■2022年8月例ネット句会■
■入賞発表/2022年8月15日
【金賞】
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
盆の客を迎えた家の情景がありありと見える。衒いのない表現がいい。盆のお参りにきた近い親戚、遠い親戚もこの日は睦まじく近況を語り合う。幼き日に戻れたような懐かしさを覚える。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
梅干しを作る作業では、暑い盛り、とくに土用の日に当てることが大事。笊に広げて乾かすと塩がきらきらと噴きでる。そのままを詠んで無駄がなくすっきりとしている。(髙橋正子)
生活の街として都心を少し離れて発展してきた世田谷。広広とした街空の日暮れに蜻蛉が横切る。世田谷ならではの生活感覚をもって上手く蜻蛉が表現されている。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
久しぶりにお洒落な街へ出て来た嬉しさが、「素足にかるきハイヒール」に表現されている。素足の華奢な脚、細いハイヒール。街にあってこそ映える。(髙橋正子)
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田 晃
トマトの葉をもぐと指先もトマトの葉と全く同じ匂いが付く。そこまで強烈に付く匂いはトマト独特。夏を感じさせる青臭い生命力のある匂いだ。(髙橋正子)
とんぼうの習性がよく観察されている。というより、幼いころのからの経験が「引けば寄るなり」という巧みな表現をいとも易く言ってのけた感じだ。夕べの原にニュアンスがある。(髙橋正子)
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
夕方の原っぱでの蜻蛉との出会いと小さな発見。秋の訪れと涼しさのみなぎる心温まる句ですね。 (柳原美知子)
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
お盆に久しぶりに会った者同士が近況を語り合う姿が良く解ります。家族の話や健康の話など尽きることがないですね。 (小口泰與)
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
立秋後連日まだ残暑の厳しいものの、東京も都心を少し離れた世田谷ともなれば、夕暮れ時に微かに秋風が感じられ、蜻蛉が横切るようになります。「世田谷」との地名も入り、早くも秋の気配を感ずる作者です。 (桑本栄太郎)
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田晃
【髙橋正子特選/7句】
11.植田見ゆ角をすぐると風にあう/祝恵子
「風にあう」という表現が新鮮だと思いました。植田から新しい生命力が吹いてくるイメージが出てきます。 (弓削和人)
35.稲穂出で夜風芳し星仄か/柳原美知子
稲穂の香りが漂う気持ちいいよ風とそらには星も瞬いています。のどかで綺麗な風景が目にうかびました。(西村友宏)
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
【入選/21句】
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
大輪の向日葵なんでしょう。実がなってくると頭を垂れる向日葵が多い中、頑張って正面を向いている向日葵が目に浮かびます。 (高橋秀之)
ぐんぐんと太陽に向かってのびたひまわりも花が終わる時期になると、種の重さで首をうなだれるようになります。ひまわりが人の姿に重なってユーモアを感じます。 (多田有花)
19.天高し丹沢望む露天風呂/廣田洋一
気持ちよさそうですね。青空の下、空を仰ぎながら入る露天風呂。よくぞ日本に生まれけり、という気持ちになります。 (多田有花)
20.田起こしの所作軽やかに風の盆/廣田洋一
踊りの中のふり、田起こしを軽やかに踊りながら、遠ざかってゆく風の盆、一度は見て見たいものです。 (祝恵子)
風の盆は、富山の八尾の盆踊りですが、よく知りませんでした。編み笠に顔が隠れて、手をしなやかに使う踊りに合わせた胡弓の音がさびしそうです。田おこしの所作があるのを初めて知りました。 (髙橋句美子)
23.梨の実の瑞々しさは今年初/高橋秀之
お盆のころに今年の初物として梨が店頭に並び始めます。今年も先日スーパーで見かけてお盆なんだと感じました。 (多田有花)
24.夕食に酒はなくとも冷ややっこ/高橋秀之
多分、作者が一人で頂く夕食だろう。酒はなくとも、冷奴のさっぱりした味を楽しんでいる様が良く見える。 (廣田洋一)
28.革靴を磨きつつ待つ流星群/西村友宏
革靴を磨くという日常の中で、流星群という非日常を待つわくわく感が伝わってきます。秋の訪れが実感される夜空です。(柳原美知子)
31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ/上島祥子
手紙を書かれているのでしょうか?万年筆でしたためる一筆。 (多田有花)
36.水路の水汲んで苧殻火尽きるまで/柳原美知子
炊いた迎え火を消えるまで眺めている。いろいろな思いや思い出を感じておられるのだと思う。燃え尽きた苧殻を家の前の水路の水で消すのだが、それはご先祖様が生前親しんでおられた水路の水なのだ。ご先祖様はきっと喜んでおられることでしょう。(吉田晃)
46.夏草をかき分け進む植物園/髙橋句美子
学術的にラベル付けされた、植物園の展示。その通り道にも、自然の夏草が茂っています。エネルギーに満ちた夏草を「かき分け進む」という描写に、力強さを感じます。 (川名ますみ)
01.利根川の岩場へつつと石たたき/小口泰與
02.夕鵙や風雨に晒さる摩崖仏/小口泰與
05.ひぐらしや想い出よぎる吾が半生/桑本栄太郎
06.かなかなのかなの途切れし茜かな/桑本栄太郎
07.空色の切り絵をひらく戻り梅雨/川名ますみ
09.髪切って胡瓜どっさり冷や汁に/川名ますみ
14.買い物へ苧殻の人とすれ違う/吉田晃
16.祖母もぎる指の無花果やわらかき/弓削和人
25.祖父母の像下に新盆叔父の像/多田有花
29.真っ新な運動靴で夏雲へ/西村友宏
34.夏祓墨絵の灯篭裏参道/柳原美知子
47.真夏日の大樹風に靡くまま/髙橋句美子
■選者詠/髙橋信之
40.茗荷二個よく洗われて光る
41.茄子三個洗われ雫がたくさん
42.梨・茗荷・茄子を揃えてバットに載せ
■選者詠/髙橋正子
44.はじめての虫音響けり居間の窓/髙橋正子
今年は梅雨明けも早く熱帯のような湿度と猛暑の夏でした。まだまだ残暑の続く中、夜になりはじめての虫音が聞こえて来た時の嬉しさは、ひとしおですね。暦どおり秋は着実にすすんでいると実感されます。(柳原美知子)
43.ほてい葵盆にあわせて花ひらく
45.台風の過ぎ行く夜を灯ともして
■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
コメント
コメント
19.天高し丹沢望む露天風呂/廣田洋一
気持ちよさそうですね。青空の下、空を仰ぎながら入る露天風呂。
よくぞ日本に生まれけり、という気持ちになります。
23.梨の実の瑞々しさは今年初/高橋秀之
お盆のころに今年の初物として梨が店頭に並び始めます。
今年も先日スーパーで見かけてお盆なんだと感じました。
31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ/上島祥子
手紙を書かれているのでしょうか?万年筆でしたためる一筆。
インクが乾く間に飲むアイスティー、涼しげです。
お礼
信之先生、正子先生、8月も月例ネット句会を開催くださいまして、ありがとうございます。両先生と皆さまの作品、そして、選とコメントに、貴重な勉強をさせていただきました。
この度は「街へ来ぬ素足にかるきハイヒール」の句に、銅賞と信之先生、正子先生の特選を賜りまして、幸せに存じます。おかげ様で、その時の感触がくっきりと心に残りました。同句に選をくださいました泰與さま、栄太郎さま、感謝申し上げます。
また「空色の切り絵をひらく戻り梅雨」「髪切って胡瓜どっさり冷や汁に」の句に入選を頂戴し、ありがとうございました。「空色の」の句に秀之さま、「髪切って」に晃さま、和人さまの選をいただき、嬉しく存じます。皆さまとのつながりを、あらためて尊く感じます。
残暑が続きます。皆さま、どうぞお体おいといくださいませ。
お礼
高橋信之先生、正子先生、8月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
髙橋正子先生特選に「植田」、入選に「向日葵」をお選びいただきましてありがとうございました。
「植田」に弓削和人さま、素敵なコメントを、「向日葵」に高橋秀之様、多田有花様嬉しいコメントを、沢山の方に選を頂き、とても感謝です。ありがとうございました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
8月の花冠月例ネット句会をご開催頂き、大変有難う御座います!!。
はからずも「笊に乾す梅干し塩の噴きにけり」の句を銀賞にお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
田舎育ちならではの妻の日常生活の中より、詠んでみました。
又弓削様には「ひぐらし」の句に、小口様、友田様には貴重なる選をw賜り大変有難う御座いました。
高橋信之先生、正子先生を初め会員の皆様、まだまだ残暑厳しい折柄健康には充分気を付け又9月にお会いしましょう!!。
お礼
信之先生、正子先生
8月月例句会を開催いただきありがとうございます。
「近況を語り合いたる盆の客」を金賞ならびに両先生の特選にお選びいただきありがとうございました。
小口泰與さま、選とコメントを、桑本栄太郎さま、選をいただきありがとうございます。
昨年11月に亡くなった叔父の新盆で親族が集まりました。
久しぶりに会って話すのはやはり近況です。
「祖父母の像下に新盆叔父の像」を入選句にお選びいただきありがとうございました。
厳しい残暑が続いておりますが、両先生ならびに同人の皆様、ご自愛ください。
御礼
高橋信之先生、正子先生
花冠8月度ネット句会を開催していただき有難う御座います。
「石叩き」の句に桑本栄太郎様、吉田晃様、高橋句美子様には選を頂き有難う御座います。
「夕鵙」の句に祝恵子様、西村友宏様には選を頂き感謝申し上げます。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
重ねて御礼申し上げます。
コメント
15.袋菓子選る老の瞳に秋涼し/吉田晃
久々にお盆に帰省してくる子や孫のために袋菓子を選んでおられるのか。昔懐かしい菓子袋におのずと目がゆきます。「瞳に秋凉し」に表現の妙を感じます。
28.革靴を磨きつつ待つ流星群/西村友宏
革靴を磨くという日常の中で、流星群という非日常を待つわくわく感が伝わってきます。秋の訪れが実感される夜空です。
44.はじめての虫音響けり居間の窓/髙橋正子
今年は梅雨明けも早く熱帯のような湿度と猛暑の夏でした。まだまだ残暑の続く中、夜になりはじめての虫音が聞こえて来た時の嬉しさは、ひとしおですね。暦どおり秋は着実にすすんでいると実感されます。
お礼
信之先生、正子先生、8月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
「稲穂」の句を正子先生の特選にお選びいただき、大変うれしく感謝申しあげます。「夏祓」「苧殻火」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
吉田晃様には「苧殻火」の句に選と温かいコメントを川名ますみ様には選をいただき、ありがとうございました。
西村友宏様には、「稲穂」に選と素敵なコメントを
廣田洋一様、祝恵子様には「夏祓」に選をいただき、ありがとうございました。
両先生、皆様、残暑も厳しく、新型コロナの感染も
拡大していますが、ご自愛ください。
Unknown
お礼
信之先生、正子先生、今月も8月月例ネット句会を開催いただきまして、有り難うございます。また先輩会員の皆様から大変な学びをいただいております。引き続きのご指導宜しくお願い致します。
お礼
信之先生、正子先生、8月月例ネット句会で銀賞、及び特選7区にお選びいただきありがとうございます。
また桑本様には選とコメントをいただきありがとうございます。また気が付くのが遅れ、コメントが遅くなったことをお詫びします。今後ともよろしくお願いいたします。