9月11日(日)十六夜

晴れ
●9月月例ネット句会
投句
精霊バッタ飛び発ち翅のみどり透け
雹跡の疵梨剥いて野趣ふかし
名月のやすらう空の鉄色に
●「自由な投句箱」9月1日~10日の投句★印評価を操作ミスで消してしまった。句会の選をしながら、しこしこと書きこむ。原稿を作るのがいいが、手間なので直接書いている。上手くすれば元のが残ることがあるのに、今回はすっかりダメになった。
●エリザベス女王の国葬が9月19日と決まる。今日はバルモラル城からエディンバラまで6時間かけて王室旗を掛けられ、その上に花輪を置いた棺を運ぶ車の葬列をテレビでみた。車はベンツで棺がよく見えるようにガラス張り。エディンバラにあるホーリールード宮殿に安置されている。スコットランドでは、スコットランドの民族衣装のキルトをまとった兵士に棺が担がれていた。それからロンドンまで軍用機で運ばれ葬儀となるとのこと。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2022年9月11日
42句(14名)

01.流星や気散じの歩を湖辺まで
02.市松の切子硝子や秋うらら
03.蜩や湖にひと筋光りあり
04.あぶれ蚊の親しき声の纏い付く
05.身に入むや現世哀しき事ばかり
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く
07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ
08.雨粒並ぶそれぞれに秋の色
09.辻地蔵稲穂出揃う裏通り
10.鶏頭の一群風にうねるかな

11.月やさしドビュッシーを聴きながら
12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋
13.好天に恵まれし旅新酒酌む
14.高いわねと言ひて過ぎ行く秋刀魚かな
15.秋の虹新国王の城囲む
16.旅先で大空みれば中秋の月
17.目の前を行ったり来たり秋茜
18.秋の風ふと爽やかに頬を撫で
19.燕去り風は軽さを加えたり
20.名月のいま山の端を離れたり

21.名月の名残見送る夜明けかな
22.迎え火を焚く嬉しさよ茄子の牛
23.石鎚は白露の峰となり聳え
24.峡の田を守る案山子の首手拭い
25.名月のやすらう空の鉄色に
26.精霊バッタ飛び発ち翅のみどり透く
27.雹跡の疵梨剥くも野趣ふかし
28.待宵の田わたる風に身の軽く
29.月見団子丸めていれば雨あがり
30.名月のステンドグラスとなる高窓

31.旧友と並んで歩く秋の夜
32.弧を描く打球の先に光る月
33.読み終えて栞挟めば虫の声
34.海からの秋風の吹く大通り
35.秋晴れに雲一つなし海の青
36.梨届く段ボール畳む昼下がり
37.秋桜の揺れる畑よ青き空
38.重陽の雲間に見ゆる白き月
39.夕暮れの葉陰に揺れる栗のいが
40.黒ぐろと葡萄の粒が露を噴く

41.酢橘二個ころがり二個のみどり濃く
42.十五夜の盆にいびつな梨が載り

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

9月10日(土)十五夜

晴れ。
●きのうまで降り続いた小雨。今朝窓を開けて、ぴかぴかの天気に驚く。なにしろ今夜は十五夜。土曜日は拭き掃除の日としているので、掃除に精を出す。丘に上って月見の花をとってくる。
●昨日、松野さんからお葉書をいただいたので、返事。
●美知子さんからの口語俳句大賞への投稿の句を読む。20句投句、20日締め切りとのこと。

9月9日(金)

小雨
●朝方、点けっぱなしたテレビからエリザベス女王が亡くなられたと言うニュースが聞こえた。イギリス時間では8日。女王の最期は何げなく気になっていた。6日には新首相の任命をされたばかり。最後まで公務をされていたということになる。子どものころから女王様と言えばエリザベス女王だったので、絵本や童話の理解をどれほど助けてくれたかと思う。ご冥福を。
●涼しくなった。ずっと雨。『日本の思想』(丸山真男著)がまた話題に上っているらしい。1961年に初版が岩波新書から出て2000年印刷のが手元にある。初めて私が読んだのは、50歳を過ぎていた。この本を読んで、私が長年感じ、悩みもした問題は、日本社会の問題から来ているのであって、私のせいではないということを悟らせてくれた貴重な書なのだ。これを高校生の時に読んでいたら、1965年ごろに読んでいたら、悩まずに済んだのに思った。それを信之先生に言ったら、「いや、今でいい。」という返事だった。めんどくさくなりそうでその意味は聞きはしなかったが。
夕べ読んでみようと、あれから25年経っているが、字が霞むようで、頭も老化して、なかなか読めない。鉛筆で印をつけているところを読んで、納得している次第。

9月8日(木)

曇り、ときどき小雨
●10日の土曜日は十五夜。松山の坊ちゃん団子がコープから届いたので、元希に送る。天一書房をぶらついて『図形の図鑑』(Gakken)が面白そうなので買ってきた。低学年用かもしれないが、18ページが2750円。高いなあと思いつつ、「難しいことばかりやらなくていい、でも質は下げないのがいいんじゃない」と思いつつ買ったた。それも宅急便にいれる。
●また、天一書房で、著名俳人のエッセイ、売れ筋として並んでいた。ぱらっと始めを読む。ああ、またか、と読まなければよかったの感じ。新書コーナーをぶらついて『ハンナ・アーレント』(中公新書)を見つけた。有るとは思わなかったがあった。見つけたときの不思議感。

9月5日(月)

晴れ
●『現代俳句Ⅰ』をお送りくださった島村氏から、返信。私の礼状に天狼の予志先生や松高俳句会出身の絵馬、梵、脩先生のことを書いたので、懐かしさ一入だったということなどを認められていた。31日に認めておられる。
思うに、私が手紙を送って、向こうに届いて、先方から返信をいただくまで、ずいぶん悠長な時間が流れていると感じた。新しくなった郵便システムのせいなのだが、私の経験した戦後からの時代の範囲を超えて、小説で読んだような手紙のやり取りに掛かる時間のように思えた。このレトロな悠長さ。ある意味優雅である。これは裏時間に違いない。表時間には宅急便が当日配達される。
●「句跨り」について
花冠の俳句、現代俳句の多くでは、句跨りは珍しくないが、俳句の定型である5-7-5をきっちり守っている人たちにとって、このリズムの乱れには違和感を覚えるらしい。
本年の「愛媛若葉9月号」に若葉主宰の鈴木貞雄氏の「句跨り」についての文章があった。いつ書かれたものかわからないが、書きおろしではなさそうだ。その文章から「句跨り」をどのように氏がお考えか、読み返してみた。破調については、韻律論から信之先生が論じておられる。
①芭蕉の「海くれて鴨のこゑほのかに白し」は、句跨りの句であるが、この句についての考察。
<「海くれてほのかに白し鴨のこゑ」と詠めば、整った五七五の句になるが、それを敢えて破調の句跨りで詠んだのは、一句が詩(漢詩)的発想であったからではないかと思われる。句跨りの調べには、五七五の調べとは違うニュアンスが生まれる。>
②夏蜜柑むき緑陰は二人のもの  風生
<一句は「夏蜜柑 むき 緑陰は 二人のもの」と区切って読めるが、意味の上から「夏蜜柑むき」と「緑陰は二人のもの」と句跨りで二分節となる。>
<現代風の軽妙さを出すために口語調の調べを選ばれたからであろう。>
③年木樵る音かつづきてゐしが止む  敏郎
<意味の上からは、「年木樵る音か」「つづきてゐしが止む」の二分節に分かれる。この句の場合も上五ご中七、中七と下五が句跨りである。敏郎先生は旅宿で、遠くの山から聞こえてくる音を聞くともなく聞かれていて「、年木を樵る音ではないかと気づかれたのだ。その訝しげな気持が、句跨りのプツンプツンと切れる調子となって表現されたのである。>
④木の葉降りやまずそぐないそぐなよ 楸邨
<一句は「木の葉降りやまず」「いそぐないそぐなよ」の二分節で、上五から中七にかけてが句跨りである。病中にあった楸邨が木の葉が頻りに降るのを見て、木と自分にたいして焦ることはない呼びかけるようにして詠んだ句である。昂進する心と抑制する心が、自然と句跨りの調べを生んだのである。>
まとめると、
外国文学の韻律からの影響をうけ、ニュアンスを生んだり、現代の時代の軽妙さや、現代人の複雑な気持ちや心情の流動を表すための句跨りや破調が起きている。
当たり前の結論だが、現代社会や現代人の心には、五七五の定型から漏れるものやことがかなり多いなのではと思わざるを得ない。

9月4日(日)

曇り
寝転べば空から法師蝉の声  正子
秋夕日飛行機雲のはすかいに 正子
●「当日配達」の宅急便を出しに9時に日吉のクロネコヤマトへ。朝10時までに出せば、その日のうちに届くので、句美子へ梨とユーハイムのクッキーを送った。夏の疲れか、高熱が出で、日吉に行けないからと連絡があったため。コロナではなくほっとしたという。4時前には届いたようだ。