5月18日(土)

●小口泰與
白雲を支える嶺の新樹かな★★★★
白雲と嶺の新樹の緑、嶺の新樹なので、とりわけその色合いが爽やかである。(高橋正子)

柿若葉雨後の赤城の山葵色★★★
朝日受け楓若葉や万華鏡 ★★★

●下地鉄
昼顔の蔓引き揺らす花の数★★★★
たくさん咲いた昼顔の花の可憐な姿が目に浮かぶ。蔓を引けば、うすいピンク色の花が揃って揺れるのだ。(高橋正子)

常夏の波音冴えるフラダンス★★★
奥山の彼方に浮かぶ梅雨灯り★★★

●多田有花
夏空に数多の雲の軌跡かな★★★
石楠花にあたる日差しの柔らかし★★★
若葉山子らのオリエンテーリング★★★

●桑本栄太郎
茉莉花や歌声垣根の幼保園★★★
山風と水田鏡や夕薄暑★★★
さざ波のひかりの帯や西日さす★★★

●河野啓一
郭公の声嬉しきや森はずれ★★★★
夏を告げる郭公の声を聞き、嬉しさに包まれる。森のはずれのできごと。さらに森奥を訪ねたくなる。内面のよさが滲んでいる句。(高橋正子)

ふくよかな黄色のひかり未央柳★★★
瀬戸の海オリーブの香に染まりいて★★★

●佃 康水
水口へ太き根を張りカラー咲く★★★★
きりっとしたカラーの花。水口は張る根は太く、花や葉をしっかり支えている。カラーのきりっとした力強さが読める句。(高橋正子)

葉の色へ染めて不動の雨蛙★★★
蛇苺茎紅色に畔を這う★★★

●高橋秀之
山肌の燃える葛城山躑躅★★★
友だちを連れて一口麦茶飲む★★★
熱帯魚産卵箱に仔の動き★★★

●黒谷光子
葉も付けて刈りしばかりの蕗届く★★★
指先も厨も匂い蕗を剥く★★★
半分は煮詰め色濃く伽羅蕗に★★★

5月18日(土)

 横浜動物園
★石楠花に深山の風の吹き起こる   正子
奥深い静かな山へ色取りどりの石楠花が群れて咲いているのでしょうか。石楠花の咲く頃の深山は青葉若葉が生い茂り大樹が大きく揺れて葉擦れの風が吹き渡って来ます。「吹き起こる」と詠まれたことで深山に咲く石楠花の風情と風の情景を存分に感じ取ることが出来ました。
 (緑化センターで全く同じ情景に会いました。御句により大いに勉強になりました) (佃 康水)

○今日の俳句
船窓に見え来る全山島若葉/佃 康水
船窓から島の全山が見え始め、さらに近付くと島を覆い尽くす若葉の鮮やかさに、息をのむような感動を覚える。(高橋正子)

○木苺

[木苺/横浜日吉本町]

★木苺に滝なす瀬あり峡の奥/水原秋桜子
★裾重く聖尼ばかりの木苺摘み/草間時彦

 木苺(キイチゴ・学名:Rubus palmatus・バラ科キイチゴ属)は、原産地が西アジア、アフリカ、欧州、アメリカで、ラズベリーやブラックベリー、デューベリー等、木になるイチゴ(苺)の総称。 春に、苺の花に似た5弁の白花を咲かせる半落葉低木で、葉はヤツデのような掌に似た形(深裂)をしている。初夏に橙色の小さな粒々が多数集まり、食用となる球状の果実を付ける。果実は、果汁が多く、爽やかな酸味と仄かな甘味がある。木苺の葉は、秋に綺麗に紅葉するので、別名をモミジイチゴ(紅葉苺)とも呼ばれる。
 5月白い花が咲き、青い実を結ぶ。野生でよく見るのは、オレンジがかった黄色に熟れるものだ。山道を車で通るときにもところどころに見つかる。里山を歩いても道沿いに見つかる。たくさん摘んだことはなく、一粒二粒熟れているのを採って食べた程度だ。わが家の近くでは、日吉本町の鯛ケ崎公園と、駒林神社の下手あたりで見つけている。なんでもそうだが、熟れる時期をはずすと、せっかく木苺摘みにでかけても蔕だけになっていることがあって、すごく残念な思いをする。

★木苺を摘みにそこまでブラウス着て/高橋正子

◇生活する花たち「クサイチゴ・イキシャ・山あじさい」(横浜日吉本町)