★鵙の声青空あればどこからも 正子
深まりゆく秋を象徴するかのような鵙の鳴き声は、キチキチとも、又、チュンチュンとも鳴き、見上げる青空の深さを一層覚えます。まさに青空の何処からも聞こえてくるようです。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
青空のあおに木魂す鵙の声/桑本栄太郎
「キチキチキチ」と鋭い鵙が声がするが、その正体はどこかと思うことがある。青空のあおに抜けて行く声であるが、よく聞けば「木魂」している。その声がはね返って、また耳に入るような。(高橋正子)
●曇り。今日は25度くらいだが、明日からは10月下旬の冷え込みに、の予報。
片付けようと思うが片付けられない床積み本。取り出してはぱらぱら読む。これ、大掃除のとき畳の下に敷いてある新聞を読むにも似る。
秋冷が至る三崎歌集の白秋に 正子
『雲母集』沖ゆく船は秋の船 正子
白秋の一書は白し秋灯下 正子
八一句集まことに錆びて秋灯下 正子
○榠?(カリン)・木瓜(ぼけ)
[榠?の実/横浜日吉本町] [木瓜の花/横浜日吉本町]
★くらがりに傷つき匂ふかりんの実/橋本多佳子
★かりんの実しばらくかぎて手に返す/細見綾子
★にこにことかりん甲乙つけがたし/堀米秋良
★枝撓むほどになりたる花梨かな/瀬島洒望
★売り家の庭に花梨が熟れている/川上杜平
★花梨の実たわわ果実酒思いたつ/島崎冨志子
★テーブルに置いて花梨の実が匂う/高橋正子
★花梨の実祭り幟がはためくに/高橋正子
カリン(榠?、学名:Chaenomeles sinensis)は、バラ科ボケ属の落葉高木である。その果実はカリン酒などの原料になる。マメ科のカリン(花梨)とは全くの別種である。ボケ属(Chaenomeles)としての表記が多いが,C. K. Schneider はカリン属(Pseudocydonia)として一属一種説を発表している。マルメロ属(Cydonia)の果実も「かりん」と称されることがあるが,正しくはマルメロである。別名、安蘭樹(アンランジュ)。中国では「木瓜」と書く。ボケ属の学名は,ギリシャ語の「chaino(開ける)+melon(リンゴ)」が語源で、「裂けたリンゴ」の意味。果実は生薬名を和木瓜(わもっか)という(但し和木瓜をボケやクサボケとする人もあるし、カリンを木瓜(もっか)とする人もいる。これらカリン、ボケ、クサボケは互いに近縁の植物である)。 なお,日本薬局方外生薬規格においてカリンの果実を木瓜として規定していることから,日本の市場で木瓜として流通しているのは実はカリン(榠?)である。
原産は中国東部で、日本への伝来時期は不明。花期は3月?5月頃で、5枚の花弁からなる白やピンク色の花を咲かせる。葉は互生し倒卵形ないし楕円状卵形、長さ3?8cm、先は尖り基部は円く、縁に細鋸歯がある。未熟な実は表面に褐色の綿状の毛が密生する。成熟した果実は楕円形をしており黄色で大型、トリテルペン化合物による芳しい香りがする。10?11月に収穫される。実には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどを含む。適湿地でよく育ち、耐寒性がある。
花・果実とも楽しめ、さらに新緑・紅葉が非常に美しいため家庭果樹として最適である。語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ庭の表にカリンを植え、裏にカシノキを植えると商売繁盛に良いとも言われる。カリンの果実に含まれる成分は咳や痰など喉の炎症に効くとされ、のど飴に配合されていることが多い。渋く石細胞が多く堅いため生食には適さず、砂糖漬けや果実酒に加工される。加熱すると渋みは消える。
◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)

★辻に出て通う秋風身にまとう 正子
十字形に交わった道路に出ると四方よりの秋風が爽やかに通り抜けている。その風を総身にまとった一時の心地よさと「もう秋も深まって来たな」との季節の移ろいに寂しさをも感じられる御句です。(佃 康水)
○今日の俳句
満月や瀬戸の潮騒高まりぬ/佃 康水
月に左右される潮の干満。満月が昇ると、おだやかな瀬戸もざわざわと潮騒が高まる。潮騒の高まりに、ますます輝く満月となって、臨場感のある句となった。(高橋正子)
●来年の結社広告は、「俳句界」は休載。角川に年鑑と奇数月に掲載することに。角川の新年会の欠席の返事を出す。
小さいスライド本棚のスライド部分が外れる。それを嵌めるため、天板だけを外せば済むと思ったが、そうはいかない。天板をとると、棚板がばらばら落ちる。本が崩れ落ちる。やむなく本を取りだしたら、、6畳間の半分ほどに積み重なった。忘れていた本が出てきた。『日本的霊性』(鈴木大拙)、『心より心に伝ふる花』(観世寿夫)など。
昼の虫小さく鳴いて柿熟れる 正子
大地のその小さき草むら鉦叩 正子
秋空のクレーンの中の青三角 正子
○犬升麻(イヌショウマ)
[犬升麻/横浜・四季の森公園]
★秋の野の不思議の花にイヌショウマ/高橋正子
★釣舟草の隣に咲いてイヌショウマ/高橋正子
イヌショウマ(学名:Cimicifuga japonica)は、キンポウゲ科サラシナショウマ属のひとつで、山地の林内に生える高さ60~80センチの多年草。地下茎が発達し横にのびる。根生葉は1~2回3出複葉。小葉はやや硬く掌状に裂け、裂片のふちに不ぞろいのするどい鋸歯がある。葉の両面とも脈に短毛がある。つぼみは紅梅色のような色で、花は白色で穂状に多数つく。つぼみが開くと花弁と萼は落ちてしまい、白色の雄しべが花のように見える。よく似た種類にサラシナショウマがあるが、サラシナショウマは花柄(有柄の白い花)が、はっきりとわかるが、イヌショウマは花に柄がないので違いがよく分かる。花期は7~9月。名前のイヌショウマは、サラシナショウマが薬用(茎葉が枯れてから根を日干しにして用いる。)として用いられるのに対し、薬用にならないためつけられている。分布は、本州(関東から近畿地方)
◇生活する花たち「十月桜・白ほととぎす・野葡萄」(横浜・東慶寺)
★朝はまだ木犀の香のつめたかり 正子
いよいよ秋の深まってくるころ、木犀は花を開く。先ず気づくのはその香りかもしれない。いつの間にか冷たさの感じられるようになった朝の空気に、清らかに漂ってくる。白く小粒な花の姿が更なる秋を伝えてくれる。(小西 宏 )
○今日の俳句
西空の大きや秋の夕映えて/小西 宏
秋空を染める夕焼けの大きさ、美しさに人は言い知れず感動する。それが「西空の大きや」の率直な感嘆となっているのがよい。(高橋正子)
●本当の秋日和。
「俳句添削教室」。10月1日から、昨日8日まで、13人の若い人らしい句が投句された。自分たちだけでやっているのか、自分の言葉で作っているのがいいと思う。俳句グループがあるのかもしれないが、若い社会人のような感じで、いまどきマスコミで流行りの句ではない。流行にとらわれない若者も不思議だなと思う。
今日は朝日の朝刊が休み。夕刊に「むのたけじをたどって⑥」にむのたけじの言葉として、「生きることは、たたかうこと。たたかうとは、つづけること。」が紹介されていた。「たたかうとは、つづけること。」これは、私も常日頃感じていること。私の場合は、「つづけるとは、たたかうこと。」に近いかもしれない。「たたかうとは、冷静であること。」とも言えそう。「戦いすんで、日が暮れて」になりそうでもあるが。
俳句の言葉は、やはり、詩の言葉で、芭蕉が「俗語をただす。」という意味が問われるのではないか。俳句の言葉も、日常の言葉も日本語として同じだと思う人が結構いる。それが分からず、突っ込みを入れてくるが、これは分からせようがないから、今はこちらが引いている。引かないで忍耐しないで済むようになりたいものだ。
また、後日書こうと思うが、「俗語をただす」が今、誤解されて広まっているのではないかという危惧がある。
一昨日は、元が、昨日は句美子が来た。
元
子の車が連れゆく道に秋祭 正子
生まれたときから車好きの元は車をベンツCクラスに替えたと言って乗ってきた。ベンツも安くなってだれでも買えるとのこと。
句美子
わが留守の子の家事秋刀魚焼かれあり 正子
帚木と朝顔ますます秋深む 正子
秋風のベランダ充分日が差して 正子
帚木の一枝ガラス瓶に差し 正子
秋澄みて首都円盤の灰褐色 正子
○野牡丹

[野牡丹/横浜日吉本町]
★紫紺とは野牡丹の色ささやきに/松田ひろむ
★野牡丹を夢見顔して捧げきし/澁谷道
★野牡丹の美(うまし)風湧くひとところ 一葉
★野牡丹の濃ひ紫に惹かれおり 文子
ノボタン科 (Melastomataceae) は、双子葉植物に属し、約180属4400種の大きい科であるが、ほとんどが熱帯・亜熱帯にのみ分布する。ブラジル地方原産。 日本ではノボタン(野牡丹)などの4属7種が南西諸島や小笠原諸島に(ヒメノボタンは紀伊半島まで)分布する。中南米原産のシコンノボタン(紫紺野牡丹)は紫色の大輪の花が美しいのでよく栽培される。おもな属にノボタン属 Melastoma・シコンノボタン属 ibouchina・ヒメノボタン属 Bertolonia・ミヤマハシカンボク属 Blastus・ハシカンボク属 Bredia・ メキシコノボタン属 Heterocentron・オオバノボタン属 Miconia・ヒメノボタン属 Osbeckiaがある。
草本または木本、つる性のものもある。葉は対生。花は子房下位で放射相称、萼片と花弁は普通4または5枚、雄蕊はその2倍ある。果実はさく果または液果。夏から11月頃まで長いあいだ開花。紫色がきれいな花。牡丹のように美しいのでこの名になった。牡丹には似ていない。 紫のものをよく見かけるが、紫の他、赤、白がある。ふつうの「野牡丹は、まんなかのしべの一部が黄色いが、よく栽培される紫紺野牡丹(しこんのぼたん)は、しべは全て紫色である。11月16日の誕生花は紫紺野牡丹で、その花言葉は「平静」。
◇生活する花たち「藻の花・萩・藪蘭」(鎌倉・宝戒寺)

★いっせいに月を待つべく曼珠沙華 正子
○今日の俳句
早朝の山懐の霧深し/井上治代
大洲盆地らしい私の好きな風景だ。早朝でなくても、松山から峠を越えるあたりから、道は流れるような霧に包まれることもあった。(高橋正子)
●曇り。今日から駒林神社の祭り。今朝は、肌寒い。祭りと言えば、昼間は神輿について回れば汗ばむほどだが、夜神楽を見るときは箪笥から毛糸のベストを出して着た記憶がある。
みずほ銀行のATM今日から3連休。
○藪豆(やぶまめ)
[やぶまめの花/横浜・四季の森公園]
★藪豆の花と実を見る快活に/高橋信之
★秋の茂りやぶまめの花絡みつき/高橋正子
ヤブマメは、マメ科ヤブマメ属のツル性一年生草本で、学名は、Amphicarpaea edgeworthii var japonica。北海道から九州、朝鮮から中国に見られ、林縁や草原などに生育する。夏から秋にかけて花を咲かせ、実をつけるが、地中にも閉鎖花を付ける。茎の一部から地中に枝が伸び、土の中で果実を稔らせる。この果実の中には種子は1つしかなく、地上部に形成される種子よりも大きい。地上部の種子は有性生殖であるので多様な性質を持っており、新たな場所へと散布されることを期待している。地下に形成した種子は、単為生殖であるので自らと同じ遺伝子を持っており、まずは来年への存続を確保するという戦略である。このような戦略は、来年もヤブマメが生育可能な立地条件であることがかなりの確度で予想される場合に成り立つ。ヤブマメの生育地は、そのような、来年も一年性のツル植物が生育可能な立地である。 茎は細く,下向きの細い毛がある。葉は3小葉に分かれた複葉で,基部に托葉がある。頂小葉は広卵形または卵形で,長さ3~6cm。2型花をつける。開花する花は8~10月に葉腋(ようえき)から出る短い総状花序に2~8個がつき,紫色の蝶形花で,長さ15~20mm。閉鎖花は花弁がなく,葉腋に1個だけつく。果実は多くは閉鎖花から熟し,地上と地中とにできる。
北海道では山菜として食され、栽培化も試みられた比較的身近な植物になっている。特にアイヌの人たち好まれ、味は”甘栗”のようで炊き込みご飯や煮物にした『アイヌ民族博物館だより』。栄養成分分析によるとカリウムが多く含まれ、ついでリン、マグネシウムほかとなっている『伝承有用植物』。アイヌの人たちがいつ頃から食用にしていたのか分からないが、万葉集(4252)では別れがたい防人の想いをノイバラに絡みつくマメの姿に重ねて歌っており、このマメはヤブマメとされ、昔からその存在は知られていたようだ。
◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)

★秋の潮満ち来る波の触れあいて 正子
穏やかな秋の日に、潮波の触れ合う音が聞こえてくるようです。(祝恵子)
○今日の俳句
寄りし娘に持たす枝豆ゆでたてを/祝恵子
ゆでたてのほっくりした枝豆に母のさりげない愛情が読み取れる。立ち寄る娘のさりげなさも、自然体で美しい。(高橋正子)
●小雨。大型台風25号が沖縄から、西日本、日本海を湾曲して北日本へ。三連休も台風に。
電話あり。声ですぐ圭泉さんとわかる。圭泉さんは退会されてはいるけれど花冠のファン。「俳句四季10月号」を送る。
」
幾たびも台風受けて秋桜 正子
コスモスの苗が花屋に育ちけり 正子
秋冷の青き葡萄の見舞い籠 正子
秋冷の駅の灯りを山頂より 正子
箒草今朝紅らみて割れ鉢に 正子
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「現の証拠・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★十五夜の箱根山道踏みおりぬ 正子
ドライブウエィーでなく細い山道かと思います。十五夜の頃であれば道の両側には薄も穂を出し月光に耀いていたことでしょう。それにしましても又とない体験をされたものと思います。 (黒谷光子)
○今日の俳句
十五夜の光り差し込む青畳/黒谷光子
藺草の匂いもすがすがしい青畳に十五夜の月の光が差しむと、畳の上はきよらかな月光の世界。畳に踏む月光のすがすがしさと美しさを簡潔な句にまとめた。(高橋正子)
●曇り。台風25号沖縄に近づく。
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
★十月のげんのしょうこは可愛ゆしと/高橋正子
げんのしょうこは、ドクダミ、センブリなどの日本の3大民間薬として用いられる。戦後の四国に居たときのことだが、げんのしょうこを近くの空地などで採取、乾燥し、煎じて飲んだ。下痢の症状に効果があって、これも60年以上も昔の懐かしい思い出なのだが、その美しい花を見た記憶がない。げんのしょうこを「可愛ゆし」と見た率直な実感がいい。(高橋信之)
げんのしょうこは、季語では夏。昨日10月5日、四季の森公園へ信之先生と行った。野外に出かけるときの服装は、家を出るとき少し薄着をして、涼しいくらい、寒いくらいで出かけるのが私の常。それに調整のきく服や手袋、マフラー、スカーフなどを持つ。それに山行きの服装を好んでいる。それ向きに繊維も新素材を使っているせいか、何年たっても痛みも少なく重宝している。
四季の森には、いろいろ珍しいものも、そうでないものも咲いていた。げんのしょうこを林縁の落葉が積む中で見つけた。草丈10センチほどで、花も8ミリほど。小さかった。もう終わりなのだ。関東には白花が多いときくが、昨日も白花であった。民間薬として下痢止めに飲まれているそうだが、私は飲んだことはない。紅色にしろ、白色にしろ、可愛い花だ。
昨日の四季の森公園は秋の花がいろいろと。吾亦紅、山とりかぶと、ノダケ、ヤブマメ、イヌショウマ、釣船草、黄釣船草、溝そば、水引草、ヒヨドリ草、彼岸花、白彼岸花、野菊(おもにはヨメナ)、葦の花、薄コスモス、キツネノマゴ(なぜマゴなのでしょう?)、アメリカセンダングサ、サンシュの実、それに林縁の縁の日陰にはきのこ類など。
マユタテアカネという緋色のしっぽの赤とんぼ、馬追いが、ロープに止まって、カメラを近づけても飛び立たない。キリギリスがよく鳴き、つくつく法師が遠くから聞こえた。野鳥、これがなにかわかないが森に2,3種鳴くのが聞こえた。幸い昨日は、四季の森のスタッフのかたにし草の名前をいろいろ聞くことができた。山とりかぶとはこの山にたくさんあるとのこと。紫式部は見つけることができなかった。カワセミの飛翔も見た。
★かわせみ飛ぶ青の速さというべくに/高橋正子
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★秋の潮満ち来る波の触れあいて 正子
穏やかな秋の日に、潮波の触れ合う音が聞こえてくるようです。(祝恵子)
○今日の俳句
寄りし娘に持たす枝豆ゆでたてを/祝恵子
ゆでたてのほっくりした枝豆に母のさりげない愛情が読み取れる。立ち寄る娘のさりげなさも、自然体で美しい。(高橋正子)
●曇り。
『朝吹秀和句集』恵送のお礼を投函。
【句集感想】
第一句集の『青いサーベル』の印象が今でもとても強く残っておりますが、
その時は、朝吹さんが磯貝碧諦館氏の弟子であることをあまりに重く考えな
いで、拝読したように思います。今回の句集に収められました「論考・草田
男の詩精神継承を目指して」を拝読し、朝吹さんの句は、草田男ー碧諦館と
繋がる師系のなかで生まれたのであろうと思うと、俳句の構造に随分納得し
て鑑賞できました。高みのある御句にいつもながら姿勢を正される思いです。
二十年ぐらい前になりますけれども、上野で「ケルト美術展」が日本で初
めて開催されて、それを偶々見ました。そのケルトの印象が未だに強く自分
の内に残っていて、何かそういった印象のものに出会うと、それを思い出し
ます。勝手な読みですが、朝吹さんの俳句の何句かに、そのケルト的なもの
を感じました。
『夏の鏃』以後の句から好きな句を選ばせていただきます。
末枯やゴッホの燃やす日の沈む
「末枯」と「日の沈む」のもつイメージにゴッホの色やうねるような筆遣
いが様々思い浮かびました。
枯野より眠れるチェロを抱き起こす
こんな感じで始まるチェロの弦の響きが耳の底から聞こえて来るようです。
蕭条とした中の温かみのある音色。読み手に音楽を聞かせてくれて、いつも
ながら、さすがと思います。
角材の切り口香る年の暮
年の暮に木材の切り口が、よく香るのに出合った経験はしばしばあります。
冬の空気に匂う木材のかぐわしさに、新鮮さと明るさを感じます。
酢海鼠や死者と一献交わしける
一献交わすとき死者はそこに来ているのでしょう。斎藤 史の「ひつそり
と死者の來てゐる雪の夜熱い紅茶をいれましようね」を思い出しておりまし
た。
追悼 磯貝碧諦館
握る手の永遠の温もり花月夜
かたく握った手の温もりはそこに静止し、永遠に続く。最期の時は永遠の時であって、
それにふさわしい美しい花月夜です。
海鳴りの彼方の母やかき氷
「かき氷」とあるから、少年の日ころの母を思い出されたのでしょうか。「海鳴りの彼
方」の切なさが、なんともいいと思います。
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★刈り進む稲田の真っ赤なコンバイン 正子
今、当に稲刈りの真っ最中です。黄金に熟れた豊かな稲田を真っ赤なコンバインが爽やかな音を響かせて刈り進んでいる。コンストラストが鮮明でコンバインの勢いと刈り進んでゆく人の収穫の歓びも合わせ見えて参ります。(佃 康水)
○今日の俳句
満月や瀬戸の潮騒高まりぬ/佃 康水
月に左右される潮の干満。満月が昇ると、おだやかな瀬戸もざわざわと潮騒が高まる。潮騒の高まりに、ますます輝く満月となって、臨場感のある句となった。(高橋正子)
●爽やかな秋晴れ。
ネット短信No.355を発信。
https://blog.goo.ne.jp/kakan107
「俳句四季10月号・花冠創立35周年」の同人各位の感想をまとめ、「ブログ版俳句雑誌花冠」に載せる。
https://blog.goo.ne.jp/kakan12
昨日、『朝吹秀和句集』(現代俳句文庫84-ふらんす堂/2018.9.25発行)が贈られた。初めて写真を拝見。読みたい本があったが、それは後回しに。
第一句集『青きサーベル』第二句集『光の槍』は贈っていただいた。第三句集『夏の鏃』は読んでいない気がする。句集の中の感銘句はあとで挙げるとして、朝吹さんは、磯貝碧諦館の「握手」の編集長を終刊までされていて、草田男ー碧諦館と連なる師系におられる。このことは、句集の中のエッセイ「論考・草田男精神の継承を目指して」でより明らかにされている。
そのことで、はたと思った。朝吹さんの句を師系に置かないで読んだ場合と、師系列の中で読むのでは、まるで、理解が違う、ということを思った。「師系おそるべし」。朝吹さんの句は、草田男から碧諦館を経て詠まれているのだと気づいた。
自分の句に関しても、複雑だが、師系列のなかで理解してほしいと願うし、それに嵌めないでとも願う。
○貴船菊
[貴船菊/横浜日吉本町] [貴船菊/イギリス・コッツウォルズ]
★観音の影のさまなる貴船菊/阿部みどり女
コッズウォルズ
★小さき村貴舟菊をどの家も/高橋正子
秀明菊は貴船菊ともいう。俳句では貴船菊が多い。多く観られる京都洛北の貴船に由来する。ピンクの花弁は実は額片で中央の黄色は雄蕊、地下茎で増える。
シュウメイギク(秋明菊、学名:Anemone hupehensis var. japonica)とは、キンポウゲ科の植物の一種。別名、キブネギク(貴船菊)。名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。中国から古い時代に入ってきた帰化植物である。文献上では「花壇綱目」に「秋明菊」の名前で記載が成れていて、日本に定着していたことが窺える。中国では明代末の「本草綱目」には記載はなく「三才図会」に「秋牡丹」の名前で記載されるようになる。「秋牡丹」の呼称は貝原益軒も「大和本草」で使用している。以後日本の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれることになった。花色は赤紫色であるが、近年、他種との交配品種が市販されるようになり、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されて名称の混乱が見られる。多年草で開花期は秋、高く伸びた花茎の上に大柄な花をつける。花は多数の赤紫色の花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。
◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)

★式部の実色づき初めしに空晴るる 正子
○今日の俳句
刷かれきてここより鰯雲となる/川名ますみ
眺めている空の雲の景色は、見ていて飽きない。移動していると、空に刷かれていたすじ雲が、あるところからは、鰯雲となったというたのしさ。秋空の澄んだ空気を得て、心境が出た。(高橋正子)
●台風24号の影響が出始める。
早暁目覚め、「俳句四季10月号」を丁寧に読むが、記事が小刻みで写真に遮られ読みにくい。同じような内容の記事が少量ずつあちこちにあるし。来年1年間の購読と申し込んだが、ちょっと残念な思い。
梨の実の中の青梨汽笛鳴り 正子
柘榴の実ほろほろこぼす子の手のひら 正子
柘榴の紅USAの字が浮きて 正子
○アズマカモメヅル

[アズマカモメヅル/東京白金台・国立自然教育園]
東鴎蔓
★森に来て見知らぬ草の花に会う/高橋信之
東鴎蔓(アズマカモメヅル var. albiflorum )は、ガガイモ科 カモメヅル属で、コバノカモメヅルの変種。コバノカモメヅルの白花品(黄緑色)。花の色が違う他は基本種と違いはない。
小葉の鴎蔓(コバノカモメヅル、学名:Vincetoxicum sublanceolatum )はガガイモ科カモメヅル属のつる性の多年草。つる性で、他の草などに巻きついて、高さは2mから3mほどになる。葉は葉柄があり、茎に対生し、形は披針形または広披針形で先が尖り、縁は全縁。花期は7月から9月で、径7から9mmほどの暗紫色をした星型の花をつける。花が終わると径7mm、長さ5から7cm程度の、ガガイモ科特有の袋果(実)をつける。秋に袋果が割れ、種髪(毛束)をつけた種子がはじける。本州の関東地方、中部地方、近畿地方の山野の草原や湿地に自生する。
◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

★金水引つゆ草さくら蓼野が埋まり 正子
春のピークと同様、秋の季節のピークには野山には秋の草花で覆われます。まさに秋の園、草の花、秋の色ですね!!青空に映えて散策が一際楽しくなる気候となりました。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
四条大橋~高瀬川界隈
せせらぎの岸に茶店や水の秋/桑本栄太郎
せせらぎのほとりの茶店はいいものだ。ゆっくりとお茶を飲みながら水音を聞き、水を眺める。「水の秋」の爽やかさである。(高橋正子)
●晴れ。久しぶりの天気。明日からは台風で大雨の予報。布団干し、郵便局、銀行、薬局の用事を済ます。
日吉商店街で小買い物。井口文華堂で小筆。井口文華堂が中央通りからなくなっていたので、隣のマルヤさんで聞くと、すぐ近くに規模を小さくして開店していた。横通りの八百屋で、新潟の無花果、愛媛の青蜜柑、地元の茗荷を買う。東急で子持ち鮎。
柳原美知子さんから電話。「俳句四季10月号」のことで。私の力を注いだところ、ーー 一人一句を挙げるのに句集を読み返したり、ネットの秀句を調べたりしたところをよく汲み取ってもらった話だったので、大変うれしかった。写真までも凛としていいと言われて恐縮。写真では、絶対笑いたくないから笑っていないのだけれど。
一人居の食卓匂わす青蜜柑 正子
みちのくの無花果の乳噴きだせる 正子
鮎焼くとグリルの炎の色清らかなり 正子
◇生活する花たち「茶の花・犬蓼・吾亦紅」(横浜下田町・松の川緑道)
