3月23日
●佃 康水
黎明の初音に一日気の弾む★★★★
朝のはじめに良いことがあると、その日一日よい気持ちで過ごせる。黎明の鶯の澄んだ声には、「気の弾む」思いである。(高橋正子)
洗い場の水止め初音聞き澄ます★★★
水換えて早や蹲踞へ椿落つ★★★
●小口泰與
けざやかに椿一輪竹林に★★★
三山とけじめをつける雪解山★★★
あしの芽や風のくれたる白き波★★★★
●多田有花
失いしものは戻らず鳥雲に★★★★
鳥が雲に入っていくのを見ていると、雲を突き抜けて、もう帰らないように思える。「失いしものは戻らず」の感が強まる。(高橋正子)
枝垂梅の下をくぐりて坂に出る★★★
梅林にそぞろ歩きの人多し★★★
●小西 宏
蜜蜂の渉る晴れたる黄の丘へ★★★★
蜜蜂が飛んでゆく様子を「渉る」と表現したので、蜜蜂の飛翔がリアルに、生き生きとしてきた。「黄の丘」は、一面の菜の花の咲く丘か。(高橋正子)
楠の幹高々と春の空★★★
鶯の響きや若し池の面(おも)★★★
●桑本栄太郎
<新幹線にて山口へ>
窓側の座席占めけり春の旅★★★
眼をほそめビール呑むのも春意かな★★★
徳山湾の舟の数多や春の海★★★
コメント
お礼
信之先生、正子先生、
「失いしものは戻らず鳥雲に」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
冬鳥は去りました。鴨たちがいた水辺もひっそりしています。間もなくツバメがやってきます。
お礼
高橋正子先生
「蜜蜂の渉る晴れたる黄の丘へ」へのお言葉、たいへんありがとうございます。「黄の丘」は仰せのとおり菜の花の丘でした。
お礼
高橋信之先生 高橋正子先生
3/23の投句へ★印のご指導を頂き有難うございます。また正子先生には「黎明の初音に一日気の弾む」のお言葉を賜り感謝申し上げます。実は我が家の朝の洗面している直ぐ傍で鶯の声を聞いたことは今まで一度も無かったので耳を疑いました。何度か啼きましたので水を止めてしばらく聞きました。この時期にしては割とはっきりと啼いて居ました。後でご近所に電話でその事を尋ねました所、「うちも初めてです。何処で啼いて居るのか探したんですよ」との言葉。二人して好い春が来ましたねと喜び合いました。今朝は朝7時半ごろまた啼きましたので密かに探すとふっくらとした可愛い鶯が木の間を飛び移っている姿を見る事が出来、本当にうれしかったです。