6月21日(夏至)

★てのひらに書を読む梅雨のすずしさに  正子

○今日の俳句
夏至の雨根付きし苗の田を浸す/藤田洋子
田植のあと早苗は根付き、夏至のころ、根付いた苗は<ぶんけつ>する。梅雨の最中であって、雨は田を「浸す」のである。豊かな水と青々とした田は、日本の原風景であり、たゆまぬ力を感じる。(高橋正子)

○青葡萄

[青葡萄/横浜日吉本町]

★葉洩日に碧玉透けし葡萄かな/杉田久女 
★濁流に日のあたりけり青葡萄/山口誓子
★川を呼び山風を呼び青葡萄/広瀬直人
★青ぶどう夜明けは山のうしろから/鈴木美千代

 青葡萄とは、まだ熟さない青々とした難い実の葡萄をいう。この場合は成熟しても緑色をしているマスカットなどの品種のものは指さない。生産は山梨県が最も多く、岡山・長野の両県が続く。花は五、六月果実と同じように房になって集まって咲く。この青葡萄から濃紫黒・紅赤・黄緑色と、それぞれの品種によって色づいてゆく。
 ブドウ(葡萄、学名 Vitis spp.)は、ブドウ科 (Vitaceae) のつる性落葉低木である。また、その果実のこと。葉は両側に切れ込みのある15 – 20cmほどの大きさで、穂状の花をつける。野生種は雌雄異株であるが、栽培ブドウは一つの花におしべとめしべがあり、自家受粉する。このため自家結実性があり、他の木がなくとも一本で実をつける。果実は緑または濃紫で、内部は淡緑であり、房状に生る。食用部分は主に熟した果実である。食用となる部分は子房が肥大化した部分であり、いわゆる真果である。外果皮が果皮となり、中果皮と内果皮は果肉となる。果実のタイプとしては漿果に属する。大きさは2 – 8cm程度の物が一般的である。ブドウの果実は枝に近い部分から熟していくため、房の上の部分ほど甘みが強くなり、房の下端部分は熟すのが最も遅いため甘味も弱くなる。皮の紫色は主にアントシアニンによるものである。甘味成分としてはブドウ糖と果糖がほぼ等量含まれている。また、酸味成分として酒石酸とリンゴ酸が、これもほぼ等量含まれる。
 ブドウ属の植物は数十種あり、北米、東アジアに多く、インド、中東、南アフリカにも自生種がある。日本の山野に分布する、ヤマブドウ、エビヅル、サンカクヅル(ギョウジャノミズ)もブドウ属の植物である。現在、ワイン用、干しぶどう用または生食用に栽培されているブドウは、ペルシアやカフカスが原産のヴィニフェラ種 (V. vinifera, common grape vine) と、北アメリカのラブルスカ種 (V. labrusca, 英: fox grape)で ある。米がうるち米(食用)・酒米(酒造用)があるように、ブドウにも食用ブドウと酒造用ブドウがあり、食用はテーブルグレープ(table grapes)、酒造用はワイングレープ(wine grapes)と呼ばれている。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・紫陽花」(横浜日吉本町)

●自由な投句箱/6月21日~30日●


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今日の秀句/6月21日~30日


[6月30日]

★すっきりと雨止む街の青田かな/河野啓一
「すっきりと」と「青田」の関係が、すがすがしい。街の青田なので、却って青田のすっきりとした感じがでている。(高橋正子)

[6月29日]

★ナイターはようやく勝利合歓の花/河野啓一
ナイターが面白いとき。夕べはロッテとソフトバンクが延長戦で、ソフトバンクが勝ったようだ。ひいきのチームが延長戦の末、勝利。ほっとして良い眠りにつけそうだ。合歓の花のような気分。(高橋正子)

[6月28日]

★合歓の郷海の香りも遠からず/河野啓一
合歓が夢見るように花を咲かせている里は、海の香りがかすかにしている。合歓の花と海の取り合わせに明るく優しい抒情が生まれている。(高橋正子)

[6月27日]

★青葉影古城への道ひた歩き/上島祥子
青葉影が連なる古城への道は、意外にも急だ。城に着こうと、青葉影をひたすら歩く。昔、武士が登城したときもこのようだったのかもしれない。(高橋正子)

[6月26日]

★夏帽子海の色をば取りこめり/廣田洋一
海にたたずみ、海を見ていると帽子のひさしに海が入り、海の色が同化していくように思える。夏海の色や輝きに、翻って自分の姿が見えてくる。(高橋正子)

[6月25日]

★みんなみの海風香る花ザボン/迫田和代
南から吹く海からの風にザボンの花の香りが乗ってくる。句のリズムが柔らかく、明るく、開放的な句となっている。(高橋正子)

[6月24日]

★雨に濡れ藍の色濃き額の花/桑本栄太郎
額の花は、毬のような紫陽花に比べると、地味であるが、小さな花の集まった中心部分は、藍色が特に美しい。雨にぬれれば、藍色がさらに美しくなる。(高橋正子)

[6月23日]

★露草や花弁の支う金の蕊/廣田洋一
やさしく、丁寧な観察に露草の花の愛らしさ、それでいて、凛とした花の風情が詠まれて、涼しい画を見ているようだ。(高橋正子)

[6月22日]

★雨あとの山襞きりり桐の花/小口泰與
雨に洗われた山。山襞がきりりとし、青い山が引き締まって見える。その山を背景にして桐の花が、気品高い姿となった。(高橋正子)

[6月21日]

★梅干しの握り飯かな梅雨晴間/河野啓一
梅雨の時季は、さっぱりとした口当たりのものがよい。いろんな具よりも、梅干しの握り飯は、正統派というべきか、おいしい。梅雨晴れの空の青さに似合うのも、白い握り飯だ。(高橋正子)

6月21日~30日


6月30日(3名)

●小口泰與
梅雨寒の朝の赤城山の墨絵かな★★★
立葵栗毛棒立雨後の牧★★★
口遊む友の軍歌や熱帯夜★★★★

●廣田洋一
道野辺に今年も咲きし花カンナ(原句)
道野辺に今年も咲くや花カンナ★★★(正子添削)

赤カンナ雨空にちと暑苦し★★★
カンナ咲く線路の火花下に見て★★★★

●河野啓一
すっきりと雨止む街の青田かな★★★★
「すっきりと」と「青田」の関係が、すがすがしい。街の青田なので、却って青田のすっきりとした感じがでている。(高橋正子)

雨上がり街の植田の静かなる★★★
水に屋根映して街の青田かな★★★

6月29日(5名)

●桑本栄太郎
緑陰のつづく並木やバス通り★★★★
雨あがり溽暑の午後となりしかな★★★
金網の高き垣根や花南瓜★★★

●小口泰與
白めだかぷっくりお腹重たそう★★★
あけぼのの植田を占めし赤き屋根(原句)
あけぼのの植田の水に赤き屋根★★★★(正子添削)
渓流の浮石踏めり岩魚釣★★★

●廣田洋一
昼寝覚休み時間を超過せり★★★
昼寝して宅配便に起こされる★★★
狭庭をば渡れる風の昼寝かな(原句)
狭庭をば渡れる風に昼寝かな★★★★(正子添削)

●小川和子
草叢の露草むかし引きよせる(原句)
露草の青がむかしを引きよせる★★★★(正子添削)
白百合のパールのごとき気品かな★★★
人見えぬ青田にものの声盛り★★★

●河野啓一
ナイターはようやく勝利合歓の花★★★★
ナイターが面白いとき。夕べはロッテとソフトバンクが延長戦で、ソフトバンクが勝ったようだ。ひいきのチームが延長戦の末、勝利。ほっとして良い眠りにつけそうだ。合歓の花のような気分。(高橋正子)

霧雨にけぶりて藪の合歓の花★★★
梅雨の夜ライトの霧に開く傘★★★

6月28日(5名)
●満天星
鷺の島羽ばたく雛や巣立の日★★★★
中洲よりかしましきかな行々子★★★
花石榴落ちて悲しきフラメンコ★★★

●小口泰與
食パンを抱へ立ち読み単足袋★★★
雨粒をくまなく乗せし蜘蛛の網★★★
雨粒の付きし白ばら貰いける★★★★

●河野啓一
丘の辺に今日見つけたる合歓の花★★★
森の中吾を見つけてと花合歓が★★★

合歓の郷海の香りも遠からず★★★★
合歓が夢見るように花を咲かせている里は、海の香りがかすかにしている。合歓の花と海の取り合わせに明るく優しい抒情が生まれている。(高橋正子)

●廣田洋一
さくらんぼアメリカンチェリーと食べ比べ★★★
桜桃のきらきら光る雨雫★★★★
さくらんぼルビーの玉の枝垂れおり★★★

●桑本栄太郎
とんがりの屋根に十字架夏の峰★★★★
こんもりとトトロの森か木下闇★★★
白川のかくかくに碑や額の花★★★

6月27日(6名)

●小口泰與
夏祭堂を支ふる柱かな★★★★
生垣の蜘蛛の囲白く波立ちぬ★★★
風の中樋を降り来る蟻の列★★★

●満天星
宴あと帰りのバスの梅雨の闇★★★
九条を守る選挙や蟇の声★★★
ゴーギャンのタヒチの女カンナ咲く★★★★

●廣田洋一
草いきれたまらず川に入りけり★★★
草いきれ少年の日の青き夢★★★★
停車場横の捨て畑草いきれ★★★

●上島祥子
夏草の雨を含んで緑濃し★★★

青葉影古城への道急ぎ足(原句)
青葉影古城への道ひた歩き★★★★(正子添削)
青葉影が連なる古城への道は、意外にも急だ。城に着こうと、青葉影をひたすら歩く。昔、武士が登城したときもこのようだったのかもしれない。(高橋正子)

石垣や万緑迫る名古屋城★★★

●河野啓一
霧雨に白紫陽花のつつましき★★★
ひおうぎの雨弾きたる朱い色★★★
雨の中負けじと赤い百合の咲く★★★★

●桑本栄太郎
嶺の端の蒼きうねりや青嵐★★★
深梅雨や又も降りだす曇り空★★★
竹林の一幹に初むや青嵐★★★★

6月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
梅雨空へ椋鳥(むく)忽然とさんざめく★★★
梅雨晴れ間集めて早し水の音(原句)
梅雨晴れ間集まりて速き水の音★★★★(正子添削)
空蝉は諸行無常の世のごとく★★★

●小口泰與
残照の千曲川(ちくま)や佐久の洗鯉★★★
曇天の扉をあくる夏ひばり★★★★
五月晴部屋の子犬の恣意のまま★★★

●河野啓一
梅雨寒や昭和史文庫出してみる★★★★
蝸牛ほとんど見ずと人の言う★★★
荒梅雨やグレートブリテン分裂も★★★

●廣田洋一
電子図の熊本城や夏の空★★★
皇帝ダリア一輪高く咲にけり★★★
夏帽子海の色をば取りこめり★★★★
海にたたずみ、海を見ていると帽子のひさしに海が入り、海の色が同化していくように思える。夏海の色や輝きに、翻って自分の姿が見えてくる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
地道行き水のにじむや木下闇★★★
さんざめく葉音頻りや青嵐★★★★
気の早きもののひとつやカンナ燃ゆ★★★

6月25日(6名)

●谷口博望 (満天星)
夏の磯歩く小鷺の指は黄色★★★
黄鶲の声筒抜けて森の中★★★★
夏燕ちぎれはためく日章旗★★★

●小口泰與
満目の赤城山を映す植田かな★★★
老鶯や覚満淵へ風の道★★★
白樺の中におちこち透百★★★★

●上島祥子
近づけば夏萩誘う寺の庭★★★
夏萩や開け放されし寺の門★★★★
寺多き通りをぬけて父たづぬ★★★

●迫田和代
直線は一人の世界くらべ馬★★★
みんなみの海風香る花ザボン★★★★
南から吹く海からの風にザボンの花の香りが乗ってくる。句のリズムが柔らかく、明るく、開放的な句となっている。(高橋正子)

南天の花の咲きたる故郷を★★★

●河野啓一
荒梅雨の雲は東へ茅渟の海★★★
向日葵の五本揃いてすくすくと★★★★
印刷は緑の枠に俳句吟(よ)む★★★

●桑本栄太郎
睡蓮の凜とあまたや朝の池★★★
木下闇曲がり奥なる祠かな★★★
早風呂を終えて窓辺に涼みけり★★★★

6月24日(5名)

●谷口博望(満天星)
水無月やゲリラ豪雨の北上す★★★
夏の陣改憲党の口車★★★
沖縄忌特攻隊の海白し★★★★

●小口泰與
薫風や年忌の僧の朗々と★★★★
法要の僧のお経や風薫る★★★
昼顔や次つぎ田水満たしける★★★

●河野啓一
柿の葉を透かして光る梅雨晴間★★★
草取りは今のうちぞと励む妻★★★
六月の木々の勢い展望台★★★★

●桑本栄太郎
夏萩や雨の小路を買物に★★★
雨に濡れ藍の色濃き額の花★★★★
額の花は、毬のような紫陽花に比べると、地味であるが、小さな花の集まった中心部分は、藍色が特に美しい。雨にぬれれば、藍色がさらに美しくなる。(高橋正子)

柵を超え池の真中へひつじ草★★★

●廣田洋一
倒れても上向きに咲く百合の花★★★
高き茎取り巻き咲ける百合の花★★★
門さきの空を見上げる百合二輪★★★★

6月23日(5名)
九州はじめ、瀬戸内や関西も豪雨でしたが、皆様に被害はございませんでしたか。お見舞い申し上げます。

●谷口博望(満天星)
太古へと節理這いけり青蜥蜴★★★
雲の峰ウィンドウズ10へ更新す★★★★
一夜明け毛虫消えけり桜の木★★★ 

●小口泰與
仏像の長き切れ目や朝涼し★★★
月涼し忠治の山の長き裾★★★★
夕立や鍋割山の画然と★★★

●廣田洋一
噴水のしぶき眺めつ人を待つ★★★

噴水二基競う池を風渡る(原句)
噴水二基競う池なり風渡る★★★(正子添削)

露草や花弁支う金の色(原句)
露草や花弁の支う金の蕊★★★★(正子添削)
やさしく、丁寧な観察に露草の花の愛らしさ、それでいて、凛とした花の風情が詠まれて、涼しい画を見ているようだ。(高橋正子)

●河野啓一
豪雨去り青空光る夏の午後★★★
もちの花白くかすみて雨の丘★★★
さやえんどうサッと茹でられ浅みどり★★★★

●桑本栄太郎
荒梅雨や夜半の雨に目覚め居り★★★
木下闇こんなところに祠かな★★★
雨雲の失せて茜や梅雨夕焼★★★★

6月22日(5名)

●谷口博望(満天星)
樟の凌霄上を競いけり★★★
白壁の凌霄屋根を越しにけり★★★
のうぜんや黒人霊歌きこえけり★★★★

●小口泰與
月涼し酒飲む前もその後も★★★

雨後の朝山襞きりり桐の花(原句)
雨あとの山襞きりり桐の花★★★★(正子添削)
もとの句は、盛りだくさんすぎます。
雨に洗われた山。山襞がきりりとし、青い山が引き締まって見える。その山を背景にして桐の花が、気品高い姿となった。(高橋正子)

こおり水湖に大波ささら波★★★

●廣田洋一
短夜や朝の体操長くなり★★★
短夜の夢の始まり忘れけり★★★★
明易しこむらがえりに痛む足★★★

●河野啓一
水無月や昔の願いさもあらん★★★
夕暮れてあじさい白く耀けり★★★★
豪雨とや気に懸りつつ夏至も過ぐ★★★

●桑本栄太郎
アガパンサス愁いの色の梅雨晴間★★★
走り根の太き土道梅雨晴間★★★★
ぱつくりと泰山木蓮天(そら)を向き★★★

6月21日(5名)

●谷口博望(満天星)
夏の日にシーサー怒る乙女の死★★★
梯梧咲くトロピカルなる赤き色★★★
白木槿花に連なる莟かな★★★★

●小口泰與
せせらぎや露台にありし古き椅子★★★
幾たびも我が手に触るる岩魚かな★★★★
昼寝する我が顔に触れし犬の舌★★★

●廣田洋一
鷺草や西を目指して飛びにけり★★★★
紫陽花や一枝残るピンクかな★★★
道の端青梅一つ転がりぬ★★★

●河野啓一
浮草よ池の藻類と共に棲む★★★
高野山啼き声低き仏法僧★★★

梅干しの握り飯かな梅雨晴間★★★★
梅雨の時季は、さっぱりとした口当たりのものがよい。いろんな具よりも、梅干しの握り飯は、正統派というべきか、おいしい。梅雨晴れの空の青さに似合うのも、白い握り飯だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
山並みの蒼きうねりや梅雨の闇★★★★
底紅の早くも咲きし垣根かな★★★
湯浴み終え夏至の入日を眺めけり★★★