5月16日(土)



小雨。

青葉闇電波時計の受信中     正子
青葉雨窓打つ音の小さく丸き   正子
たたんたたん窓打つ五月の雨の音 正子
薔薇の木に白ばら重きほど咲きて 正子

●「俳壇」6月号の続・日本の樹木12選(最終回)(広渡敬雄著)に、母校愛媛大学の泰山木の並木が載っていた。教育学部の前の並木だと思う。わが国屈指で39本あるそうだ。愛媛大学には、ほかにもゆりの木の並木があって、私はゆりの木の並木のほうが好きだ。泰山木の並木のせいで、教育学部の通りはなんとなく殺風景だった。多分、泰山木は、煉瓦とかのほうが、にあうのではないか。戦後まもなく建てられた校舎には、不似合な木に思われた。しかし、このように俳句雑誌にとりあげられ、木が褒められるなんて栄誉なこと。

●著者の広渡敬雄さんは、たしか、角川俳句賞を獲られた方と思う。一度だけ、角川の授賞式を見物したとき受賞された方と思う。句集『間取図』をいただいているが、お礼を出していない。見知らぬ方から句集をいただいて、わたくしごときまでにと拝読し、好きな句には、チェックをつけているが、お礼は、本当にいろんなことが頭を回って、書きにくい。いつかお礼を出そうとは思っているけれど。

ご挨拶


5月となりましても、新型コロナウィルス感染が広がって、なかなか収束する様子も見えません。多くの催し物が中止や延期になったり、オフ句会は、開催できなく困っていると聞きます。幸い花冠では、ネット上の句会を開催し、ネットを使った句会のさまざま経験を経験してまいりました。オフ句会にはオフ句会の重要性やその良さはありますが、感染症が流行る場合などは、ネット句会の良さを改めて知る思いです。いつもと変わらず句会にご参加いただき、ありがとうございます。

五月には五月の、季節を楽しく過ごされている句をたくさんご投句いただき、居ながらにして、各地の季節や行事、それぞれの暮らしの一端を楽しませていただきました。
選とコメントもありがとうございました。まだまだ、新型コロナウィルスへの警戒はひつようですが、気を付けて過ごすようにいたしましょう。これで、5月月例ネット句会を終わります。(花冠 高橋正子)

5月15日(金)



晴れ。

●美容院にいくのも感染が気になってためらわれるが、マスクをしてカットしてもらった。ところが、マスクに小さい髪の毛が入り込んでしまって、ずいぶん我慢。

●手作りチョコクッキーを職場の友達みんなに食べてもらった。無塩バターがなくて、パンに塗るソフトバターを使たら思ったより塩味が効いている。「塩バタークッキー」と名付けて渡したら、今流行りと喜ばれた。また作ってね、と。

5月14日(木)



晴れ。

●今日は子供の声が朝から全然しない。鳥も鳴かない。学校がはじまったのかも。

●「俳壇」6月号が届く。これは、購読している。俳壇8月号のプレミアシートに招待されている原稿をどう書こうかと、めくる。俳壇はほかの俳句総合誌に比べいろんな人を招待してくれる。リベラルな雑誌だと思う。

●去年いつだったかわすれたが、熊笹数枚を冷凍しておいた。まんじゅうを作るとき、下に敷く枌の代わりにしようと思って冷凍。それがすっかり乾燥して枌状態になった。思いついて本の栞に使うことにした。使ってみると具合がいい。今『火曜クラブ』(アガサ・クリスティ)に挟んでいるが、しっかり止まる。笹一枚を外すとき、山小屋で本を読んでいる気分にもなる。

5月13日(水)



晴れ。

昼間暑かった。夜風は心地よい。真夏日に近い。薔薇に水を一日やらなかったら、しおれている。鉢の土を触って、水をやるかどうかみてやらなかったのだが、失敗。暑い日だったからかも。

●信之全句集の編集、ぼつぼつ再開。84歳で打ち切ればすぐにも前に進むが、本人は句集に乗り気でない上に、満89歳となる5月28日までの句を入るという。2017年7月~2020年5月28日までの句。

送られて来る句集は、意味不明の句が結構ある。みんなどんな読み方をしているのだろう。勝手に読んで、勝手に面白がっているように思える。恣意的に読める句を幅が広いとか、奥が深いとか言っているんじゃないのか、とも。

5月12日(火)



曇り。雨ぱらつく。

橡の花紅色なれば気が晴れぬ 正子

●昨日病院のあとくまざわ書店に寄った。本屋は夏向きの本が並ぶ。山、キャンプ、学校の課題図書などたくさん。低学年の子供の本に、広島の原爆をあつかった2冊が目についた。個人の家族写真を本にしていて、ドキュメント風。一個人の家族の写真ながら言葉よりも原爆がよく伝わる。最後に、「母は、原爆で家族がみななくなったと知り、井戸に身を投げて死んだ」、とあった。低学年の子供に読ませるには、事実がきつすぎる。親がついて一緒に読むべきだろう、と思った。

夏は戦争について考える本がいろいろある。戦争を忘れさせるかのような、美しい自然の写真の本もある。尾瀬の本を手にとり、一泊した赤田代の写真がないかめくるが、なかった。

●「検察庁法改正案」を今国会で成立させようとしている。恐ろしいことを。安倍総理を応援する人たちがいてのことだが、いまだに長州閥が生きているのか。なんでこれが、どうにかできないんだ。

5月11日(月)



曇り。昨夜雨が降ったあと。気温28度まで上がる。

病院の帰り歩けば家ごと薔薇    正子
薔薇たわわ政治は黒きもの隠し   正子

●5月月例ネット句会の発表原稿が完成したのが、今朝の2時前。自由な投句箱の選とコメント、洗濯などしながら作業。みんなのコメントが集まり次第、書き込む作業が残る。今日は通院検査日なので、睡眠不足は避けたいと思ったが、早朝起こされる。クロワッサンを温めて、朝食。お昼の弁当を作る。眠すぎる。

●NHKのクラッシック音楽館を聞く、フィルハーモニア管弦楽団、庄司紗矢香のバイオリンで、シベリウスのバイオリン協奏曲。新しい演奏家のスタイルを見た思いだ。画家の母親の影響を受けているのかも。

4月からのNHKラジオのクラッシク、新しい感覚が感じられる。今までは古かったのではという気がする。軽く、深くの傾向かも。

■5月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年5月10日

【金賞】
07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
はつらつと、明るさに満ちた快い句。きらきらと輝く海へこれから乗り出そうと風を待つヨット。「風を待つヨット」に明らかな思いがあってよい。(高橋正子)

【銀賞】
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
湧き水に差し出された水を掬おうとする手。その手元に野ばらが垂れ下がる。初夏の爽やかさ、やさしさが遺憾なく伝わる句。(高橋正子)

15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
「筍を掘って行けや」と言ったのは、ふるさと美濃の藪。美濃の藪を見ると、藪はいまは亡き父母に代わり、「筍を掘って行けや」と言ってくれているようだというのだ。掘らずに帰るわけにはいかない。うれしい里土産となったことだろう。めずらしい表現だが、全く自然だ。

【銅賞/3句】
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子
麦を刈り藁を束ねると、土の匂いが強烈にする。経験しないとわからないと思うが、土の匂いもいろいろあって、麦畑には麦畑特有の土の匂いがある。麦秋の季節が持つ畑土の匂いが、実感をもって詠まれている。(高橋正子)

12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
自転車でちょっと、藤棚の藤を見に出かけた来たのだ。自転車を踏んで少し汗ばむと藤棚の下が快い。銀輪輝く自転車も藤棚の下に入れて、藤の花を楽しむ。きれいな風が吹いていそうだ。(高橋正子)

24.葉桜を風だけが過ぐつややかに/川名ますみ
葉桜を過ぎるのは風だけ。葉桜の大きな茂りが、風だけを見せている。それだけに葉桜はつややかにそよいでいる。気持ちが広がる句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
透き通った湧き水と咲きかけの白い野ばら。気持ちの良い組み合わせの句である。 (古田けいじ)

07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
愈々夏到来です。夏と云えば「海」であり、海と云えば「ヨット」と喜びの連想が続きます。きらきら輝く波間の白帆に、潮の香まで想われます。(桑本栄太郎)

12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
28.玉ねぎが目に染む初のお手伝い/西村友宏
36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く/高橋句美子
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
24.葉桜を風だけが過ぐつややかに/川名ますみ
初夏の爽やかな景色が想像できます。 (髙橋句美子)

34.若葉伸び小さな花瓶を台所に/高橋句美子
若葉が伸びてきたので、枝を剪定したのでしょうか。その枝を挿した花瓶が台所に春を連れてきてくれました。 (高橋秀之)

07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子

【入選/13句】
02.麦笛や少年の日の哀しみに/桑本栄太郎
少年も少女も哀しみは持つものですが、麦笛が似合うのは少年という気がします。 (多田有花)

03.好きな子に思い込め居り草矢射る/桑本栄太郎
青青とした茅草などを抜きとって作った草矢を大好きな子に飛ばして嫌われた経験は男の子には誰しも有る懐かしく切ない思い出ですね。 (小口泰與)

04.薄暑はや木陰うれしき鳥の声/小口泰與
つい先日までまだ肌寒い日もあったのに、すでに日向が暑く感じられるようになってきました。湿気のないからりとした暑さで心地よいものです。 (多田有花)

06.雨蛙昨夜(よべ)の雨をば零しける/小口泰與
雨蛙の声があちこちから聞こえてくるようになりました。昨夜(よべ)の雨を零したのが雨蛙なのですね。まだこちらは姿を見せません。 (祝恵子)

10.鯉のぼり園児の姿なき空に/祝恵子
青空の下、休園している施設の庭に鯉幟がはためいている。子供がいないのは寂しいが、子を思う気持ちが見える句です。 (廣田洋一)

11.花水木ピンクに透けて瓦紋/祝恵子
晩春から初夏に移るころ、ハナミズキのピンクと白の花が咲きそろいます。吹く風も心地よく、街路が最も明るく感じられるときです。 (多田有花)

14.初物の蚕豆二人で剥く夕餉/古田けいじ
初物の蚕豆に初夏の訪れを喜び、ご夫婦で剥くかけがえのないひと時、四季を大切に楽しまれる丁寧なお暮しがうかがえます。 (柳原美知子)

20.黒揚羽止まる花なく飛び去りぬ/廣田洋一
大きく羽ばたいて飛んできた黒揚羽も止まるところがなければずぐ飛び去って行きます。あっという間の黒揚羽がそこにありました。 (高橋秀之)

36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く/高橋句美子
分厚い冬物から薄着の夏物への過渡期の薄暑の洗濯物。洗濯機から出して重ね置く洗濯物に程よい季節感があります。(高橋秀之)

38.谷若葉映す水音風の音/柳原美知子
尾根から谷を見下ろされているのでしょう。谷を風が通り過ぎ若葉を揺らしていきます。その先には心地よい清流のせせらぎの音があります。 (多田有花)

08.本堂の扉は若葉に開かれて/多田有花
17.初蝶の飛び行く先の空青き/高橋秀之
21.一切れの生姜を加へ一夜酒/廣田洋一
29.朝練や坂登り切り風薫る/西村友宏

■選者詠/高橋信之
25.朝日さんさん五月の窓を大きく開け
26.五月の窓開けて朝日に身を入れる
27.五月の野がひろびろ拡がる窓の外

■選者詠/高橋正子
31.雷の走る夜空を胸に寝る
32.夏雲と富士の雪嶺とおなじ白
33.野茨らし白きマッスが月の下

■互選高点句
●最高点(6点)
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子

※コメントのない句にコメントをお願いします。

■5月月例ネット句会清記■


■5月月例ネット句会清記■
2020年5月10日
13名(39句)

01.追憶と夢のうつつの朝寝かな
02.麦笛や少年の日の哀しみに
03.好きな子に思い込め居り草矢射る
04.薄暑はや木陰うれしき鳥の声
05.夏暁や寺に安全祈りける
06.雨蛙昨夜(よべ)の雨をば零しける
07.風を待つヨットに海のきらきらと
08.本堂の扉は若葉に開かれて
09.高きにて日が交差する若楓
10.鯉のぼり園児の姿なき空に

11.花水木ピンクに透けて瓦紋
12.自転車も吾も棚下藤枝垂る
13.衣変隣に妻の寝息かな
14.初物の蚕豆二人で剥く夕餉
15.筍を掘って行けやと美濃の藪
16.新緑を見れば青くて眩しくて
17.初蝶の飛び行く先の空青き
18.表札の横に小さな鯉のぼり
19.薔薇活けて思ひ出したりバッキンガム
20.黒揚羽止まる花なく飛び去りぬ

21.一切れの生姜を加へ一夜酒
22.並木路隣の花は伐られけり
23.石楠花のめいっぱいなる花よ芽よ
24.葉桜を風だけが過ぐつややかに
25.朝日さんさん五月の窓を大きく開け
26.五月の窓開けて朝日に身を入れる
27.五月の野がひろびろ拡がる窓の外
28.玉ねぎが目に染む初のお手伝い
29.朝練や坂登り切り風薫る
30.マスクして散歩帰りにあやめ咲く

31.雷の走る夜空を胸に寝る
32.夏雲と富士の雪嶺とおなじ白
33.野茨らし白きマッスが月の下
34.若葉伸び小さな花瓶を台所に
35.母の日の薔薇を届けて写真貰う
36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る
38.谷若葉映す水音風の音
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。