■4月月例ネット句会入賞発表■

■4月月例ネット句会入賞発表■
2025年4月14日
【金賞】
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
満開の桜に夕日が落ちかかる光景。桜の向こうに夕日が落ち、夕日の色に溶けるように同化していく桜が、たっぷりと抒情ゆたかに詠まれている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
桜の並木が坂の上へと続いている。あるところから、桜並木を透かして海が見える。遥かに青くきらめく海と、桜の色がうつしい対比をなして、心遥かな心情が読み取れる。(髙橋正子)

30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ
灌仏会の花御堂をかざるために、境内の花をいろいろ摘み集めた。何が咲いているのだろう。椿、さくら、それに、かわいい花花が咲いている。釈迦誕生を祝う気持ちが自然で、うつくしい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
日が永くなった。少し前までは5時をすぎ6時ごろには、暮れていた。それが日時計の針は6時を示すVIを指している。日の長さを日時計で実感するのどかさがいい。(髙橋正子)

23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
雪に埋もれた生活もようやく朝の陽光で目覚める春がきた。明るく気持ちのよい朝に朝寝を決め込んだ。雪国の生活者の春の来たよろこびなのだ。(髙橋正子)

26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
春空にのびやかに引かれた飛行機雲がやがてほぐれて空に消えていった。春空ののどかさやおおらかさが自然体で詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
海に面した桜並木のある坂道を、ぐんぐん上へと登って行きます。振り返れば、桜の花のトンネルの下方へ海が沖合まで見え、絶景を楽しむ作者です。(桑本栄太郎)
花はそれだけで美しい。しかし、春の海を背に咲く花はもっと美しい。そんな風景があるだろうと、ゆっくり坂を上るのである。眼前に広がる風景が見える、それを楽しみに「ゆっくり」上った。 (吉田 晃)

37.満開の桜と祝す吾子誕生/西村友宏
お目出度うございます。タイミング良く、桜が満開となりました。最高のお祝いです。(廣田洋一)
“吾子誕生”おめでとうございます。この上ない喜びが、満開の桜の明るさに満ちあふれているようです。(藤田洋子)

32.苗箱に早苗の緑がゆれあふる/吉田 晃
やがて田に植えられる早苗の緑が、優しく柔らかです。これから始まる新しい季節を感じさせてくれる早苗の明るさとみずみずしさです。(藤田洋子)
苗箱に蒔かれた早稲の籾種が早くも育ち、瑞々しい緑の苗となってあふれ、柔らかく風に揺れる嬉しさ。田植えの季節もすぐそこです。農の尊さを感じます。 (柳原美知子)

13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき/川名ますみ
猫は心地よい居場所をよく知っています。心地よい風が吹き仄かな花の香りがする満開の桜の木の傍で、まったりとしていたのでしょう。猫の背のひとひらの花ふぶきに作者の猫への愛しさと桜の季節を惜しむ気持が感じられます。 (柳原美知子)

19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ

【髙橋句美子特選/7句】
12.朝が来て香る窓辺のフリージア/藤田洋子
朝の目覚めに窓辺のフリージアから春の香りが漂う。気持ちの良い朝を迎えられている様子が窺えました。(高橋秀之)

18.木陰から見上げる空に新芽吹く/髙橋秀之
大木の木陰からクローズアップされた春の空と芽吹いた新芽の明るさ。春の爽快さが感じられます。 (柳原美知子)

23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
桜と夕陽の淡い色の重なりが暖かい雰囲気です。(髙橋句美子)
43.みどり児に春月天心にのぼり/髙橋正子

【入選/16句】
01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半/小口泰與
こういう疲れは充実の疲れですね。桜が咲き誇る戸外から戻ってこじんまりとした四畳半でやれやれと横になる。短時間でもぐっすりお休みになれたのでは。(多田有花)

03.鳥鳴いて花の噂を届けたり/小口泰與
優しい気持ちが伝わってくる句だと思いました。鳥が伝えてくれた花の噂がどんな花の様子だったか興味を持ちました。(土橋みよ)

04.廃校と決まる校門さくら咲く/桑本栄太郎
校門に桜が咲く風景は散見される。。一方、廃校という条件下に物悲しいさが見て取れる。廃校になった後は、どのようになるのだろう、という想像に書き立たれると共に、無常観を感じる句である。私ごとではあるが、母校である某小学校が廃校になっていたことと重なった。(弓削和人)

06.ぎらぎらと甍きらめく春の里/桑本栄太郎
明るく活気にあふれる春の里の様子を感じさせていただきました。(土橋みよ)

09.娘子の高き歌声柿若葉/廣田洋一
早や迎える新緑の季節。若き女性の明るい歌声に、柿若葉の透きとおるような美しさ、眩しさが、いっそう感じられます。(藤田洋子)

15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く/川名ますみ
おひたしを作ろうと買い求めた菜の花なのでしょうか。さぁ、料理しようと思ったら、あら、つぼみが。作者がほほ笑む料理タイムだったのではないでしょうか(高橋秀之)

17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ/高橋秀之
チューリップには明るい日差しと仲間の笑いあう声が似あいます。この世界の「楽しさ」を花にしたらきっとチューリップになるだろうというような。(多田有花)

22.蕗の花どの花よりも土に触れ/弓削和人
地面から出たばかりの蕗の花芽。「どの花よりも」土近く開くその愛らしさと色合いに、春来たる喜びが感じ取れます。(藤田洋子)

24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅/弓削和人
子供のほっぺが桜餅のもちもちした感触にかさなります。長閑で可愛らしい素敵な日常を思い浮かべました。(西村友宏)

27,春淡路大観覧車に迎えられ/多田有花
淡路の観覧車と言えば明石大橋を抜けた四国側。春の淡路を訪れたときに、大観覧車に迎えられた大きな気持ちを感じたのでしょう。(高橋秀之)

29.桜鯛花の気配にあかねさす/土橋みよ
桜が咲き始める頃の花を待つ気持ちが桜鯛の色彩にこめられて見事です。鯛の色合い、咲き始めようとする桜の色合い、それらが重なり合って華やかです。(多田有花)

33.山桜目で追いゆけば海はるか/吉田 晃
海の近くに連なる低山の山肌に山桜が点々と咲き始めています。その花を追って視線を移していけば、その先に青い海が広がっています。瀬戸内海沿岸部の花の季節の山の風景はまさにこういう感覚です。(多田有花)

39.寝かしつけ終えて一息桜餅/西村友宏
我が子の誕生に感激するとともに、慣れない子育てをこなして安堵する一コマがうまく切り取られていると思いました。桜餅を食べる姿がとても共感を呼びます。(土橋みよ)

11.母の手を離し走る子花の下/藤田洋子
16.新たなる門出に桜風に舞う/高橋秀之
25.大橋を渡らんのどけき春の日に/多田有花

■選者詠/髙橋正子
43.みどり児に春月天心にのぼり
生まれたばかりのみどり児がみずみずしい春月の月光に優しく包まれ、静かで神々しさを感じる光景です。赤ちゃんのお誕生おめでとうございます。健やかなご成長をお祈りいたします。 (柳原美知子)
生まれて来てくれた素晴らしい赤子を祝い、滴るばかりの艶なる春月が赤ちゃんを祝い、天の意思を神に届けていただくき、神様の恩恵が末永く続きますようにお祈りするご両親の心が感じられる御句ですね。(小口泰與)

45.花冷えの水の旨きをごくごくと
真冬とは異なる花冷えの寒さ。寒き中でもごくごと冷たい水が美味しく飲める季節になりました。 (高橋秀之)


44.遠山の桜ぬれているらしく

■選者詠/髙橋句美子
40.まんまるの子の誕生に桜咲く
桜花が赤ちゃんの誕生を言祝ぐ様ですね。桜の花に見守られる嬰児が健やかである喜びが伝わります。おめでとうございます。(上島祥子)
「まんまる」の赤ちゃんのご誕生おめでとうございます。これから桜が咲く度にお誕生日をお祝いできますね。どうぞお健やかに。 (川名ますみ)

41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
晴れやかな気持ちが直接表現されていて、いつも元気を頂戴しております。(土橋みよ)


42.春の光テディイベアの誕生祝

互選高点句
●最高点句(8点)
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

4月13日(日)


●4月月例ネット句会。15名参加。
正子投句
みどり児に春月天心までのぼり 
遠山の桜濡れているらしく
花冷えの水の旨さをごくごくと

●一日雨。赤ん坊がやって来て、わが家は臨戦態勢状態なので、昨日はおにぎり、今日はいなりずしを作ってテーブルに置いおいた。ミニトマトといろいろサラダ菜をタッパーに入れて冷蔵庫に。麦茶をたっぷり沸かしておいた。 昔の農繁期の食事を思い出した。

●赤ん坊を見ていて、リルケは娘のルートの世話を少しはしたのだろうかと思った。ルートが結婚するときは、インゼル書店の社主のキッペンベルグに相談し、父親らしいことをしたようだが。このキッペンベルグは、リルケから離婚の相談をもちかけられて、離婚はしないように言ったということだが、どんな考えだったのか。
     We held the monthly haiku meeting for April online. Fifteen people participated, each submitting three haiku, and we selected five from the submitted works. Tomorrow morning, I will announce the winner of the April haiku meeting. I am looking forward to seeing who receives the gold prize. As the leader, I will make the final decision on the gold prize winner.
     Wir haben das monatliche Haikutreffen für April online abgehalten. Fünfzehn Personen haben teilgenommen, jeder hat drei Haikus eingereicht, und wir haben fünf aus den eingesandten Werken ausgewählt. Morgen früh werde ich die Gewinnerinnen des April-Haikutreffens bekannt geben. Ich freue mich darauf zu sehen, wer den Goldpreis erhält. Als Leiterin werde ich die endgültige Entscheidung über dendie Goldpreisträger*in treffen.

■4月月例ネット句会清記■

■4月月例ネット句会清記■
2025年4月13日
45句(15名)

01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半
02.自ずから崩れる膝や朧月
03.鳥鳴いて花の噂を届けたり
04.廃校と決まる校門さくら咲く
05.水底の日の斑の揺らぐ蘆の角
06.ぎらぎらと甍きらめく春の里
07.虚子忌過ぎ記念館に春惜しむ
08.躑躅燃ゆ新工場の狭き庭
09.娘子の高き歌声柿若葉
10.沖見えるまで花の坂上りゆく

11.母の手を離し走る子花の下
12.朝が来て香る窓辺のフリージア
13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき
14.車椅子カラカラ鳴らし花冷へ
15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く
16.新たなる門出に桜風に舞う
17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ
18.木陰から見上げる空に新芽吹く
19.永日や日時計の針Ⅵを指す
20.引退のD51囲む朝桜

21.蛙の目借時未読の書積む
22.蕗の花どの花よりも土に触れ
23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな
24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅
25.大橋を渡らんのどけき春の日に
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく
27.春淡路大観覧車に迎えられ
28.杖ついて仰げば三毳の山笑う
29.桜鯛花の気配にあかねさす
30.境内の花摘み供す灌仏会

31.朝庭に揺れる高枝小手鞠の花
32.苗箱に早稲の緑がゆれあふれ
33.山桜目で追いゆけば海はるか
34.家々を影絵としつつ彼岸の雪
35.あけぼのの風となり来て消ゆ燕
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜
37.満開の桜と祝す吾子誕生
38.ミルクあげ吾子泣き止めば春雀
39.寝かしつけ終えて一息桜餅
40.まんまるの子の誕生に桜咲く

41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
42.春の光テディイベアの誕生祝
43.みどり児に春月天心にのぼり
44.遠山の桜ぬれているらしく
45.花冷えの水の旨きをごくごくと

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

4月10日

曇り、夜雨
●ますみさんからブーケをいただく。髙橋正子の俳句日記を読んで、わが家に赤ん坊が来たことを知って、私にお祝いのブーケを贈ってくださった。私までまさかのお祝をしていただいて、大変うれしく思っている。シックな色あいの花で、仏前に供えた。

4月9日(水)

晴れ

●どこをとっても、これほどいい天気はないだろうという、桜が散り始めた今日、赤ん坊がわが家に3時半ごろやってきた。両親と赤ん坊と3人で当分わが家で過ごす。赤ん坊は男の子だが、生後9日で、いろんな表情をする。眼をあわせとうとする。見えているのかどうか。はや、見ることが好きな子だと言われている。私は、赤ん坊をだた見ているだけで、抱っこはしない。夜、お祝いの食事をする。一日、落ち着かずに終わった。

4月8日(火)灌仏会

晴れのち曇り

●今日は灌仏会だった。これまで金蔵寺の花祭りに出かけていたが、今年はいけなかった。4月8日は虚子忌であるが、奇しくも日本の俳句をフランスへ伝えた、ポール・ルイ・クーシューの忌日でもある。虚子とクーシューは、ともに1959年4月8日に亡くなった。

●いよいよ明日赤ん坊がわが家に来る。日増しに暖かくなっているので、その点は安心できる。新しくした電気ポットでお湯を沸かしたり、衣類やタオルのまだ洗っていないものを洗ったりした。昨日夜は、バスケット2個の内側に取り付けられるよう、かわいい布を縫った。縫う前に洗っていたのだが、撥水性があったので、洗った意味があったのか、どうか。可愛いのが出来た。間際にならないと思いつかない。

Today, April 8th is Buddah 's birthday. It is said that Buddah got born ponting his finger  to the heavem and the other finger to the earth. At temples the small Flower Shrines are  adorned with various flowers gatherd near the temple or our home, such as chinese milk vetches, camelias, cherry blossoms, carnations, and others.

     Der 8. April ist der Geburtstag von Buddha. Es wird gesagt, dass Buddha mit einem Finger zum Himmel und einem anderen zur Erde zeigend geboren wurde. In den Tempeln werden kleine Blumenschreine mit verschiedenen Blumen geschmückt, die in der Nähe des Tempels oder in unseren Häusern gesammelt wurden, wie beispielsweise Astragel (chinesischer Tragant), Kamelien, Kirschblüten, Nelken und andere.

4月7日(月)

曇り

●あさってやってくる赤ん坊のために、お風呂の蛇口にホースが簡単に取り付けられるようにコネクタ―をつけ、浄水器を濾過度の高いのに付け替えた。エア・ドッグを試運転。オイルヒーターは古いものだけど問題ない。カーテンは洗ったし、畳は拭いておいた。専用洗い桶と小物干しを用意。これくらいでいいか。

●夕方友宏さんが赤ん坊の物を取りに行くからよろしくと、句美子から急な電話。なにかご飯ある?と聞く。ちょうど筍ご飯炊いていたので、食べてもらうことにした。今日の筍ご飯は京都の筍ご飯の素で筍だけが入っている。ひとりなら、味噌汁と漬物で済ますつもりだったが、いくらなんで気の毒なので、鯛の短冊と出来合いの茶わん蒸しを買って来た。刺身と春キャベツの味噌汁がおいしいとのこと。二つとも今が旬。赤ん坊の部屋をセットしてもらった。

The rich purple
of iris
repels rain.
       ― Masako
  In the evening, Kumiko called me, mentioning that her husband was coming to my house to pick up the baby's thing. She also asked if I had something for his dinner. Luckily, I was already cooking bamboo shoot rice. When dining alone, miso soup and pickles are usually enough for my supper, but I thought he might look forward to my cuisine. So, I quickly went to the supermarket to buy a block of raw fish for sashimi and some ready-made chawanmushi.
When he arrived and opened the front door, he looked happy and healthy, likely because of his newborn baby. First, I served him hot green tea, followed by bamboo shoot rice, red snapper sashimi, chawanmushi (steamed egg custard), and spring cabbage miso soup. While eating, he mentioned that he hadn't eaten sashimi in a while. He thanked me, saying the sashimi and miso soup were the most delicious. The red snapper and spring cabbage are in season right now.

     Am Abend rief mich Kumiko an und erwähnte, dass ihr Mann zu mir nach Hause kommen würde, um die Sachen für das Baby abzuholen. Sie fragte auch, ob ich etwas für sein Abendessen hätte. Zum Glück kochte ich bereits Bambussprossenreis. Wenn ich alleine esse, reichen normalerweise Misosuppe und eingelegtes Gemüse für mein Abendessen, aber ich dachte, er würde sich auf meine Küche freuen. Also ging ich schnell zum Supermarkt, um ein Stück rohen Fisch für Sashimi und fertiges Chawanmushi zu kaufen.
Als er ankam und die Tür öffnete, sah er glücklich und gesund aus, wahrscheinlich wegen seines neugeborenen Babys. Zuerst servierte ich ihm heißen grünen Tee, gefolgt von Bambussprossenreis, rotem Schnapper-Sashimi, Chawanmushi (gedämpfter Eierpudding) und Misosuppe mit Frühlingskohl. Während des Essens erwähnte er, dass er schon lange kein Sashimi mehr gegessen hatte. Er bedankte sich bei mir und sagte, dass das Sashimi und die Misosuppe am köstlichsten waren. Roter Schnapper und Frühlingskohl sind gerade in der Saison.

4月6日(日)

曇り
花冷えの水の旨きをごくごくと  正子
畳拭く花にひらきし六畳間    正子

●日曜日。床に就いたのは今朝の3時前。リルケが晩年なぜ母語でないフランス語で詩を書いたのか、ネット上の論文を探していて、気づいたらそんな時間になっていた。戸口日出夫先生の名前の論文がでてきた。信之先生が「戸口さん」と呼んでいた方だろうと思うが。リルケを研究されていたのだと知る。

●『リルケ詩集』(富士川英郎訳/新潮社)の「オルフォイスへのソネット」を読んでいて、「呼吸よ、目に見えない詩よ」に出会った。この『リルケ詩集』には、「オルフォイスへのソネット」(55篇)から11篇が選ばれているが、その9番目の詩。
リルケも、そう思ったのかと、古い知己に出会った気持になった。私も捨てた人間ではないと、ひそかに喜んだ。私の考えとぴったりで、リルケの言うことに全面的に共感する。結局、「詩は呼吸である」と私は結論付けている。ひいては、文体は呼吸なのである。17字音の俳句の文体の面白さを、俳壇の評価と関係なく、私はひとり楽しんでいる。短い俳句のなかでさえ文体があるのだ。俳句は5-7-5に音楽性があると思っているかもしれないが、もっと細かく5の中の、7の中の音節が作る音楽がある。音律と言っていいだろうが、そこに詩人の品性や本性がよく現れるのだ。
  ここで「オルフォイス」という言葉に馴染がない方に説明を加えると、「オルフォイスOrpheus」は、ふつう「オルフェウス」と言われていて、それのドイツ語読みである。「オルフォイス」はギリシャ神話に登場する伝説的な詩人で音楽家。アポロンから贈られたリラ(竪琴)を弾き、その美しい音楽で自然界のあらゆるものを魅了したと言われる。音楽や芸術の象徴と言える。「オルフォイスへ捧げる詩(ここではソネット形式の)」の意味合いなので、音楽や詩についての書かれたリルケの詩(ソネット)と判断してよい。

「呼吸よ、眼に見えない詩よ」
         R. M. リルケ
呼吸よ、眼に見えない詩よ
絶えず私自身の存在と引換えに
純粋に交換された世界空間 その中で
私がリズミカルに生まれ出る対重よ

ただ一つの波よ 私は
それが集まって海となったもの
あらゆる可能な海のうちで最も倹ましい海よ!
空間の獲得よ
(後略)

Wiping tatami mats ―
six-tatami room
opens  to the cherry blossoms.
                                              ― Masako
     I was reading the Poetry "The Sonnets to Orpheus (Die Sonnete an Orpheus) " by R.M.Rilke in Japanese traslarion. I came across "Breathing, you invisible poem! (Atmen, du unsichtbares Gedicht!) ". I was really surprised and delighted to read this poem. What the poem intends is the same as what I've been thinking of 'Breathing is poetry itself, and poetry is breathing itself. And style of writing is breathing.'

 
  Ich habe die Gedichtsammlung ,Die Sonette an Orpheus‘ von R.M. Rilke in der japanischen Übersetzung gelesen. Dabei bin ich auf ‚Atmen, du unsichtbares Gedicht!‘ gestoßen. Ich war wirklich überrascht und erfreut, dieses Gedicht zu lesen. Was das Gedicht beabsichtigt, ist genau das, was ich selbst gedacht habe: Das Atmen ist Poesie selbst, und Poesie ist das Atmen selbst. Und der Schreibstil ist das Atmen."