2月21日(水)

 横浜港
★港湾の動きに満ちて春浅し   正子
見下ろす横浜の港は春の陽にきらめいている。行き交う船の動きも増え、港に活気が満ちてき始めた。まだまだ本格的な春ではないが、それに向かって自然も人間界も動き始めたことがはっきりと感じられる。春への期待が港の動きで表わされている。(古田敬二)

○今日の俳句
春耕す我が濃き影を野に映し/古田敬二
春なのだ。日差し次第に強くなり、耕している自分の影が濃く映る。耕す我に、我と同じに動く影という友がいる。(高橋正子)

●循環器の定期健診を受ける。
兜太氏が亡くなる。後継者はおられないようだ。昨日のニュースはまんざら偽ニュースではなかった気がする。
毎日俳句αあるふぁの増刊号『水の俳句』の代金支払いと、掲載者3名に郵送。

○雲間草

[雲間草/横浜・四季の森公園]      [雲間草/横浜日吉本町]

★春浅き庭の一角雲間草/杉竹
★夏の暁け目覚め早きや雲間草/百茶庵
★駅前の花屋に雲間草を買う/高橋信之

本種の雲間草(くもまぐさ、学名:Saxifraga merkii var. idsuroei)は、ユキノシタ科ユキノシタ属の日本原産の多年草で、北アルプスと御嶽山に自生する珍しい高山植物。標高3000m付近の雲の切れ間に咲くため「雲の合間の花」からクモマグサ(雲間草)と名づけられたと言われている。生花店などで栽培に販売されている品種は、ヨーロッパ、北欧を原産とするクモマグサの原種を品種改良した、ピンク色の花などの園芸品種で、西洋雲間草(せいようくもまぐさ、学名:Saxifraga rosacea)、または洋種雲間草(ようしゅくもまぐさ)と呼ばれる。日本種と比べ花の色や形状、開花時期などが異なる。開花時期は、雲間草が 7月~8月、西洋雲間草(洋種雲間草)が3月~5月。2月27日、3月22日の誕生花で、花言葉は活力、自信、愛らしい告白。  

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・沈丁花の蕾・木瓜」(横浜日吉本町)

2月20日(火)

★二月はや雛の鼓笛を持たさるる   正子
雛人形を飾られるお宅では、二月も半ばとなれば雛人形が箱から出され、雛壇に並ぶのでしょう。五人ばやしの人形もそれぞれの楽器を持って、ひな祭りが近づくのを教えてくれます。(多田有花)

○今日の俳句
青空に斑雪の山の光りあう/多田有花
「光りあう」が、早春をよく表現している。少しずつ強くなってゆく日差しに、青空も斑雪の山も輝いている。(高橋正子)

●俳句界の編集長さんからメール。3月14日(水)に会社に出向く予定。

夜、兜太氏が亡くなったと偽のニュースが流れ、取り消されたという話を信之先生とした。2018年度の角川年鑑を取り出し、詳細に記事を読んだ。兜太氏の後の大物俳人は誰かと調べてみたのだが、わからない。俳句全体が雑然としてほこりっぽい印象が残った。中に澤好摩氏の句はすっきりとして詩があると思えた。

現代俳句協会神奈川県支部に新会員紹介用の俳句3句(信之)を投函。正子、句美子は未投稿。

○犬ふぐり

[犬ふぐり/横浜・四季の森公園]

★陽は一つだに数へあまさず犬ふぐり/中村草田男
★下船してさ揺らぐ足や犬ふぐり/能村研三
★犬ふぐり牛を繋ぎし綱ゆるむ/皆川盤水
★犬ふぐり野川に水が鳴り始め/高橋正子
★犬ふぐり黄砂来ぬ日はすずやかに/高橋正子  

オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢、学名 Veronica persica)とはオオバコ科クワガタソウ属の越年草。別名、瑠璃唐草・天人唐草・星の瞳。路傍や畑の畦道などに見られる雑草。ヨーロッパ原産。アジア(日本を含む)、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種(帰化植物)として定着している。日本では全国に広がっており、最初に定着が確認されたのは1887年の東京である。早春にコバルトブルーの花をつける。まれに白い花をつけることがある。花弁は4枚。ただしそれぞれ大きさが少し異なるので花は左右対称である。花の寿命は1日。葉は1?2cmの卵円形で鋸歯がある。草丈10?20cm。名前のフグリとは陰嚢の事で、実の形が雄犬のそれに似ている事からこの名前が付いた。ただし、これは近縁のイヌノフグリに対してつけられたもので、この種の果実はそれほど似ていない。したがって正しくはイヌノフグリに似た大型の植物の意である。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・雪割草・満作」(横浜・四季の森公園)

2月18日(日)

★青空の果てしなきこと二月なる   正子
二月の空はどこまでも青く、高く広がっています。地上では野の花が咲き、天道虫が草の上を這っています。これから、少しずつ暖かくなり、命あふれる季節がやってきます。二月の空の様子を見事な一句にされていて感心しました。(井上治代)

○今日の俳句
川岸の菜の花明かり水明かり/井上治代
川岸をこぼれそうな菜の花。川の水の明かり。どちらもがほのかに、あかるい「明かり」となって、対象を見る作者の心を満たしている。溶け合うような「明かり」の世界が美しい。(高橋正子)

●元希の5歳の誕生日祝いに元の家に行く。
ピザと、パイナップルをくりぬいてゼリーを詰めたもの、「地下鉄」「かわ」「おさるのジョージー自転車編」の絵本三冊を持参。元希が近くの公園で自転車に乗って見せてくれた。体が軽いのか、動きを見ていると、ジャンプ力がずいぶんある。帰りは日吉まで元が車で送ってくれた。40分ほどかかった。車中元希が私がいつも持ち歩いている野鳥の図録を見て、いろいろ興味を示した。この図録は宇宙折ーミウラ折と呼ばれる折り方で折ってあってコンパクトに畳める。それに気づいたらしい。6種類ほど鳥を知っていた。
帰宅してからばらずしを作り、句美子に届ける。帰り、手作りのチョコいろいろ貰う。
句美子への俳壇からの原稿依頼(閉め切りは3月15日・5句)の書面を渡す。ちょこちょこ原稿依頼があって、忙しい。先月は秀之さんに俳壇から原稿依頼(閉め切りは2月15日)があった。

○菊咲き一華(キクザキイチゲ)

[菊咲き一華/横浜・四季の森公園]

★うちとけて一輪草の中にゐる/古館曹人
★一輪草強気な色を投げらるゝ/鈴木早春
★山の日は一輪草に届かざる/田中かつ子
★一華咲く春の確かな陽の中へ/高橋信之
★うす青き沼の光りに一華咲く/高橋正子

 キクザキイチゲ(菊咲一華、学名:Anemone pseudoaltaica)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)とも呼ばれる。本州近畿地方以北~北海道に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。高さ10~30cm。花期は3~5月で、白色~紫色の花を一輪つける。キクに似た花を一輪つけることからこの名がついた。春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種。山梨県など複数の都道府県で、レッドリストの絶滅危惧種(絶滅危惧I類)や絶滅危惧II類などに指定されている。近縁種は、アズマイチゲ(東一華、学名:Anemone raddeana)、ユキワリイチゲ(雪割一華、学名:Anemone keiskeana)。
 イチリンソウ属(イチリンソウぞく、学名:Anemone )は、キンポウゲ科の属の一つ。日本の種にシュウメイギク(帰化)、ユキワリイチゲ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウ等がある。

◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・ハヤザキマンサク」(東大・小石川植物園)

2月17日(土)

 東海道53次川崎宿
★下萌えの六郷川の水青し   正子
冬枯れの地面のそこかしこから、野にも川辺にも萌え出た草を見出す事が出来、春らしい景色の中六郷川の川の水も春の青空を映してゆったりと流れている素晴らしい景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
蕗の芽や利根の支流に毛鉤打つ/小口泰與
蕗の芽が出はじめ、利根川の支流の愛着の川だろうが、春を待ちかねて毛鉤を打った。川の水にも蕗の芽にもある早春の息吹が何よりも嬉しい。(高橋正子)

○雪割一華(ユキワリイチゲ)

[ユキワリイチゲの花/東京白金台・自然教育園]

★雪割一華へ浅春の陽が燦々と/高橋信之
★一華咲く春の確かな陽の中へ/高橋信之

四季の森公園で初めて「キクザキイチゲ」を見た。去年3月22日のこと。「イチゲ」とは、どんな字を書くのだろうと名札のカタカナを見ながら思った。「一華」である。一茎に一つ花を咲かせる。
先日2月14日に小石川植物園に行った。園内を巡り、売店で柚子茶を飲んでもう帰ろうかと思ったところ植物園で作業をしている男性に出会って立ち話を少々した。一旦別れ、歩いているとまた出会って「下にユキワリイチゲの蕾がちょうど出たところだよ。神社の下の小さい池がある辺り。」と東北訛りで教えてくれた。神社は太郎神社、小さな沼池は榛の木が生えているところと見当がついた。危うく見逃すところだったが、言われた所に行くと、榛の木の生えている少し上に名札が立ててあるのに気付いた。近づくと、紫がかった三つ葉の葉に似た叢に小さな白い蕾が見える。名札がなければ、発見は難しいところだった。一輪だけが咲きかけていた。白い小さな蕾が葉に浮くように、どれも向こうを向くか横向きであった。沼に足を滑らせないように気をつけて、写真を撮った。

★うす青き沼の光りに一華咲く/高橋正子
★榛の木の根方一華の蕾みたり/高橋正子

雪割一華(ユキワリイチゲ、学名:Anemone keiskeana)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の滋賀県から九州にかけて分布し、林の中や渓流沿いなどに生える。「雪割」は早春植物を意味し、「一華」は一茎に一輪の花を咲かせるという意味である。草丈は20から30センチくらいである。根際から生える葉は3小葉からなる。小葉は三角状の卵形でミツバの葉に似ていて、裏面は紫色を帯びる。茎につく葉は茎先に3枚が輪のようになって生える(輪生)。開花時期は3月から4月である。花の色は白く、淡い紫色を帯びている。花びらは8枚から12枚くらいである。ただし、花弁のように見えるのは萼片である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。花言葉は「幸せになる」である。属名の Anemone はギリシャ語の「anemos(風)」からきている。種小名の keiskeana は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんの」という意味である。圭介はオランダ商館のシーボルトのもとで植物学を学んだ。(花図鑑、c龍&華凛)

◇生活する花たち「満作・椿・蝋梅」(神奈川・大船植物園)

2月16日(金)

★向こうからさざ波寄する猫柳   正子
ゆったりとさざ波が寄せてくる河畔に、ふくらみはじめた銀色の猫柳を思いうかべました。懐かしい感じのする早春の景です。(小川和子)

○今日の俳句
二月の陽を反射させつつバス来たる/小川和子
バスを待っていると、向こうから陽を反射させながらバスがやって来た。光は、早くも明るい二月の光。二月の光を連れて来たバスである。(高橋正子)

●『水の俳句』5冊未着なので、メールで事情を問い合わせる。家探しをしたが家にはどこにもない。『毎日俳句αあるふ』が季刊になるとのこと。

○雪割草

[雪割草/横浜・四季の森公園(左:2013年2月10日/右:2012年3月22日)]

★雪割草雲千切れとぶ国上山/朝妻 力
★雪割草佐渡がもつとも純なとき/中嶋秀子
★雪割草垂水の滝は巌つたふ/山口草堂
★雪割草風透き通るこの辺り/高澤良一
★日に飢ゑし雪割草と灯をわかち/軽部烏頭子
★森の空高し雪割草に吾に/高橋信之
★雪割草の色いろいろに咲く日向/高橋正子

○国営越後丘陵公園(新潟県長岡市)の雪割草まつり
○2013年3月16日(土)から4月7日(日)開催
○主なイベント:展示会講演会花苗・資材販売
平成20年3月1日に「新潟県の草花」に指定された雪割草。長い冬を耐えて可憐な花をつける雪割草の魅力を屋内展示や群生地にてご鑑賞いただけます。4月上旬には約9万株の雪割草の群生地が見頃を迎えます。「新潟県の草花」
雪割草。
「雪割草」は、キンポウゲ科ミスミソウ属( Hepatica )の園芸名で、北半球に9種類の分布が知られています。日本にはその中の1種類( H.nobilis )から分かれたミスミソウ・スハマソウ・オオミスミソウ・ケスハマソウが自生しています。これら雪割草の中で最も注目される「オオミスミソウ」。自生地は新潟県を中心とする日本海側にあります。このオオミスミソウは、雪割草の中でも最も変異の幅が広く、さまざまな色や形が楽しめ、しかも性質が丈夫であるため交配に熱中する愛好家も増えています。また、個体もさることながら色とりどりの群生の素晴らしさも言い尽くせません。早春、木立の中で愛らしい花々が咲き乱れ、互いを引き立てながら調和しあう美しさは、出会った人々にすばらしい思い出を与えてくれることでしょう。
http://echigo-park.jp/guide/flower/hepatica/index.html

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・沈丁花の蕾・木瓜」(横浜日吉本町)

2月15日(木)

★菜の花に蛇行の川の青かりし   正子

○今日の俳句
春立つや空の青さに海の色/下地鉄
「春立つ」の声を聞けば、空の色、海の色に春らしい明るさを感じるのも人の心。春は空の色、海の色から始まる。(高橋正子)

●信之先生にマーキスフーズフーからライフタイムアチーブメント賞が贈られてきた。
『水の俳句』5冊注文の納品書と払い込み用紙が郵送されてきたが、当の雑誌は手元に届いていない。

元希の5歳の誕生日のお祝いに自転車をプレゼントしてるが、18日にお祝いに行くのになにか「欲しい食べ物はなあに」と聞くと、「りんごジュース」という返事。「つがる」のりんごジュースのことなので、困った。いつも買う近所のスーパーでは、2月の初めに販売期間が終了。東急にあったような気がしたので、行ってみることに。

○菜の花

[菜の花/伊豆河津(2011年2月22日)]   [菜の花/横浜日吉本町(2013年2月3日)]

★菜の花や月は東に日は西に/与謝蕪村
★家々や菜の花いろの灯をともし/木下夕爾
★菜の花に汐さし上る小川かな/河東碧梧桐
★菜の花の遥かに黄なり筑後川/夏目漱石
★菜の花の暮れてなほある水明り/長谷川素逝
★菜の花に汐さし上る小川かな/河東碧梧桐
★一輌の電車浮き来る菜花中/松本旭
★寝足りたる旅の朝の花菜漬/稲畑汀子
★咳こもごも流転身一つ菜種梅雨/目迫秩父
★白鷺の飛びちがへるに菜種刈る/木村蕪城
★菜殻火に刻々消ゆる高嶺かな/野見山朱鳥
★うしろから山風来るや菜種蒔く/岡本癖三酔

★まんまるい蕾もろとも花菜漬け/藤田裕子
まんまるい、黄色も少し見える蕾もろとも漬物に付け込むには、心意気がいる。日常生活が身の丈で表現された句。(高橋正子)

★菜の花へ風の切先鋭かり/高橋正子
★菜の花も河津桜も朝の岸/高橋正子
★菜の花の買われて残る箱くらし/高橋正子

 菜の花(なのはな、英語:Tenderstem broccoli)は、アブラナまたはセイヨウアブラナの別名のほか、アブラナ科アブラナ属の花を指す。食用、観賞用、修景用に用いられる。アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを指して「白い菜の花」「ダイコンの菜の花」ということもある。
 3月のこの季節、菜の花は季節の食材として店頭にも多く並ぶようになった。3月18日に家族で椿山荘で食事をしたとき、菜の花のからし酢味噌かけがあった。天もりは、芽紫蘇。若い者たちも「菜の花のからし酢味噌かけ」が一番おいしかったと答えた。味のリズムと触感と彩りと季節感があったのだろう。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・沈丁花の蕾・木瓜」(横浜日吉本町)
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2月月例ネット句会入賞発表


■2018年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年2月11日

【金賞】
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
桜の芽が伸びている空は、もうすぐ桜が咲く予感に満ちて華やかな気配がある。その空へと続く坂があれば、登ってみたくなるものだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
春の草はようやく芽生えたもの、すっかり丈を伸ばしたものなど、生長に遅速がある。丈があるものは風に吹かれて一つ大きく育っている。(高橋正子)

★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
棚田にあたる日が谷間に残る春雪を溶かしている。「溶かせつつ」というのだらから、棚田の日は、十分に棚田を温める日でありながら、雪を溶かしてるのだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★頂は春陽集いしところなり/多田有花
山の頂は、四方八方、真上から春陽を受けているのではないか。春の陽がにぎやかに頂に集まってあたたかな集いが始まっているいるようだ。(高橋正子)

★子らの居ぬブランコ風の触れてゆく/祝恵子
ブランコは子どもたちが大好きな遊具だ。(中国や、日本の平安のころは大人の乗るものであったようだが。)子どもが乗っていないブランコは風が触れて揺らしてゆく。風がブランコにのっているかのように。(高橋正子)

★春満月高く見上げて帰る道/高橋句美子
水に潤ったような春の満月。高く上る春の満月に帰る道が心楽しい道となった。(高橋正子)

【高橋信之特選/9句】
★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
萌え出た春の草、一つ一つの新たな生命に、吹く風がことに優しく感じられます。柔らかな草の動き、快い風の広がりに、みずみずしい春の訪れを思います。(藤田洋子)

★一月の法事に幼は手を合わす/祝恵子
1月の法事というと前の年の暮れに亡くなられた人の法事と思われる。幼子も見知ったる方なので、みんなと共に手を合わせる。故人を悼む気持ちが良く表現されている。 (廣田洋一)

★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
棚田全体に春日が当たり雪をかぶった所々を溶かし始めている。見ていて飽きない感じですね。(祝恵子)

★濡れているひじき買うなり海も買い/髙橋正子
春採取して乾燥し、油揚・大豆などと一緒に煮て食べるひじきをお店で買い、そのひじきから外海に面する波の激しい岩礁上に付着する素晴らしい海の匂いも一緒に買った嬉しさが素敵ですね。(小口泰與)

★合格の知らせを告げる着信音/高橋秀之
受験生のみならず、ご家族にとっても大変な受験期を乗り越え、待ちに待った「合格」の知らせ。感慨ひとしおの嬉しさが伝わる着信音に、春来る明るさ、喜びを感じます。 (藤田洋子)

★白梅のかげりてうすき緑なる/髙橋正子
咲いたばかりの瑞々しい白梅に春の日差しが柔らかく、うす緑にもかげる可憐で清々しい白梅と芳香に春の喜びを感じます (柳原美知子)。

★恵方巻思い出すのは母の味/高橋秀之
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
★春の階わが影しかと映されし/髙橋正子

【高橋正子特選/9句】
★子らの居ぬブランコ風の触れてゆく/祝恵子
立春が過ぎたとはいえ、まだ冷たい風が吹き、子供たちは乗っていないブランコ。公園に賑やかな声が響く日が待たれます。(柳原美知子)

★ミニカーを離さず寝る児日脚伸ぶ/藤田洋子
ミニカーを握りしめているのはまだ小さな子なんでしょう。きっと明るい時間が少しずつ伸び、そしてその分遊び疲れて寝ているのではないか、そんな春先のひとこまを感じます。(高橋秀之)

60.春浅き日の喜びに明るい空/髙橋信之
風はまだ冷たいながらも春の日差しの届く空は明るく青く晴れわたり、心も晴々と春の到来が実感されます。 (柳原美知子)

★春立てり夕陽に染まる白灯台/高橋秀之
春の海の青と白灯台を夕陽がやわらかく染めてゆく美しい情景が目に浮かびます。穏やかな海の夕暮れにも春の訪れが感じられます。 (柳原美知子)

★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
★頂は春陽集いしところなり/多田有花
★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
★春満月高く見上げて帰る道/高橋句美子

【入選/15句】
★新幹線からの景色や雪の富士/高橋秀之
新幹線での上京は、天候の良い日であれば静岡辺りで富士山を仰ごうと思い、そわそわします。都合よく富士山を眺める事は、中々出来ない所を、圧倒されるほどの雪の富士山を眺め感動した作者である。 (桑本栄太郎)

★群青の宵空深し冬送る/桑本栄太郎
冬の時期の宵の空は、群青の色濃さがありますが、それも冬を送る時期の様子と思えば、感慨もひとしおであろうと思います。 (高橋秀之)

★春の日にきらめく海や波を待つ/廣田洋一
波も穏やかに煌めく春の海を眺め、その穏やかな波が寄せてくるのを待つ時間は、まったりとした穏やかなひとときを感じます。 (高橋秀之)

★春隣孫子の来る誕生日/河野啓一
お孫さん、お子さんに囲まれ祝われる誕生日。ほのぼのとした温もりのある情景に、まだ寒さの続く中にも春の到来が身近に感じられます。(藤田洋子)

★雪踏みて鳴る音一歩ずつ確かめ/高橋句美子
首都圏では厳しい寒波と積雪に見舞われた今年。踏みしめる雪の一歩一歩に、雪の感触、接する雪の音が伝わります。寒さの中にも都心の雪が新鮮に目に映ります。(藤田洋子)

★春来たるコナラの梢も柔らかく/古田敬二
見慣れている森のコナラの梢の様子にも春の訪れが感じられ、心も弾みます。心地よい口調にも惹かれます。 (柳原美知子)

★陽光の田面きらめき風光る/ 桑本栄太郎
★春の日や流れる雲を見ていたり/多田有花
★早春の風が揺らしていく梢/多田有花
★我が街の彼方伊吹の残雪嶺/古田敬二
★早春の風が水面に波立てる/高橋秀之
★パンくずを得開けあう小鳥鵯も来て(ママ)/河野啓一
 ※パンくずを分けあう小鳥鵯も来て
★白壁の道後蔵元椿咲く/藤田洋子
★雪残る囲いの中の緋の牡丹/柳原美知子

■選者詠/高橋信之
★立春の焼海苔ぱりっと音を立てる
音と香りから、春が来た喜びを想像させる巧みさ7962が思われます。(河野啓一)
今年の立春は厳しい寒さのなかでした。暖かい春はまだまだ先。それでも立春という言葉にうれしさがあります。食卓の焼き海苔がたてる音にさえ、その喜びが感じられます。 (多田有花)

★立春過ぎし天仰ぎ見る嬉しさよ
★立春を過ぎて散歩という楽しみ
★水仙咲く広き寺苑に吾も居る
★春浅き日の喜びに明るい空

■選者詠/高橋正子
★囀りは雲のどこかに弾けたる
小鳥の囀りをきいて、どこにいるのか探してみるも、雲に紛れて姿は見えないのに元気な声は弾けている様子が、春の訪れを感じさせてくれます。(高橋秀之)

★白梅のかげりてうすき緑なる
★止まれば紅梅匂う風来り
★濡れているひじき買うなり海も買い
★春の階わが影しかと映されし

■互選高点句
●最高点(4点/同点4句)
02.春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
41.雪残る囲いの中の緋の牡丹/柳原美知子
45.桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
62.白梅のかげりてうすき緑なる/高橋正子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■2月月例ネット句清記(2018年)


■2月月例ネット句清記
2018年2月11日
13名65句 

01.残照の山の冷気や梅の花
02.春の草丈あるものに風吹けり
03.雨粒の消えては生まる木の芽かな
04.恋猫の声の上州訛りかな
05.山峡の雪間の中や蕗の薹
06.群青の宵空深し冬送る
07.こきこきと揺らぐ並木や余寒風
08.陽光の田面きらめき風光る
09.ポン菓子の団地の庭に春来たる
10.上京の荷物チッキに春来たる

11.春の日や流れる雲を見ていたり
12.早春の風が揺らしていく梢
13.風あれどまごうことなき春ここに
14.梅林に柄長の群の来ておりぬ
15.頂は春陽集いしところなり
16.春来たるコナラの梢も柔らかく
17.木漏れ日の色濃くなりぬ春来れば
18.春の陽のぬくもり幹に凭れれば
19.我が街の彼方伊吹の残雪嶺
20.春の空越えて異国からメール

21.新幹線からの景色や雪の富士
22.恵方巻思い出すのは母の味
23.早春の風が水面に波立てる
24.合格の知らせを告げる着信音
25.春立てり夕陽に染まる白灯台
26.一月の法事に幼は手を合わす
27.小雪降る走る選手の息づかい
28.蕪汁四天王寺の境内に
29.子らの居ぬブランコ風の触れてゆく
30.春立つ日五指の靴下明るきもの

31.春隣孫子の来る誕生日
32.パンくずを得開けあう小鳥鵯も来て
33.春光をを窓一面に伸びをする
34.パソコンのトラブル解消風さやか
35.雪吊の釣雪解け終わり音もなし
36.早春の熟田津の道堰の音
37.白壁の道後蔵元椿咲く
38.湯籠提げ行き交う人の春初め
39.たんぽぽの小道一輪児が屈む
40.ミニカーを離さず寝る児日脚伸ぶ

41.雪残る囲いの中の緋の牡丹
42.湯たんぽを容れ父母在りし日の昭和
43.日脚伸ぶジャズを聴きつつ菜を洗い
44.棚田の日谷の春雪溶かせつつ
45.桜芽の伸びる空へと坂登る
46.春の日にきらめく海や波を待つ
47.買はねども顔見てまわる雛売場
48.布袋尊お腹光りて春立ぬ
49.紅梅や色濃く咲きし八重の花
50.豆撒くや一斉に天を掴みたる

51.店々の雛人形のすまし顔
52.春満月高く見上げて帰る道
53.雪踏みて鳴る音一歩ずつ確かめ
54.猫柳送り迎えを玄関に
55.通勤の手をポケットに春寒し
56.立春過ぎし天仰ぎ見る嬉しさよ
57.立春を過ぎて散歩という楽しみ
58.立春の焼海苔ぱりっと音を立てる
59.水仙咲く広き寺苑に吾も居る
60.春浅き日の喜びに明るい空

61.囀りは雲のどこかに弾けたる
62.白梅のかげりてうすき緑なる
63.止まれば紅梅匂う風来り
64.濡れているひじき買うなり海も買い
65.春の階わが影しかと映されし

※互選を始めてください。7句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

2月月例ネット句会ご案内(2018年)


●2月月例ネット句会投句案内●
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(冬か春の句)計5句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
※5句投句といたしますのでお間違いのないようにお願いします。

③投句期間:2018年2月4日(日)午前0時~2月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。

▼互選・入賞・伝言
①選句期間:2月11(日)午後6時~2月11日(日)午後9時
②入賞発表:2月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月12日(月)正午~2月14日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之