横浜日吉本町・金蔵寺
★除夜の鐘鳴りはじめなる一の音 正子
年越しの準備も整い、家族がくつろいで新しい年を迎えようとするとき、近くのお寺から除夜の鐘がかすかに聞こえてきます。その一の音。すると家の外も中も、いっそうの静寂に包まれます。年を送り新たな年を迎え、また今あることの意味合いをしみじみと思います。(小西 宏)
○今日の俳句
乗り換えの国ざかい駅雪深し/福田ひろし
乗り換えで立ち降りた駅は国ざかい。思わぬ雪の深さに、国を境に、こんなにも雪の降りようが違うものかと感慨も深む。(高橋正子)
○ユズリハ

[ユズリハ/横浜日吉本町]
★楪のしきりに殖ゆる古葉かな/原石鼎
★楪の日本の家明るき日/高島茂
★父とかはす年賀短かし共に主/高島茂
★枯れ落ちた楪の葉は一年目 琴姫
★楪の葉のいれかはり新成人 征夫
★楪の赤きところが見ゆる庭/高橋正子
ユズリハ(楪、交譲木または譲葉、学名:Daphniphyllum macropodum)は、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木。古名はユズルハ。雌雄異株。高さは10mほど。葉は長さ20cmほどで枝先にらせん状につく。花には花被がなく、葉腋から総状花序を出す。花の形態がトウダイグサ科に似るので古くはトウダイグサ科に含められたが、心皮が2個(トウダイグサ科は3個)などの違いから独立のユズリハ科(Daphniphyllaceae)とされた。APG分類体系ではユキノシタ目に入れられている。ユズリハの名は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる。クマリン系アルカロイドのダフニクマリンを含み、中毒の原因となる。日本では、本州の福島県以西、四国、九州、沖縄に、アジアでは、韓国、中国中部まで分布し、暖地の山地に自生する。
◇生活する花たち「柊・茶の花・錦木紅葉」(横浜日吉本町)

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[12月31日]
★雪雲や久々に見し日本海/谷口博望(満天星)
瀬戸内に住む作者にとって、日本海はまた別の感慨の湧く海であろう。温暖な瀬戸内では雪雲さえもたまにしかみない。久々に見た雪雲の下の日本海に、気持ちが昂ったことだろう。(高橋正子)
[12月30日]
★一年の煩悩拭う晦日の青空/河野啓一
一年の煩悩を払うのは、除夜の鐘だけではない。晦日のすっきりと晴れた青空を見れば、心が洗われる。煩悩も払われ、すがすがしく新年が迎えられそうな青空がうれしい。(高橋正子)
★吸物にひとかけ借りて柚子風呂へ/川名ますみ
冬至の柚子風呂に入れる前に、ひとかけ吸物用にいただいて、それから柚子風呂へ入れる。吸物も柚子風呂もどちらも楽しめてこの日は特に貴重な柚子に。(高橋正子)
[12月29日]
★裏白を採りつつ山を下りけり/多田有花
山を登り下りしたのは、作者の日常生活にとっての、大した関わりはないのだが、それが「裏白を採りつつ」とあれば、作者の年末の生活が鮮明に浮かぶ。正月を迎えるという生活であり、作者の生活の場である居室のいい風景が浮かぶ。(高橋信之)
[12月27日]
★白菜にザクッと包丁真っ二つ/高橋秀之
白菜の一玉に包丁を入れると、ザクッと小気味よい音がして真っ二つに割れる。割れると幾層にも緑色の変化する色が目に入る。白菜の清冽さを目に見せた。(高橋正子)
[12月26日]
★光るものどっさり飲み込む冬の川/迫田和代
今の季節光るものといえば、夜なら街の明かり様々、昼ならば太陽の光など。特に歳晩の夜はイルミネーション鮮やかでたっぷり。どっさりとも言える。冬の川は流れるままであるが、光るものは、たっぷりと注ぎ込んで来る。冬の川の魅力。(高橋正子)
[12月25日]
★寒風に鼻突き出して柴犬は/上島祥子
道を歩いていると犬に出会うことはしばしばだが、犬は、寒風に向かって、あるいは寒さに向かって、前へ前へひたすら歩いている。柴犬だけでなく、野良犬でもこういった光景をよく見る。ひたすらさは本性か。(高橋正子)
[12月24日]
★頂や背中いっぱい冬至の陽/多田有花
冬至の山頂というのは、格別の場所になっているのではと思う。空から降り注ぐ冬至の太陽を存分に、それも面積の広い背中に受けて暖かい。私一人が太陽の暖かさを独り占めしている感じか。(高橋正子)
[12月23日]
★頂きし柚子の数個は湯船に浮き/祝 恵子
沢山柚子をいただいた。料理にも使い、湯船にも浮かして柚子風呂に。冬至のころの日の短さは、慌ただしさを募らせる。そんなころ、沢山の柚子の黄色は、辺りを明るくしてくれる。(高橋正子)
[12月22日]
★ごつごつと胸に背に受く柚子湯かな
胸に背に柚子ごつごつと柚子湯かな/桑本栄太郎
柚子湯には、たくさんの柚子が浮かんで、胸にも背にもごつごつ当たる。柚子の形が目に見えるようで、柚子湯も男性的。(高橋正子)
[12月21日]
★捥ぎたての柚子ほっこりと冬至湯に/小川和子
捥ぎたての柚子がいきいきとして、湯のあたたかさ、湯の透明さが想像できる。「ほっこりと」は、柚子がほっこり湯に浮いている感じでもあり、ほっこりと温かい湯の感じでもある。いい冬至湯だ。(高橋正子)