8月28日
●小口泰與
秋光や利根の流れを要とし★★★
戯れに杖を立てけり秋茜★★★
烈風にもてあそばれし野萩かな★★★
●桑本栄太郎
秋雨の車窓滂沱や阪急線★★★
秋雨の上がり嶺の端青空に★★★
ひぐらしの想い出遠き母の里★★★
●多田有花
鳥取より来て初物の梨を売る★★★★
鳥取の梨は薄緑色の上品な味の「二十世紀」。幸水が終わるころ出始めるが、この梨が出ると朝夕はめっきり涼しくなるのだ。新涼のさわやかさがある句だ。(高橋正子)
群れ鴉秋夕焼けを高く帰る★★★
秋涼や森ゆくときも背をのばし★★★
●小西 宏
夏すだれ透けて夜明けの電車の音★★★★
「すだれ(簾)」は、夏の季語なので「夏」は不要。「秋簾」などと使う。夜明け、目を覚ましていると簾の向こうに電車の音が聞こえる。街も動き出している。(高橋正子)
雲高く見上げる谷戸の沢桔梗★★★
緑葉に白き蕾の紅芙蓉★★★
8月27日
●小口泰與
芙蓉咲く上毛三山雲も無し★★★★
上毛三山が見渡せるところ、山の青を背景に咲く芙蓉は、「雲も無し」で秋の気配十分となった。(高橋正子)
丸太橋踏む二の足や稲光★★★
秋ばらの蕾半分喰われけり★★★
●桑本栄太郎
大泣きの子供夜店や夏祭り★★★
とんぼうの編隊飛行や雨後の晴れ★★★
秋蝉の一おし二おし三におし★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
8/27の投句に★印のご指導を賜り厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
高橋正子先生
「夏すだれ透けて夜明けの電車の音」へのご注意、たいへん有難うございました。恥ずかしいことですが「秋すだれ」と書いている積もりで、誤って投句してしまいました。よく見直しもせず、不注意でした。
この季節、私の部屋はまだ窓を開けたままで寝ております。そこに掛け残されている秋すだれを透して電車の音を聞き、涼しさに目を覚まして窓を閉めました。
お礼
信之先生、正子先生、
「鳥取より来て初物の梨を売る」にご指導をいただきありがとうございます。
正子先生のお言葉とどおり、この梨は二十世紀です。
毎年この時期に県境を越えて鳥取から、生産農家の方がトラックに積んだ梨を売りにこられます。
本格的な秋の到来を告げる果物です。