■1月月例ネット句会/入賞発表/2023年

■1月月例ネット句会/入賞発表
■2023年1月例ネット句会■
■入賞発表/2023年1月9日
【金賞】
20.初空に富士のしろさの大いなり/川名ますみ
 富士山は季節により、時刻により、また見る場所により、さまざまな姿を見せてくれる。画に描かれ、写真に撮られ、また、人々の目裏に収められてきた。初空に見える富士山は白く雪を冠り「しろさの大いなり」と感嘆するほどだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
06.笹鳴きや湖を見下ろす祖父の墓/小口泰與
 寒さの中にも笹鳴きを聞く嬉しさ。その場所が、湖を見下ろす「祖父の墓」であることに、安心のある暖かさを感じる。(髙橋正子)

25.除雪車の過ぎて一条道ひらく/弓削和人
 除雪車が雪を除いて、一すじの道を開いてくれた。ただそのことだけながら、雪国の生活の苦労も美しさも背景に含んで読み取れる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
09.小寒のそら群青に月満る/友田 修
 「小寒のそら」が、ことに澄み渡って群青であること。そこに満ちている月がしっかりと光を放っていること。それで十分だ。「満月」でなく、「月満る」として、この句に力のある詩情が生まれた。(髙橋正子)

23.黍餅の旨さ大地に恵まれて/吉田 晃
 黍餅は、もとは足りない糯米を補う餅だったが、最近は糯米の餅とあわせ好みの餅とし、搗かれることが多いかもしれない。実は、私も好きなのであるが、素朴な旨さ、噛みきりの良さに、「大地の恵み」を確かに実感する。(髙橋正子)

31.風花舞う道後歩けば旅人めき/柳原美知子
 道後は温泉で知られ、地元に住むものも、歩けば観光客に混じって旅人になったような錯覚を覚える。私も経験したことだが、温泉街の雰囲気に誘われ、浮かれやすくなって、時には温泉まんじゅうを土産に買ったこともある。風花が舞う寒い日の道後は、特に旅心を持たせてくれる。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
09.小寒のそら群青に月満る/友田 修
小寒の日の夜空は群青であるが、そこに満ちる月は明るく輝いている。明るい未来を醸し出すような一コマです。(高橋秀之)

11.買い来たる七草セット野の香り/廣田洋一
七草粥を炊こうと七草セットを買ってきた。七草の緑からは野の香りがし、野にいるような安らかな気分になった。お粥が炊きあがるのが楽しみだ。 (柳原美知子)

20.初空に富士のしろさの大いなり/川名ますみ
今年の元日の東京は暖かい晴天に恵まれ富士山がきれいに見えました。
いつ見ても美しい富士ですが、元日であればなおさらのことです。 (多田有花)
 一度飛行機から見たことはあるが、それ以上に正月の富士はすばらしいのだろう。初富士は人の心に希望と優しさを与えてくれるのだと思う。それが、大いなるものの力であり、作者はその大いなる姿に心惹かれている。 (吉田晃)

25.除雪車の過ぎて一条道ひらく/弓削和人く
雪が積もってしまい除雪車が道を広げていく一筋の道、人の生活道路、ありがたいことです。 (祝恵子)

06.笹鳴きや湖を見下ろす祖父の墓/小口泰與
14.帰省するわが子の車で初詣/高橋秀之
23.黍餅の旨さ大地に恵まれて/吉田晃

【髙橋正子特選/7句】
13.除夜の鐘届けよ遠き星空へ/高橋秀之
除夜の鐘が鳴り、余韻の澄んだ音色が闇の中に響く。遥かに輝く星空へ今は亡き人たちへ想いを馳せつつ、静かに行く年を送り、くる年の平和を祈る詠者です。 (柳原美知子)

31.風花舞う道後歩けば旅人めき/柳原美知子
風花の舞う松山の道後町を歩いていると、ふと旅人のように錯覚する。道後温泉に立ち寄り、時計台を眺めた思い出が想起された。また、道後町に立ち寄りたくなる風情を感じる。(弓削和人)

06.笹鳴きや湖を見下ろす祖父の墓/小口泰與
09.小寒のそら群青に月満る/友田 修
20.初空に富士のしろさの大いなり/川名ますみ
23.黍餅の旨さ大地に恵まれて/吉田晃
25.除雪車の過ぎて一条道ひらく/弓削和人

【入選/20句】
01.人は皆想い出に生き年迎ふ/桑本栄太郎
子どもの頃は新年は新しい年への希望、決意といったものに満ちていた気がします。それが、いつの頃からか一年を振り返り、遠い過去を懐かしむ時へと変わって行きました。年齢を経たからこそ詠める御句と思います。 (多田有花)

02.水鳥の水脈を曳くさえ淑気満つ/桑本栄太郎
師走の間もそこにいた水鳥。しかし、新年となるとそれも新鮮に見えます。お正月を迎える「すべてが新たになる」という気持ちがこもっています。 (多田有花)

03.ふるさとの訛り飛び交う初電話/桑本栄太郎
故郷の兄弟や友人との初電話。思わず方言が出て、昔のままの気持ちで会話が弾みます。懐かしくも心温まるひと時です。(柳原美知子)

15.目に眩し仕事始めに見る日の出/高橋秀之
仕事始めは気が引き締まる時。晴れの日に見る日の出はその気持ちを高めてくれます。 (友田修)

18.子等の来て挨拶終えて屠蘇祝う/祝 恵子
年末年始の帰省なのでしょう。普段は慣れているお子様、お孫様が集まり「あけましておめでとうございます」のあいさつからみんなでお屠蘇をいただく。幸せな祝いの行事です。 (高橋秀之)

19.ベッドより伸ばす左手初明り/川名ますみ
カーテン、あるいは雨戸越しに感じる明るさ、確認のため左手を伸ばすと目に飛び込む元旦の曙光。気持ちが光により新たになる一瞬をとらえていると思います。 (友田修)

22.秒針が刻む残りの大晦日/吉田晃
大晦日の歴史はかなり古く、平安時代にさかのぼる。昔、大晦日は祭神様を祭るための準備の日であった。その準備も終わり、いよいよ12時を迎える時、くる年が素晴らしい良き日になることを心に祈っていた。(小口泰與)

24.七種の粥の白さや野の緑/吉田晃
緑の野草と焚く名草粥は、白米の白さが際立つのを、粥の白さとまとめたのが上手い。 (廣田洋一)

26.瑞雲のたなびく空や街遠く/弓削和人
吉兆といわれる瑞雲がたなびく空の向こうに見える街の遠景。これからそこに向かうのか、そこから来て振り返ってみた光景なのか。その街に何かの思いを残しているのだなあと感じる句です。 (友田修)

27.初御空真白き連山重なれり/弓削和人
詠者は雪国にお住まいなのでしょう。新年を迎え周りの山々を見上げられました。「真白き」に新年を迎えた新鮮な思いが感じられます。 (多田有花)

28.穏やかに光あふれて寒の入/多田有花
光あふれて、の表現が好きです。これから寒さも本番を迎えるであろう寒の入りなのに、そこに冬の日差しの暖かさを感じます。 (高橋秀之)

29.寒満月はや中天に高くあり/多田有花
中天に高く見える寒の満月から、その下にある広々とした群青の空間が見えてきます。広大な夜空を照らしている満月、立ち止まっていつまでも見ていたい気持ちになります。 (友田修)

32.大年の野はひろびろと鳥放ち/柳原美知子
気持ちのよい御句です。いいこともあったし、そうともいえないこともあった。それでも一年は過ぎてゆきまた新たな一年がやってきます。繰り返される大宇宙の営みです。 (多田有花)

34.旧友と出くわす里の初詣/西村友宏
産土神社へ初詣でのお詣りすれば、旧友と出会いました。自身が正月帰省の場合、或いは旧友が正月に里帰り中の出来事です。里の産土神社ならではの嬉しい正月の出会いです。 (桑本栄太郎)

35.夕風呂を終えて最後の雑煮食う/西村友宏
現代のお正月の風景が浮かんできます。大家族でにぎやかに祝う特別なお正月というのではなく、日常の続きのほんのひと時のめでたさ。豊かでもののあふれた時代のお正月です。 (多田有花)

36.背伸びして空の青さと初雀/西村友宏
元日に晴れた空を望もうとして背伸びをすると空の青を背景に雀が羽毛をふっくら膨らませて丸くなっている、、、そんな情景を想像しました。(友田修)

39.福寿草懐かしき色手にのせて/髙橋句美子
福寿草の色を「懐かしき」と表現されたところに詠者の優しさを感じます。そういえばあの黄色は懐かしい色だなあと改めて思います。 (多田有花)

04.空を裁つ利鎌の如き冬の月/小口泰與
21.初御空富士真っ白に晴れ渡り/川名ますみ
33.初詣水音身を透く畦を行き/柳原美知子

■選者詠/髙橋信之
後ほど

■選者詠/髙橋正子
41.人日の松葉灯ともる静かさよ/髙橋正子
今年もはや七日、人日となった。お正月の賑わいも一段落した夕べ。松飾りが静かに灯り、しみじみと今日までの安寧が実感され、今年の過ごし方が思われます。 (柳原美知子)

42.星出でて焼芋焼けている匂い
空を仰ぐと、もう星が出ている。気づけば、時間をかけて焼いた芋が「焼けている匂い」を漂わせている。そんな冬の夕刻を想像しました。星と焼芋、遠い存在のようですのに、こうして一体となる瞬間があるのですね。空も光も匂いも、すべて澄み渡る瞬間です。(川名ますみ)

40.正月の花のフリージャほの香る

■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
09.小寒のそら群青に月満る/友田 修
31.風花舞う道後歩けば旅人めき/柳原美知子

集計:髙橋正子

1月9日(月)成人の日

快晴
●1月月例ネット句会入賞発表。
●合同句集の名前が思い浮かぶ。『花とけむり』。合言葉めいているが、水煙と花冠にかかわって来た人はにんまりするかもしれない。なぜ、「けむり」かと言うと、ドイツの俳句会に家族で招かれたとき、Dr.ワルツォックが、信之先生の第一句集『水煙』と、雑誌の「水煙」を説明するのに、ドイツ語でされていたが、私の耳に「Wasser」と「Brunnen」が聞こえた。塔の先端にある水煙ではなく、「水けむり」と説明している。信之先生は、あまりよく聞いていなかったのか、気づいていなかった。それで、私がワルツォック先生の説明は間違っているのでは、と耳打ちした。「水けむり」。その元のBrunnen、きれいで、いいではないか。今、ひょっと『ブルネン』もいいかも。
●成人の日。成人年齢は18歳に引き下げられたが、成人式は20歳。

1月8日(日)

晴れ
正月の花のフリージャほの香る
人日の松葉灯ともる静かさよ
星出でて焼芋焼けている匂い
空を仰ぐと、もう星が出ている。気づけば、時間をかけて焼いた芋が「焼けている匂い」を漂わせている。そんな冬の夕刻を想像しました。星と焼芋、遠い存在のようですのに、こうして一体となる瞬間があるのですね。空も光も匂いも、すべて澄み渡る瞬間です。(川名ますみ)

●1月月例ネット句会開催。14名参加。

■1月月例ネット句会清記■

■1月月例ネット句会清記■
2023年1月8日
42句(14名)

01.人は皆想い出に生き年迎ふ
02.水鳥の水脈を曳くさへ淑気満つ
03.ふるさとの訛り飛び交う初電話
04.空を裁つ利鎌の如き冬の月
05.ふわふわと浮きし豆腐や六花
06.笹鳴きや湖を見下ろす祖父の墓
07.軽さかな曇天に舞う散り紅葉
08.冬の朝雨音にふと安堵する
09.小寒のそら群青に月満る
10.投句者を思ひつ選句去年今年

11.買ひ来たる七草セット野の香り
12.渾身の一句を添へて賀状来る
13.除夜の鐘届けよ遠き星空へ
14.帰省するわが子の車で初詣
15.目に眩し仕事始めに見る日の出
16.初春の鉢に白砂鶴と亀
17.二人には屠蘇器大きく薩摩焼
18.子等の来て挨拶終えて屠蘇祝う
19.ベッドより伸ばす左手初明り
20.初空に富士のしろさの大いなり

21.初御空富士真っ白に晴れ渡り
22.秒針が刻む残りの大晦日
23.黍餅の旨さ大地に恵まれて
24.七種の粥の白さや野の緑
25.除雪車の過ぎて一条道ひらく
26.瑞雲のたなびく空や街遠く
27.初御空真白き連山重なれり
28.穏やかに光あふれて寒の入
29.寒満月はや中天に高くあり
30.音もなく降り出しており寒の雨

31.風花舞う道後歩けば旅人めき
32.大年の野はひろびろと鳥放ち
33.初詣水音身を透く畦を行き
34.旧友と出くわす里の初詣
35.夕風呂を終えて最後の雑煮食う
36.背伸びして空の青さと初雀
37.初詣石段白に夜深まる
38.新年の晴れの予報に耳傾け
39.福寿草懐かしき色手にのせて
40.正月の花のフリージャほの香る

41.人日の松葉灯ともる静かさよ
42.星出でて焼芋焼けている匂い

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

1月7日(土)

快晴
●明日の月例句会の進捗具合を2時間おきぐらいに見る。
●40周年記念の合同句集名を考える。「合同句集」は野暮ったいので、「花冠アンソロジー」とするのがいいかも。『空・海・山』の名前が浮かんだ。
●去年はユーチュブでクラッシクをたくさん聞いた。名前が知れた若い人たちの演奏もよく聞いたが、新年、彼らの演奏がなんか、嫌になった。それで、パソコンの仕事中は、クラッシクはだれの演奏でもいいから、聞きやすければ、聞いている。

1月6日(金)小寒

晴れ
●ロシアがきょう午後から明日7日にかけて36時間のクリスマス停戦をする。オーソドックス・クリスマスと言う1月7日のクリスマスを、初めて知った。フランスも1月7日のクリスマスを祝うらしい。フランスではパイ生地にアーモンドクリームを挟んで、一つ陶器の小さいものを入れて焼くお菓子を食べるらしい。店でも売っている。
●愛大俳句会の句友の公文さんから夕方電話がある。年賀状の返事に花冠1月号を送ったので、そのお礼のように思えたが、「信之先生の声を聞きたい」ということだった。そして、私の句は学生時代のままだという。その指摘は有り難く的確。別人格にならなければ、俳句は変わらない。つまり、残念とは思わないが、進歩はないということ。
もうひとつ、「『吉田晃』の名前は聞いたことがあるがどんな人か。」と聞くので、「あなたがやるべきことをやっている人ではないかのかと思う。」と。

1月4日(水)

快晴
●はや、四日。なにか仕事をしようと思うが、力が入らない。通り一遍の家事をして、テレビで「科捜研の女」を見る。昨日は「相棒」を見た。そのあと、自由な投句箱の秀句のコメント。
●ぼうーとしていると、新年はじめての生協の配達。水の配達は有り難い。
●あまりに静かなので、夕方近くから、花冠創刊40周年記念に合同句集を出すならと、試算をした。合同句集は大体一人10句。10句なら定期発行より少ないし。花冠は人数が少ないので、ひとり30句にするか、と。50句にすれば完全に赤字。ひとり5000円ずつカンパいただければ、大丈夫かもしれない。が、50句は投句する側の作業が大変。この試算は暮れから、合間合間にやっている。合同句集を出すか、出さないかも決まっていないが。心づもりということも大事だろう。

1月2日(月)

曇り
●午後四時ごろ、息子の元と孫の元希とZoomで新年の挨拶。いつもはSKYPだが、今年からZoomに替えてみた。繋がりにくかったのか、順調とは言えない映り。4年生の元希はZoomなどにはずいぶん詳しくなって、いろいろ指示してくれた。