11月24日(日)

晴れ

●夕方、句美子の家へ。運よく電車の乗継がよくスムーズに行けた。何か、食べたいものはと聞くと、焼き魚とか、鯛めしと言う返事。魚がほしいと。

魚の種類が少なくて、決まった魚しかないので、魚に目が向かなかったのだ。今日はこの魚が上がったとか、小海老がたくさん獲れたとか、活きのいい鱚が獲れたとか、小鰯が安いとかそんなことは全然ない。今日はこんなの野菜が美味しいとか、貝割菜がとれたとか、全然ない。決まった野菜しかない。つまり、商品しかない。人も商品のようになってるのではと心配になる。

●帰りの電車で『若き詩人への手紙 若き女性への手紙』を相変わらず読んだ。ある事を言うために、細かく言葉を使う。「内へおはいりなさい。」が彼の信条。この細かい言葉使いのために、しがみついて読む格好になってしまっている。独特の感覚があるのだろうと、ついついしがみついて読むことになっている。作家や詩人にしがみつくことは、これまでなかったのだ。妙なことになっている。

自由な投句箱/11月25日

今日の秀句/11月25日(3句)

★冬霧のまつわる松の青青と/小口泰與
冬霧がまつわるというのであるから、青々とした松葉の間にも冬霧がこまやかに入り込んでいるのだろう。冬霧のなかの松の青々と、また堂々とした姿が目に浮かぶ。(髙橋正子)

★道の辺に残るは冬菊ばかりなり/多田有花
「菊」と言っても栽培の菊ではない。野菊などの冬菊であろう。ほかの花は枯れても、咲き残る冬菊の姿には、健気にも、毅然とした雰囲気が感じ取れる。女性の一面に通じるように思われる。(髙橋正子)

★冬ざれの野を抜け駅舎一新す/弓削和人
冬ざれの野を抜けて来て、人の住む町の駅舎がそれまでの景色と打って変わって目に映る。実際に新しくなった場合も、ただ目に新しく映った場合も考えられるが、「一新す」が重要なのだ。(髙橋正子)

11月25日(4名)

小口泰與
冬霧のまつわる松の青青と★★★★
黒雲の間遠に居るや日向ぼこ★★★
眼間に日の落ちにけり冬浅間★★★

多田有花
烏瓜冬木に残り吹かれおり★★★
道の辺に残るは冬菊ばかりなり★★★★
孤高なり風に耐えたる木守柿★★★

弓削和人
裸木は陽光を一身に浴びにけり★★★
冬ざれの野を抜け駅舎一新す★★★★
熊出るぞ日つまる道の鈴の音★★★★

桑本栄太郎
又ひらり銀杏落葉の散りにけり★★★
綿虫の想い出おもいふわふわり★★★
陽にあたり爪を切りいる小春かな★★★
 
今日の俳句
★ラガーらの影より抜けてジャンプする/守屋光雅(もりやみつまさ)🌸
 ラグビーは冬のスポーツ。選手らの体躯の猛々しさ、大地を鳴らしてボールを追う切迫のシーンを目の当たりにするスポーツだ。この句は、冬の日が濃く射すグランドの影の濃い塊からボールを追ってすっとジャンプする瞬間をとらえて、躍動感にあふれる。ラグビーという激しいスポーツのナイス・ショットである。(髙橋正子ーー『現代俳句一日一句鑑賞』より)