■3月月例ネット句清記
2018年3月11日
11名55句
01.七色の金平糖や春の星
02.白梅やかって庄屋の蔵と井戸
03.片栗の免れがたく反り返り
04.長閑さや瀞へ落ちたる包装紙
05.朧夜や金属音のライン鳴る
06.春嵐過ぎて芽生えを待つ大地
07.桃の節句わが娘(こ)も孫を持つ歳に
08.梅一輪ようやく咲いて空の青
09.浅春や鵯訪ね来しミニ菜園
10.残雪を遠く望みて伊吹山
11.つちふるや嘗て吾にも蒙古斑
12.落椿ばさと地上へ安らぎぬ
13.西空の群青深き余寒かな
14.立子忌となれば土筆を探しけり
15.清流の石のさざれや流し雛
16.合格の知らせはひとこと通ったよ
17.あちこちに怪しき身なり花粉症
18.春の夢幼き頃の子らの顔
19.梅林を抜けたらそこは大阪城
20.大空に向かう木の枝新芽吹く
21.畦一面兄への供花やイヌフグリ
22.棺逝く春の出水の長良川
23.天寿全う梅咲く里の別れかな
24.兄送る畔にあふれて土筆立つ
25.芋植える旅に行く話など
26.青空に手を広げたる辛夷咲く
27.音立てて一筋落ちる春の水
28.窓開けて囀りを聞く昼餉かな
29.遠足や歴史を学び日の暮れる
30.春嵐砂場の山を削りたる
31.掃除の水たっぷり汲むやクロッカス
32.目を凝らし一本の土筆すぐ二本
33.森の道歩くは春日を踏むことに
34.クロッカス白は祈りの手のふくらみ
35.野の草の刈られ春日の大広場
36.色ペンで地図に数カ所春の山
37.三椏や登る人皆立ちどまる
38.パンジーで囲み色良し花時計
39.切り口を揃え菜の花地名入り
40.一クラス集まり連凧飛ばしゆく
41.散策の静かな春の午後に居る
42.寺の裏に墓地あり春の静かな暮れ
43.山麓の墓地へ降る日がさんさん
44.花芽数多寺への桜大門を
45.墓地の春天ひろびろとわが頭上
46.雲流る空の水色梅八分
47.青き踏む海へ海へと日の中を
48.春の海鴎一列光りこぼる
49.棚に雛飾れば立ちて見上ぐ猫
50.スイートピーうすむらさきの香り買う
51.山焼きの仙石原が真正面
52.土佐水木黄色い花は晴れの日に
53.重なりて桃の蕾が幾本も
54.春の星線で結ばれ星座が浮かぶ
55.しゃぼん玉七色高く高く飛ぶ
※互選を始めてください。7句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。
●3月月例ネット句会投句案内●
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(春の句)計5句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
※5句投句といたしますのでお間違いのないようにお願いします。
③投句期間:2018年3月5日(日)午前0時~3月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
▼互選・入賞・伝言
①選句期間:3月11(日)午後6時~3月11日(日)午後9時
②入賞発表:3月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月12日(月)正午~3月14日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
★受験子の髪ふっくらと切り揃う 正子
受験子は女の子でしょう。切り揃えた髪が肩の上で揺れます。清潔なたたずまいが浮かんできます。(多田有花)
○今日の俳句
弁当を誰か広げている梅林/多田有花
「誰か」がいい。梅の花を楽しみながら静かに弁当と広げている。静かに日差している梅林を思う。
●朝は気温が低いが昼からは暖かくなりそうなので、午後1時から白金台の自然教育園に出掛けた。水生植物園に来ると、温かで、土筆が出ていそうな日差し。目を凝らすと、やはり土筆が出ている。ここに2本、向こうに3本という感じだ。花は
雪割りいちげ、菊咲いちげ、アマナ、片栗の蕾、春蘭、藪椿、ウグイ蔓。むさしあぶみが筍のような感じで芽をのぼしていた。雑木が葉を落としているので、森の中に日がよく当たって明るい。枯草が刈られて、野が平ら。芽生えた草はまだ短い。野茨が芽吹いている。うすい黄土色のプラスチックのカプセルに入ったような患子の実がたくさん落ちている。
目黒線の目黒駅構内で佐賀の小城ようかんと、熊本の蓮根せんべいからし味を買う。蓮根せんべいは、からし蓮根そのもの。小城羊羹と、今日は売っていないが山口の外郎は、愛着のお菓子。山口の外郎があれば絶対買う。
同人誌「遊牧」の塩野谷仁氏から第8句集『夢祝』(邑書林刊)が届く。信之先生宛。「夢祝」は初夢で吉凶を占うこと。宝船の型押しした表紙カバー。「今は昔のけむり真っ白夢祝」からの命名。句の意味は分かりそうで私にはわからない。
「今は昔のけむり真っ白」と「夢祝」の関係に句意を解する手掛かりがない。あるとする人は良い解釈がうまれるだろうが、恣意的解釈になるのではと思う。不即不離の問題だろう。
春の日の真上より差す森歩く 正子
森の路踏むは春の日を踏むに 正子
真みどりに芽吹く野茨水に触れ 正子
遠きところアマナの花の群生す 正子
かたくりの固き蕾につい屈み 正子
○ミモザ(銀葉アカシア)

[ミモザ/横浜日吉本町(左:2014年2月28日)・右:2011年3月27日)]
原義のミモザは、マメ科オジギソウ属の植物の総称(オジギソウ属のラテン語名およびそれに由来する学名がMimosa)。ミモザ(英: mimosa、独: Mimose)は、本来はマメ科の植物であるオジギソウを指すラテン語名。葉に刺激を与えると古代ギリシアの身振り劇ミモス”mimos”(マイム、パントマイムの前身)のように動くことからこの名がついた。ラテン語本来の発音はミモサ、英語発音はマモゥサあるいはマイモゥサとなり、日本語のミモザはフランス語発音に由来する。
ミモザは、フサアカシア、ギンヨウアカシアなどのマメ科アカシア属花卉の俗称。イギリスで、南フランスから輸入されるフサアカシアの切花を”mimosa”と呼んだ事から。アカシア属の葉は、オジギソウ属の葉によく似るが、触れても動かない。しかし花はオジギソウ属の花と類似したポンポン状の形態であることから誤用された。今日の日本ではこの用例がむしろ主流である。鮮やかな黄色で、ふわふわしたこれらのアカシアの花のイメージから、ミモザサラダや後述のカクテルの名がつけられている。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

★蕎麦に摺る山葵のみどり春浅し 正子
蕎麦の薬味にしようと山葵を擂る。その淡い緑に、迎えたばかりの春をそっと感じる。清流の音が聞こえてきそうな爽やかさです。(小西 宏)
○今日の俳句
海鳴りを柔らかに聞く春の浜/小西 宏
春の浜で沖を見やりながら聞く海鳴りは柔らかい。この柔らかな海鳴りに、寒さから解き放たれた春のうれしさが読める。(高橋正子)
●雨は上がる。暖かいく湿度がかなり高い。
○沈丁花

[沈丁花/横浜日吉本町]
★沈丁の四五花はじけてひらきけり/中村草田男
★沈丁やをんなにはある憂鬱日/三橋鷹女
★にはとりの置去り卵沈丁花/皆川盤水
★沈丁の風にころがる鉋屑/高橋将夫
★風下のベンチまた空く沈丁花/木暮陶句郎
★ポストヘの道沈丁の香にも寄り/藤田宏
★沈丁や気おくれしつつ案内乞ふ/星野立子
日本に栽培されているものは中国原産の常緑灌木で、高さい・5メートルに達し、生垣や庭先に植えられたものが多い。花は内面部が白く、外面が紫がかった桃色で、香気が強い。早春まだうそ寒い頃、または淡雪の下、夜気にこの花が匂うのは印象深い。
赤紫色の蕾が弾けると、内側の白い部分が表れて好対照をなす。うそ寒いころの、その香気が好きなために植えられる花であるかもしれない。砥部の庭にも門脇に一本あった。冷たい空気とともに吸うその香りは、肺深く入りこんで、今年も卒業や旅立ちの季節が来たなと思う。田舎の家の庭先にもよく植えられて、子供の間でも沈丁花が咲いたと話題になった。「じんちょうげ」というあの花くらいの重さの音が今も耳に残っている。
★沈丁の香の澄む中に新聞取る/高橋正子
★雪解けの雪が氷れる沈丁花/高橋正子
ジンチョウゲ(沈丁花)とは、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木。チンチョウゲとも言われる。漢名:瑞香、別名:輪丁花。 原産地は中国南部で、日本では室町時代頃にはすでに栽培されていたとされる。日本にある木は、ほとんどが雄株で雌株はほとんど見られない。挿し木で増やす。赤く丸い果実をつけるが、有毒である。花の煎じ汁は、歯痛・口内炎などの民間薬として使われる。
2月末ないし3月に花を咲かせることから、春の季語としてよく歌われる。つぼみは濃紅色であるが、開いた花は淡紅色でおしべは黄色、強い芳香を放つ。枝の先に20ほどの小さな花が手毬状に固まってつく。花を囲むように葉が放射状につく。葉は月桂樹の葉に似ている。
沈丁花という名前は、香木の沈香のような良い匂いがあり、丁子(ちょうじ、クローブ)のような花をつける木、という意味でつけられた。2月23日の誕生花。学名の「Daphne odora」の「Daphne」はギリシア神話の女神ダフネにちなむ。「odora」は芳香があることを意味する。花言葉は「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」。
◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)

★辛夷の花枝ごと揺れて揺るる空/高橋正子
辛夷の花の咲く頃は、早春の強い風の吹く日が多くあります。季節の風に枝ごと煽られながらも、逞しくしなやかな辛夷の花を思います。高々と咲く辛夷の花の白さに、早春の澄みきった空が広がります。 (藤田洋子)
○今日の俳句
桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)
●雨。9度。冬に戻る。
小口泰與さんが「鯵ヶ沢甚句習う夜半の春」という句を投句。「鯵ヶ沢甚句」はどんな唄か聞きたくて、YOU TUBEで聞いた。「西の~」から始まるのだが、山陰の歌が北前船で秋田に伝わったとのこと。のど自慢で聞いたような気がする。
「鯵ヶ沢甚句」を調べるとYOU TUBEの画像が他にいろいろ出る。Morgenblaetter の動画があるのでクリック。ニューイヤーコンサートで聞いたヨハン・シュトラウスのダンス付きの動画だった。次、モーツアルトのピアノ協奏曲21番2楽章、それからモーツアルトのホルン協奏曲、それからマーラーの5番「アダージェット」 、それからスラブ舞曲と聞いた。鯵ヶ沢甚句からスラブ舞曲はネットがなければ辿れない道。
午後9時前に、右手打撲。バイアスピリンを飲んでいるせいで、内出血がひどく、外科でもらっていたシップをし包帯を巻いて手を保護。以前ドアちょっと右手を挟んだだけで、手の甲が内出血で大いに腫れた外科に通った。その経験から今回は驚かず、すぐサロンパスを貼った。それから病院のシップを貼った。効いたのか前ほどではない。
春雨と知れる音なり窓を打つ 正子
一連の写真まんさくもっとも良き 正子
○グランサム椿

[グランサム椿/東大・小石川植物園]
小石川植物園二句
★香港の気風にみちて白椿/高橋正子
★了りつつ蕊の黄ゆたかな白椿/高橋正子
グランサム椿(グランサムツバキ、学名:Camellia granthamiana)はツバキ科ツバキ属の常緑小高木である。原産地は香港の九竜半島である。中国名を「大苞白山茶」という。日本へは昭和時代の中期に渡来した。樹高は3~8メートルくらいである。枝を疎らにつける。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質は厚くて光沢があり、葉脈の部分がへこむ。開花時期は11~2月である。花の色は白く、花径が10~15センチくらいあり大輪である。茶(チャ)の花と似た感じで、黄色い雄しべは500本以上ある。花柱(雌しべ)の先は5つに裂ける。花びら(花弁)は7~10枚くらいで、咲き進むと花びらの先は反り返る。1955年に香港で見され、名は当時の香港総督アレキサンダー・グランサム (Alexander Grantham) 総督に由来。
○2013年の日記より:
先月、2月14日の小石川植物園。いろんな万作が咲きみちていた。榛の花も咲いていた。万作の花を見ながら歩くと、榛の木へ至る道すがら、黄色い蕊の大きな白い花が目に入った。深緑の葉が、葉脈の筋が白い花をより魅力的にしている。なんの花だろう。ヨーロッパの花に違いない。近づくと「グランサム椿」と名札がある。決して椿の花の印象ではない。椿のように花が半開きではないのだから。おおらかに堂々と。威風堂々と。2月なのに、もう終わりかけている。そのはずで、花期は11月から2月とのことだから。この日、忽然と目の前に現れたグランサム椿の花に魅了され、一瞬は、「一体私はどこにいるんだろう。」とさえ思った。発見されたのは1955年でまだ新しい。
◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)
★海に向き伊豆の椿の紅きなり 正子
春の暖かな日を浴びてつやつやした葉の間に大輪の艶麗な紅の花を咲かせる椿の素晴らしさと伊豆の踊り子の小説を思い出させていただきました。ありがとうございます。(小口泰與)
○今日の俳句
大屋根の雪解滴や光りあう/小口泰與
「大屋根」にインパクトがある。雪解滴もあちこちから滴り、賑やかに光りあう。(高橋正子)
●昨日より寒いが、それほどでも。
春寒し薄紫にラベンダー 正子
○椿

[椿/横浜日吉本町]
★赤門を入れば椿の林かな/正岡子規
★飯食へばまぶたに重き椿かな/夏目漱石
★十本に十色の椿わが狭庭/稲畑汀子
★咲き出でて汝こそ真処女白椿/林翔
★虚子の忌の風たをやかな椿山/皆川盤水
★侘助や波郷破顔の大写真/水原春郎
★またひとつ鉦に落ちけり藪椿/言水
★一日を陽を見ぬ谷戸の藪椿 鈴木卓
★藪椿かがやく電車停まるたび/小島みつ代
★城垣の石の番号藪椿/大塚禎子
★侘助や茶釜に湯気の立っており/多田有花
★慎ましき白き椿の初あらし/高橋信之
★侘助へ寺の障子の真白かり/高橋正子
★日表も葉影も侘助うす紅/高橋正子
★庭の樹の間に咲けり初あらし/高橋正子
ツバキ(椿)は、ツバキ科ツバキ属の植物、学名Camellia japonicaであり、日本原産の常緑樹。野生種の標準和名はヤブツバキ。国内外でヤブツバキや近縁のユキツバキから作り出された数々の園芸品種、ワビスケ、中国・ベトナム産の原種や園芸品種などを総称的に「椿」と呼ぶが、同じツバキ属であってもサザンカを椿と呼ぶことはあまりない。照葉樹林の代表的な樹木。花期は冬から春にかけてにまたがり、早咲きのものは冬さなかに咲く。「花椿」は春の季語であるが、「寒椿」「冬椿」は冬の季語。海柘榴とも表記する。花が美しく利用価値も高いので万葉集の頃からよく知られたが、特に近世に茶花として好まれ多くの園芸品種が作られた。美術や音楽の作品にもしばしば取り上げられている。
日本のツバキはヤブツバキ、ユキツバキ、ワビスケ。
ヤブツバキ(原種)は、南西諸島から青森県夏泊半島まで分布している。これはツバキ属の自生地の北限である。西日本にはほぼ全域に分布しているが、東日本では温暖な地域に自生している。
ユキツバキ(雪椿)は、花糸が黄色 ユキツバキの学名はCamellia rusticana (シノニム:Camellia japonica var. decumbens/Camellia japonica subsp. rusticana)。上記のヤブツバキとは別種、またはヤブツバキの豪雪地帯適応型変種、あるいは亜種という見解があり、ヤブツバキに比べ、枝がしなやか、花弁が水平に開く、等の特徴がある。花の変異が多く八重咲きの品種改良に大きく貢献した。別名サルイワツバキ。ヤブツバキとの交雑系統を「ユキバタツバキ」と呼ぶ。
ワビスケ(侘助)は、中国産種に由来すると推測される「太郎冠者(たろうかじゃ)」という品種から派生したもの。「太郎冠者」(およびワビスケの複数の品種)では子房に毛があり、これは中国産種から受け継いだ形質と推測される。一般のツバキに比べて花は小型で、猪口咲きになるものが多い。葯が退化変形して花粉を生ぜず、また結実しにくい。なおヤブツバキの系統にも葯が退化変形して花粉を付けないものがあるが、これらは侘芯(わびしん)ツバキとしてワビスケとは区別される。 花色は紅色~濃桃色~淡桃色(およびそれらにウイルス性の白斑が入ったもの)が主であり、ほかの日本のツバキには見られないやや紫がかった色調を呈するものも多い。少数ながら白花や絞り、紅地に白覆輪の品種(湊晨侘助)などもある。 名前の由来としては諸説あり、豊臣秀吉朝鮮出兵の折、持ち帰ってきた人物の名であるとした説。茶人・千利休の下僕で、この花を育てた人の名とする説。「侘数奇(わびすき)」に由来するという説。茶人・笠原侘助が好んだことに由来する説などがある。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

★花菜の束一つが開き売られたり 正子
花菜が束にして売られていて,かわいい花先が見えている。待ちに待った春のお店での出会いです。(祝恵子)
○今日の俳句
春の日をせりだす床に坐して受け/祝 恵子
「春の日をせり出す」は、ようやく暖かくなった春の日差しをうまく表現している。「せり出す」は、言えそうでなかなか言えない。(高橋正子)
●曇り。昨日と打って変わって今にも雨の降りそうな空。
○ノースポール

[ノースポール/横浜日吉本町]
★ノースポールの真白き花に四月来ぬ/高橋正子
ノースポール(North Pole、学名:Leucsnthrmum paludosum Syn. Chrysanthemum paludosum)は、キク科 フランスギク属の半耐寒性多年草である。しかし、高温多湿に極端に弱いため、国内では一年草として扱われている。「ノースポール」はサカタのタネの商品名であるが、種苗登録などはされていないため、一般名として定着している。旧学名またはシノニムの「クリサンセマム・パルドーサム」と表記されることもある。12月から翌6月にかけ、白い花を咲かせる。名の由来は、花付がよく株全体を真っ白に覆うように見えるところが北極を連想させることによる。
原産地はアフリカのアルジェリア周辺ないしはヨーロッパ。地中海沿岸に広く分布している。日本へは1960年代に入って輸入された。 草丈は15cm-25cmほど。まだ寒い12月ごろから初夏までの長期間、マーガレットによく似た白い花を付け、矮性でよく分枝し、芯の管状花は黄色。今日では冬のガーデニングにはなくてはならない存在にまでなった。
比較的強健で、こぼれ種でもよく増え、雑草混じりの場所などでもよく育つ。しかし、市販品のタネから育てるときは、タネの数が少ないので、浅鉢にまき、覆土しないか、タネが隠れる程度に覆土して、鉢底から吸水させる方がよい。蒔き時は東京付近で9月中旬から10月上旬、日のよく当たる場所を好み、乾き気味に管理する。過湿は根腐れの原因となる。日本では6月頃までよく咲くが、暑くなると急速に枯れてしまう。
パンジーやヴィオラなどとともに、春先から初夏までの庭を彩る主役をつとめる。とくに、性質のよく似た植物で黄花のクリサンセマム・ムルチコーレと一緒に植えると、コントラストが美しい。(Wikipedia より)
◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・猫柳」(東大・小石川植物園)

★花菜の束一つが開き売られたり 正子
花菜が束にして売られていて,かわいい花先が見えている。待ちに待った春のお店での出会いです。(祝恵子)
○今日の俳句
春の日をせりだす床に坐して受け/祝 恵子
「春の日をせり出す」は、ようやく暖かくなった春の日差しをうまく表現している。「せり出す」は、言えそうでなかなか言えない。(高橋正子)
●四月の中旬の気温。明け方早く目が覚め、部屋の温度が低い感じがした。もしやと、カーテンを開けると、窓を開けたままだった。真冬なら窓を開けたはとても眠れない。
新じゃがが美味しそうに見えたので買った。新じゃがだけ炊いても美味しいのだが、句美子にあげるにはちょっと淋しい。思いついて鶏のミンチと炊いた。煮汁を残さないように最後は蓋をとって炊く。「新じゃが、おいしいねえ。」と感想。調味料は、出来上がったときの味を想像して、目分量というか、手首の回し加減、指のつまみ加減がほどんどの日常の料理。
○木瓜の花

[木瓜の花蕾/横浜日吉本町(2013年2月13日)]_[木瓜の花/横浜日吉本町(2011年3月27日)]
★初旅や木瓜もうれしき物の数 子規
★黄いろなる真赤なるこの木瓜の雨 虚子
★岨道を牛の高荷や木瓜の花 鬼城
★一と叢の木瓜さきいでし葎かな 蛇笏
★花ふゝむ木瓜にひかりて雨ほそし 悌二郎
★日のぬくみ吸うて真つ赤に木瓜の花 淡路女
★木瓜の朱いづこにかあり書を読む 青邨
★浮雲の影あまた過ぎ木瓜ひらく 秋櫻子
★つれづれに夕餉待たるる木瓜の花 草城
★木瓜紅く田舎の午後のつづくなる 多佳子
★木瓜咲くや漱石拙を守るべく/夏目漱石
★草木瓜に日はあたたかし道の縁/高橋正子
中国原産の落葉低木。日本には江戸中期に渡来したといわれる。平安時代の説も。四月ごろ葉に先だって花を開く。深紅色のものを緋木瓜、白色のものを白木瓜、紅白雑色のものを更紗木瓜という。実は薬用。実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したも言われる。
木瓜は、棘がある。四国砥部の我が家の門扉近くには緋木瓜が植わっていた。その隣に蝋梅、その隣に白山吹、白椿と並んでアプローチを飾っていた。日当たりがよかったので、正月ころからぼつぼつ咲き始めた。子供のころは、紅白がまだらになった更紗木瓜と緋色より薄い紅色の木瓜をよく見た。更紗木瓜については、なんでこのような色具合にといつも思っていたが、そういう咲き方するもののようだ。今はどうか知らないが、春先の花展で、さんしゅゆ、万作の花と並んでよく使われた。秋にひょっこり花梨を少し小さくした、枝に似あわず大きな実がついていることがあった。花梨もバラ科なので樹高は違うが木瓜と似たところがある。
◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)

★手渡されながら花桃散りいたり 正子
○今日の俳句
一枝の桃を活けたりひな祭り/河野啓一
一枝の桃の花で、ひな祭りがずいぶん円かになる。あかるく、あたたかく、かわいらしい桃の花は、やはり、雛の節句に相応しい。(高橋正子)
●晴れ。16度。風なし。昼間の暖房は電気炬燵だけ。夜、朝日ウィークリーを買ってくる。今週の旅はユング・フラウやアイガーのスイス。樅の木と山小屋の赤い雨戸が雪原に映える。ドイツ在住のフリーランスライターの女性の記事。日本の女性も海外で活躍して思わず感心する。出発点はなんなだろうと、つい思う。
朧夜の月は遠くて白きもの 正子
捨てんとす新聞一束菫咲く 正子
○桃の花

[桃の花/横浜日吉本町]<
★故郷に桃咲く家や知らぬ人/正岡子規
★百姓の娘うつくし桃の花/正岡子規
★桃咲くや古き都の子守唄/正岡子規
★雛の影桃の影壁に重なりぬ/正岡子規
★両の手に桃とさくらや草の餅/松尾芭蕉
★葛飾や桃の籬も水田べり/水原秋桜子
★風吹かず桃と蒸されて桃は八重/細見綾子
★桃咲いて五右衛門風呂の湯気濛々/川崎展宏
★金貸してすこし日の経つ桃の花/長谷川双魚
モモ(桃、学名は Amygdalus persica L.で[1][2]、Prunus persica (L.) Batsch はシノニムとなっている[3]。)はバラ科モモ属の落葉小高木。また、その果実のこと。春には五弁または多重弁の花を咲かせ、夏には水分が多く甘い球形の果実を実らせる。中国原産。食用・観賞用として世界各地で栽培されている。
3月下旬から4月上旬頃に薄桃色の花をつける。「桃の花」は春の季語。桃が咲き始める時期は七十二候において、中国では桃始華、日本は桃始笑と呼ばれ、それぞれ啓蟄(驚蟄)の初候、次候にあたる。淡い紅色であるものが多いが、白色から濃紅色まで様々な色のものがある。五弁または多重弁で、多くの雄しべを持つ。花柄は非常に短く、枝に直接着生しているように見える。観賞用の品種(花桃)は源平桃(げんぺいもも)・枝垂れ桃(しだれもも)など。庭木として、あるいは華道で切り花として用いられる。
葉は花よりやや遅れて茂る。幅5cm、長さ15cm程度の細長い形で互生し、縁は粗い鋸歯状。湯に入れた桃葉湯は、あせもなど皮膚の炎症に効くとされる。ただし、乾燥していない葉は青酸化合物を含むので換気に十分注意しなければならない。
7月 – 8月に実る。「桃の実」は秋の季語。球形で縦に割れているのが特徴的。果実は赤みがかった白色の薄い皮に包まれている。果肉は水分を多く含んで柔らかい。水分や糖分、カリウムなどを多く含んでいる。栽培中、病害虫に侵されやすい果物であるため、袋をかけて保護しなければならない手間の掛かる作物である。また、痛みやすく収穫後すぐに軟らかくなるため、賞味期間も短い。生食する他、ジュース(ネクター)や、シロップ漬けにした缶詰も良く見られる。
◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)
★芽柳のるると色燃ゆ向こう岸 正子
柔らかい風にさ緑の芽を付けた柳の枝が川の畔などで靡くさまに瑞々しい春の趣を感じます。「るると色燃ゆ」の措辞に向こう岸の若緑の芽柳は日毎に濃い緑へと成長し、しなやかにそして爽やかに揺れる光景が目に浮かびます。傍で見るよりも向こう岸に揺れている芽柳の方が朧に見えて余計風情を感じられる様に思います。(佃 康水)
○今日の俳句
海の味口に溢るる牡蠣祭り/佃 康水
牡蠣をはじめ貝類は、とくに潮の香りがする。牡蠣祭りでたくさん牡蠣を召し上がったことだろうから、口中には海の味があふれるほどに。(高橋正子)
●晴れ。昨日は21度あったらしい。今日は15度。
クロッカスの濃い紫とうすい紫(白に紫の細い線)が咲いた。黄色ばかりと思っていた。
水滴のダイヤのごとくクロッカス 正子
十一時春の日いまだ澄みており 正子
春の日の朝風呂森の香に仕立て 正子
○ヒアシンス(風信子)
[ヒアシンスの花/横浜日吉本町]
★一筋の縄ひきてありヒヤシンス/高浜虚子
★敷く雪の中に春置くヒヤシンス/水原秋桜子
★銀河系のとある酒場のヒヤシンス/橋石
★誰もゐなくて満開の風信子/如月美樹
★ヒアシンス白水仙とあわせ活け/高橋正子
★ヒアシンスの香り水より立つごとし/高橋正子
ヒアシンスともいう。小アジア原産。草丈20センチほど。色は白・黄・桃色・紫紺・赤など。香りが高い。ヒヤシンスの名は、ギリシャ神話の美青年ヒュアキントスに由来する。彼は愛する医学の神アポロンと一緒に円盤投げに興じていた。その楽しそうな様子を見ていた西風の神ゼピュロスは、やきもちを焼いて、意地悪な風を起こした。その風によってアポロンが投げた円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額を直撃してしまった。アポロンは医学の神の力をもって懸命に治療するが、その甲斐なくヒュアキントスは大量の血を流して死んでしまった。ヒヤシンスはこの時に流れた大量の血から生まれたとされる。
ヒヤシンスは花茎がまっすぐで意外と頼もしい。しかし優艶。こんなところからか、特に青い花を見ていると美青年が髣髴される。
ヒヤシンスを植えたところは踏まれないように縄を一筋張って置く。縄を張るなんていかにも昭和らしい。今日2月29日は朝から粉雪が舞い、2センチほど積もっている。春の雪が敷く花壇にヒヤシンスが咲けば、そこだけ「春」が置かれたようになる。虚子、秋桜子と対照的な句だが、ヒヤシンスの姿をよく表わしている。わが家では、年末水栽培のヒヤシンスを買い、早も咲いていたのだが、花の匂いを楽しんだ。水栽培で子どもたちでも楽しめる。
以上の文は、2月が29日あった最近の年の文。つまり、2012年。
今年(2013年)も年が明けてヒアシンスの鉢植を近所の花屋で買って楽しんだ。薄い紫を選んだ。一鉢に三球ある。花は全部で六本咲いた。一球から二本ずつ花が咲いた。二本目が立ちあがるころ最初の花の茎が斜めに倒れるので切り取って花瓶やコップに挿した。ヒアシンスが一番似合ったのはキッチン。薄紫ばかりで単調なので散歩の途中、山裾の捨て球根から育った蕾の水仙を二本摘んで来て一緒に挿して置いたら、とても清楚なまっしろな水仙が開いた。それが、またヒアシンスと特別よく似合った。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)