■2月月例ネット句会/入賞発表

■2022年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年2月13日
【金賞】
8.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
「裸木や白壁に影立たせおり」とすれば、さらに意味が通りやすくなると思う。「影立たせ」が秀逸で、白壁に映った影が、影でありながら、再び、立ち上がっている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
普段家庭ではさつま芋を入れた粥も芋粥と言われるが、俳句では、自然薯を入れて炊いた粥のこと。貴重な自然薯が手に入り、やらわかく粥に炊いて、仏前の母に供えた。母への行き届いた思いの句。(髙橋正子)

19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
寒林を歩くと水音が身に添ってくる。思えば母の忌日である。いつの間にか、母といるような透明な感覚に襲われる。言葉にし得ない母への思い。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
妻と上がった高層のビルから向こうの春空や、さらに高い、さらに遠くの春の空が見える。春の空のような、さり気ない夫婦の会話が聞こえそう。(髙橋正子)
31.桜餅薄い桃色一列に/髙橋句美子
塩漬けの桜の葉に包まれた薄い桃色の桜餅は、季節菓子の中でも特に春らしいもの。季節になれば、たくさん並べて売られる。一列に並べられることもある。菓子舗の店先があかるく彩られ、楽しい季節になる。(髙橋正子)

36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
紅梅が固い莟のときは、紅が濃い。ふくらんでいく程にやわらかな淡い色になっていく。莟がふくらむように、心もふくらんでくる。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日/髙橋正子
今日から春。立春寒波で寒い春の初日でした。からりと揚がった熱々の天ぷらが美味しそうです。揚げたてをいただきましょう。 (多田有花)
 
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
「雪のあと」の表現に魅かれた。積った雪がきらきら光るのは当然のことであり、誰もが表現する。水気を含み溶けかけて、それでも雪の形を枝に残している姿を表現しているのだと思う。青空と溶けかけた雪の光の表現に魅力を感じた。(吉田晃)
青空を見上げると、枝に残る雪に日の光が反射してきらきらしている。これからの暖かい未来を示している様子が春遠からずを感じさせてくれます。(高橋秀之) 

16.九十三義兄の自筆の賀状来る/祝 恵子
九十三歳という高齢であるのに、自筆で賀状を書く気力と律義さは、素晴らしい。年齢よりずっと若い意識でおられるのだろう。(髙橋正子)
10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子 
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと/髙橋正子

【髙橋正子特選/7句】
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
春の喜びを感じ、日々のふくらみを心待ちにされている。静かな希望に満ちた優しい句ですね。(柳原美知子)

37.梅が咲きあかるい朝となっている/髙橋信之
梅の花が咲いた。きびしい冬とも別れ、いよいよ春となる喜びが、梅が咲く朝を「あかるい」と捉えさせた。(髙橋正子)
10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
31.桜餅薄い桃色一列に/髙橋句美子

【入選/17句】
01.春雪の晴れて舞いたる風の空/桑本栄太郎
寒波が押し寄せると太平洋側にもその余波の雪がもたらされます。日本海側の豪雪とは違いすぐに溶けてしまう淡雪であることがほとんど。青空の下を雪片が舞うこともあります。 (多田有花)

05.まんさくや川風ほのと温みける/小口泰與
まんさくの花にほんのり温もりを感じ、一足早く春の訪れに気づきます。 (西村友宏)
07.往年のスターと語らう春の夢/多田有花
昔から「春の夢と言って、はかない事のたとえに言われているが、夢の中のあこがれたスターと語っている青春時代の作者が居る。素晴らしい夢の世界ですね。(小口泰與)

20.蜜柑色のジャム煮る匂い春立てり/柳原美知子
爽やかでみずみずしい香りが春のようです。 (髙橋句美子)

24.お守りを内ポケットに大試験/西村友宏
大学受験でしょう。学問の神様天満宮のお守りでしょうか。やることはやってきた、あとは本番で実力を発揮するのみですね。 (多田有花)

28.寒明けやくるくる変はる空模様/廣田洋一
寒が明け立春を迎えれば「春に三日の晴間なし」とも云われ、空模様は猫の眼のように変わり易くなります。この季節の天候が直截に表現され、季節の変わり目が良く詠いあげられている。(桑本栄太郎)

30.初島の影くっきりと春の雪/廣田洋一
初島は相模湾に浮かぶ静岡県唯一の有人島。春の雪が舞う沖を眺めれば初島の影が黒く浮かんでいます。 (多田有花)

40.立春の川面膨らむ光かな/友田 修
立春の朝、川面に陽が差して水が膨らんでいるように見えると言う、いかにも春らしい景色。 (廣田洋一)

02.雲走り影の走りぬ春の嶺/桑本栄太郎

春の空と嶺。空に雲が走ると、山に雲の影が走る。春の嶺の景色が生きているように思える。(髙橋正子)
03.打ち寄するさざ波光る春の池/桑本栄太郎
春の池にもさざ波が打ちて寄せて光っている。のどかで、平和な春の景色。
(髙橋正子)
06.春灯や忽と鳴りたるメール音/小口泰與
しずかな春の灯の下にいると、メールの着信音が突然鳴る。夜のこの時間、何事かと、心が動く。春灯とメールの着信音の取り合せが、心を動かす。(髙橋正子)
11.榾積まれ春待つ畦のうす緑/吉田 晃
春の畦に榾が積まれている。この榾は、必要なときに家に持ち帰って火にくべられるのだろうが、冬の間の風雨にさらされた感じだ。春を待つ畦が萌え始めた。(髙橋正子)
12.春寒の鳥もう一羽が森を発つ/吉田 晃
春寒い森。見ていると森から一羽飛び発った。するともう一羽が思いついたように飛び発った。(髙橋正子)
15.木の先に新芽をふたつ見つけたり/高橋秀之
枯れ枝とばかり思っていた木に、新芽がふたつ見つかった。たった二つの新芽が愛おしい。(髙橋正子)
21.麦青む田にうすうすと夕日差す/柳原美知子
麦が少しずつ伸びて青々としてきた。夕日がうすうすと差し、青麦に夕焼けが薄く広がるように思えた。(髙橋正子)
32.朧月いつもの道に淡い光/髙橋句美子
いつも帰る道。今日は朧月が柔らかい光を投げかけ、いつもの道が淡い光に包まれている。朧夜の道。(髙橋正子)
41.垣根越しほのかに覗く梅の花/友田 修
垣根越しではあるけれど、ほのかに梅の花が覗いている。ちらっと見た梅の花に、春をむかえたばかりの快さがある。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋信之
38.朝の日があかるく窓に梅に差し
朝日が窓や梅にも明るく差してきた。今日も元気に過ごせそうですね。 (祝恵子)

37.梅が咲きあかるい朝となっている
39.桜咲く季節を待てば喜びも

■選者詠/髙橋正子
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日 
26.青空に枝きらきらと雪のあと  
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ

■2月月例ネット句会清記■

■2月月例ネット句会清記■
2022年2月13日
14名(42句)
01.春雪の晴れて舞いたる風の空
02.雲走り影の走りぬ春の嶺
03.打ち寄するさざ波光る春の池
04.足先のがんがん吠ゆや凍返る
05.まんさくや川風ほのと温みける
06.春灯や忽と鳴りたるメール音
07.往年のスターと語らう春の夢
08.朝の霜輝く建国記念の日
09.筆ペンの書き方練習春の昼
10.芋粥を遺影の母へ供えけり

11.榾積まれ春待つ畦のうす緑
12.春寒の鳥もう一羽が森を発つ
13.妻と見る高層階から春空を
14.春寒し入場待ちの長き列
15.木の先に新芽をふたつ見つけたり
16.九十三義兄の自筆の賀状来る
17.今朝の湯気はアンコウ鍋の雑炊
18.裸木の白壁に影立たせおり
19.寒林に水音添いくる母の忌よ
20.蜜柑色のジャム煮る匂い春立てり

21.麦青む田にうすうすと夕日差す
22.冬の陽が射すまで待たんウォーキング
23.寒の月暗記カードと砂時計
24.お守りを内ポケットに大試験
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日 
26.青空に枝きらきらと雪のあと  
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと
28.寒明けやくるくる変はる空模様
29.試験近し警報鳴らす黄水仙
30.初島の影くっきりと春の雪

31.桜餅薄い桃色一列に
32.朧月いつもの道に淡い光
33.雛あられ彩り鮮やか手の中に 
34.隣家より鉢のすみれと蒸かし芋
35.梅つぼみ窓の向こうに指さす人
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き
37.梅が咲きあかるい朝となっている
38.朝の日があかるく窓に梅に差し
39.桜咲く季節を待てば喜びも
40.立春の川面膨らむ光かな

41.垣根越しほのかに覗く梅の花
42.春の月甍を黒く照らしおり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

2月13日(日)

●2月月例ネット句会。
投句
青空に枝きらきらと雪のあと
天ぷらの音立てて揚がる春立つ日
空を指す幾千の枝芽吹かんと
●こんなに寒い日にコーヒー豆を切らした。インスタントコーヒーで済ませている。インスタントコーヒーをお湯で溶いて、それを火にかけて沸騰しないようにしてあたためると美味しくなる。澱が残るのでドリップ用の濾紙で濾してみたがたいしてかわらない。溶いて火(レンジでもいいが)にかけるだけでいい。
美味しいコーヒーがあった。銀杏が染まるころだった。戸塚から藤沢まで東海道を信之先生と歩いた。遊行寺の坂を下りて、一遍上人のお寺の裏手の墓地から境内へ下りた。それから藤沢駅へ向かいいよいよ帰るときになって、藤沢駅から湘南台行きの電車を待った。そのとき、食事をしようと思った店が休みで近くの喫茶店に入った。ウィンナーコーヒーで風邪を収めたことがあるので、メニューのアイリッシュコーヒーを頼んだ。一杯目、こんなにおいしいコーヒーは初めて。感激してお変わりを注文した。このとき、店の主人が「女の方ですので、ウィスキーは4割にしました。」とカップを持ってきてくれた。「ウィスキー?」と思ったが、気にもせず美味しく飲んだ。そのとき、アイリッシュコーヒーはアイリッシュウィスキーとコーヒーが半々の飲み物と知った。以来アイリッシュウィスキーを探すが出会わない。マスターどこで手に入れたんだろう。

2月12日(土)

晴れ
春寒の畳の部屋に薔薇微香  正子
土に近く土に添うごと菫咲く 正子
月無きと思うておれば春の月 正子
●明日は月例ネット句会。準備はいつもどおりに進む。
●小学生の孫が4日にオミクロン株に感染。昨日連絡したときは、母親も感染し、熱が出たが回復したとのこと。なにかしら食べ物などを送る。息子は大丈夫かと聞くが、返信無し。孫は塾に通い始めて、出鼻から通えないので、問題を郵送してもらっているとのこと。伝染病の分類で、オミクロン株を第5類のインフルエンザ並みにする話が言われ始めている。

2月11日(金)建国記念日

快晴
青空に枝きらきらと雪のあと  正子
青空のまんなか突いて辛夷の芽 正子
なにもない畑の片隅春の雪   正子
●何日かぶりに丘へゆく。信之先生には買い物にかかる時間を倍に申告して出かけた。四十雀が一羽、それらしくツピーツツピーと鳴いている。遠くの笹のなかで、ほんとうに笹鳴き。昨日の雪が畑の隅に残って、雪が降ったことを証明している。丘のはしまで行く。富士山は雲に覆われ見えない。街の方には下りないよう道を選んで、スーパーで買い物をして帰る。
●俳壇から依頼の「落花流水」の句、5句を読み応えあるように構成しようと思うが、集中力に欠けて、やる気なし。

2月10日(木)

雨のち雪
●大雪の予報が出て、用心していたものの、雨が昼前から牡丹雪に変わった。積むほどではない感じだった。
●テレビの「なんでも鑑定団」を見ていて、小糸源太郎の絵が鑑定にだされた。曽祖父の肖像画だといって800万円の値が付いた。顔はルノアール的。背景の家々の屋根は、セザンヌ風。この値の真価は別にして、印象派的な小糸源太郎の作品は俳句的だとも説明された。「鳥ぐもり」「山粧ふ」などは、題名そのものが、季語。「鳥ぐもり」は、桃の枝がまっすぐ伸びて、鳥ぐもりの灰色の空に、桃の花のくれないが可愛らしい。土の部分の黄色もいい。この画欲しいな、と思うくらいだ。
日本人は印象派が好きだと、海外の人も認めているらしい。モネの始まる印象派、特に後期印象派の画は私も好きだ。印象派の影響を受けた日本人の画家の手元に置きたい画はたくさんある。
印象派をウィキペディアで調べると、日本人が印象派を好む理由に納得できる。戸外での制作、空間と時間の(光の質の)変化の正確な描写。描く対象の日常性、人間の知覚や体験(に欠かせない動きの包摂)。斬新な描写アングル。
戸外制作は吟行、空間と時間の変化は季節の移ろい、日常を詠む、人間の知覚や体験は五感の重視、斬新さは清鮮さに置き換えることができる。印象派の意味は何かといわれると、なんだろう?
印象派の特徴 出典:印象派 Wikipedia
「印象派の絵画の特徴としては、小さく薄い場合であっても目に見える筆のストローク、戸外制作、空間と時間による光りの質の変化の正確な描写、描く対象の日常性、人間の知覚や体験に欠かせない要素としての動きの包摂、斬新な描画アングル、などがあげられる」

2月6日(日)

晴れ
●ヤマダ電機の日吉東急店が今日で閉店。プリンターのインクを当分の分を買う。ヤマダ電機は、センター北にきのうからオープンしているが、センター北までは少し遠い。
●小学校でコロナが流行って、孫も感染したとのこと。一日でよくなって、普通に家で過ごしている。そろそろ身近で感染したという話を聞くようになった。