★胡麻の花稲の花咲くその続き 正子
優しく淡い色合いの可憐な胡麻の花と、小さいながらも白く清楚な稲の花。夏から秋へ向かう田の、清々しい季節感あふれる情景です。いずれも収穫の期待を高めてくれる胡麻の花と稲の花に、やがて訪れる実りの秋の喜びを感じさせていただきました。(藤田洋子)
○今日の俳句
新刊の一書机上に秋初め/藤田洋子
秋が来たと思う爽やかさに、さっぱりと片付いた机上に一冊の新刊書が読まれんとして置いてある。生活が新鮮に詠まれている。(高橋正子)
●立秋の朝日がビルの斜めより/正子
朝顔の蕾ゆるみて青見ゆる/正子
○女郎花(おみなえし)

[女郎花/横浜・四季の森公園] [女郎花/横浜・都筑中央公園]
★ひよろひよろと猶露けしや女郎花/松尾芭蕉
★とかくして一把になりぬをみなへし/与謝野蕪村
★女郎花あつけらこんと立てりけり/小林一茶
★裾山や小松が中の女郎花/正岡子規
★遣水の音たのもしや女郎花/夏目漱石
★女郎花の中に休らふ峠かな/高浜虚子
★山蟻の雨にもゐるや女郎花 蛇笏
★女郎花ぬらす雨ふり来りけり 万太郎
★馬育つ日高の国のをみなへし 青邨
★波立てて霧来る湖や女郎花 秋櫻子
★杖となるやがて麓のをみなへし 鷹女
★をみなへし信濃青嶺をまのあたり 林火
★村の岐路又行けば岐路女郎花/網野茂子
★女郎花そこより消えてゐる径/稲畑汀子
★女郎花二の丸跡に群るるあり/阿部ひろし
★とおくからとおくへゆくと女郎花/阿部完市
★夜に入りて瀬音たかまる女郎花/小澤克己
秋の七草のひとつに数えられる女郎花。萩、桔梗、葛、尾花、撫子、藤袴、女郎花とあげてくれば、どれも日本の文化と切り離すわけにはいかない草々だ。どれも風情がいいと思う。藤袴、女郎花については、名前にはよくなじんでいるものの、実物を見るようになったのは、20代を過ぎて、30代になってからと思う。藤袴、女郎花はどのあたりに生えているかも知らなかった。故郷の瀬戸内の低い山裾などでは見ることはなかった。女郎花は、生け花にも使われるが、粟粒状の澄んだ黄色い花が魅力だ。栽培しているものをよく見かけるようになったが、決してしなやかな花ではない。むしろ強靭な花の印象だ。葛だってそうだし。
★おみなえし雲を行かせたあと独り/高橋正子
★女郎花山の葛垂る庭先に/〃
オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。敗醤(はいしょう)ともいう。沖縄をのぞく日本全土および中国から東シベリアにかけて分布している。夏までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる。葉はやや固くてしわがある。草の丈は60-100 cm程度で、8-10月に黄色い花を咲かせる。日当たりの良い草地に生える。手入れの行き届いたため池の土手などは好適な生育地であったが、現在では放棄された場所が多く、そのために自生地は非常に減少している。 日本では万葉の昔から愛されて、前栽、切花などに用いられてきた。漢方にも用いられる。全草を乾燥させて煎じたもの(敗醤)には、解熱・解毒作用があるとされる。また、花のみを集めたものを黄屈花(おうくつか)という。これらは生薬として単味で利用されることが多く、あまり漢方薬(漢方方剤)としては使われない(漢方薬としてはヨク苡仁、附子と共に調合したヨク苡附子敗醤散が知られる)。花言葉:約束を守る。名前の由来:異説有り。へしは(圧し)であり美女を圧倒するという説、へしは飯であり花が粟粒に見えるのが女の飯であるという説、など。
◇生活する花たち「桔梗・風船かずら・芹の花」(横浜都筑区ふじやとの道)

★大朝焼車一台ずつ染まる 正子
真夏の日の出は大変早く、まだ涼やかな空気の満ちた時間です。朝焼けの中、荘厳な太陽の光りが駐車場の車を一台づつ照らし、今日も良く晴れて暑い夏の一日の始まりです。 (桑本栄太郎)
●Asahi Weekly(No.2279/Sunday August 6)に第二次世界大戦中のナチが使った暗号機のエニグマ
が発見されたとあった。この暗号機はイギリスの数学者チューリングとそのチームによって解読されていまったそうだ。見つかったエグニマはルーマニアの蚤の市でタイプライターとして13000円で買ったものらしいがコレクターの手に渡り、タイプライターではなく、暗号機のエグニマとわかったようだ。終戦記念日が近い頃にこの話題だ。
コンピューターの生みの親のチューリングが二次大戦中のドイツ軍の暗号を解読した話は、初耳。
○今日の俳句
献水の竹筒青き原爆忌/桑本栄太郎
「竹筒青き」でこの句が生きた。汲みたての清水を青竹を筒に入れて持参した参拝者。「水を!」と言って亡くなった多くに人がいたことを思えば、清水は鎮魂の意味が大きい。(高橋正子)
○1945年8月6日8時15分の広島に続いて長崎に原爆が投下。11時2分。
8時15分といい、11時2分といい、朝なのだ。この時間に何をたくらみ、何を思う市民を殺そうとしたのだろうか。いかにも神の意思によるかのような、空中からの爆撃。許せるものではない。
終戦記念日が近づくと、それを振り返る報道に力が入るが、平和は普段の生活にあるのであって、普段の生活がいい加減では到底無理である。平和の思想は、毎日の生活の質素さと清潔さにあると思われる。質素と清潔というのは、現代流に解釈した「わび」の世界でもあろう。また、思想というのは、大きな言葉だが、ある思いや思考の日常的な継続なのだ。(2016年)
○鬼灯(ほおずき)

[鬼灯/横浜・四季の森公園]
★鬼灯の少し赤らむぞなつかしき/正岡子規
★鬼灯の実の大小はまだ見せず/稲畑汀子
★鬼灯を摘む袖口と襟元と/高橋将夫
★結ひ上げし髪に鬼灯さす乙女/水原春郎
★自画像に鬼灯赤く描き添へし/宮津昭彦
生家には、築山といって庭石や灯籠や小さい池に、松、椿、紅葉といった木を配しているところがあって、そこに先祖を祀る小さい碑のようなものがあるのだが、そのわきにほおずきが植えてあった。お盆のころちょうど熟れるので、植えられたのであろうが、このほおずきは、きれいに熟れかけたと思うと、袋が虫にくわれて網目状になってしまうのが、ほどんど。中の実の皮と破らないように種を出して口に含めば、鳴るというもの。しかし、これがうまくいったことはなかった。かなりの技がいるのであろう。浅草のほおずき市に売られるような完璧なほおずきを見てみたいものと思っていた。
東京・下町の夏の風物詩「ほおずき市」が7月9日、東京都台東区の浅草寺で始まった。本堂周辺に並んだ露店は約220軒。朱色が鮮やかな丹波ホオズキが売れ筋で、1鉢2500円。かつて薬効があるとして用いられた、緑色の千成ホオズキも人気という。9、10日は参拝すると4万6千日分の御利益があるとされる浅草寺の功徳日。ほおずき市は10日夜まで開かれ、浅草観光連盟は約60万人の人出を見込んだ。
★ほおずきの玲瓏と熟れ原爆忌/高橋正子
◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

★胸うちに今日の夏野を棲まわせる 正子
○今日の俳句
うす紅も編まれし母の夏帽子/川名ますみ
母にまだある若さと可愛さをほほえましく、ある意味母親的まなざしで思う娘である。明るいうす紅が涼しさを呼んでくれる。(高橋正子)
●2日に、生まれて初めて整骨院に。毎日通って今日が4日目。頭痛、不眠が解消。眼の不調もやや改善。前屈で床に手の半分が着くようになる。
整骨院に『午後は女王陛下の紅茶を』(出口保夫著)があり、読む。イギリスの紅茶にまつわる英文学者のエッセイ。なんでこの本がここにあるのかと聞くと、みんなが本棚の開いているすき間に置いていくのだ、そうだ。結構いろんなジャンルの本がある。つまり、いろんな人が来院しているということ、になる。
○藻の花

[藻の花/鎌倉・宝戒寺]
★藻の花やこれも金銀瑠璃の水 重頼
★藻の花や金魚にかかる伊予簾 其角
★藻の花をはなれよ鷺は鷺の白 北枝
★渡りかけて藻の花のぞく流れかな 凡兆
★藻の花のとぎれとぎれや渦の上 桃隣
★藻の花や雲しののめの水やそら 蕪村
★川越えし女の脛に花藻かな 几董
★藻の花や引つかけて行く濡れ鐙 暁台
★引き汐やうき藻の花のさわぎ立つ 蝶夢
★藻の花の重なりあうて咲きにけり 正岡子規
★藻の花の揺れゐる風のつぶやきに/大橋敦子
★急流に凛と花藻の五弁かな/岸本久栄
★川底へ日矢突き抜けて花藻かな/中島玉五郎
★藻の花の咲くや寺苑の昼しんと/高橋信之
鎌倉の宝戒寺を信之先生と訪ねた。本堂にお参りしようとすると、左手の水鉢に睡蓮が数花、空や寺の梁を映す水に涼しそうに咲いている。右手も睡蓮かと思いきや、思いかげずも藻の花が数花咲いている。金魚藻の花であるが、これは年数を経ないと咲かないということであった。その鉢にはメダカが泳いでいる。「水はどのように管理されていますか」と尋ねると、雨の水と、水が少なくなると注ぎ足すだけだそうだ。藻の花は咲きだすとどんどん咲くそうである。
★藻の花の咲くや寺苑の昼しんと/高橋信之
★藻の花の白さ浮き立つ仏の前/高橋正子
藻の花は、花藻とも言い、湖沼や小川などに生えるさまざまな藻類、金魚藻、フサ藻、柳藻、松藻などの花。一般に小さく、白や黄緑色で目立たないものが多い。また海藻が赤・黄・緑など原色の美しい色をして花のようであるために、この美称として用いられることもある。海草と海藻の違いは、前者は根・茎・葉などが区別できるが、後者は区別できない特徴がある。俳句歳時記では夏の季語。
◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

●8月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2017年8月4日(金)午後1時~2017年8月13日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月13日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月14日(月)正午~8月116日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
★夏蒲団糊の匂いて身に添えり 正子
寝苦しい夏の夜ですが、ほどよく糊のきいたシーツに包まれた夏蒲団に横たわれば、ほんのりと漂ってくる糊の匂いとともに、さっぱりとした肌触りが伝わり、静かに眠りを誘ってくれます。「身に添えり」に安らぎが感じられます。(小西 宏)
○今日の俳句
金蚊の仰向いて脚生きんとす/小西 宏
金蚊が何かにぶち当たってひっくり返った。起き上がろうとしてか、必死に脚を動かしている。作者はその様子を「生きんとす」と捉えた。金蚊の命を直視しているのがよい。(高橋正子)
○ささげの花

[ささげ花/横浜市緑区北八朔町]
★アフリカの太古の色やささげ咲く/照れまん
★紫にささげの花や土用東風/憧里夢
★高架駅下りればすぐに花ささげ/高橋正子
★大畑を区切って三筋の花ささげ/高橋正子
ささげは、小豆の大ぶりなもので、小豆より品位が低いものと子供時代は思っていた。小豆も結構よい値であるが、ささげのほうがもっと値が高い。上等な赤飯にはささげが使われている、と大人の私はこのようにささげを見ている。ささげの餡というのがあるかどうか知らないが、餡にもするようだ。畑の一画にそんなにたくさんではないが、ささげが植えられていた。さやが幾分長い。祖母がささげ、ささげとよく言っていた。秋になると鞘が熟れて、それを筵に広げ乾燥させ、木槌でたたいて豆を出した。
ササゲ(?豆、大角豆、学名 Vigna unguiculata)はマメ科の一年草。つる性の種類とつるなしの種類とがある。アフリカ原産。主に旧世界の温暖な地方で栽培される。南米では繁栄と幸運を呼ぶ食物と考えられ、正月に食べる風習がある。樹木の形状は低木であり、直立ないし匍匐する。枝を張ったり、からみついたりと、成育の特性は多彩。語源は、莢が上を向いてつき物をささげる手つきに似ているからという説[1]、莢を牙に見立てて「細々牙」と言ったという説、豆の端が少々角張っていることからついたという説など諸説ある。藤色、紫、ピンクなど様々な色の花をつける。花の形は蝶形花である。穀物用種は、さやが10-30cmで固く、豆は1cm程度の腎臓形で、白・黒・赤褐色・紫色など様々な色の斑紋をもつ。白い豆には一部に色素が集中して黒い目のような姿になるため、ブラック・アイ・ピー(黒いあざのある目を持つ豆)と呼ばれる。つる性種は草丈が2mから4mになるのにたいし、つるなし種の草丈は30cmから40cm。ナガササゲと呼ばれる品種は100cmに達する。耐寒性は低いが、反面暑さには非常に強い。日本では、平安時代に「大角豆」として記録が残されている。江戸時代の『農業全書』には「?豆」という名前で多くの品種や栽培法の記述がある。また、アズキは煮ると皮が破れやすい(腹が切れる=切腹に通じる)のに対し、ササゲは煮ても皮が破れないことから、江戸(東京)の武士の間では赤飯にアズキの代わりに使われるようになった。
◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

★這いはじめし子に展げ敷く花茣蓙 正子
子が成長していくのは親の喜びです。這い這いしはじめの子へ花茣蓙を敷き見守られている姿が、喜びが、伝わってまいります。(祝恵子)
○今日の俳句
家裏に立てかけられてゴムプール/祝恵子
カラフルなゴムプールが、ひっそりとした家裏に立てかけられて、目に楽しく映る。家裏が涼しそうである。(高橋正子)
○落花生の花

[落花生の花/横浜市緑区北八朔町]
落花生がさやに入ったマメであることは、ご存じですよね。
マメなら、枝かに実っているかと思っている方がいるかと思いますが、実はちがうのです。
では、どこにできるかというと、土の中にできるのです
1.落花生の花は、早朝に咲いて、昼にはしぼんでしまいます。
受粉は、自分の花粉がめしべについて自家受粉をおこないます。
2.受粉したあと、花のもとにある子房で受精します。
3.受精して一週間もすると子房の元が伸び出して、根のように下を向きます。
この伸びた部分を子房柄(しぼうへい)といます。
4.子房柄は、土に向かってどんどん伸び、やがて土にささります。
5.土の中3~5センチのところにささった子房柄の先が水平にな
ってふくらみ、さやができはじめます。そのさやの中でマメが育つ
のです。
6. ”花が落ちたところにさやが生まれる”だから、”落花生”
といいます。
◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

★撒き水の虹を生みつつ樫ぬらす 正子
散水の水しぶきが小さな虹を生んでいるのでしょう。そしてその水が樫をぬらしていく。何気ない日常ながら、ほっとするひと時をそこに感じます。(高橋秀之)
○今日の俳句
子らに買うバナナを袋いっぱいに/高橋秀之
袋の詰められたバナナの黄色に元気がある。子供たちへの格好の土産となったバナナであるが、夏にあって楽しい。(高橋正子)
○紫式部の花

[ムラサキシキブ/横浜・四季の森公園] [コムラサキ/東京・新宿御苑園]
★慈雨来る紫式部の花にかな/山内八千代
★紫式部添木に添わぬ花あまた/神部 翠
★光悦垣色あはあはと花式部/高瀬亭子
★紫式部咳くやうに咲き初めし/河野?子
★夢辿る紫式部の花の香に/石地まゆみ
★花式部見つけたり日の輝きに/高橋信之
紫式部の実は、熟れると美しい紫色となる。しだれるような枝に小さな紫色の実がつき、小鳥が好んで食べる。一度私も食べてみたが、棗に似た味がする。この美しい実がつく前には花が咲くのはとうぜんだが、6月、今ちょうどその紫式部の花が咲いている。実より少し淡い紫色である。その花の通りに実がつく。山野に自生したのを見るが、庭木に植えているものと見かけが多少ちがうように思う。私が見た限りでは、庭木に植えているもは、葉が黄緑がかっているが、自生種は葉が大ぶりで、緑色が濃い。花よりも実が美しい木の一つである。
★登り来てふと見し花は花式部/高橋正子
ムラサキシキブ(紫式部、Callicarpa japonica)はクマツヅラ科の落葉低木で、日本各地の林などに自生し、また果実が紫色で美しいので観賞用に栽培される。高さ3m程度に成長する。小枝はやや水平に伸び、葉を対生する。葉は長楕円形、鋭尖頭(先端が少し突き出すこと)、長さ6-13cm。細かい鋸歯がある。葉は黄緑で洋紙質、薄くて表面につやはない。初めは表側に細かい毛があることもある。花は淡紫色の小花が散房花序をつくり葉腋から対になって出て、6月頃咲く。秋に果実が熟すと紫色になる。果実は直径3mmで球形。栽培品種には白実のものもある。名前の由来は平安時代の女性作家「紫式部」だが、この植物にこの名が付けられたのはもともと「ムラサキシキミ」と呼ばれていたためと思われる。「シキミ」とは重る実=実がたくさんなるという意味。スウェーデンの植物学者のカール・ツンベルクが学名を命名した。北海道から九州、琉球列島まで広く見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布する。低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っている。ムラサキシキブ(コムラサキ、シロシキブ)の名所として、京都・嵯峨野の正覚寺が有名である。
コムラサキ(C. dichotoma)も、全体に小型だが果実の数が多くて美しいのでよく栽培される。別名コシキブ。ムラサキシキブとは別種であるが混同されやすく、コムラサキをムラサキシキブといって栽培していることが大半である。全体によく似ているが、コムラサキの方がこじんまりとしている。個々の特徴では、葉はコムラサキは葉の先端半分にだけ鋸歯があるが、ムラサキシキブは葉全体に鋸歯があることで区別できる。また、花序ではムラサキシキブのそれが腋生であるのに対して、コムラサキは腋上生で、葉の付け根から数mm離れた上につく。岩手県で絶滅、その他多数の都道府県でレッドリストの絶滅寸前・絶滅危惧種・危急種・準絶滅危惧の種に指定されている。
◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

★冬瓜にさくっという音のみありぬ 正子
「さくっという音」に時間も空間も凝縮されたように感じました。また、これからできる、歯ざわりのいい美味しそうな冬瓜料理が、食卓に並べられている様子を想像することができました。私は冬瓜はまだ食べたことがないので、食べてみたいなと思いました。(井上治代)
○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)
○風船葛

[風船葛/横浜日吉本町]
フウセンカズラ(風船葛、学名:Cardiospermum halicacabum)とはムクロジ科の植物の一種。属名は「ハートの種子」の意。花を観賞するためよりむしろ、風船状の果実を観て楽しむために栽培される。熱帯・亜熱帯のアジア・アフリカ原産。
つる性の植物で一年草。葉は三出複葉、小葉は草質で柔らかく、あらい鋸歯がある。7月~9月頃に白い5mmくらいの花を咲かせる。花は葉腋からでる長い柄の先に数個付き、巻きヒゲを共につける。果実は風船状に大きく膨らみ、緑色。後に茶色く枯れる。種子は球形で大粒、なめらかな黒でハート形の白い部分がある。ちょうど栃の実を小さくした姿に見える。
よく茂ったときは非常に涼しげで、家庭の壁面緑化にも使われる。種子は、白っぽいハート形の部分をサルの顔に見立てて遊ぶこともある。
神さまがついて風船かづら揺れ 鷹羽狩行
あそび仲間ふやし風船葛かな 宮津昭彦
風船葛色づき風のなき日かな 宮津昭彦
風吹けば吹かれ風船葛かな 大橋敦子
フランスヘ行かう風船かづらの唄 豊田都峰
◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

★わが視線揚羽の青に流さるる 正子
ふっとあらわれた涼しそうな青い揚羽蝶。しばらくは揚羽のようすに心ひかれて目がはなせません、詩のある風景が思われます。(小川和子)
●久しぶりに昨日から頭痛に襲われている。片頭痛。万事休す。夜中にロキソニンを飲む。
●カルチャーラジオで田中克彦という方の講演を途中から聞いた。その名前にぴんと来た。20年近く前、『ことばと国家』という本を読もうした記憶がある。私の思う言語学の範囲を超えていて、その時は読まなかったが、その著者。その声はざっくばらんで意外だった。
○クィーン・ネックレス
[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]
★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子
「クィーン・ネックレス」という花がある。「女王様の首飾り」。女王様は、エリザベス女王以外には考えられない。わざわざ「クィーン」がつくところが、メルヘン的。この花のピンクが英国女王に似合っているようにも思う。蔓性の花、案外丈夫で、いったん咲いて、剪定して、また咲いてを、しばらく繰り返しているようだ。ちょうど角の家にあるし、ピンクの小花がネックレスのように10センチほど連なっていて、珍しいので、通る人がよく名前を尋ねるらしい。
クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。
◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横 正子
春、他の桜に遅れて白い花をひらき、6月から7月の頃熟して紅から紫紅色となり、数個寄り合って明るい茎をたずさえている。皿に盛るとその茎が縦横になつて、食欲をそそります。特に夏の果物として喜ばれますね。(小口泰與)
○今日の俳句
湖へ虎杖の花咲きいそぎ/小口泰與
湖のほとりに虎杖の花が咲き急いでいる。夏が短い北国を思わせる。虎杖の花は小さく白い。散れば葉に埃がかかるように散る。夏の短さも、花のもろさも、みな移ろいやすさでえある。(高橋正子)
○グラジオラス

[グラジオラス/横浜日吉本町]
グラジオラス (Gladiolus) は、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称。日本には自生種はなく、園芸植物として植えられている。別名、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)。名前は古代ローマの剣であるグラディウスに由来し、葉が剣に類似していることが根拠と言われる。日本では明治時代に輸入され、栽培が開始された。根は湿布薬の材料に使われる。
◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)
