4月21日(月)

晴れ

●10本ばかりあるスイートピーがよく咲きはじめ、オレンジ色のも咲いた。咲いているだけ剪って仏前に供えた。

●晃さんから、「私とリズム」の訂正原稿を受け取る。冒頭部分を書き加えてもらった。愛媛の先生方の秀句の原稿を受け取る。

●午前ハート内科、午後腰痛と脚に痺れのために整形外科へ。レントゲンを撮ったが、単に使い過ぎによる痛みとのこと。痺れは筋肉が圧迫されたせいとか。これはよくわからないが。飲み薬を飲むかと言われたが断り、ロキソニンテープだけ処方してもらった。

自由な投句箱/4月21日~4月30日

お願い
①自由な投句箱は花冠会員が自由にいつでも投句出来る場所です。かならずしも、毎日ご投句する必要はありませんので、ご自分のペースでご投句ください。
 
②以前投句した句を再度投句するのは、お止めください。
 
③花冠では、現代仮名遣いで表記していますので、ご留意ください。
 
※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/4月21日~4月30日

4月30日(2句)

★ぼうたんの夕日に沈む庭の隅/小口泰與

「ぼうたん」は夏の季語。庭隅に植えられている牡丹が、夕日になかに暮れて、沈んでいった。豪華さと静かさとがともにあるぼうたんの姿が詠まれている。(髙橋正子)

★白鷺の上昇見送る田の夕べ/上島祥子
「白鷺」は夏の季語。田の夕べの空へ、白鷺が高く昇り飛んでいった。初夏の夕べが古典的な雰囲気を感じさせて、さわやかに詠まれている。(髙橋正子)
4月29日(1句)
★日も鳥も囃し出でたり春の沼/小口泰與
日も囃し出るがユニーク。春の陽がきらめく様子をにぎやかに詠んでいる。鳥たちが生き生きと活動する春の沼の明るさがいい。(髙橋正子)
4月28日(1句)

★ハイキング残る桜を見上げゆく/多田有

ハイキングには、いい季節になった。まだ残っている桜もあって、思いがけず桜が楽しめた。楽しさの中にも、花を惜しみ、春を惜しむ気持ち現れている。(髙橋正子)

4月27日(1句)
★赤白黄色はっきりありぬチューリップ/多田有花
チューリップの特徴はいろいろ挙げられるが、赤、白、黄色のはっきりとした色もその一つ。最近は新感覚の色もあるが、チューリップと言ってすぐ思い浮かぶのはこの三色だろう。それをはっきりと言ったのがいい。(髙橋正子)

 

4月26日(1句)
★春深し朝ごと山のいきいきと/多田有花
春が闌けて、山の樹々の色も次第に濃くなる。朝毎の、その緑の濃さは、すなわち山が生き生きとしていることでもあるのだ。(髙橋正子)

 

4月25日(3句)
★八重桜青空の色深くなる/多田有花
八重桜が咲くころは、初夏を思わせる気温になることもある。空の青さも春の淡い空色から、青の色が深くなってくるのだ。(髙橋正子)

 

★帰る鳥白き浅間を越え行けり/小口泰與
白き浅間はまだ雪の残った浅間山であるが、「白き浅間」が一句全体の風景に清潔感を広げている。その浅間を越えて鳥が帰っていくのだ。(髙橋正子)

★花冷えのやがて暮れゆく湖畔かな/弓削和人

花冷えの湖畔も、やがて暮れてゆく湖畔なのだ。特に具体的な物があるわけではなく、「花冷え」と「暮れゆく湖畔」の空気の冷えや色具合の変化が美しく詠まれている。(髙橋正子)

4月24日(2句)
★春の星灯りに連らなり潤むかな/弓削和人
春の星が人家の灯りが連なって、同じ灯りとして連なり、潤んでいる。潤むは湿りを含んだ春の空気感を言っている。(髙橋正子)

★雨一夜緑膨らむ梅若葉/上島祥子梅の若葉が一晩の雨で、ぐんと生長し、一樹の緑が大きく膨らんだのだ。青青とした梅の若葉には、小さい青い梅が隠れるように生っているだろう。初夏の自然界の勢いがはっきりと詠まれている。(髙橋正子)

4月23日(2句)

★鯉の群みな口開けて夏近し/廣田洋一
鯉が水面に浮上して口を開けるのは、水温が上昇して水中の酸素が不足するなどしたときに見られる景色。口を開ける理由はこれだけではないが、「夏近し」と感じさせるくれる理由としては一番大きいかもしれない。(髙橋正子)
★椿落つ静かなるかな平家谷/森下朋子
この句は、三段切れ(1句が3つに分かれている)に該当するように見えますが、句意が「静かなるかな」に集約されているので、許されるものでしょう。つまり、「静かなるかな」は、「椿落つ」にも「平家谷」にもかかっていて、意味がここに集約されているので、ばらばらにならずに済んでいます。
平家谷の静かさが椿が落ちることによってより深まり、椿の花の赤さが平家を思わせているのも巧みだ。(髙橋正子)

4月22日(3句)

★友来たる笊に溢れる苺手に/土橋みよ

友が、笊にいっぱい、溢れるほどの苺を手に訪ねてくれた、驚きと嬉しさが、生き生きと表現されている。文法的な統一性にやや欠けるが、それを上回った生き生きとしたリズム感がある。(髙橋正子)

★紙風船突きたる音を楽しめり/廣田洋一
紙風船を突くとぽんぽんと紙独特の音がする。その音を楽しむという、この行為がおもしろく、楽しい。(髙橋正子)
★花かりん透かして空の青さ知る/上島祥子
かりんの花は、淡いピンク色でかわいく優しい印象の花である。その花の隙間から空を仰ぐと、空の青さが素敵なのだ。かりんの花によって「空の青」の素晴らしさを知った、と言うのだ。(髙橋正子)

4月21日(1句)

★若葉萌え池の周りは鳥の声/小口泰與

池の周りの若葉が美しくかがやいて、鳥が明るく鳴いている。幸福感に満ちた若葉の季節が詠まれている。(髙橋正子)

4月21日~4月30日

4月30日(5)
 
小口泰與
春蝉や鳥駆け巡る丘の森★★★
鶯の鳴き声嬉し我が庭へ★★★
ぼうたんの夕日に沈む庭の隅★★★★
 
廣田洋一
右左残花愛でつつバスの旅★★★
城壁の白さ際立て枝垂桜★★★
城の濠吹き寄せられし花筏★★★

 

多田有花
送電線並べ小赤壁の春★★★
海山の間に地蔵暖かし★★★
屹立す岩を見上げて春の汗★★★

 

桑本栄太郎
木々の枝の高き梢や風薫る★★★
風薫るなんじゃもんじゃの花の白★★★
嶺の端の入日あかねや四月果つ★★★

 

上島祥子
縁側に座を設えて紅躑躅★★★
クリムトの鉛筆下ろす昭和の日★★★
白鷺の上昇見送る田の夕べ★★★★
「白鷺」を夏の季語として、鑑賞すると、さわやかな田の夕べが思い浮かびます。(髙橋正子)

 

4月29日(3名)

 

小口泰與
葉桜をかくて見飽きし妻と我★★★
仏壇のか黒き塗りや春ともし★★★
日も鳥も囃し出でたる春の沼(原句)
日も鳥も囃し出でたり春の沼(正子添削)

 

多田有花
春空へパラグライダー次々と★★★
その昔白砂青松春の海★★★
春風を受けて海辺のティータイム★★★

 

桑本栄太郎
小出鞠の風に翻弄されて白★★★
白つつじ赤つつじとぞ咲き満つる★★★
白藤のトンネルなりぬ坂の道★★★

 

4月28日(4名)
小口泰與
はくれんや白き浅間へ向きて咲く★★★★
隠れ沼や春翡翠の飛び出でし★★★
太陽を孕みふんわり猫柳
「太陽を孕み」の「太陽」に日本語として違和感があります。(髙橋正子)

 

多田有花
ハイキング残る桜を見上げゆく★★★★
たんぽぽの旅立ちの時始まりぬ★★★
穏やかに島影浮かべ春の海★★★

 

桑本栄太郎
道の辺の蘂の赤きや夏近し★★★
プロペラの葉蔭に赤く若楓★★★
赤と黄の数多彩り春落葉★★★
弓削和人
白浪の泡より白き春の砂★★★

 

4月27日(4名)
小口泰與
はくれんや白き浅間の隠れなし★★★★
かぐわしき沼の若葉や朝日出づ★★★
太陽を含みふっくら牡丹の芽
「太陽を含み」の「太陽」は違和感があります。「陽を含み」でいいのではないでしょうか。(髙橋正子)

 

多田有花
腰赤燕いそいそと巣を修復★★★
紅白を街角に添えはなみずき★★★
赤白黄色はっきりありぬチューリップ★★★★

 

廣田洋一
一人だけ青き背広や春かなし★★★
鎌倉の小町通りや春暑し★★★
残花を惜しみ愛でたる夕べかな★★★

 

桑本栄太郎
大根の花や朝日に大原野
3段切れになっています。この句では、3段切れの必要はないと思います。一句一章、二句一章ということです。(髙橋正子)
一本のひなげし風に休耕地★★★★
揚羽来て何やら言づて話すかに★★★

 

4月26日(6名)
小口泰與
雀の子垣穂の中に隠れけり★★★
山よりの風限りなく現れし
写メ撮るは庭の牡丹に限りけり★★★

 

弓削和人
みちのくの春日は淡くたよりなし★★★
秒針の音鮮やかに春の宵★★★
音読す春の朝日に聴かしたり★★★

 

多田有花
春深し朝ごと山のいきいきと★★★★
頬白や横顔意外に凛々しくて★★★
春たけてトライクでゆくふたりかな★★★

 

廣田洋一
並木道雨を払える若葉風★★★★
市民俳句大会終えて夏近し★★★
蒲公英の絮風を待ちる朝かな
 
土橋みよ
鱗取る音も春らしマコガレイ★★★★
電線に佇む雲雀二重唱★★★
帰郷する友に馴染みの桜茶を★★★

 

桑本栄太郎
妻が茹で我の仕事や蕗を剥く★★★
切れ在りてこその俳句や霾ぐもり★★★
にょきにょきと伸びる傍より竹落葉★★★

 

4月25日(5名)
※「切れ」は、もともと繋がっているものを「切っている」ので、離れているもの(違っているもの)を繋いでいるのではありません。その理由で、「切れ」とか「切れ字」の考えがうまれているので、ご留意ください。(髙橋正子)
廣田洋一
ディズニーの風船揺らしベビーカー★★★
花薊色艶やかに雨の中★★★
大鍋の辛口カレー夏近し★★★
多田有花
おかえりと腰赤燕に呼びかける★★★
八重桜青空の色深くなる★★★★
雌雉の飛び雄雉の鳴いて飛ぶ★★★★
小口泰與
春の虹長きすそ野を輝かす★★★★
川渡る鉄路かかようつばくらめ(原句)
「川渡る鉄路」と「つばくらめ」の関係が切れている難点です。不即不離の関係にするには、「かがよう」の用い方です。(髙橋正子)
鳥帰る白き浅間を越え行けり★★★★
桑本栄太郎
ふるさとの土手道想う蕨届く★★★★
すかんぽの穂が伸び赤く靡きけり★★★
高き塀乗り越え垂るる山吹よ★★★
弓削和人
春星にひとり座したりひとり去り★★★
湖に帰し山より集う春の水
「帰し」としたのは、なぜですか。
湖に帰す山より集う春の水(正子添削)
花冷えのやがて暮れゆく湖畔かな★★★★

月24日(6名)

多田有花
酒蔵の二階はショップ春灯★★★
チューリップに送られ酒蔵後にする★★★
花曇助手席で酒粕ジェラートを★★★
廣田洋一
蒲公英の絮を揺らして坂の道★★★
薊の花くっきり赤く土手の道★★★
春の蚊のふわりと来たる如来堂★★★
小口泰與
白き浅間朝日を浴びて山笑う★★★
ものの芽の朝日をはじきて尖りける★★★
かがなべて春の利根川魚数多★★★
桑本栄太郎
木々の枝の若葉わらわら冷え来たる★★★
春なれや名もなき草の花と実に★★★
しべ赤く御衣黄ざくら散り初める★★★
弓削和人
春の星灯りに連ね潤むかな(原句)
春の星灯りに連なり潤むか(正子添削)
原句の「連ね」の主語は「春の星」です。灯りに「何を」連ねたのでしょうか。「春の星が灯りに連なっている」の意味にする場合は、添削のようになります。(髙橋正子)
上島祥子
雨一夜緑膨らむ梅若葉★★★★
復活祭教皇送る八十二億★★★
地方紙に包まれ届くアスパラガス★★★

4月23日(5名)

小口泰與

入学の大きな名札おもはゆし★★★
春嵐木木を啼かせる夕間暮れ★★★
かがなべていよよ新緑色を増し★★★
※「かがなべて」は「日々並べて」と書きます。古事記などに出てくる古い言葉です。(正子注)
多田有花
もちもちの釜あげうどんうららかに★★★
デザートは抹茶プリンや木の芽時★★★
酒造り百五十年目の島の春★★★

 

桑本栄太郎
朝刊のビニール被り春の雨★★★
三角の辻の花壇や藤の房★★★
石垣を蔽い垂れ居り芝ざくら★★★

 

廣田洋一
ビルの壁白く光りて花水木★★★
春の蚊や刺されぬうちに飛び去りぬ★★★
鯉の群みな口開けて夏近し★★★★

 

森下朋子
愛犬の骨つぼ軽し春の雨★★★★
椿落つ静かなるかな平家谷★★★★
この句は、三段切れ(1句が3つに分かれている)に該当するように見えますが、句意が「静かなるかな」に集約されているので、許されるものでしょう。つまり、「静かなるかな」は、「椿落つ」にも「平家谷」にもかかっていて、意味がここに集約されているので、ばらばらにならずに済んでいます。(髙橋正子)
春しぐれ落人偲ぶ赤幡神社★★★

 

4月22日(7名)

小口泰與
大いなる浅間へ春日差しにけり★★★
仰せの通り今年の若葉いきいきと★★★
一会の名刺おおかた春の闇★★★

 

土橋みよ
友来たるざるに溢れる苺手に(原句)
文法的な統一性にやや欠けますが、リズム的には、生き生きとした、喜びのある句と思います。

 

友来たる笊に溢るる苺手に(正子添削)
①「ざる」は、この句では、読みにくいので漢字にしました。
②一句全体を文語で表現したい場合は、「溢れる」(口語)でなく、「溢る(あふる)」(文語)の連体形(名詞などを修飾するとき)の「溢るる(あふるる)」にします。(髙橋正子)

赤いポスト小手毬の白覆いけり(原句)

小手毬の白に覆われ赤いポスト(正子添削)

①もとの句の意味は、赤いポストが小手毬の白を覆っているなあ、の意味になっていますので、添削しました。

「赤いポスト小手毬の白に覆われけり」となりますが、これでは、リズムがよくないので、工夫します。(厳密にはリズムだけではありませんが)

②また、全体を文語で表現するなら「赤きポスト」とするのが、よいです。「赤きポスト」でなく、「赤いポスト」(口語)で表したいなら、添削のようにすれば、口語表記の句になります。

 

羽広げ葉裏をゆくや揚羽蝶★★★★

 

廣田洋一
公園の残花散り来る滑り台★★★★
春の蚊や風呂場の湯気を浴びて
紙風船突きたる音を楽しめり★★★★

 

多田有花
三葉芹奥に控える黄身酢かけ★★★
春深しごぼうを乗せし蒸し穴子★★★
のどけしやトリュフ塩にて淡路牛★★★

 

桑本栄太郎
春茱萸の種の散らばる舗道かな★★★
すかんぽの伸びて赤き穂なびきけり★★★
あたたかや飛行機雲の解け行く★★★
弓削和人
ふさがんと春に炬燵を出し始め★★★
花びらのおちゆくさきの黒ピアノ★★★
塵ひとつなきピアノへ花ひとひら★★★

 

上島祥子
たらの芽の棘に驚く左拇指★★★
すみれ草帯なす畦と車路さかい★★★
花かりん透かして空の青さ知る★★★★

 

4月21日(4名)

小口泰與

若葉萌え池の周りは鳥の声★★★★

あけぼのの若葉につつまる鳥の数★★★

鶯の声に瞼の開きおり★★★

 

桑本栄太郎

★あゆみ行く吾に添いり虻の声

咲き満ちて紅の狭庭や花みずき★★★

”ハナさん”の事故死の花壇芝ざくら★★★

 

多田有花

古民家の暖簾を揺らす春の風★★★

春の菜にチーズ散らせるサラダかな★★★

春の色飾り烏賊墨細うどん★★★

 

廣田洋一

白躑躅行い澄ます朝かな★★★

蒲公英の絮の漂う寺の跡★★★★

池の端低く飛びたるしじみ蝶★★★