4月25日(木)

 小石川植物園
★たんぽぽの草の平らに散らばりぬ  正子
草萌え、草青むころは未だ寒さが残って居り、たんぽぽは高く抜きん出て咲いているのでは無く、地へ這う様にして低く咲いています。恰も野に散らばっているかの様に見え、緑と黄のコントラストが美しく活き活きとそして広々とした野の情景が目に浮びます。(佃 康水)

○今日の俳句
初蝶の野川越えしを見とどけり/佃 康水
初蝶を見たうれしさ。初蝶の危うそうな飛び方に、野川を越えてゆくまでを見届けるやさしさがこの句にはある。(高橋正子)

○木香薔薇(もっこうばら)

[もっこうばら/横浜日吉本町]

★夕風や白薔薇の花皆動く/正岡子規
★薔薇深く ぴあの聞ゆる 薄月夜/正岡子規
★朝晴れて木香薔薇に滴あり/819maker
★木香バラ気高く庭を囲いをり/819maker
★黄モッコウお印の所以悟りけり/光賢
★近づいて 木香薔薇の 薫り嗅ぐ/isamu
★棘なしの蔓薔薇咲いて溢るる日/ROSE・MARRY
★手折りしは刺なき薔薇の黄木香/senior21

 モッコウバラ(木香茨、木香薔薇、学名:Rosa banksiae)は、中国原産のバラ。黄モッコウ(ロサ・バンクシア・ルテア)は秋篠宮家第一女子・眞子内親王のお印である。
学名は植物学者ジョゼフ・バンクスの夫人にちなむ(命名はウィリアム・エイトン)。
 常緑つる性低木。枝には棘がないため扱いやすい。花は白か淡い黄色で、それぞれ一重咲と八重咲があり、直径2-3cmの小さな花を咲かせる。開花期は初夏で一期性。黄花の一重や白花には芳香はある。一般的にモッコウバラといった場合には、黄色の八重咲を指す。性質は強健で、病気も普通のバラと比べると少ない。成長も早く、けっこう大きくなるので地植えにはそれなりのスペースが必要とされる。野生種の起源は不明である。ノイバラの台木に接ぎ木してもよいが、挿し芽でも簡単に増やすことができる。花芽の形成時期が8月末までに行われるため、それ以降に剪定をすると、翌年の開花数が少なくなってしまう。基本的には剪定はしない。行灯仕立てで販売されることがあるが、上述のように成長は極めて速く大きくなるので栽培は難しい。また、白花は黄花より開花が若干遅く、芳香性を持ってはいるが黄花ほど多花性は無い、成長も黄花に比べるとやや遅い。
 庭園などで、アーチやフェンスなどに用いる。生育が早く、大量に花をつけるため、大きなモッコウバラの開花時は圧巻である。バラの短所である棘がなく、病気、害虫にも強くバラとして理想的な性質を持っているが、一方、一期咲であること、黄花の八重咲に芳香がないこと、白と黄色しか花色がない事などの短所もある。

◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

4月25日(木)

●小口泰與
うぐいすや桃源郷の朝ぼらけ★★★
連翹の花に雨粒ひとならび★★★
嬬恋の星あふれけり犬ふぐり★★★

●古田敬二
枝先へ来て尺取りの道迷う★★★
夕陽射すやまぶき色を増しにけり★★★
夕陽射す青梅枝に太りだす★★★

●河野啓一
朝の陽を透かし銀杏の浅みどり★★★★
草若葉きらりと光る虹の球★★★
蔦若葉浜風受けて伸びしかな★★★

●桑本栄太郎
饒舌と云うこと莫れ揚ひばり★★★
大橋のさみどり透きし春灯かな★★★
陸橋の人の行き交い春ともし★★★

●多田有花
八重桜散るやや日輪の暑き中★★★
花水木咲き初む街路の明るさに★★★
湯に放つ南部若布の緑かな★★★

●小川和子
花冷えや車両軋ませ電車着く★★★
夕永し「正常値です」と医師の声★★★
夕さりの月影淡し春の月★★★

●下地鉄
白々と夜の明け染むる夏は来ぬ★★★
ゆったりと消えて又現る卯波かな★★★
卯波現れサーファー握る拳かな★★★★
卯波が寄せて来て、波に乗る絶好のチャンス。拳を握り、波に乗り出す瞬間の闘志。力強い若さだ。(高橋正子)

●黒谷光子
つややかに葉を反らしつつ射干の花★★★★
裏庭は人目も付かず射干の花★★★
うす雲の退くを待ちおり春の月★★

●藤田洋子
真っ直ぐな銀杏並木のみな若葉★★★★
真っ直ぐな銀杏並木の整然とした若葉に、気持ちが爽やかになる。「真っ直ぐな」に読み手の背筋も伸びる思いだ。整然としたなかにも「みな」という柔らかな音の語があって、若葉の柔らかさを感じさせてくれる。(高橋正子)

街筋に銀杏若葉の風溢る★★★
若葉して銀杏並木の高々と★★★

●小西 宏
 深川芭蕉記念館近く、川舟番所跡
葉桜に潮の香ながる小名木川★★★
 清洲橋の眺め
春風のケルンにも似て隅田川★★★
 隅田川船上にて
春行くや鴎は澪に身を任せ★★★