曇り
揖斐川に始まり寒き川越ゆる 正子
浜名湖の水あおあおと明るき冬 正子
冬夕日いま冠雪の嶺にのみ 正子
天竜の水青きなり冬の河 正子
●家を空けている間、ネットの仕事が心配だったが、帰宅してチェックすると、全く問題はなかったので、ほっとした。迷惑メールも思ったほどではなかった。自由な投句箱はむしろ、わたしが留守の方が活発。
●予定を早めて、13時41分福山発ののぞみで帰った。帰りは自由席にしたのだが、デッキや通路に人が立つほどの混雑だった。座れたが、京都で席が空いたので、左窓側に移動した。こんな時間に、左の窓側に乗るのは初めてかもしれない。昼間の左側の景色がよく見えた。木曽三川や、海のように青い浜名湖、真っ青な天竜川、夕日に薄く染まった富士山の全容、を見た。渡鳥のV字の群を見た。家に着いたのはちょうど夕方の6時。妹が持たせてくれたもち麦おにぎりに海苔を巻いて夕飯にした。
●生家に居る間、墓参。墓所からは瀬戸になった海が見える。玄関の硝子戸の掃除、庭掃除、家まわりの落葉掻き。妹の話では、何年か前に、夜中猪が庭に来て、芝生を鼻で一面掘り返し、蚯蚓を食べたという。そのご猟友会の人たちが退治してくれたらしく、今は来ないという。
少しは、正月準備に役立ったか。田舎の家なのですることに終わりがない。お風呂付、上げ膳、据え膳だったのは初めてのこと。
今日の秀句/11月29日(2句)
★ストールをさらりとショートヘアの背に/川名ますみ
ショートヘアのうなじから背にかけて、しなやかな女性の姿が思い浮かぶ。ストールもショートヘアも「さらり」として絵画的な印象の句。(髙橋正子)
★大ぶりのポプラ枯葉や風に添う/桑本栄太郎
ポプラの葉のなかでも特に大ぶりの枯葉が、風に吹かれて運ばれているのだろう。少し吹かれては、止まり、また吹かれては動く。風の気持ちに添うように。(髙橋正子)
11月29日(6名)
廣田洋一
散紅葉しづこころなき城の跡★★★
一陣の風のまにまに紅葉散る★★★
ブロッコリー弁当箱の甘き色★★★★
多田有花
再現の池の面に冬の城★★★
冬浅き夜の野点傘の下★★★★
照明に照らされ残る紅葉かな★★★
小口泰與
眼間の入日まばゆし冬浅間★★★★
羽ひろぐ冬白鷺のまばゆきし
「まばゆきし」は、正しくは「まばゆかりし」となります。(髙橋正子)
この沼の冬翡翠の舞い出でよ★★★
桑本栄太郎
冬ぞらの哀しきほどの青さかな★★★
大ぶりのポプラ枯葉や風に添う★★★★
白き実のあらわとなりぬ冬紅葉★★★
弓削和人
時雨るるやおにぎり片手の駅前バス
「おにぎり片手の」の「の」の使い方は、問題です。「駅前バス」も省略しすぎで、無理な表現です。俳句では、「ひとつ」の事を言おうとしてみてください。(髙橋正子)
夜店急く傘持つ人や町しぐれ
「夜店急く」は省略しすぎの表現。一句を散文を書くように書いて、それから省略できるとことを省略しては、どうでしょうか。(髙橋正子)
木枯をのこして明けの旅切符
この句の場合、「木枯をのこして」を率直に表現されたら、いかがでしょうか。
(髙橋正子)
川名ますみ
聖橋渡り冬紅葉の湯島★★★
低く来てしずかしずかに冬の雷★★★
ストールをさらりとショートヘアの背に★★★★
今日の俳句
★冬空をいま青く塗る画家羨(とも)し/中村草田男(なかむらくさたお)
画家が冬空を青く塗っているのを見ている。見ているうちに冬空を青く塗る画家の心境を羨ましく思った。おなじところに居ながら、二人は、画家と作者は、反対の心境なのだ。(髙橋正子)