12月8日(日)

 琵琶湖
★栴檀の実の散らばりに湖晴るる  正子
日毎に寒さがつのりますと、良く晴れた日は空が真っ青に抜けて行くようです。遠景に琵琶湖が望まれ、近くには栴檀の実のなる雑木林があれば、気分も晴れやかになること請け合いです。爽やかな冬晴れが想われます。 (桑本栄太郎)

○今日の俳句
落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
落葉と言えど枯れ色の葉ばかりではない。紅も、黄色も、またさみどりもあって、色鮮やかである。今落ちたばかりの葉も混じって、冬に入れば冬の明るさがある。(高橋正子)

○檀(まゆみ)の実

[檀(まゆみ)の実/横浜日吉本町]

★檀の実こぼさじと折る力ゆるめ/加倉井秋を
★檀の実朝は真近に穂高澄み/望月たかし
★泣きべそのままの笑顔よ檀の実/浜田正把
★また風を呼ぶたわわなる檀の実/山元重男

 マユミ(檀、真弓、檀弓、学名:Euonymus hamiltonianus)とは、ニシキギ科ニシキギ属の木本。別名ヤマニシキギとも呼ばれる。日本と中国の林に自生する。秋に果実と種子、紅葉を楽しむ庭木として親しまれ、盆栽に仕立てられることもある。秋の果実の色は品種により白、薄紅、濃紅と異なるが、どれも熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れる。

 2012年10月14日 天気 曇のち小雨
 今日、ネットのお友達のブログに、みごとな真紅の檀の実の写真が載っていた。ご自宅の庭の木だという。彼女は静岡県の西部にお住まいなので、この前の台風の風害がひどくて、庭の木々の葉っぱや檀の実など、かなり落ちてしまう被害に遭ったそうだ。実は、上の檀の実の写真は、台風前の先月20日にいつもの都立公園で撮ったもの。元々まだ丈の低い木だが、今年は猛暑のせいか木の元気がなく、実が少なくて寂しかった。で、昨日はそろそろ実が弾けるころかな、と思い寄ってみたら・・なんと、2本ある木の1本が実を付けたまま丸ごと枯れていた。(ブログ「KUMIの句日記」より)

◇生活する花たち「椿・野葡萄・くこ」(横浜市都筑区東山田)

12月8日

●小口泰與
小春日や飛行機雲のどこまでも★★★★
着ぶくれて人待ち顔や南口★★★
木枯しや薄れはじめし黒インク★★★

●佃 康水
 大隈庭園 2句
師と友とそぞろ歩むや路地小春★★★    

餅搗くや蒸かす匂いの園に満ち★★★★
大隈庭園の芝生の上での餅つきの様子。もち米を蒸かす匂いが温かそうにただよっていることが読め、臨場感がある。(高橋正子)

言祝ぎの句座や聖樹の灯を点し★★★   

●小川和子
黄昏て冬菊いさぎよく薫る★★★★
「いさぎよく」に、冬菊のりんとした姿がある。黄昏の寒さが募るにしたがって冬菊の香が強まる。(高橋正子)

普請の音冬空高く木霊する★★★
賛美歌の調べ満ちくる待降節★★★

●多田有花
大雪の光を返し散らばる池★★★★
高いところからの景色か。大雪の野のなかに、光を返して小さな池が散らばっている。寒いながらものびやかな景色。(高橋正子)

冬霧の丹波の国に入りにけり★★★
仲冬や頂に望む若狭富士★★★

●桑本栄太郎
【原句】散り尽くし桜冬芽の青空に
【添削】散り尽くし桜冬芽を青空に★★★★

冬耕の土乾きいる野風かな★★★
吾を待つかに揺らぎ初め蘆枯るる★★★

●小西 宏
霜の朝瓦にやわき廚の灯★★★
冬晴れの大船観音白き笑み★★★
冬星やサンチョパンサのごとく我★★★