■入賞発表/4月月例ネット句会■


■2019年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年4月15日

【金賞】
03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
「花見」のいい風景を捉えた句だ。上五の「花見船」が一句の主題で、「声もろ共に降ろしけり」と一気に詠み終えたところが見事で、本人の日頃の精進を称えたい。(高橋信之)

【銀賞/2句】
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
春の海に、点々と船が浮かんでいる。きらきらと日を返す春の海に船もまた、海のかがやきの一つとなっているのだ。(高橋正子)

25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子
いい生活句だ。句の冒頭に置いた「退勤の道」に作者の姿を見る。リアルな表現で身近な生活を見事に詠みあげた。(高橋信之)

【銅賞/3句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
下五に置いた季語の「風光る」がいい。中七の「初めてできて」に作者の思いが率直に、そしてはっきりと読み手に伝わってくる。(高橋信之)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
だんだん日暮れが近くなる、つまり「夕づく」と、白い桜の一樹が、黄昏の中に浮かび上がってくる。「夕づく」という美しい言葉を得て、桜一樹が一段と美しい景色となった。(高橋正子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
仏生会にお参りにきた子どものお辞儀をする姿が可愛らしく思えた。おそらく、きちんとお辞儀をして、それが、あまりに可愛いのだ。誕生仏を前にしての微笑ましい光景だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
逆上がりが初めてできた嬉しさに春の光が一層輝き、鉄棒にも仰ぎ見る空にも「風光る」が実感される記念すべき日となりました。(柳原美知子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
晴れ着で着飾った女の子が両親に連れられて4月8日のお釈迦様の誕生日にお釈迦をお参りする仏性会の様子を素敵に咏った素敵な句ですね。 (小口泰與)

12.ブラックホール遠くに隠す春の雲/廣田洋一
のどかな春の雲が浮かんでいるけれど、遥かかなたの宇宙には、すべての物質を飲み込んでしまうブラックホールが隠れており、先日史上初の画像が公開されました。宇宙の神秘が思われます。 (柳原美知子)

27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ/高橋句美子
どんな土地にもたんぽぽは咲き、春を告げてくれます。絮が飛んだあとには、茎だけが直立して並んでおり、その生命力に驚かされます。 (柳原美知子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
19.桜蕊降るにまかせて寺への道/高橋信之
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
桜の樹がほの暗い中でも存在感を感じる句です。(高橋句美子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
14.学ランの匂い柔らか入学す/西村友宏
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【入選/8句】
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨/桑本栄太郎
昨日観た桜が今朝は雨に打たれている風情にあはれを感じた。「花のあはれ」が良い。(廣田洋一)

06.ため池に春の波たつ播磨かな/多田有花
この4月は寒暖の差が激しく、時には春北風の強くて冷たい風が吹く日々が何日もありました。ため池はいつもであればさざ波程度の所、大きな波が立ち、岸辺にたっぷんたっぷんと打ち寄せています。米所播磨の地名も入って、沢山のため池を想わせている。 (桑本栄太郎)

01.さえずりや利根本流の洋々と/小口泰與
坂東太郎と称される大河利根川、さえずりを配してその雄大な流れと春ののどかさを見事に表現しておられます。 (多田有花)

08.花に酔ふ同期四人や彦根城/桑本栄太郎
お城はいずこも桜の名所です。彦根城もそうなのでしょう。久しぶりに同期で集まってその桜を堪能されました。学生時代の桜の情景も脳裏に浮かんだことでしょう(多田有花)

23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと/柳原美知子
つくしを採ってきて、下ごしらえをされています。ペットの猫がそばに寄ってきて、はずされたはかまにじゃれついているのでしょう。可愛らしい様子が浮かびます。(多田有花)

04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る/多田有花
10.乾門また閉じられて春惜しむ/廣田洋一
15.昼休み缶コーヒーと春の空/西村友宏

■選者詠/高橋信之
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

20.入学の子が登る山花明かり
21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな

■選者詠/高橋正子
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
家の周辺の山はヤマザクラが散り、若葉の色へと代わってきました。春の終わりを告げ夏へと向かう色彩です。いきいきとしたその色に輝く日差しがよく似合います。(多田有花)
待ち望んだ桜も終わり葉桜となってはいるが、若々しい色を輝かせていて、これもいいものですね。(祝恵子)

28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■4月月例ネット句清記■


■4月月例ネット句清記
2019年4月14日
10名30句

01.さえずりや利根本流の洋々と
02.春耕や利根の恵みを賜りし
03.花見船声もろ共に降ろしけり
04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る
05.船点々と春の海の輝きに
06.ため池に春の波たつ播磨かな
07.満ちてなほ散るべく想ふ花あはれ
08.花に酔ふ同期四人や彦根城
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨
10.乾門また閉じられて春惜しむ

11.烏鳴けど時計は鳴らず大朝寝
12.ブラックホール遠くに隠す春の雲
13.逆上がり初めてできて風光る
14.学ランの匂い柔らか入学す
15.昼休み缶コーヒーと春の空
16.春灯しターンテーブルの紹興酒
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会
18.春寒し背すじ伸ばせと風のいう
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
20.入学の子が登る山花明かり

21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな
22.青麦畑はしる朝風窓に鳴る
23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる
25.退勤の道が葉桜の並木
26.春霞都心のビルが遠ざかる
27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ
28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●4月月例ネット句会投句ご案内●


●4月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2019年4月7日(日)午前6時~2019年4月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月15日(月)正午~4月18日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

自由な投句箱/4月11日~20日


※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/4月11日~20日


4月20日(2句)

★松籟に乗りてふわりと雀の子/小口泰與
「ふわりと」が子雀のかわいらしさをよく表現している。松籟との取り合わせも、すっきりとしていていい。

★それぞれの花色選び蝶の昼/桑本栄太郎
蝶が花から花へ飛ぶ真昼。見ておれば、それぞれの蝶は、それぞれの花色を選んでいるように、同じ色の花から花へ移る。蝶と私との楽しい昼。(高橋正子)

4月19日(2句)

★うぐいすや棚田の水の満ちにける/小口泰與
棚田に水が満たされ、田植えの準備が次第に整う頃、田水を震わすようにうぐいすが美声を響かせる。山田ののどかな風景がこれからも続くことを祈りたい気持ちになる。(高橋正子)

★頂の小楢の芽吹き銀色に/多田有花
芽吹きが「銀色に」というのが、いい。芽吹いたばかりは、緑ではなく、銀色。ういういしさに輝いている。(高橋正子)

4月18日(1句)

★風のたび空へ花びら放たれり/多田有花
咲き満ちた花も散り始める時期が来て、風が吹くたびに花が枝から放たれる。さびしさも微かに花が散る。(高橋正子)

4月17日(4句)

★溶岩原の広漠とあり麦青む/小口泰與
溶岩原は、広漠として、麦が青んでいる。心が伸び伸びする景色だ。群馬県は国内でも最大の麦の産地と聞く。その産地もこんな景色から生まれるものであろう。(高橋正子)

★奈良漬や吉野の山の別れ霜/廣田洋一
𠮷野に遊んだ。終霜の時期は、京都で4月9日といわれるが、吉野の山の別れ霜も、おおよそその頃であろうか。桜が満開の季節と重なるかよくわからないが、下千本、中千本、奥千本と咲く桜の楽しみのなかに、奈良漬の添えられた食事は、渋くていい味わいかも。奈良の奈良漬は特別美味しい印象がある。(高橋正子)

★笹の葉の天より降りぬ竹の秋/桑本栄太郎
竹は、春に葉を入れ替えて落とす。それを竹の秋というが、歩いていると、高いところからひらひらと竹の葉が舞い落ちる。軽い竹の葉は、天から降ってくるように思える。(高橋正子)

★蒼天の色がこぼれてネモフィラに/古田敬二
ネモフィラはオオイヌノフグリを大きくしたような青い花。公園や丘陵などに一面に植えられ、今や親しい花となっている。蒼空の色とグラデーションをなして、見事でいる。「蒼天の色がこぼれ」たのだと思える。(高橋正子)

4月16日(2句)

★桜咲く絶えず小鳥をとまらせて/多田有花
桜の密を吸いに小鳥がやってくる。満開の花には、入れ替わり小鳥がやってくる。「絶えず」やってくる。うららかな春の日が快い。(高橋正子)

★塗りたての畔真昼の日を返す/古田敬二
田を打ち終わりいつでも植えられるようになると、田の水が漏れたりしないように、田の泥土で塗り固める。塗ったばかりの畔は日をてらてらと日を返して、見事である。この見事さは、営々と続いて来たもの。(高橋正子)

4月15日(2句)

★静かなる古刹は花にあふれおり/多田有花
古刹の桜は大木であろう。訪れる人もなく、ただ花があふれる古刹。静かさがあふれ咲く桜を引き立てている。その花をひとりじめして楽しむ作者が見える。(高橋正子)

★芽吹き盛ん相生山の膨れけり/古田敬二
調べると、相生山は名古屋市にある標高60mほどの低山とある。市民の緑地として整備され自然もゆたか。オオタカの巣も見られると言う。生活の中に楽しめる相生山の木々が芽吹き山が膨らむ。これからいい季節が待っている。(高橋正子)

4月14日(1句)

★初燕鏡のような水面を/古田敬二
初燕が、鏡のように静かな水面を、水面すれすれに飛んでいるのだろう。初燕の艶やかな羽の色が、鏡のような水面によく呼応している。(高橋正子)

4月13日(3句)

★飛騨川の峪崖深し飛花落花/古田敬二
飛騨川は流れも急であるが、峪の崖も深い。そこに舞い込む桜の花びらは、捨身の如くひたすらに散っているのだ。(高橋正子)

★ものの芽の彼方や山の連なれり/多田有花
ものの芽の色が柔らかい。その向こうには連山が見え、遥かな景色が望める。なにか希望がもてそうな景色だ。(高橋正子)

★遠山はまだ銀嶺や桜狩/小口泰與
山国では、桜が咲いても遠い山は雪を冠っている。桜と銀嶺とが山国春を物語っている。(高橋正子)

4月12日(1句)

★トンネルを出れば鉄橋風光る/多田有花
トンネルを出たとたん、鉄橋となり、辺りの風が光る。鉄橋の両側は、吹く風が自由で、輝いている。気持ちのよい季節だ。(高橋正子)

4月11日(1句)

★トンネルの闇の向こうに春の昼/多田有花
トンネルの向こうには、こちらとは違う世界がある。トンネルの闇を抜ければ、向こうには光眩しい春の昼がある。(高橋正子)

4月11日~20日


4月20日(4名)

小口泰與
我が郷は赤城根っこしつばくらめ★★★
さえずりや浅間南面斑なり★★★
松籟に乗りてふわりと雀の子★★★★
「ふわりと」が子雀のかわいらしさをよく表現している。松籟との取り合わせも、すっきりとしていていい。

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
お花見や湖北の駅に降り立ちぬ★★★
満開の桜湖岸を縁取りぬ★★★★
奥琵琶湖残雪の山遠望す(原句)
一読してイメージが纏まりにくいので、添削しました。
残雪の山遠望に奥琵琶湖★★★★(正子添削)

廣田洋一
厚化粧の熟女の如し八重桜★★★
斎場や塀際に散る八重桜★★★
桜並木どんじり締める八重桜★★★

桑本栄太郎
ぐずぐずの飛行機雲や春の空★★★
それぞれの花色選び蝶の昼★★★★
蝶が花から花へ飛ぶ真昼。見ておれば、それぞれの蝶は、それぞれの花色を選んでいるように、同じ色の花から花へ移る。蝶と私との楽しい昼。(高橋正子)
散りしきる傍へ咲き初む八重桜★★★

4月19日(4名)

小口泰與
うぐいすや棚田の水の満ちにける★★★★
棚田に水が満たされ、田植えの準備が次第に整う頃、田水を震わすようにうぐいすが美声を響かせる。山田ののどかな風景がこれからも続くことを祈りたい気持ちになる。(高橋正子)
菜の花や千曲流るる詩の里★★★
青空へ万朶の花や鳥の声★★★

多田有花
頂の小楢の芽吹き銀色に★★★★
芽吹きが「銀色に」というのが、いい。芽吹いたばかりは、緑ではなく、銀色。ういういしさに輝いている。(高橋正子)

囀りの山より見やる沖青し★★★★
坂下る桜吹雪を浴びながら★★★

廣田洋一
白藤や斎庭を香り満たしをり★★★
房の先未だ開かぬ藤の花★★★
小さき風ゆったり揺れる藤の房★★★★

桑本栄太郎
放課後のドッジボールや春嵐★★★★
若芝の足裏(あうら)ふかふか跳ねいたり★★★
入園のすでに過ぎたりすみれ咲く★★★

4月18日(4名)

多田有花
風のたび空へ花びら放ちおり(原句)
花びらからみれば、「放ちおり」ではなく、「放たれる」ではないでしょうか。
風のたび空へ花びら放たれり★★★★(正子添削)
咲き満ちた花も散り始める時期が来て、風が吹くたびに花が枝から放たれる。さびしさも微かに花が散る。(高橋正子)

花吹雪視線あげれば遠き島(原句)
「花吹雪」と「視線あげれば」の情景がよくわからないです。
花吹雪視線の先の遠き島★★★★(正子添削)

絶え間なく花びら降り注ぐ山路★★★

小口泰與
わたらせのトロッコ列車桃の花★★★
せめぎ合う激しき鋭声百千鳥★★★
うぐいすやボート漕ぎ行く山上湖★★★★

廣田洋一
ちょんちょんと何か啄む雀の子★★★
丸まりて辺り見回す雀の子★★★★
鳥かごには落ち着かざりし雀の子★★★

桑本栄太郎
さくら蘂降るや地道の川辺行く★★★
川に添い鳶の高舞い風光る★★★★
すかんぽの赤き穂が伸び夕暮るる★★★

4月17日(5名)

小口泰與
溶岩原の広漠とあり麦青む★★★★
溶岩原は、広漠として、麦が青んでいる。心が伸び伸びする景色だ。群馬県は国内でも最大の麦の産地と聞く。その産地もこんな景色から生まれるものであろう。(高橋正子)

噴煙の韋駄天走り花りんご★★★
たんぽぽや赤城七峰靄の中★★★

多田有花
青空に映えし桜と甍かな★★★★
鳥になり潜り込みたし花のなか★★★
すでに風心地よきかな花の下★★★

廣田洋一
奈良漬や吉野の山の別れ霜★★★★
𠮷野に遊んだ。終霜の時期は、京都で4月9日といわれるが、吉野の山の別れ霜も、おおよそその頃であろうか。桜が満開の季節と重なるかよくわからないが、下千本、中千本、奥千本と咲く桜の楽しみのなかに、奈良漬の添えられた食事は、渋くていい味わいかも。奈良の奈良漬は特別美味しい印象がある。(高橋正子)

霜の別れとつくに済ませ湘南は★★★
白々と別れ霜なり狭庭かな★★★

桑本栄太郎
花屑の祇園白川勇歌碑★★★
花屑の酔いたるようにうすき紅★★★
笹の葉の天より降りぬ竹の秋★★★★
竹は、春に葉を入れ替えて落とす。それを竹の秋というが、歩いていると、高いところからひらひらと竹の葉が舞い落ちる。軽い竹の葉は、天から降ってくるように思える。(高橋正子)

古田敬二
蒼天がこぼすネモフィラ紫に★★★
蒼天の色がこぼれてネモフィラに★★★★
ネモフィラはオオイヌノフグリを大きくしたような青い花。公園や丘陵などに一面に植えられ、今や親しい花となっている。蒼空の色とグラデーションをなして、見事でいる。「蒼天の色がこぼれ」たのだと思える。(高橋正子)

残る鴨二匹そろいて水脈を引く(原句)
残る鴨二羽がそろいて水脈を引く★★★★(正子添削)

4月16日(5名)

小口泰與
うぐいすや暁の厨の忙しかり★★★
夕映えの一朶の雲や花あんず★★★
洋洋と榛名湖蒼き春日傘(原句)
洋々と榛名湖蒼し春日傘★★★★(正子添削)

多田有花
花びらの先に伸び行く飛行機雲★★★
桜咲く絶えず小鳥をとまらせて★★★★
桜の密を吸いに小鳥がやってくる。満開の花には、入れ替わり小鳥がやってくる。「絶えず」やってくる。うららかな春の日が快い。(高橋正子)

こんな見事な桜をひとりで見る★★★

廣田洋一
白き紐ゆらゆら揺れる雪柳★★★
零れさうでこぼれぬ花や雪柳★★★★
せせらぎのたゆみなき音雪柳★★★

古田敬二
春水分け真鯉緋鯉が餌による★★★★
塗りたての畔真昼の日を返す★★★★
田を打ち終わりいつでも植えられるようになると、田の水が漏れたりしないように、田の泥土で塗り固める。塗ったばかりの畔は日をてらてらと日を返して、見事である。この見事さは、営々と続いて来たもの。(高橋正子)

走り去る車の風やすみれ咲く★★★

桑本栄太郎
花屑の酔いたるようにうすき紅★★★
せせらぎへ枝の残花や高瀬川★★★
花屑の風にたゆとうにわたずみ★★★★

4月15日(5名)

小口泰與
山風に白波立ちて蝌蚪の紐★★★
背景は真っ青な空嶺桜★★★★
いざ跳ばん草掴みたる初蛙★★★

多田有花
静かなる古刹は花にあふれおり★★★★
古刹の桜は大木であろう。訪れる人もなく、ただ花があふれる古刹。静かさがあふれ咲く桜を引き立てている。その花をひとりじめして楽しむ作者が見える。(高橋正子)
山桜その大きさを見上げおり★★★
花は咲く誰も訪ねぬ山中に★★★

廣田洋一
人気無き通りにかさと春落葉★★★
滑り台順番待ちの春落葉★★★
二三枚川に浮かびし春落葉★★★

古田敬二
青空へ揺れて楢の木芽吹きけり★★★
芽吹き盛ん相生山の膨れけり★★★★
調べると、相生山は名古屋市にある標高60mほどの低山とある。市民の緑地として整備され自然もゆたか。オオタカの巣も見られると言う。生活の中に楽しめる相生山の木々が芽吹き山が膨らむ。これからいい季節が待っている。(高橋正子)

豆の花豆にならんと咲きにけり★★★

桑本栄太郎
建仁寺土塀の中に花かりん★★★
花屑の舞いて立ち居りつむじ風★★★
花虻や幼き日々の母想う★★★★

4月14日(5名)

小口泰與
欅大衆の山風を鷲づかみ
「欅大衆」は「欅大樹」の間違いでしょうか。

夜桜や二人乗りたる観覧車★★★★
傘寿にて趣味は二つよ亀の鳴く★★★

廣田洋一
行き付けの書店閉じられ春惜しむ★★★
春惜しむ丹沢の山煙りをり★★★★
道端に咲く花々に春惜しむ★★★

多田有花
廃線の枕木のそばすみれ咲く★★★★
すみれ咲くアスファルトに咲く花として★★★
青空に花見の歌の聞こえ来る★★★

桑本栄太郎
山並の京へとつづく花の雲★★★
土手草の青む車窓や阪急線★★★★
からし菜の中州占めたり桂川★★★

古田敬二
初燕池の賑わい始まれる★★★
初燕鏡のような水面に(原句)
初燕鏡のような水面を★★★★(正子添削)
今年また無人駅舎につばくらめ★★★

4月13日(5名)

古田敬二
飛花落花飛騨川の峪崖深し(原句)
飛騨川の峪崖深し飛花落花★★★★(正子添削)
友見舞う窓辺に飛び交う初燕★★★★
満開を見上げる空の飛行体★★★

多田有花
山頂まで三葉躑躅の道をゆく★★★
ものの芽の彼方に山の連なりが(原句)
「が」で止めたところは、落ち着きが悪いです。
ものの芽の彼方や山の連なれり★★★★(正子添削)

山ひとつ登って下りる谷朧★★★★

小口泰與
遠山はまだ銀嶺や桜狩★★★★
花筵ギター片手に乾杯す★★★
うとうとと辞書に顔伏し亀鳴けり★★★

廣田洋一
仔馬跳ね草露跳ねる牧の朝★★★★
大流星しっかり継ぎし仔馬かな★★★
馬の仔の額の白は母親似★★★

桑本栄太郎
平成の御代を惜しめり花吹雪★★★
散り敷きてなほ蘂酔ふや花あはれ★★★
休日の園の花壇にチューリップ★★★★

4月12日(5名)

古田敬二
陽光の入り陽に続く春の海★★★
にぎやかに満開近きシデコブシ★★★★
白々と街路両側シデコブシ★★★

多田有花
のどけしや残る枕木踏みつゆく★★★
トンネルを出れば鉄橋風光る★★★★
遠目にも大きく見えて江戸彼岸★★★

廣田洋一
覚ましを止めて遠ざけ朝寝かな★★★
大朝寝時計は鳴らず烏も鳴かず★★★
朝寝など許されぬ旅吉野山★★★★

小口泰與
上り簗越後魚沼魚野川★★★★
水荒き春の魚野川(うおの)の簗場かな★★★
春なると決まって出づる恙かな★★★

桑本栄太郎
校門の花や早くも花吹雪★★★★
花屑の舞いて立ち居りつむじ風★★★
赤白黄斑もありぬチューリップ★★★

4月11日(4名)

多田有花 
うららかや廃線跡をハイキング★★★
渓流と桜を愛でしハイキング★★★
トンネルの闇の向こうに春の昼★★★★

小口泰與
砂びの穴の五六個牡丹百合★★★
咲き満ちて烈風にあう杏かな★★★
利根川の煌煌とせる桃の花★★★★

廣田洋一
うつすらと白き流れや春の雲★★★
ビルの窓白く光れる春の雲★★★★
逆上がりやつと出来たり春の雲★★★

桑本栄太郎
坂道をたゆとう歩む花の屑★★★★
花びらの舞いて散り初む花あはれ★★★
風吹かば誰れぞ留めん花吹雪★★★