★色ようやく見えてくれない菊蕾 正子
垣根や畑の隅に乱れ咲くものをはじめ、菊作りに栽培された豊麗な大輪の花など、その種類は数千、色も形もさまざまだが、ようやく菊のつぼみがふふみて紅色の菊が咲く予感を感じさせてくれる。楽しみな時期です。(小口泰與)
○今日の俳句
★直立の日矢や藁塚一列に/小口泰與
朝早くだろう。山里などでは日が高く昇り、日矢は真上近くから差し込んでくる。それを「直立の日矢」といった。その日矢が一列に並ぶ藁塚に差し、山里は神々しいまでの朝だ。(高橋正子)
明るくて深い 現代語による俳句を。よい生活から よい俳句を。
2016年10月16日
■十三夜ネット句会清記
16名48句
01.富士山が秋の車窓に影絵となる
02.大橋の上を流れるうろこ雲
03.木の実落つ音夕暮れの森に
04.虫の背に月影青き十三夜
05.十三夜ふと口ずさむ校歌かな
06.同窓の集いに一句十三夜
07.今朝の畦忽と消えたる蜻蛉かな
08.朝明けやどどっと畦の曼殊沙華
09.常よりも今朝の赤城山(あかぎ)や水澄めり
10.京なれや路地にゆかしき実むらさき
11.月代や今宵の空は特別ぞ
12.一枚を羽織り二夜の月を愛づ
13.万歳の歓喜の赤や十三夜
14.藤袴へアサギマダラは命継ぐ
15.緑なる榧(かや)の実拾ふ山路かな
16.ごんぎつね出てきそうなり彼岸花
17.秋の飛行機夕日にむかい落ちてゆく
18.正装し月ゆっくりと昇りゆく
19.線路際電車になびく尾花かな
20.木漏れ日に一つ照りたる烏瓜
21.背筋立てきっぱり歩く冬支度
22.電車待つホームにふたり十三夜
23.鉢巻を締めて応援運動会
24.ただいまと帰れば秋刀魚の晩ご飯
25.藤袴池の周囲で背を伸ばす
26.コスモスにうもれて子らの声がする
27.芙蓉花蜂は切り取り持ち去りぬ
28.いさぎよく切られ南瓜の内部の黄
29.さわやかに朝日射し込むわが書斎
30.さわやかな畳の上に寝転べる
31.おもたせの薄茶点て合う十三夜
32.枝垂れたるままびっしりと萩は実に
33.亀島の甲羅に乗りて松手入れ
34.夜半澄めば肌に染み入る後の月
35.寝入る児に童話本閉ず十三夜
36.日照り雨受けて真っ赤にみずきの実
37.天空の紺ひと色の十三夜
38.木の実落つる音に子の耳鋭くなれり
39.蝶ふたつ野菊をこぼれ地に遊ぶ
40.伊予小富士稜線丸き十三夜
41.抱きし子の鈴音響かせ秋祭り
42.ネオンの灯揺らぐ秋霖中也の碑
43.高原のベンチに?ける林檎の香
44.鰯雲茜に染まりゆくかなた
45.田の闇を仰げば仄かに後の月
46.星月夜駅舎に隠れ遠い空
47.見上げるとすすき穂のみな銀色に
48.一面のどんぐり踏みしめ音鳴らす
※互選を開始してください。5句選をし、その中の一番好きな句にコメントしてください。
(選句期間:10月16日午後6時~午後9時)