2022年月例ネット句会金賞作品

2022年月例ネット句会金賞作品(12句)
下記の金賞作品の中から、好きな句を3句選んで句の前に付けられた番号をコメント欄にお書きください。最高点句を2022年の最優秀作品といたします。よろしくお願いいたします。(花冠代表 髙橋正子)
一月 ①正月の凧いきいきと河川敷     多田有花
二月 ②裸木の白壁に影立たせおり     祝 恵子
三月 ③ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く  祝 恵子
四月 ④客船に舞いこむ桜陽が照らす    高橋秀之
五月 ⑤住み古りし家に別れ来夕牡丹    柳原美知子
六月 ⑥連山を映し色濃き青田かな     桑本栄太郎
七月 ⑦合歓咲いてはるか島なみ青湛え   柳原美知子
八月 ⑧近況を語り合いたる盆の客     多田有花
九月 ⑨ふるさとの最後のひとつ梨を剥く  桑本栄太郎
十月 ⑩玄米を提げる山路や秋高し     弓削和人
十一月⑪初冬の薔薇みずいろの空に向き   多田有花
十二月⑫布団干す晴れ渡る日の午餐どき    高橋秀之

12月ネット句会を終えて/ご挨拶

今年も1月から12月まで、12回の月例ネット句会を行うことができました。ご参加のみな様、ありがとうございました。それぞれの回でその月らしい作品が生まれたことを喜こんでいます。
毎月第2日曜のネット句会ですが、驚くほどはっきりと季節の進み具合が見えました。関東から関西、四国と各地で暮らされている皆様の生活の様子が俳句を通して知ることができて、おひとりおひとりを近しく感じることができる句会でした。
来年2023年9月には花冠創刊40周年を迎えます。日々を繋いで40年経ったかと思うと感慨深いものがあります。これも花冠のお仲間がいればこそ、繋げた40年だと思います。ご支援、ご協力をありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
これで2022年12月月例ネット句会を終わります。皆様、よいお年をお迎えください。
2022年12月17日
花冠代表 髙橋正子

12月17日(土)

曇り
●夜中、窓打つ音に雨が降っていることを知る。夜中をまわっても花冠の編集に切が付かない。だんだん集中力が増して9割がた進んだ。しかし、俳句日記はやはり難物。
●昨日頼まれた元希へのクリスマスプレゼント。楽天に注文しようとしたら、目当てのバッグは売り切れ。ネットは油断ならない。昨日夜ールをもらった時点で注文すればあったのだろうが、今回は失敗。去年はメールをもらってすぐ注文した記憶がある。父親に任せることにして連絡。

12月16日(金)

晴れ
●信之先生散髪へ。昼前に理髪店に行ったが、2人が整髪中で待つ。すぐ近くの理髪店ながら、帰るとすっかり疲れてしまって、食事とお風呂で精いっぱい。今日の編集の仕事はお流れに。
●「俳壇」から来年の花冠の広告の件で封書。来年も広告を隔月で継続するので、忘れないうちにと、今日、広告料を振り込んだ。’23年3月号から’24年1月号まで。
●もときから夜、クリスマスプレゼントの依頼のメール。テニスバッグが要るとのこと。明日朝注文することに。

12月15日(木)

晴れ
●花冠の編集。半ば済んだ。残る難題は「俳句日記」。編集の仕事にBGMは欠かせない。今日はHalidonの100ピアノ・ソナタを聞いている。ピアノをずっと聞いていると、聞く音がピアノに偏って来る。耳の慣れというのか、次もまたピアノ曲が聞きたくなる。
●夕方眠すぎて仕方なく、昼寝。夕飯は冷凍グラタン。信之先生は年取って洋風な料理が食べやすいようで、グラタンなど好むようになった。ご飯は噛むのがめんどうみたい。お粥ややわらかいご飯は、好きではなさそう。牛乳やジュースで済まそうとする。

12月14日(水)

晴れ
●生協の配達。水の配達がいちばん助かる。夜中雨が降ったのか、道が濡れている。
●花冠の編集。信之先生の介護もあるので、疲れたと思ったら仕事をゆっくりするか、やり残すことに。そのおかげか、みんなに「元気だ」と言われる。

12月13日(火)

曇りのち晴れ
●一日花冠の編集。
●俳壇1月号が届く。花冠の広告あり。
●「松の花」12月号「現代俳句管見」に句美子の句「コスモスの初めの花は一二輪」が採り上げられる。
(「コスモス」というと広い土手のような所を埋め尽くすように咲くさまを思い浮かべるが、この句のように言われるとその「一二輪」を見てみたい衝動に駆られる。)(評:松尾清隆編集人)

12月12日(月)

晴れのち雨
●12月ネット句会の入賞発表。
●みなさん、早速金賞の選を始めてくれて、どの句が最高得点を取るか楽しみ。去年は同点3人だった。
●You Tube で音楽を聞きながらパソコンの仕事をしていて、なんとすごいバッハなんだとびっくりして、画面を見た。オランダバッハ協会の演奏だった。メインのバイオリンニストが日本人のようだったので、ネットで調べたら、やはり日本人で佐藤俊介さんというかた。38歳でオランダバッハ協会の音楽監督。今年一番の音楽に出会った感じ。

12月11日(日)

晴れ
冬川を渡る電車の一旅客    正子
冬茜鉄橋渡り子を見舞う    正子
北風吹けば名をもつ星の瞬ける 正子
●12月ネット句会。13名参加。
●2022年金賞作品12句から2022年最優秀作品を決めるため、ひとり3句の選を依頼。
●夕方、句美子の家へ。ほほ体調はもどったようだ。病気で体調が悪いときもずっと休まずテレワークをしていて、会社も気づかなかったらしい。頑張りすぎる癖は父親似。
●病院へ行くのにちょうどいい服がなくて、友宏さんに編んだベストを着ていったという。えっ、だが、意外と自分に似合って可愛かったという。まあ、ユニセックスのデザインだから。着るものは買おうと思えば好きなものが買えると思うのに、編み物は意外と嬉しいようだ。花冠1月号を発行したら、編み物を始めるつもり。今度は編み方を良く調べて、もっときれいに編めるように。

■12月月例ネット句会/入賞発表

■12月月例ネット句会/入賞発表
■2022年12月例ネット句会■
■入賞発表/2022年12月11日

【金賞】
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
「午餐どき」に家族の暮らしの姿が見えて、全てを温和に包こんでくれるような句。よく晴れた日曜日だろうか、午餐どきになってのんびり布団を干す。家族がそれぞれに、過ごして、ゆるく繋がっている家族像が見える。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
吹き降りがひどいのであろう。枯葉を吹く風が、雨を斜めに降らせる。濡れないように傘に深く身を入れて道を歩く。今は吹き降りの暗さのただ中にあるが、その先に必ずや明るさがあることが信じさせてくれる句。(髙橋正子)

31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
ちらほら雪が舞ってもよさそうな日。そんな日も朝日は元気よく昇り、つぎつぎに登校してくる子供たちを輝かせている。昔から変わらぬ冬の朝の登校風景でありながら、「小雪」の日は、特別な光景に見える。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
01.みどり子の生誕待たる十二月/桑本栄太郎
十二月のみどり子の生誕は、イエス・キリストの生誕。今イエスがこの世に生誕するのを人々と共に心待ちにする気持ちがリアルである。(髙橋正子)

15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
裸婦座像の周りに銀杏落葉が降り敷いている。銀杏落葉によって裸婦座像に想いが生まれてくるようだ。芸術的な風景に人はなにがしか、心が動く。(髙橋正子)

39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ
介護を受ける身となれば、ペルパーさんが明るい方であるといい。前向きに明るい方へ事が運ぶ感じがする。小春風のようなヘルパーのからから笑う声がいい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
12.冬の草触りて息吹感じたり/廣田洋一
冬なお青く、枯残った草が目に染みる。青々とした草が力つよさを感じさせてくれる。(小口泰與)
春に向けて、生命力の躍動を秘めている冬草。観ているだけではなく、触れることで感じ取れる何かを大切にしている。(弓削和人)

23.大学の銀杏黄葉の坂なせり/髙橋正子
大学の銀杏大樹の黄葉が降り輝く坂道。様々な青春時代に思いを馳せつつ、落葉を踏みしめて歩く温かいひとときです。(柳原美知子)

01.みどり子の生誕待たる十二月/桑本栄太郎
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ

【髙橋正子特選/7句】
07.朝明けや空までつづく道に冬/弓削和人
朝一番に仰ぐ空。今日は冬の雲におおわれている。その空まで続いているような登り坂の道も白く冷気が漂っているようだ。本格的な冬の到来に身を引き締める詠者が想像されます。(柳原美知子)

15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
 美術館の広い中庭だろうか。銀杏の葉が像の周りを黄色く埋めている。その真ん中に膝を崩した裸婦の座像がうつむき加減にある。行く秋に溶け込んで物思いに耽っている静かな姿を想像します。 (吉田晃)

21.升で豆量り売りする冬テント/祝 恵子
師走となり、お節料理のための豆類が売られ、活気づく出店。寒さの中にも生き生きと温かい生活のひとこまです。句のリズムもよく明るさを感じます。 (柳原美知子)

34.クリスマス街の光が夜空へと/高橋句美子
クリスマスの電飾で華やぐ街。その光が夜空にも投影され、幻想的な闇が浮かびあがります。日常とは異なったこの時期の都市の空間を楽しみながらの帰宅です。(柳原美知子)

11.探し出し子らに見せたる竜の玉/廣田洋一
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子

【入選/17句】
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
鴨がスムーズに着水する一瞬の出来事を的確に捉えていると感じました。(西村友宏)

04.霜の朝連山我に迫り来る/小口泰與
山に囲まれた土地の冷え込んだ早朝の厳しくも清々しい空気が感じられます。 (多田有花)
朝の山の厳かな雰囲気に偉大さを思います。 (髙橋句美子)

06.昭和の血湧かせ唄うや年忘/小口泰與
忘年会で、歌をうたうとなると、独唱であれ、合唱であれ、歌いなれた昭和の歌を唄うことになる。血湧かせ唄うと、熱唱ぶりを表したのが上手い。 (廣田洋一)

14.薄日差す師走の城を仰ぎおり/多田有花
なにかとあわただしい師走。気がせく日常も仰ぎ見る城は変わらぬ風情を保っている。そんなお城が薄日が差しこむとより悠然と感じ、落ち着きを呼び戻してくれる気がします。(高橋秀之)

20.詰め放題からつき牡蠣を袋詰め/祝 恵子
物価高の歳末です。詰め放題、しかも牡蠣となるとうれしいですね。この日の夕食の献立は牡蠣に決まりです。(多田有花)

25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
御堂筋は大阪梅田より難波まで続く幅44メートルの大阪の基幹道路である。その沿道には大きなビルが立ち並び、ビジネスや商業の中心をなして居る。冬の今頃の時季ともなれば、百万とも云うべき電飾で飾られ、寒さの中にも冬の風物詩として著名である。その景色をすべて名詞で詠われて居り、如何にも冬の街並みの風情が表された。 (桑本栄太郎)

30.新しきペンが滑らか冬の朝/西村友宏
新しい万年筆、少し張り込んで買われたものか、それとも贈り物でいただかれたものか。いずれにしても、ペンの滑らかさは弾む心を表しています。(多田有花)

35.ポインセチア軽き葉色を師へ選ぶ/高橋句美子
クリスマスの季節に欠かせぬポインセチア。赤々しいポインセチアではなく軽き葉色を選ぶ心が優しさを感じます。(高橋秀之)

38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
猫が日向ぼこしていた部屋。暖かく日が当たる部屋、今は一人で猫といるような気持になりうとうとしてきました。 (祝恵子)
猫は暖かい場所をよく知っています。猫のいた部屋はきっと暖かい。なので、日向ぼこには最適の部屋なのです。 (高橋秀之)
さっきまで猫がそこで気持ちよさそうに昼寝をしていました。そこで同じようにゆったりと過ごされます。猫がお好きな作者の思いがあふれています。(多田有花)

05.ダム湖へと沈みし村や返り花/小口泰與
08.浮かび咲く八手の花や夕の空/弓削和人
13.城まで歩く銀杏落葉の散る道を/多田有花
18.秋がゆく灯影に白き蛾の戯れ/吉田 晃
19.露草の紫色を溜めて冬/祝 恵
26.絶え間なく続く白波冬の海/高橋秀之
32.子が引いて作りし今朝の蕪のスープ/柳原美知子
37.眉墨をやや長くひく今朝の冬/川名ますみ

■選者詠/髙橋信之
のちほど。

■選者詠/髙橋正子
22.青空にきよらかなりて枯木立
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり 
24.包まれてずっしり白菜のかたち

■互選高点句
●最高点(同点3句/4点)
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
集計:髙橋正子