7月31日(1句)
★入道雲育ち盛りの午後の空/多田有花
「育ち盛り」がユーモラス。育ち盛りの男の子のような入道雲が、午後の空にむくむくと湧いている。「午後の空」の大づかみな把握が入道雲の姿をはっきりさせて効果的。(髙橋正子)
7月30日(1句)
★朝涼や一湖と吾のほかになし/弓削和人
吾と湖だけの朝の時。夏の朝の涼しさを一人占めした時間がすばらしい。(髙橋正子)
7月29日(1句)
★からからと氷鳴らして夜の秋/廣田洋一
「からから」の音が軽やか。昼間の暑さから少し解放されて、夜は涼しくなってきた。そのとき飲み物に入れた氷であろう、グラスをゆすると軽やかな音を立てるので、心楽しい気持ちになる。(髙橋正子)
7月28日(1句)
★花火の音遠き夜空に響きおり/多田有花
空に開く花火を見るのもいいが、花火の揚がる音だけを聞くもの、違った情趣があっていいものだ。遠い夜空から聞こえる花火の音にしみじみとしたものを感じる。(髙橋正子)
7月27日(1句)
★短夜や新聞受けの音に起き/桑本栄太郎
寝苦しい短夜。熟睡した感じのないまま、朝刊が新聞受けに落とされる音で目が覚める。はや、朝かと。(髙橋正子)
7月26日(1句)
★さまざまな形のありて雲の峰/小口泰與
雲の峰も一言では言えない、さまざまな形がある。ぐるっと見まわして空にはあちこちに雲の峰が出来ているのであろう。たくましく、変わり続ける夏の景色である。(髙橋正子)
7月25日(1句)
★日焼けせし少年の髪つややかに/多田有花
日焼けした少年の健やかな清潔感が詠まれて、読んで、さっぱりとした気持ちになる。(髙橋正子)
7月24日(1句)
★朝の雨街に打水のごとし/多田有花
朝の一降りの雨。街が打水されたように、涼しくなって、爽やかな気持ちになれた。うれしい朝の雨である。(髙橋正子)
7月23日(2句)
★水替えてゆらりと動く金魚かな/廣田洋一
水を替えて金魚が喜び、動きが自由に、大きくなっている様子が「ゆらり」の表現で感じ取れる。こうした金魚の動きときれいな水が辺りを涼しく差せている。(髙橋正子)
★動かざる嶺より来る大暑かな/弓削和人
暑いと思いながら、動じない山に対峙しているのだろう。その山の嶺から逃れようのない暑さが押し寄せて来る。「大暑」は暦の上の呼び方であるが、この句では、大変な暑さをも擬人的に指している。(髙橋正子)
7月22日(1句)
★川波を光らせ月の涼しかり/多田有花
川波に月の光がさし、視覚的な涼しさが呼び起こされる。蒸し暑い夜も川近くは風が吹いて、涼しさがうれしい。(髙橋正子)
7月21日(2句)
★打水や風匂い立つ花舗の前/廣田洋一
打水に「風匂い立つ」で十分に詩情がある上に、それが花屋の前だったことがくわわり、いっそう、匂い立つ風になったのだろう。思わず涼しさを感じる句。(髙橋正子)
★遠くまで行った心地の昼寝覚め/多田有花
昼寝から目覚めたときに心地。夢心地とはいうけれど、暑い時の昼寝から覚めたときは、「遠くまで行った」心地になる。共感できる。(髙橋正子)
コメント
お礼
正子先生
「遠くまで行った心地の昼寝覚め」を
7月21日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
昼寝は目覚めた瞬間「はっ」とします。
どこかわからないけれど、どこか知らないところから
今この瞬間のこの場所へ戻ってきた、という感じです。
お礼
正子先生
「川波を光らせ月の涼しかり」を
7月22日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
21日はこの夏最後の満月でした。
私の家のすぐそばを市川が流れており、満月がそれを照らしていました。
昼間の酷暑が去り、涼しい川風を満喫しました。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
7月21日の「打水や風匂い立つ花舗の前」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
7月23日の「水替えてゆらりと動く金魚かな」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
「朝の雨街に打水のごとし」を
7月24日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
昨日は夜明けから曇っていてやがてさっと通り雨がやってきました。
雷雨ではなく、10分ほどで終わった軽い雨でした。
街全体がほっと一息ついたような素敵なひとときでした。
お礼
正子先生
「日焼けせし少年の髪つややかに」を
7月25日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
車を走らせていたら向こうから小学校高学年くらいの少年が
自転車を走らせてきました。
サッカーでもやっているのかよく日に焼けています。
その髪は艶やかで豊かで、そこに一番若さを感じました。
御礼
高橋正子先生
7月27日の今日の秀句に「短夜や新聞受けの音に起き」の句をお選び頂き、嬉しい共感のコメントも頂き大変有難う御座います!!。
毎日気温上昇と共に、夜も暑くなり余り眠れない侭朝を迎えてしまい、新聞受けへの配達の音に目覚めてしまいます。
御礼
高橋正子先生
7月26日の投句「雲の峰」の句を秀句にお取り上げ頂き、正子先生にはうれしい句評をいただき有難う御座います。大変うれしいです。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
7月29日の「からからと氷鳴らして夜の秋」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
「花火の音遠き夜空に響きおり」を
7月28日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
夏休みの週末はいろいろなところで花火大会が開かれています。
山の向こうから最後の花火の乱れ打ちの音が聞こえてきました。
華やな花火の様子を頭の中で思い浮かべるというのもいいものです。
お礼
正子先生
「入道雲育ち盛りの午後の空」を
7月31日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
朝は雲なく真っ青に晴れ渡っていた空に
午後になるとむくむくと入道雲が沸き立ってきます。
この太陽のエネルギー、まさに育ち盛りの少年を連想します。