8月3日(土)

★夏蒲団糊の匂いて身に添えり  正子
大変暑くて汗をかき易い夏の衣料は、綿100%の糊がさらりと効いたものが良い。糊の匂いのする爽やかな夏の寝具は、如何にも心地よい眠りを約束してくれる。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
白粉の花の黄色や朝の辻/桑本栄太郎
白粉花は、夕方から咲く花であるが、朝まだ早いうちは咲きの残っている。朝の辻に黄色い白粉花を見つけた。赤や白い花ではなく、黄色なので、月の色の名残のようでもある。「朝の辻」が涼しい。(高橋正子)

○ささげの花

[ささげ花/横浜市緑区北八朔町]

★アフリカの太古の色やささげ咲く/照れまん
★紫にささげの花や土用東風/憧里夢
★高架駅下りればすぐに花ささげ/高橋正子
★大畑を区切って三筋の花ささげ/高橋正子

 ささげは、小豆の大ぶりなもので、小豆より品位が低いものと子供時代は思っていた。小豆も結構よい値であるが、ささげのほうがもっと値が高い。上等な赤飯にはささげが使われている、と大人の私はこのようにささげを見ている。ささげの餡というのがあるかどうか知らないが、餡にもするようだ。畑の一画にそんなにたくさんではないが、ささげが植えられていた。さやが幾分長い。祖母がささげ、ささげとよく言っていた。秋になると鞘が熟れて、それを筵に広げ乾燥させ、木槌でたたいて豆を出した。

 ササゲ(豇豆、大角豆、学名 Vigna unguiculata)はマメ科の一年草。つる性の種類とつるなしの種類とがある。アフリカ原産。主に旧世界の温暖な地方で栽培される。南米では繁栄と幸運を呼ぶ食物と考えられ、正月に食べる風習がある。樹木の形状は低木であり、直立ないし匍匐する。枝を張ったり、からみついたりと、成育の特性は多彩。語源は、莢が上を向いてつき物をささげる手つきに似ているからという説[1]、莢を牙に見立てて「細々牙」と言ったという説、豆の端が少々角張っていることからついたという説など諸説ある。藤色、紫、ピンクなど様々な色の花をつける。花の形は蝶形花である。穀物用種は、さやが10-30cmで固く、豆は1cm程度の腎臓形で、白・黒・赤褐色・紫色など様々な色の斑紋をもつ。白い豆には一部に色素が集中して黒い目のような姿になるため、ブラック・アイ・ピー(黒いあざのある目を持つ豆)と呼ばれる。つる性種は草丈が2mから4mになるのにたいし、つるなし種の草丈は30cmから40cm。ナガササゲと呼ばれる品種は100cmに達する。耐寒性は低いが、反面暑さには非常に強い。日本では、平安時代に「大角豆」として記録が残されている。江戸時代の『農業全書』には「豇豆」という名前で多くの品種や栽培法の記述がある。また、アズキは煮ると皮が破れやすい(腹が切れる=切腹に通じる)のに対し、ササゲは煮ても皮が破れないことから、江戸(東京)の武士の間では赤飯にアズキの代わりに使われるようになった。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月2日-3日

8月3日(土)

●迫田和代
音たててしばらく暴れる大夕立★★
しゃべろうか秋も近づく車椅子★★★
サングラス掛けて仰ぐや空の色★★★

●黒谷光子
滔々と揖斐川土手の緑濃き★★★
ケーブルの眼下は緑滴れる★★★
渓流の音聞こえ来る夏木立★★★

●小口泰與
木道の先のさきなる月見草★★★
昼顔や忘れられたる里の駅★★★
干草や朝の鴉の集会所★★★

●佃 康水
子ら弾みうどん手伸べるキャンプかな★★★★
「子ら弾み」がよい。うどん作りに挑戦するキャンプの子供たちがいきいきとして、涼しさも伝わってくる。(高橋正子)

うどん切る手つき危うしキャンプの子★★★
通り雨弾く鹿の子や胴震い★★★

●祝恵子
むらさきの薄さを見せて式部の花★★★★
新しき命を溜めて泳ぐメダカ★★★
手に抜きしばかりを下げて夏大根★★★

●桑本栄太郎
<夏の日の遠い想い出>
もぐり込む蚊帳のみどりに夜風かな★★★★
蚊帳は水色やうすみどりに染色されて、蚊帳の中は別世界の感じがする。ふわりとしたその蚊帳にもぐり込むと夜風が心地よく柔らかいのである。蚊帳を吊って寝た時代のこと。(高橋正子)

宿題の杜の木陰や夏休み★★★
堰き止める川の水浴び子等の夏★★★

8月2日(金)

●小口泰與
ただよいし梔子の香の朝かな★★★
湖へ日光黄管大うねり★★★
夕暮れの波打つ風の青田かな★★★

●桑本栄太郎
もの影の更に色濃く八月に★★★★
八月になると草木の繁茂も終わりとなるが、まだまだ灼熱の太陽が照りつける。もの影がさらに色濃くなり、それが夏の終わりの寂しをさそいながら、時は八月になるのだ。(高橋正子)

起き出して窓を閉めいる夜涼かな★★★
雄叫びの一樹大樹や蝉しぐれ★★★

●多田有花
かしましき熊蝉の朝始まりぬ★★★
朝驟雨去れば再び蝉しぐれ★★★
胡麻ふって冷素麺をすすりこむ★★★

●小西 宏
船遠し夏の日沈む珊瑚礁★★★
夏蝶の重き身休む水溜り★★★
鬼百合の炎天に置く影の濃し★★★