■2月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年2月10日
【金賞】
★山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
山際は空が山と接するところ。その空がほんのり赤く染まり春立つ日となった。ほんのり赤い山際がやわらかく、『枕草子』の「春はあけぼの」を思い起こさせるような句だ。京都に住まう作者ならではの句だ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★支流より水が水押す雪解かな/小口泰與
山々の雪が解け、支流の川から水が勢いよく流れてくる。次々に「水が水押す」様に、急ぎ流れる雪解川が目に見えるような句だ。(高橋正子)

★ランナーの走り抜け行く春の森/古田敬二
春の森の中。ランナーが春の森を抜けて走る。ランナーの軽快な走りに合わせ、春の森も鼓動を打つようだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★ビル染める夕陽明るく春立つ日/上島祥子
ビルを染める夕陽がぱっと明るいのだ。春立つ日の夕陽の明るさを、ビルに見つけた新鮮な驚きが直に伝わる。(高橋正子)

★寺囲む白水仙をつたう道/髙橋句美子
寺を囲んで白水仙が咲いている。寺に沿い歩くことは、白水仙を伝って歩くこと。しずかに落ち着く綺麗な道だ。(高橋正子)

★初受験父よりもらう万年筆/西村友宏
初めての受験に父が万年筆をくれた。試験に使うわけではないだろうが、受験の勝負に向かう息子への父の思いが万年筆に託されている。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
★ランナーの走り抜け行く春の森/古田敬二
★初受験父よりもらう万年筆/西村友宏
★青空に触れて今年の梅真白/高橋正子
★ビル染める夕陽明るく春立つ日/上島祥子
★節分の豆頬張れば香ばしい/髙橋句美子
★寺囲む白水仙をつたう道/髙橋句美子

【高橋正子特選/7句】
★支流より水が水押す雪解かな/小口泰與
水が水を押す勢いを感じました。(髙橋句美子)

★赤子負うねんねこ姿春寒し/祝恵子
赤子を負うのは母親でしょうか。春の寒さに負けることなく頑張るお母さんがそこにいます。そういえば、最近はねんねこ姿もめっきり減って懐かしさも覚えます。(高橋秀之)

★ランナーの走り抜け行く春の森/古田敬二
★初受験父よりもらう万年筆/西村友宏
★やわらかき雲浮き来れば冬温し/川名ますみ
★ビル染める夕陽明るく春立つ日/上島祥子
★寺囲む白水仙をつたう道/髙橋句美子

【入選/16句】
★壬生寺の壬生狂言や追儺の夜/桑本栄太郎
壬生狂言は、毎年節分と4月、10月に京都市中京区の壬生寺で演じられる無言劇。「壬生寺の壬生狂言」という言葉の連なりと「追儺の夜」が響きあって京都らしさを感じます。 (多田有花)

★花の兄(え)や長子家業を守りたる/小口泰與
花の兄(え)とは梅の事である。桜に先駆け、寒くても震えながら凛と咲く梅の花は、家業を守る長子の覚悟にも似て健気である。 (桑本栄太郎)

★夕映えの沼に一列小白鳥/小口泰與
夕日に映える小白鳥の群れ、それも一列に。見てみたい光景です。 (祝恵子)

★片付けに明け暮れるうち二月早や/多田有花
バタバタしているうちに気が付けばもう二月も早や幾日かすぎている。月日の経つ早さを感じます。(高橋秀之)

★澄み渡る神戸の夜景春立つ日/高橋秀之
まだ寒さは厳しいがさすがに日脚は伸び、木々の芽吹いている春立つ日、神戸の空は星が輝き深い空には月が煌々と輝き春を迎える安ど感があります。素晴らしい景ですね。 (小口泰與)

★園児らの頬っぺた赤き余寒かな/廣田洋一
わが家の子どもたちにもこういう時期がありました。園児たちは大人と違いほっぺた赤くても元気いっぱいです。 (高橋秀之)

★残業の子の帰り来てから福は内/古田敬二
仕事で遅くなられるお子さん、その帰りを待ってから豆まきをするというのも親心ですね。 (多田有花)

★ラの音で走る列車よ今朝立春/川名ますみ
絶対音感の持ち主は聞こえる音すべてが音階になるそうです。「ラの音で走る」とはそういう感覚か、と感じました。こういうの、絶対音感の持ち主でなければ思いつかないですね。 (多田有花)

★紅梅と富士と多摩川窓一枚/川名ますみ
富士の麓を多摩川が流れる、大きな景の中心に紅梅が咲き誇っている。春らしき良い景色です。(廣田洋一)

★まず白が満開となり梅の庭/上島祥子
紅梅も白梅も早生から晩生までさまざまな品種があります。こちらのお庭の白梅は早生のようです。馥郁たる香りが庭いっぱいに広がります。 (多田有花)

★奥山の姿隠して春の雪/ 多田有花
★福豆の踏み砕かれている朝(あした)/古田敬二
★春落葉踏みしめ歩く観音寺/祝恵子
★チャイム鳴り子らが駆けてく春うらら/西村友宏
★カプチーノ泡のひと匙春立てり/柳原美知子
★海よりのさざ波河口に春の鴨/柳原美知子

■選者詠/高橋信之
★冬コート脱ぎ捨てられて妻の椅子
★冬天がひろびろとして吾に広し
★二ン月の青空高し鳥達に

■選者詠/高橋正子
★冴え返る青一枚の空をもて
雲ひとつない真青な空の下、寒気が戻り澄みわたる景色の中、心身ともに清冽な感覚を呼び覚まされるようです。 (柳原美知子)

★青空に触れて今年の梅真白
★梅・椿屋敷木立のなかに咲く

■互選高点句
●最高点(同点7句/3点)
03.山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
04.支流より水が水押す雪解かな/小口泰與
12.澄み渡る神戸の夜景春立つ日/高橋秀之
13.残業の子の帰り来てから福は内/古田敬二
25.冴え返る青一枚の空をもて/髙橋正子
28.園児らの頬っぺた赤き余寒かな/廣田洋一
39.海よりのさざ波河口に春の鴨/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■2月月例ネット句清記(2020年)■


■2月月例ネット句清記
2020年2月9日
14名(42句)

01.壬生寺の壬生狂言や追儺の夜
02.黒々と樹々の梢や寒夕焼
03.山際のほんのり赤く春立ちぬ
04.支流より水が水押す雪解かな
05.花の兄(え)や長子家業を守りたる
06.夕映えの沼に一列小白鳥
07.片付けに明け暮れるうち二月早や
08.いやむしろ心地よきかなこの余寒
09.奥山の姿隠して春の雪
10.友が撮る写真に冬鳥船の上

11.手掴みのケーキの嬉しさ冬の旅
12.澄み渡る神戸の夜景春立つ日
13.残業の子の帰り来てから福は内
14.福豆の踏み砕かれている朝(あした)
15.ランナーの走り抜け行く春の森
16.赤子負うねんねこ姿春寒し
17.春落葉踏みしめ歩く観音寺
18.大根の即席漬は味噌の味
19.冬コート脱ぎ捨てられて妻の椅子
20.冬天がひろびろとして吾に広し

21.二ン月の青空高し鳥達に
22.初受験父よりもらう万年筆
23.初受験父にもらったペン・時計
24.チャイム鳴り子らが駆けてく春うらら
25.冴え返る青一枚の空をもて
26.青空に触れて今年の梅真白
27.梅・椿屋敷木立のなかに咲く
28.園児らの頬っぺた赤き余寒かな
29.青空に高く伸びたる辛夷の芽
30.梅見茶屋の抹茶をすする日和かな

31.ラの音で走る列車よ今朝立春
32.やわらかき雲浮き来れば冬温し
33.紅梅と富士と多摩川窓一枚
34.ビル染める夕陽明るく春立つ日
35.まず白が満開となり梅の庭
36.春の海検疫待ちのクルーズ船
37.熊手売れ手締め高らか椿祭り
38.カプチーノ泡のひと匙春立てり
39.海よりのさざ波河口に春の鴨
40.春炬燵だれも動かずうたた寝す

41.節分の豆頬張れば香ばしい
42.寺囲む白水仙をつたう道

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

2月7日(金)


晴れ。

●昨日、今日と寒波。寒いけれど、この寒さ心地よさがある。天気予報から晴れ、曇りなどの予報が無くなるとのこと。

●新型コロナウィルス肺炎が中国の武漢から流行るが、WHOの会長(エチオピア出身)の最初の宣言は、素人ながら大丈夫かなと気になった。中国配慮ではないのかな、と言う印象だった。感染はどんどん広がっている。スーパーも薬局も、コープもマスクが品切れ。わが家のストックもあと数枚。こうなれば、手洗いをしっかりするしかない。

2月4日(火)


曇り。立春。

噴く湯気の止まりし中に茶碗蒸し    正子
日当たりに元気ないろのサイネリア   正子
ヒアシンスの蕾伸び立ち色ほのと    正子
青空に触れて今年の梅真白       正子
梅つばき屋敷木立のなかにあり     正子
節分の豆を撒く声どこにもなし     正子
立春の朝のガラス戸水色に       正子
立春の朝は水より覚むごとし      正子

●昨日は節分で快晴。信之先生が散歩に行くのでお供。5丁目の丘一体を歩く。休憩なしで1時間ほど歩く。梅が満開。帰りはなるべく下り道を選ぶ。畑だったところにアパートがずいぶん建っている。下り道は、また景色が違って見える。桜の木がある家を2、3件覚えておく。屋敷うちの桜もいい。辛夷のある家も覚える。
家の近くのファミマで巻きずしと、かき揚げそばを買って昼食にした。そばのかけつゆは、ジェリー状であたためるとおつゆになる。

●今日は立春。昨年の医療費を調べたら、私ひとりで11万円以上。歯科、循環器科、内視鏡検査、がん治療後の検査や投薬。通院に忙しかった一年だった。確定申告で医療費控除を申請する準備を始めた。

●2月月例ネット句会投句ご案内●


●2月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(冬の句・春の句)3句
②投句期間:2020年2月3日(月)午前6時~2020年2月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:2月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月10日(月)正午~2月13日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

1月24日(金)


曇り。3月のような暖かさ。

雨あとの枯草赤み帯びいたり  正子
洗いても芹の根土の色であり  正子
野の川に少女遊びの芹を採り  正子
芹採りて束ねて父への土産なる 正子

●先日、紀伊国屋で二年生イソップ童話、二年生アンデルセン童話、二年生グリム童話(各偕成社刊)と『からすのがっこう』『空いろのたね』(光村書店刊)を買って来て袋のまま。昨夜、袋ごと寝床に運んでそれらを読んだ。こんな話があったかしらん、と思う話もある。

1月21日(火)


快晴

●「俳壇」2月号の俳壇賞選考経緯を読む。
応募30句そろえるためには、結局実力がいるようだ。粒がそろわない。無理な表現が出てくる。30句の内、4,5句がダメで実力が出ているようだ。

●自由な投句箱16日~20日の選とコメント。今日より、21日~31日になる。

●子規新報(第2巻76号2020年1月15日発行)が届く。酒井黙禅特集。松山のホトトギスの大御所で38歳で日赤の病院長をされたと学生時代に聞いたが、1948年に辞任されている。私は、それから17年ほどして、臥風先生の句会に出るようになったが、臥風先生は、石楠であったから、批判的な話が時々出た。

●子規新報の同号に、「佐多岬の石蕗の花」として、青木克人氏が、坪内稔典氏のふるさと家のことを書かれている。これを読むと、稔典さんは、自分の本心ではなく、ああいう句を作る必要があったからと作ったと思われた。その「必要」を私が感じたのは、私が田舎に育ったからわかることである。本心を隠すと人はやがて、自分でも本心がわからなくなる。

1月20日(月)


快晴
紅梅に青空いつもと思うなり    正子
灰ねずの辛夷花芽丘にあり     正子
やぶ椿折りたき枝の遠すぎる    正子
西空は明星光る寒の暮       正子
山寺の僧に教わる三十三才     正子
茎漬に飯の湯気さえ白かりき    正子
しゃりしゃりとみぞれ降る中街へ行く 正子
駅までの百歩みぞれに傘ひらく   正子
みぞれ降る音に芽吹きぬ活け柳   正子

●信之先生を連れ出し、鯛ケ崎から5丁目の丘を散策。1時間。森戸原第二公園で休憩。持参のコーヒーを飲む。私は、紙コップに入れたコーヒーを手からすべらし落としてしまった。わずかに残ったのを水筒から飲む。枯れ木に小鳥。目白ではないが、目白に似る。双眼鏡が欲しい。

●鷦鷯・三十三才(みそさざい)の声を初めて聞いたのは、愛媛県の出石寺。早春、ミツマタの花が咲く雲海の上の寺に着くや、杉の木のてっぺんで弾むように鳴く鳥。挨拶よりは先に、あの鳥は?と出迎えの若い僧に聞く。さらりと「みそさざい」といって寒そうな衣を翻し、すたすた玄関へと案内してくれた。この鳥の季語は冬。里に下りているのが冬のようだ。春は山にいる。みそさざいは山で出会いたい。その時の季語は春がいい。

●元希の誕生日プレゼントを何にするか。クリスマスは本人の好きな消防隊のレゴ。去年は地球儀にして、たぶんくるくる回るからか、大いに喜んだ様子。今年は、星座望遠鏡か、天体望遠鏡かと、ネットで探す。