11月26日(火)

晴れ
山腹に銀杏黄葉の小さき寺    正子
涸河の水の平らに色映す     正子
銀嶺の富士の裾野の張りつめる  正子
銀嶺の山襞ふかぶかと黒し    正子
冬かもめ湖上の空へ出で白し   正子    
冬田それぞれ緑わずかに色違え  正子
降り出せる時雨に京を過ぎ行けり 正子 

●7時48分新横浜発ののぞみで帰省。久しぶりの旅行なので用心して、家を6時半に出た。福山には定刻通り11時3分。妹が迎えに来る。「鯛うずみ」の料理を食べさせてくれる。贅沢が禁止されたとき、海老や鱚などの天ぷらをご飯で隠し、出汁つゆを掛けて食べる料理。天茶漬け風のもの。岡山の祭寿司と同じ考え。

自由な投句箱/11月26日

今日の秀句/11月26日(1句)

★着ぶくれて信号待ちのベビーカー/弓削和人
信号待ちで居合わせたベビーカー。ベビーカーの赤ん坊は、しっかりと着せられて着ぶくれている。親子のほのぼのとした愛情を感じる微笑ましい場面である。(髙橋正子)

11月26日(5名)
小口泰與
眦に冬翡翠の居りにける★★★
まなぶたを閉じ雪の浅間を眼間に★★★
上州の風のまにまに冬帽子★★★

多田有花
戦闘機西へ飛ぶなり冬の雨★★★
午後の陽の翳りやすさよ石蕗の花★★★★
短日の日差しいっそう眩しかり★★★

廣田洋一
満天星冬紅葉燃え立つ道の端★★★
大山の豆腐頂く冬紅葉★★★★
低き空どんよりとして冬めける★★★

桑本栄太郎
三島忌のあたり色葉や金閣寺★★★
天辺の早やも裸や銀杏黄葉★★★
谷あいの赤く色為し山ねむる★★★

弓削和人
着ぶくれて信号待ちのベビーカー★★★★
咳ひとつマスクをかける親子かな★★★
椅子を重ね空いたところの冬日かな ★★★
今日の俳句
★白き息はきつゝこちら振り返る/中村草田男(なかむらくさたお)
 誰かを見送りに出た時の情景とも考えられる。見送られる人は、いくぶん遠くまで去って行って、ふと後ろを振り返ったが、振り返りざまに、その人の吐く息が真っ白く見えた。白い息に人間の温もりがあり、その人とのつながりに別れがたいような気持ちさえ湧いている。暖房の行き届かなかった時代、白息に冬の厳しさと人間の温もりが感じられる。(髙橋正子ーー『現代俳句一日一句鑑賞』より)