く伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
万作の咲く青空の冷たさよ/小西 宏
「青空の冷たさ」が、万作の咲く季節をよく物語っている。空は青く晴れやかであるが、しんとして冷たい。そこに黄色い万作が咲いて春の訪れが確かとなる。(高橋正子)

○黄水仙

[黄水仙/横浜・四季の森公園]

★突風や算を乱して黄水仙/中村汀女
★横濱の方にある日や黄水仙/三橋敏雄

黄水仙(きずいせん、学名:Narcissus jonquilla L.)は、ユリ科 スイセン属で新エングラー体系ではヒガンバナ科の多年草。南ヨーロッパ原産。石灰岩地の丘陵や草地などに生え、高さは10~30センチになる。葉は深緑色で細い。春に花茎を立てて、香りのよい黄色の花を横向きにつける。江戸時代に渡来して観賞植物として栽培される。学名からジョンキル水仙とよぶ場合もある。

白い水仙は冬の季語、黄水仙は春の季語。おなじ水仙と呼ばれても咲く季節が違う。有名なワーズワースの詩の「ラッファディル」は、ラッパ水仙。春が来ると一面に群れ咲くラッパズイセンを子どものころは、異国への憧れとしてよく想像したものだ。父が若かったころ、私たが子どもであったころ、庭にラッパ水仙が咲いた。戦後のことであるが、このラッパ水仙が咲くのが非常に嬉しかった。今になって思えば、父は花が好きであったようだ。ペチュニアを「つくばね朝顔」と言っていたころ、ほどんど誰もそれを植えていないころペチュニアが咲いていた。糸水仙というのもあった。青葡萄の棚もあったし、種なし葡萄のデラウエアも門先のポールに昇らせていた。そういう思い出と共に蘇る生家のラッパ水仙である。

◇生活する花たち「満作・椿・蝋梅」(神奈川・大船植物園)

2月23日(木)

★賽銭を放りて拝む梅の寺   正子
梅の花がほつほつと咲き始めた境内には仄かな香りが漂っています。何とも言えない心の豊かさにお参りして行こう!とお賽銭をぽんと放ります。合掌し様々な思いを込めて祈念をなさったことでしょう。梅の寺での温かい気持ちが伝わって参ります。(佃 康水)

○今日の俳句
牛鳴いてサイロの丘に草萌ゆる/佃 康水
サイロのある丘に草が萌え、牛の鳴き声ものどかに聞こえる。あかるい風景がのびやかに詠まれている。(高橋正子)

○河津桜

[河津桜・朝/伊豆河津(2011/02/23)]    [河津桜・夜/伊豆河津(2011/02/22)]

○伊豆河津6句/高橋正子
夜桜は紅かんざしのごと灯る   
夜桜にオリオン星雲浮いてあり
重なりて透けることあり朝桜
菜の花に蛇行の川の青かりし
春浅き湯に聞くばかり波の音
春朝日海にのぼりて海くらし

2011年2月23日(水)
 河津の桜まつりは朝九時から屋台が揃う。ホテルのマイクロバスで、二人だったが、河津駅まで運んでもらう。きのう来るときに桜は見たのでもうよいような気がしたが、朝の川岸の桜と菜の花がすがすがしい。河津川の水のきれいなこと。鮎が釣れるようだ。川の鴨が泳ぐ水かきまでもがよく見える。鶺鴒がいくらでもいる。桜や菜の花を見ながら歩く。途中のさくら足湯というところで、足湯をたのしむ。修善寺の独鈷の湯よりもぬるい。桜まんじゅう、さくらえびせんべい、栗ぽん、おやき、桜の苗木、吊るし雛などを売る屋台が続く。黒眼がねをかけ、黄色い服のイタリア人夫婦の屋台もある。つぶあんのよもぎのおやきをほおばる。桜海老せんべいを買う。川岸を上流へ、人がまばらになるところまでずいぶん歩いた。河津桜の絵を描いて売る人もいる。買う人もいる。「踊り子温泉会館」まで来た。近くに峰温泉という温泉がある。三十メートルほど温泉が噴きあがるのが売りもの。次の噴き上げは十二時三十分だという。三十分ほど待つ間、篭に卵を入れて、温に浸けて温泉玉子を作る。待ってる間も少し寒いので足湯をする。東洋一という温泉の噴き上げを見てそこを出る。バス停近くの店でケーキとコーヒー。来たバスに乗って、河津駅まで。見事な桜の原木がバスの窓から見えた。二十分ほど乗ったろうか、河津駅に着くとさすがにお腹が空いている。これから電車で帰途に着くわけだが、残っている駅弁は、この時間では、さざえ弁当だけ。わっぱ風の折に入って、さざえとひじきが載せてある。それを持って普通電車に乗る。三時間あれば帰れるので、踊り子号にも、スーパービューにも乗らないで、鈍行で帰る。二時四十六分発の熱海行。熱海からは、JRの快速アクティ東京行で横浜まで。相模湾が見える方、つまり行き手右側に席をとった。

◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)