NEW■12月月例ネット句会入賞発表■

■12月月例ネット句会入賞発表■
2025年12月14日
【金賞】
26.冬蝶を目で追いゆけばもどりくる/吉田 晃
冬の蝶の儚さを写しながら、蝶を追う眼差しの優しさと、蝶の飛ぶ自然の律動を表している。静かな冬の空気の中に、蝶の一瞬の舞いが「戻る」という言葉によって永遠性を帯び、余韻を残す一句となっている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.寺の柚子洗いし手の甲水弾けり/土橋みよ
寺でもらった柚子はたくさんあったのだろう。柚子を洗った手の甲が水をはじいたのは、柚子も、手の甲もきびきびと若々しい。

11.銀杏散り尽し街空澄む碧さ/藤田洋子
並木の銀杏黄葉もすっかり散って、街の空は、青一色に澄んでいる。散ってしまった黄葉ではあるが、青空に対比されて、脳裏にはその色が残っている。それだからこと、「澄む碧さ」となるのだ。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
04.浮寝鳥群れたるままに流れおり/ 廣田洋一
水に浮いたまま寝むる水鳥の群れは、流れがあれば、群れごとに流れている。自然の営みのままに眠る浮き寝鳥は、自然の一部となっているのだ。
(髙橋正子)

29.餅搗けるまでドラム缶の火を囲み/柳原美知子
集まって餅を搗いているのだろう。餅搗きの場書には、ドラム缶に焚火が焚かれ、暖が取れるようになっている。餅が搗きあがるまで、みんなで火を囲んで話も、身近なことなど尽きない。年末の共同体のなごやかな風景が詠まれている。(髙橋正子)

09.手に掬う湯の柔らかき蜜柑風呂/土橋みよ
蜜柑風呂に入った。蜜柑の香りがして、手に掬うと柔らかい。家庭的な蜜柑風呂の柔らかさに和むひとときだ。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
09.手に掬う湯の柔らかき蜜柑風呂/土橋みよ
手をこぼれ落ちた湯が柔らかい音を立てる。湯の柔らかい匂い、湯のこぼれる柔らかい音、柔らかい湯気、そして蜜柑の柔らかな匂い。ゆったりと流れる時間に包まれた作者。(吉田晃)
読み下すほどに映像が浮かび、共感できる好きな句です。蜜柑の優しい色とまどかな形に、甘やかな香り、そして掬えば手に柔らかなお湯。幸せな一夜ですね。(川名ますみ)

04.浮寝鳥群れたるままに流れおり/ 廣田洋一
07.寺の柚子洗いし手の甲水弾けり/ 土橋みよ
08.手に掬う湯の柔らかき蜜柑風呂/ 土橋みよ
11.銀杏散り尽し街空澄む碧さ/藤田洋子
26.冬蝶を目で追いゆけばもどりくる/吉田 晃
27.海光り港静かな暖冬に/吉田 晃
29.餅搗けるまでドラム缶の火を囲み/柳原美知子

【入選/15句】
13.朝に掃き夕に掃いても落ち葉あり/高橋秀之
紅葉、黄葉の時季を過ぎれば、あとは落葉落葉の連続です。当に落葉時の光景を詠んで落葉の切りの無さが思われます。(桑本栄太郎)

23.日が射して枯葉がひらり吾子の手に/西村友宏
明るい冬の日差しを受け、ベビーカーの中のお子様も押すお父様も心地よく、子の手に舞い降りた枯葉に自然の息吹を感じつつ歩む父と子の至福のひとときです。(柳原美知子)

24.はじめてのおすわり祝す冬日和/西村友宏
 おめでとうございます。生まれて間もない赤子が、冬の温かい天気の良い日にに日向ぼこをする如く、初めて座った。健康に成長していて、真に喜ばしい。(廣田洋一)

36.深呼吸ひとつ大きな冬の月/友田 修
澄んだ冬の空に浮かぶ月の下で、雄大な自然を全身で味わいながら、大きく深呼吸する様子が目に浮かびます。(土橋みよ)
冬なればこそ、くっきりと光りを放つ大きな冬の月の存在感です。澄み渡る澄んだ大気の中での作者の深呼吸に共感いたします。(藤田洋子)
澄み渡る空気、明るく照らす冬の月。自然の醍醐味が大きな深呼吸で味わえる。この深呼吸に幸せな時間と空間を感じます。(高橋秀之)

02.冬ぬくし始業チャイムの緩やかに/桑本栄太郎
08.ひび割れし苅田に糠の山一つ/土橋みよ
10.窓拭いて空の青さに師走来る/藤田洋子
14.澄み渡る冬空を行く鳥の群れ/高橋秀之
15.大根の煮物みそ汁食卓に/高橋秀之
20.朴落葉踏み天文台への道/多田 有花
22.冬日向ベビーカー揺れ眠りけり/西村友宏
28.落葉する大銀杏抜け子ら登校/柳原美知子
30.里祭り抜け来し川辺枇杷の花/柳原美知子
31.冬灯夜を切り取りて黒猫来/川名ますみ
32.銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る/川名ますみ

■選者詠/髙橋正子
17.木の葉ちる朴には朴の音のして
色鮮やかだった紅葉も冬になると木々の葉は枯れて舞い落ちる。丸まってカサカサになり風に舞うように散るものもあれば、朴葉のようにゆったりと落ちてゆき、ふわっと音を立てるものもある。木々それぞれの散り方にそれぞれの音があるように、人の人生にもそれぞれの音があるのだろう。
(友田修)

16.鍵開ける冬満月を仰ぎつつ
18.プラタナス落葉となって地を走る

●互選最高点句(6点)
09.手に掬う湯の柔らかき蜜柑風呂/土橋みよ

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

NEW■12月月例ネット句会清記■

■12月月例ネット句会清記■
2025年12月14日
36句(12名)

01.葉を落とし銀杏冬芽の楽譜かな
02.冬ぬくし始業チャイムの緩やかに
03.松山のことは想い出漱石忌
04.浮寝鳥群れたるままに流れおり
05.コンビニのおでんの匂い昼餉時
06.黄ばみたる障子まとめて張り替えぬ
07.寺の柚子洗いし手の甲水弾けり
08.ひび割れし苅田に糠の山一つ
09.手に掬う湯の柔らかき蜜柑風呂
10.窓拭いて空の青さに師走来る

11.銀杏散り尽し街空澄む碧さ
12.冬欅灯し現る樹の形
13.朝に掃き夕に掃いても落ち葉あり
14.澄み渡る冬空を行く鳥の群れ
15.大根の煮物みそ汁食卓に
16.鍵開ける冬満月を仰ぎつつ
17.木の葉ちる朴には朴の音のして
18.プラタナス落葉となって地を走る
19.日時計の針になりけり冬晴に
20.朴落葉踏み天文台への道

21.太陽のフレアを見るや冬真昼
22.冬日向ベビーカー揺れ眠りけり
23.日が射して枯葉がひらり吾子の手に
24.はじめてのおすわり祝す冬日和
25.木が枯れて森の浅きを鵙猛る
26.冬蝶を目で追いゆけばもどりくる
27.海光り港静かな暖冬に
28.落葉する大銀杏抜け子ら登校
29.餅搗けるまでドラム缶の火を囲み
30.里祭り抜け来し川辺枇杷の花

31.冬灯夜を切り取りて黒猫来
32.銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る
33.にわか雨冬の日差しの潤える
34.冬紅葉蹲に浮き沈みけり
35.最中とは満月と知る冬の月
36.深呼吸ひとつ大きな冬の月

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

12月月例ネット句会ご案内

■12月月例ネット句会ご案内/2025年■New!
12月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :12月14日(日)
①投句:当季雑詠3句
    12月8日(月)午前6時~12月14日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月14(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、12月15日(月)正午~
                 12月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

※なお、12月月例ネット句会入賞発表と同時に、金賞の中から、年間最優秀句を選んでいただきます。その節は、よろしくお願いします。

ご挨拶/11月月例ネット句会を終えて

11月月例ネット句会にご参加、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。それぞれの句にコメントをありがとうございます。
ほどんどの句にコメントが寄せられたと思いますが、信之先生は「俳句が大事」とよく言っておられました。なによりも一句一句が大事にされるべきと思います。

今年は短い秋でしたが、はや立冬を過ぎ、朝夕の冷え込みを感じるようになりました。今月のご投句から、みなさまそれぞれ身近に秋を楽しまれた様子が窺えました。早速、冬の句もあり、生活の中にこそ季節があるのだと実感いたしました。来月は12月句会、楽しみに、ご健吟ください。これで、11月月例ネット句会を終わります。
2025年11月14日
髙橋正子

■11月月例ネット句会清記■

■11月月例ネット句会清記■
2025年11月9日
36句(12名)
※句会での句の前書きについて
句会では、ふつう投句に前書きをつけません。これまで、ネット句会の特性上、前書きのある句には、前書きをつけたまま清記に記載しておりました。他の句会に参加されることもあると思いますので、句会の慣例に従い、前書きを外しました。

01.バス停の夜の静寂や金木犀
02.緋の色のアメリカ楓の紅葉かな
03.あおぞらにさくら紅葉や仰ぎ見る
04.棘光る鈴なりの柚子に朝日差し
05.窓越しのどろぼう草や子らの声
06.秋麗や郵便バイク来る時分
07.出勤前妻とみかんを半分こ
08.紅葉が空の青さを引き立てる
09.朝礼で冬が来ると空を指し
10.窓辺から聴く秋風に色を見る

11.曼珠沙華妖しい光を連れてくる
12.月満ちてあたり一面虫の声
13.富士山のくっきり見ゆる小春かな
14.ひとしきり落葉時雨を浴びにけり
15.群れ雀落穂啄む小さき田
16.今朝の冬病み臥す窓に外の光 
17.オリオンの星をたしかに星月夜
18.初紅葉電車のわれを誰知らず
19.足湯する道後の空には鰯雲
20.小鳥来て声澄む道後の子規像に

21.はじめてと嫁栗飯を作りくれ
22.水底に日差し朽葉の散らばりに
23.古代蓮枯れきるまでを水に照り
24.柿落葉ひと葉ひと葉に色残し
25.風の穂に止まるとんぼの軽い赤
26.すする茶の音の軽さよ冬に入る
27.逝く秋の風の心地を満身に
28.朝霧の晴れ一面の芒原
29.草原に青き輝き竜胆咲く
30.立冬の月くっきりと宵の空

31.礫浜の路行き止まる秋の波
32.礫浜に白波砕ける秋の朝
33.秋望を母と天険親不知
34.縺れあう黄蝶のふたつ天高し
35.お土産の芙蓉を両のてのひらに
36.シチューからスパイス香る今朝の冬

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■11月月例ネット句会入賞発表/2025年■New!

■11月月例ネット句会入賞発表/2025年■New!
11月月例ネット句会の入賞発表をいたしました。
下記の月例ネット句会のブログでご確認ください。入賞の皆様おめでとうございます。
月例ネット句会
https://suien.ne.jp/getsureikukai/
伝言・お礼等の投稿は、11月10日(月)正午~
                 11月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

■10月月例ネット句会入賞発表■

■10月月例ネット句会入賞発表■
2025年10月13日
【金賞】
29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め/吉田 晃
稲架に掛けられた稲穂に、沈む夕陽が差し、その穂を赤く染めている。「赤く染め」は、夕陽の赤さであり、稔りの豊かさや、あかるさ、うれしさなどを含んだ祝祭的な赤さなのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田有花
「鹿の声」は、古来、日本の詩歌に多く読まれて、古典的なひびきを帯びている。声が「長く響いて」は、秋の夜のさびしさや「あはれ」の感情を呼び起こす。その声にますます秋の夜は更けてゆくのである。(髙橋正子)

14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る/柳原美知子
野ぶどうが、瑠璃色の光をはなちて、空に垂れている。野ぶどうの色の美しさが、深まる秋を色彩的に彩っている。ぶどうの実だけでなく、黄葉している葉やあたりの様子が想像できる絵画的なよさのある句。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ/高橋秀之
リビングで、夕飯ができるのを待っている。空腹のたのしい時間である。そこへ食欲をそそる、すだちの香りがしてくる。今夜の献立が想像できて、暮らしの幸福感があるのがいい。(髙橋正子)

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか/藤田洋子
この句は、書店の光景とも読めるが、この新刊書はこの度洋子さんが出版されたたアンソロジーのことであろう。積み上げられた、新刊の図書の帯が揃って、美しさとなっている。さやかな美しさである。出版おめでとうございます。
「新刊書」を「新句集」とすれば、もっと自分の事として、読む人に訴えられたのはないかと思う。(髙橋正子)

34.秋晴れの高みを目指し一番機/上島祥子
今日の一番機が、秋晴れの空の高みを目指している。「高みを目指す」、「一番機」に作者の姿勢の正しさ、意志の高さが、すっきりと伝わってくる。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ/高橋秀之
日毎に秋も深まり、そろそろ鍋料理の時季ですね?夕餉を待つリビングに、すだちの香りがして来ます。(桑本栄太郎)

11.秋彼岸小豆の煮ゆる音閑か/土橋みよ
ことことと小豆を煮るゆっくりとした時の流れ。その閑けさに、秋彼岸ならではの季節感、故人を偲ぶ心情がしみじみと感じられます。(藤田洋子)

14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る/柳原美知子
瑠璃色の野葡萄の美しさ、言外の葉の碧さ、澄んだ空気、里山の秋の美しさを想像し、秋の美しさを十二分に表した句と思いました。(上島祥子

23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田 有花
音が響いているにもかかわらず静けさを覚える、美しい句と思います。この季節、牡鹿の声は哀れを催すと云われます。遠くからそれが響く中、夜が深まってゆく。晩秋の寂しさと澄んだ空気を感じます。(川名ますみ)

29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め/吉田 晃
秋の落日の牧歌的な景に、静けさと充実感、明日への祈りを感じます。じっと見ていたい光景です。(柳原美知子)
夕日の光が秋の収穫を祝しているような美しい情景が浮かびました。(西村友宏)

34.秋晴れの高みを目指し一番機/上島祥子
早朝なのでしょうか。1番機という響きがいいです。晴れ渡る秋空に向かって飛び立つ1番機。すごく素敵な旅を予感させてくれます。(高橋秀之)

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか/藤田洋子

【入選/14句】
01.釣上げし木の葉山女の錆の色/小口泰與
渓流の女王と呼ばれるヤマメ。警戒心が強く難易度が高いそうですね。俊敏な動きに素早くあわせて釣り上げた瞬間の醍醐味が感じられます。(多田有花)

04.雲の共なくて孤光や月今宵
秋の夜空に雲がかかることなく輝く月の情景を、単に、雲がかかっていないと表現するのではなく「雲の共なくて」と表現し、月の輝きを「孤光や」と表現することによって、雄大な自然に触発されて現実の生活を想起させ、長い余韻を残すことを学びました。(土橋みよ)

10.秋空に薄煙立ち里近し/土橋みよ
心地よい秋風に吹かれて見知らぬ土地を散策することも楽しく、澄み切った秋空に薄煙が立ち昇るのを見つけると懐かしさと人恋しさを覚えもします。充実した秋の一日が想像されます。(柳原美知子)

12.心晴れまた歩く道に鰯雲/土橋みよ
気を取り直して歩く大空にひろがる鰯雲に、心も解放され勇気づけられます。心も新たに力強く踏み占める秋の道です。(柳原美知子)

13.供花挿せば竹春の風吹きわたる/柳原美知子
竹林に吹き渡る風の音の中、静かに花を備えてお参りする姿が対称的で、秋の物寂しさを感じます。(上島祥子)

15.お食い初め秋潮の紺窓に流れ
生命の始まりを祝うお食い初めの儀式と窓から見える紺色の海の構図が新鮮で驚きました。また、季語の「秋潮の紺」がとても美しく、「窓に流れ」が詩情を掻き立てることを学びました。(土橋みよ)

19.掛け声の空へ竿立つ秋祭り/藤田洋子
秋祭りの時期です。ようやく暑さも落ち着き田は刈り取りが終わりました。快晴の祭りの日、神社の幟が立ち、威勢のいい掛け声も響きます。
豊年の喜びが感じられます。(多田有花)

22.強風の一夜の過ぎて秋晴れに/多田有花
秋はとかく天候の変わりやすいもの。強風の続いたあとの朝空の安堵感に、ことさら澄んだ秋晴れの美しさが目に浮かび、明るい一日の始まりを感じます。(藤田洋子)

25.松手入れ鋏の音の歯切れ良く/廣田洋一
松手入れの歯切れのよいリズム音に、いかにも秋らしい清々しさを感じます。鋏音とともに松の仄かな香りも漂うようです。(藤田洋子)

27.仏壇の母子に供えし栗ご飯
生活の一場面に、日常の生活のぬくもりと家族への追憶が感じられ、胸を打ちました。一口の栗ご飯に託された想いに共感いたしました。(土橋みよ)

28.さざ波に砂のさざめく秋の浜/吉田 晃
穏やかな瀬戸内の晩秋の浜辺の様子が浮かんできます。「さざ」が重なって心地よいリズムを生み出しています。夏の喧騒が去った秋の浜辺をひとり散策されているのでしょうか。(多田有花)

31.ベビーカー押して軽やか秋の空/西村友宏
ベビーカーを押してお子様との外出、広がる秋空の季節の心地よさに、軽やかな明るい心情がうかがえます。(藤田洋子)

35.断崖に溢れる蜻蛉や日本海/上島祥子
日本海の断崖、といえば東尋坊などを連想します。間もなく雪の季節となり、厳しい季節風にさらされる断崖です。そこにいまは赤とんぼの群れが飛んでいます。空間の広がりを感じます。(多田有花)

38.秋夕焼富士を映せしビルの窓/川名ますみ
空気の澄んだ秋の夕暮れに、見事な富士山がビルの窓に映った。それはもう消えてしまっているけれど、その面影が目に焼き付いている。都会の秋の静寂と時の流れを感じました。(土橋みよ)

■選者詠/髙橋正子
16.露草の青点々と立ち上がる/髙橋正子
咲いたばかりの露草の透明な青が早朝の草原を彩り、その可憐な花を支えている茎は澄み切った秋の空気の中、しっかりと立ち上がって、みずみずしい生命力を見せてくれている。「立ち上がる」にリアリティがあり、力強さと植物の生命への愛しさを感じます。(柳原美知子)

18.木の実捨つわが手にありし温もりも
公園を散歩の途中、落ちている木の実が目に留まり、懐かしさを覚えて拾い上げたのだろう。少し青味の残る木の実は、昔の事、特に我が子の幼い頃の出来事を思い出させてくれる。暫く思いに浸っていたが、温もった木の実を踏まれぬように戻した。「手にありし温もりも」捨てたのであるが、掌には木の実の感触と思い出した懐かしさが残されていた。(吉田晃)

17.バス降りてすぐ数本の曼殊沙華

互選高点句
●最高点句(6点)
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田有花

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2025年10月12日
39句(13名)

01.釣上げし木の葉山女の錆の色
02.木犀の香に包まるる四畳半
03.髪も眼も雨に襲われしむ身かな
04.雲の共なくて孤光や月今宵
05.お隣のグランド今日は体育祭
06.バスを待つ間にも揺れ居り萩の風
07.中秋と知らず見上げた空冴える
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ
09.コスモスや一両列車がやって来る
10.秋空に薄煙立ち里近し

11.秋彼岸小豆の煮ゆる音閑か
12.心晴れまた歩く道に鰯雲
13.供花挿せば竹春の風吹きわたる
14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る
15.お食い初め秋潮の紺窓に流れ
16.露草の青点々と立ち上がる
17.バス降りてすぐ数本の曼殊沙華
18.木の実捨つわが手にありし温もりも
19.掛け声の空へ竿立つ秋祭り
20.新藁の残るみどりに幟立つ

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか
22.強風の一夜の過ぎて秋晴れに
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜
24.屋台ゆく刈られし稲の香る道
25.松手入れ鋏の音の歯切れ良く
26.秋晴れや大リング行く人の列
27.仏壇の母子に供えし栗ご飯
28.さざ波に砂のさざめく秋の浜
29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め
30.みかん摘む鋏の音もみかん香に

31.べビーカー押して軽やか秋の空
32.秋の夜ラジオの唄で寝かしつけ
33.朝日浴び親子揃ってくしゃみする
34.秋晴れの高みを目指し一番機
35.断崖に溢れる蜻蛉や日本海
36.白馬より降り来る歩荷や秋日影
37.蜻蛉浮く大病院の棟の間に
38.秋夕焼富士を映せしビルの窓
39.朝顔の後ろ姿のすっきりと

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

 

10月12日

晴れ
川原の芙蓉の紅を遠目にて 正子
秋潮の川遡る音しずか   正子
雀らの泡立ち草を宿としぬ 正子

●10月月例ネット句会
https://suien.ne.jp/getsureikukai
句会の作業をしていると睡魔が襲う。少し仮眠。夢に晃さんと信之先生と、だれかがいた。温泉のようでもあるし、木々に覆われていた。だれかが笹団子を出してくれた。すると、テンツク、テンツク。祭りばやしが聞こえ、子供御輿が通る声。それに目を覚ました。ちょうど、窓の外を子供御輿が通り過ぎるところだった。今日は駒林神社の祭らしい。先週、暮れた山から太鼓の音が聞こえていたが、こちらは大人が練習していたのかもしれない。喉が変。

ここに夫がでてきたのも、不思議。いま、散文を執筆中。人のことを大事に思うような文なので、夫が「自分のことを忘れるな」とでも言ったような感じだったが、それは、夫だけではなく、正子が自分のことを忘れるな、ということでもあるらしい。夢のお告げというもののようだ。

●リルケ理解のために何をするか、課題をAIにあげてもらった。
①リルケの手紙を読む。
②『マルテの手記』を読む。(すでに読了)
③リルケの詩を訳す。(意訳でもよい)これは、実践を始めている。
これまで自己流で進めて来たことが、AIの方向とマッチしている。大筋間違っていないようだ。

 

■10月月例ネット句会ご案内/2025年■

■10月月例ネット句会ご案内/2025年■
10月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :10月12日(日)
①投句:当季雑詠3句
    10月6日(月)午前6時~10月12日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月12(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月13日(月)正午~
                 10月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏