5月4日(土)/みどりの日

★天城越ゆ春の夕日の杉間より   正子

○今日の俳句
ゆさゆさと百の牡丹も風のまま/黒谷光子
風が来て、百ほどの牡丹の花を揺らす。大きく富貴な花が、花の重みをもって揺れると「ゆさゆさ」となる。「ゆさゆさ」「風のまま」は、牡丹をより自然に捉えている。(高橋正子)

○山躑躅(やまつつじ)

[山躑躅/東京白金台・自然教育園] 

★つつじいけて其陰に干鱈さく女/松尾芭蕉
★百両の石にもまけぬつつじ哉/小林一茶
★近道へ出てうれし野の躑躅かな/与謝蕪村
★つつじ野やあらぬ所に麦畑/与謝蕪村
★死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり/臼田亜浪
★山つつじ照る只中に田を墾く/飯田龍太
★山躑躅そこを明るく道ありぬ/稲畑汀子
★けもの道明るく照らす山躑躅/minmin4221
★山の子となって遊べば山躑躅/高橋正子
★新緑をすずしくさせて山躑躅/高橋正子

 ヤマツツジ(山躑躅、学名:Rhododendron kaempferi)はツツジ科ツツジ属の半落葉低木。高さは1-5mになり、若い枝には淡褐色の伏した剛毛が密生する。葉は互生し、葉柄は長さ1-3mmになる。春葉と夏葉の別があり、春葉は春に出て秋に落葉し、夏葉は夏から秋に出て一部は越冬する。春葉は長さ2-5cm、幅0.7-3cmになり、卵形、楕円形、長楕円形、卵状長楕円形など形状や大きさに変化が多く、先は短くとがり先端に腺状突起があり、基部は鋭形、葉の両面、特に裏面の脈上に長毛が生える。夏葉は春葉より小型で、長さ1-2cm、幅0.4-1cmになり、倒披針形、倒披針状長楕円形で、先は丸く先端に腺状突起があり、基部はくさび形、葉の両面に毛が生える。
 花期は4-6月。枝先の1個の花芽に1-3個の花をつける。花柄は長さ3-4mmになり、花冠の筒はやや太く、色は朱色、まれに紅紫色、白色があり、径3-4cmの漏斗形で5中裂する。花冠の上側内面に濃色の斑点があり、内面に短毛が散生する。雄蘂は5本。花柱は長さ3-4cmになり無毛。果実は果で長さ6-8mmの長卵形で、8-10月に熟し裂開する。
 北海道南部、本州、四国、九州に分布し、低山地の疎林内、林縁、日当たりのよい尾根筋、草原などに生育する。日本の野生ツツジの代表種で、日本の野生ツツジでは分布域がもっとも広い。

◇生活する花たち「かきつばた・踊子草・おへびいちご」(東京白金台・自然教育園)

5月4日(土)

●小口泰與
わなわなと越ゆる畝間の小蝶かな★★★
山肌の春剥落のそこかしこ★★★
種蒔や浅間南面襞さだか★★★

●祝恵子
塔も見え東屋も見えツツジ咲く★★★
ポピー咲くネモフィラ配し風の丘★★★
たけのこのヒョロヒョロ伸びて囲われて★★★

●多田有花
風吹くもやむも続きぬ春落葉★★★
藤の花緑の色の整いぬ★★★
頂に座りしふたり春惜しむ★★★

●桑本栄太郎
<山陽新幹線で山口へ>
見上げれば青空映し若葉山★★★
<お宮参りの山口大神宮>
宮参りのうから笑顔や五月晴れ★★★★
お宮参り、おめでとうございます。一族揃って、笑顔でお宮参り。折しも五月晴れ。五月晴れに祝福されたみどり児の健やかな成長が思われる。(高橋正子)

<菜香亭にて昼食>
若葉吹く庭を眺めつ昼餉かな★★★

●小川和子
踏み入れて蕗の群れいる野に出でぬ★★★
水辺へと黄菖蒲の映ゆ閑けさよ★★★
芍薬に一期一会の珠の色★★★

●黒谷光子
灯篭の傍に石楠花咲き揃う★★★
鐘楼へ石段上がる松の花★★★
一八の白の仄かに夕まぐれ★★★

●下地鉄
青芝にわれ寝そべれば犬もまた★★★
サルビアの汚れて赤の濃さかな★★★
水音に逃げ足速し島水鶏(くいな)★★★

●藤田洋子
朝毎に松は芯立て空へ伸ぶ★★★★
松の芯は、20センチも、30センチも伸びてその生命力には目を見張る。朝毎にその勢いを見せてくれて、清々しい元気をもらう。(高橋正子)

一面に風音しきり麦畑★★★
穂を長く大麦畑匂い立つ★★★

●高橋秀之
道頓堀ネオンに映る春時雨★★★
空焼ける夕暮れ時は夏隣★★★
初蝶や飛行機の音響く朝★★★